朝、山比古南学園は、ざわめいていた。
それもそのはず、空からカラスに連れられ、1人の美少年がやって来たのだから。
カラス達「かぁー、かぁー」
手を振ってカラス達を見送っていた美少年は、皆の注目の的になった。
校舎へと入り、1年の教室に入った瞬間、女子達は、
女子達「きゃー、きゃー」
と騒ぐのだった。
そして、黒板に、自分の名前を書いた。
走「我…猿飛…走…これから…よろしく」
そう言って、自己紹介をして、軽くお辞儀をすると、美少年の姿を見た生徒たちは驚き、声をあげた。
女子たち「キャー」
女子S「美少年よ」
こより「……」
女子A「今度は、私達1年生の教室に、しかも」
女子R「高身長、陽菜先輩よりも大きいわ、神本さん」
円佳「ええ、あ、はい」
女子C「春が来たー、私達1年生の教室にも、春がー」
男子D「春が来たーって、今は夏が来たばかりだぞ」
男子たち「そうだ、そうだー」
女子たち「うるさい、男子」
そう言うと女子たちは、男子たちに怖いオーラを送った。男子たちはただ縮こまるのだった。
男子たち「あ、はい」
朝のHRが終わると、走は、雷牙のいる2年生の教室に向かった。
走「雷牙…様」
雷牙「走!」
走が2年生の教室に入って行った事で、初、伊吹以外の2年生の女子達は、
2年生女子達「きゃー、きゃー」
と1年生同様騒ぐのだった。
雷牙「どうした、急に来るとは。知らせてくれれば、歓迎会の準備をしていたのだが」
初「ライくん!?」
伊吹「雷牙!?」
大吾「兄弟!?」
初「この子、知り合いなの!?」
女子G「それなら、私の事を紹介して」
女子C「私も、私も」
女子K「はぁー、また、この学園に春が来たのねー」
大吾「何が、また、この学園に春が来たのねー、だよ」
東海林と西「そうだ、そうだ!」
西「こっちはもう!」
東海林「夏だ、つうのー」
女子達「うるさい、男子」
そう言うと女子たちは一年生同様、男子たちに怖いオーラを送るのだった。
男子達「あ、はい」
初「それで、ライくん、その子っていったい?」
伊吹「あんたの、何なのよ?」
大吾「さっき、兄弟の事、様付けしてたけど、まさか!?」
初「ライくんも、執事?」
雷牙「いえ、走は、私の忍びです」
クラスメイト達「忍び?」
初「それって、つまり?」
大吾「なでしこちゃんと同じ、ってわけか?」
伊吹「ちなみに、あんた」
走「?」
伊吹「身長は、何㎝なのかしら?」
女子K「あ、それ、私も気になっていたわ、最初合ったころから」
女子G「私も、ねぇ、何㎝なの?」
走「我」
我夢「179㎝」
クラスメイト達「…ん?」
我夢「179㎝ですよ、皆様、彼の、走の身長は、179㎝です」
クラスメイト達「うぉー!」
女子Y「179㎝って」
伊吹「海野兄弟、よりも、1㎝下なのね、あんたは」
走「……(ペコリ)」
クラスメイト達「すごーい?」
なでしこ「すこいでしょー」
大吾「その声は、もしや?」
どこからか、聞き覚えのなる声が聞こえると思った次の瞬間。
雷牙「は!」
走「なでしこ…なでしこ…どうして…中等部の…校舎は…別の場所に…ある…のに…どうして?」
なでしこ「そりゃー、後輩が、来たのに、先輩であるあたしがあいさつしなくてどうするにゃ、走くん」
天井から出てきたのは、なでしこだった、なでしこが、天井からさかさまの状態で出て来たので、雷牙、我夢、そして、走以外のクラスメイト達は、驚いていた。
雷牙「なでしこ」
なでしこ「はい」
雷牙「喋る前に、降りたらどうだ」
なでしこ「確かにそうッスね」
そう言って、なでしこは天井から降りた。反転して足を床に着け、
雷牙「次からは、普通に来い」
我夢「教室の出入り口から」
なでしこ「了解ッス」
初「天井から、現れるなんて!?」
伊吹「さすが!?」
大吾「さすが、忍び、忍者だぜ、なでしこちゃん!?」
西「おい、大吾、日向、それに、中津川、あの子っていったい?」
東海林「なんなんだ、美人で、スタイルもいいし身長も、酒井先輩と互角、それに、さっきお前、さすが、忍者、忍びって、他にも、真田の事を、様付けしてたし?」
西と東海林「何者なんだ?」
伊吹「ああ、彼女ね、彼女は」
初「春野 なでしこちゃんって、いってね、ライくんやお兄さんの日向くん、それに、我夢くんと七海くんと一緒に中等部に転校して来た2年生だよ」
大吾「ちなみに、身長は、陽菜先輩と同じで175㎝あるんだぜ」
クラスメイト達「うぉー!?」
女子G「中学2年生にして!」
女子Y「陽菜先輩と同じ、身長なんて!」
女子達「うらやましいわ~」
なでしこ「えへへ」
大吾「あれ、ちょっと、待ってくれ、なでしこちゃん」
なでしこ「何ッスか?」
大吾「さっき、君は、猿飛の事を?」
初「先輩って、呼んでたよね、伊吹ちゃん?」
伊吹「確かに、歳は、あんたの方が上でしょ、なのにどうして、年下であるなでしこの事、先輩って、呼んでいるのよ?」
雷牙「それは」
我夢「それは、彼は、なでしこの後に、雷牙様に仕える忍びになりましたから。その彼が仕える前から、なでしこは雷牙様に仕えているので、先輩風を吹かせたいんですよ、彼女は」
クラスメイト達「へぇ~」
なでしこ「それよりも、あんた」
クラスメイト達「?」
なでしこ「これ」
なでしこは、懐から、何かを取り出したそれは。
伊吹「それって?」
初「お弁当?」
なでしこ「君、お弁当忘れて行ったでしょう」
走「あ!」
なでしこ「走の顔を見に行くついでに、お弁当を頼まれて、あんたに届けに来たってわけ」
我夢「楓にか」
なでしこ「あ、まずい」
初が何か聞こうとしたその時、なでしこは、入って来た天井に戻って行った。と同時に、
チャイム「キーン、コーン、カーン、コーン」
チャイムが鳴った。
雷牙「それに関しては、また、走も」
走「はい」
走も、自分の教室に戻って行ったのだった。
そして、あっと言う間に学校が終わって、走は、雷牙達、日向と七海、そして、つむぎとも合流して下校した。
初「それじゃ、ライくんと一緒に居たいから、楓って子と一緒に転校して来たの?」
走「……(ペコリ)」
伊吹「それで、その子たちは?」
走は何やら、両肩に何かを乗せていた。それは、
走「これが…メスの…雪と秋…それでこっち…オスの…夏と春」
と、話していると、中等部と繋がる橋から、かさねとなでしこ、そして、もう一人、見知らぬ女の子が歩いてきた。
大吾「かさねっち、なでしこちゃん、その子って、すごーい、美人だな」
初「うん」
伊吹「ええ、つむぎ先輩や陽菜先輩に負けないわ」
つむぎ「それを言ったら、なでしこちゃんだって」
なでしこ「え、そうッスか?」
我夢「それはそうと、楓」
七海「自己紹介を、しなさい」
楓「はい、かしこまりました、月村 楓です、そちらの、猿飛 走様の婚約者です、これからよろしくお願いします」
軽くお辞儀したと同時に、楓の豊かな胸が、ポヨン、と揺れ、それを見た、雷牙、日向、海野兄弟、なでしこ、走以外は驚いた表情を見せ、それぞれ心の中で思っていた。
初(うわぁー、すごい美人、それに胸!)
伊吹(円佳ちゃん、いや、つむぎ先輩よりも)
大吾(大きいぜ!)
かさね(何回見ても、すごいわね、私や、こよ姉、伊吹先輩じゃ、かなわないわね! はぁー)
つむぎ(すごいわね、私や陽菜ちゃん、円佳ちゃんよりも、大きいわ!)
大吾「って、婚約者!」
みんな「えー!」
大吾「婚約者って」
何やら、動揺し始めた、大吾は、楓に触れようと近づこうとした次の瞬間、
楓「は!」
大吾「ぎゃー!」
すかさず、楓は、大吾の体を押さえつつ左腕を掴んで、拘束した、雷牙、日向、なでしこ、そして、海野兄弟以外。
みんな「うわぉー!」
驚いた表情を見せるのだった。
大吾「い、て、て、て、て、て、てー、感心してないで、助けてくれよ、い、て、て、て、て」
雷牙「大吾殿!?」
大吾「何するんだよ、い、て、て、て、て!」
楓「何やら、あなた様にやらしい視線を感じましたので、反射神経で、つい」
走「楓…も…」
大吾「い、て、て、て、て、て、てー!」
楓「それもそうですね」
そう言って、楓は大吾の拘束を解いて解放した。
大吾「はぁー、痛かったー」
伊吹「自業自得よ」
大吾「そんなー」
初「楓ちゃん」
楓「なんですか?」
初「さっきの って?」
つむぎ「護身術かしら?」
我夢「あたりです、つむぎ様」
つむぎ「ええ、円佳ちゃんも似たような、動きをしていたから、そうじゃないかしらって?」
七海「ええ、楓は、幼いころから」
我夢「護身術の心得くらいありましたから」
楓「くらいって、それ、どう言う意味ですか」
我夢「どう言う意味って?」
七海「そのままの、意味だが」
楓「もう、また、私の事を、子ども扱いする」
雷牙「まあ、まあ、3人とも、そのへんにしておけ、従妹同士なのだから」
初「従妹!?」
みんな「従妹!?」
雷牙「あ、みな様には、言っていませんでしたね、我夢と七海の父君と、楓の父君は兄弟だ。つまり、2人は」
日向「従妹で、我ら、真田家のメイドです」
伊吹「へぇー」
初「メイドさんかー」
大吾「なるほどー、道理でスタイルがいいわけだな」
楓「スタイルは、関係ないでしょう」
と言った次の瞬間。
走「…そうだ」
走が、大吾に卍固めをした。
大吾「い、て、て、て、て、て、てー、また、何するんだよー!?」
伊吹「それは、こっちの台詞よ、あんた今の言葉は」
つむぎ「セクハラよ、大吾さん」
初「そうだよ、大吾」
我夢「今のは、聞き捨てなりませんね、大吾殿」
七海「そうです、従妹として、許せませんよ、今の言葉は」
大吾「ごめんなさい、もう言いませんから、どうか、お慈悲を、お慈悲を、くださいーい、て、て、て、て、て、てー」
楓「走様」
走「…ん?」
楓「もう、そのへんで」
走「いい…のか?」
楓「はい」
走は、大吾の卍固めを解いた。
大吾「はぁー、痛かったー」
伊吹「また、自業自得よ」
大吾「いやー、マジで、死ぬかと思ったぜー」
楓「卍固めをしたくらいで、人間は死にません、フン」
そう言って、楓は機嫌悪くそっぽを向いた。
大吾「そんなー」
走「おい…お前…」
大吾「ん? ひ!」
走は、懐から、苦無を取出し刃を、大吾の首に差し向けた。
みんな「……!」
それを見た、雷牙、日向、海野兄弟そして、なでしこ以外の全員、驚いた表情を見せた。
走は殺意丸出しの表情で、大吾に向かって、こう言った。
走「…楓を…変な…目で…見るな…次は…殺す…」
走は殺意を引込め、苦無を懐に戻した。走の表情が元に戻ったと同時に、雷牙、日向、海野兄弟そして、なでしこ以外の全員、大吾も含め、腰が抜け尻餅をついた。
楓「さて、気を取り直して、山比古町の案内してくれるんですよね、なでしこちゃん、かさねちゃん」
かさね「ええ」
なでしこ「そうだったにゃ、みなさんも、よかったら、ご一緒にいかがッスか」
初「それなら、私も案内する」
伊吹「初が、行くなら私も」
大吾「俺っちも」
楓「……」
冷たい目で、大吾を見た楓。
大吾「……」
静まり帰る大吾。
かさね「むぎ姉は?」
つむぎ「今日は、よろづよのバイトの日よ」
かさね「あ、そうだった! ごめん、お兄さんは?」
雷牙「あ、すまない、私と兄さん、それに、我夢に七海も急に予定が入ってしまった、本当にすまない」
雷牙は軽くお疑似をした。
楓「それなら、私も」
走「我…も…」
雷牙「いや、そなた達は、山比古町の案内をしてもらえ、これから、この町に住むのだから」
我夢「そうだ、2人とも、雷牙様の言うとおり、案内してもらいなさい」
走「わかった」
楓「わかりました、それでは、雷牙様、日向様、我夢様、七海様、つむぎ様、また、よろづよで、お出会いいたしましょう」
走「……(ペコリ)」
楓も走と同様に軽くお疑似をした後、初、伊吹、かさね、なでしこ、ついでに大吾とともに、よろづよに向かう雷牙達と別れるのだった。
雷牙「よし、それでは、急いでよろづよへ行きましょう、おのおのがた」
そう言って、雷牙達はよろづよへと急ぐのだった。
時間を、昼休みに戻す。
回想
雷牙「初殿」
初「ん?」
我夢「伊吹様」
伊吹「ん?」
雷牙と我夢「ちょっと、いいですか?」
初「何、ライくん?」
伊吹「我夢?」
雷牙と我夢「はい、実は」
そう言って、初には雷牙が、伊吹には我夢が、それぞれの耳にひそひそと話しかけた。話の内容は、走と楓のビックリ歓迎会の準備が終わるまで、2人の相手をしてほしいということだ。すでに、この事を知らせていたのは、日向、七海、つむぎ、なでしこ、かさね、そして、よろづよの女将・千歌であった。
雷牙、日向、海野兄弟、つむぎ、千歌は、よろづよでビックリ歓迎会の準備。
初、伊吹、なでしこ、かさねたちの役目は、ビックリ歓迎会の準備が終わるまで、2人をろよづよに近づけさせないことであった。
雷牙と我夢「と言うわけですので」
我夢「伊吹殿」
雷牙「初殿」
雷牙と我夢「よろしくお願いいたします」
軽くお辞儀をする、2人。
伊吹「わかったわ」
初「任せておいて」
回想終わり
雷牙(任せましたよ、初殿、伊吹殿、かさね殿、なでしこ、それと、大吾殿)
大吾「ハクショーン」
伊吹「あら、風邪?」
初「大丈夫、大吾?」
大吾「ああ」
楓「馬鹿は、風邪をひかないと言いますが」
走「……(ペコリ)」
大吾「そりゃねぇよ、2人とも、いい加減機嫌直してくれよ、な」
手を合わせて、何度も走と楓に謝った。しかし、2人は無視した。
かさね「では、改めて気を取り直して、ここ、山比古町の案内をするわよ」
楓「はい、かさねちゃん、みな様、よろしくお願いします」
走「……(ペコリ)」
雷牙達と別れたとき同様、軽くお辞儀をした。また、楓の胸はポヨンと揺れた。
山比古町の案内は、雷牙達と同じルートで、木霊神社では、雷牙となでしこ同様、走は目にも止まらぬ早さで、石段を飛んで行った。
それを再び見た、石段の下にいた初、伊吹、大吾、かさねの4人は、また、驚いた表情を見せたが、楓となでしこの2人は、驚いた顔も出さず平然としていた。
そして最後は、この前同様、バク・パイプ、初たちの行きつけの喫茶店へ行き、走と楓はコーヒーを頼んだ。
2人はコーヒーを、砂糖やミルクを入れずに、そのまま華麗に飲んだ。
走「美味…しい…」
楓「美味しいです、ご主人」
マスター「ああ、ありがとう」
初「走くんも、楓ちゃんも、よく砂糖もミルクも入れないで、コーヒーが飲めるね、私は無理」
なでしこ「ふ、まだまだ、お子様ですね、初ちんは、苦が!」
かさね「そう言う、なでしこ、あんたも」
伊吹「飲めないじゃないのよ」
そう言って、かさねと伊吹はアイスコーヒーを飲んだ、砂糖もミルクも入れずに。
楓「今日は、山比古町の案内をしていただき、ありがとうございました」
走「あり…がとう…」
初「いいよ、お礼なんて、ねぇ、伊吹ちゃん、かさねちゃん、なでしこちゃんも」
伊吹「ええ」
かさね「先輩の言うとおりよ、ね、なでしこ」
なでしこ「そうッスよ、楓ちゃん、走くん」
そんな風に楽しくおしゃべりしていると、何やら、一台の車が、アナウンスしていた。女性の声で。
女性「ただいま、商店街で、熊が出ましたので、家にいる人は、外に出ずに、事態が収まるまで、待機していてください」
マスター「だ、そうだ、初ちゃん達」
初「はい」
伊吹「わかりました」
かさね「ええ、あれ?」
伊吹「どうしたのよ、かさね?」
かさね「楓と走がいません!?」
初「あ、ホントだ!?」
伊吹「いつの間に!?」
なでしこ「2人なら、熊を止めに、出て行っちゃったッスよ」
3人「えー!?」
伊吹は、その事をよろづよに電話で知らせた。
千歌「雷牙くん達、たいへんよ!?」
日向「どうしましたか?」
雷牙「千歌殿?」
我夢「……?」
七海「……?」
つむぎ「どうしましたか、女将?」
千歌「伊吹から電話が来て、走くんと楓ちゃんが熊を止めに行ったって!?」
雷牙「そうですか」
千歌「え?」
海野兄弟「そうですか」
つむぎ「え?」
日向「……」
千歌「そうですかって!?」
つむぎ「心配じゃないんですか、雷牙さん、我夢さんも七海さんも、従妹とその婚約者が!?」
雷牙「心配も何も」
我夢「走が、いれば」
七海「楓は安心」
日向「もちろん、他のみなさんも」
商店街
男性「熊が出たぞ!!」
そこへ猟師が表れ、銃を向ける。
猟師「このままじゃ危険だ。行くぞ!」
熊の前に、猿飛走が現れる。
走「撃つな…我に…任せろ!」
初「走くん!」
伊吹「無茶しないで!」
かさね「そうですよ、走くん、楓あんたも!」
楓「いえ、大丈夫です、走様は」
走「我は…獣医……」
みんな「獣医!?」
走「どうしたんだ!?…我に…話してくれ……」
熊が鳴き始めると、走は目を閉じて聞き取る。
熊に近づくと、猟師たちがよけた。
走「よし…もう大丈夫…大丈夫…怖かった…もう大丈夫…」
走が熊に乗り話しかける。
走「どうだ!?…もう…痛くない」
それを見た、その場にいた全員、驚いた表情を見せていた。ただし、楓となでしこを除いて。
初「走くん、すごい!?」
かさね「はい、本当に動物と心を通わせているみたいです」
なでしこ「いえ」
伊吹「え?」
楓「走様は、本当に動物と心を通わせていたのですよ」
かさね「え、それマジ、楓、なでしこ!?」
楓「はい、走様は、小さい頃から、動物と心を通わせることができるのです」
初「え!」
伊吹「ホントなのそれ!?」
なでしこ「ええ、その他にも、走くんは、医療・薬草にも詳しく、それを見込まれて、地元の獣医の先生にスカウトされて、海外の獣医の大学に飛び級で合格」
3人「えー!」
なでしこ「たった3年で獣医の免許を取得したんッスよ、走くんは」
3人「嘘だー」
そんな、言葉を聞いた、走はスマホを取出し、画像を3人に見せたそれは。
かさね「走先輩!?」
走「……」
伊吹「これって!?」
なでしこ「ええ、まぎれもない、獣医の免許ッス」
楓「走様の」
3人「えー!」
そんなこんなで、無事、走は熊を森に帰した後、よろづよへ来た。
従業員たち「いらっしゃいませ~~!!」
走「……」
楓「うわ、すご!」
雷牙達同様、旅館の前に従業員たちが立ち並び、走と楓を歓迎してくれる。
千歌「あははは、驚いたでしょ?」
楓「うわっ!?」
走「……」
それまで誰も居なかったはずの背後から声を掛けられ、楓はさっきと同様、驚きの声をあげてしまう。この時も、走は驚かなかった。
千歌「ようこそ、よろづよへ。この出迎えがうちの流儀、はるばるようこそってね」
走「りゅ…流儀…」
楓「りゅ、流儀ですか?」
千歌「あなた達が、猿飛 走くんとその婚約者で、我夢くんと七海くんの従妹の」
楓「はい、月村 楓です、これからお世話になります」
軽くお辞儀したと同時に、また、楓の豊かな胸が、ポヨン、と揺れ、それを見た、雷牙、日向、海野兄弟、なでしこ、走以外は驚いた表情を見せ、それぞれ心の中で思っていた。
千歌(はぁー、つむぎが言ってたとおり、楓ちゃん美人でそれに、胸は、私やつむぎ、陽菜、円佳ちゃんよりも、大きいわ!)
つむぎ(はぁー、何度、見ても、大きいわね、楓ちゃんの胸は)
千歌「ところで、熊は?」
つむぎ「出たんでしょ?」
伊吹「ああ」
初「その件なら」
楓「走様が、片付けました、ねぇ、走様」
走「(ペコリ)…熊は…森に…帰した…」
つむぎ「へ?」
雷牙「だから言ったではありませんか」
千歌とつむぎ「…?」
我夢「走がいれば」
七海「安心、なぜなら、走は」
海野兄弟「獣医ですから」
千歌とつむぎ「獣医?」
千歌「獣医って、動物のお医者さんの?」
つむぎ「あの、獣医かしら、日向さん?」
日向「ええ」
千歌「ちょっと、日向くん、雷牙くん、それに、我夢くんに七海くん、なでしこちゃんも、冗談言う、のやめなさいよ、走くんは、今、いくつなのかしら?」
走「……」
楓「16歳になります、走様は」
つむぎ「それって」
千歌「おかしいわ、獣医の免許を取るにも、年齢制限が」
我夢「はい、ですから、走は、海外の大学に飛び級で合格し、たった3年で獣医の免許を取得した、その証拠に、走」
走「……(ペコリ)」
再び、走はスマホを取出し、免許の画像を千歌とつむぎに見せた。すると、さっきの、初、伊吹、そして、かさねの3人同様、2人も驚いた表情を見せた。
千歌「え!?」
つむぎ「まさか!?」
楓「そのまさかですよ、走様は、医療・薬草にも詳しく、それを見込まれて、地元の獣医の先生にスカウトされて、先ほども、言いましたが、海外の獣医の大学に飛び級で合格、3年で獣医の免許を取得しました」
千歌とつむぎ「……」
雷牙「それはそうと、走と楓」
走「は!」
楓「なんでしょうか?」
雷牙「佐助はどうした、佐助は?」
我夢「一緒に来たのでは?」
七海「ないのか?」
日向「……」
初「ねぇ」
雷牙「……」
初「佐助くんって、誰、ペット、走くんの?」
七海「いえ、佐助は、ペットではなく」
とそこへ。
バイク音「ぶる~る~る~」
かさね「ん、この音って?」
伊吹「バイク?」
その場にいた全員が振り向いて見てみると、一台のバイクが走って来た。しかも、誰も載っていたい無人の状態で。それを見た、雷牙、日向、海野兄弟、なでしこ、そして、走と楓を除いた全員驚き、ビックリした表情を見せた。
初「あれって、まさか!?」
かさね「幽霊バイク!? スクープ」
大吾「こっちに、近づいて来るぞ、逃げろー!?」
よろづよに近づいた次の瞬間、バイクが変形し、人型へと姿を変え、そして止まった。
佐助「おい、走、楓、置いて行くなんて、ひどいじゃないか」
みんな「しゃ、喋った!?」
これもまた、雷牙、日向、海野兄弟、なでしこ、そして、走と楓を除いた全員、驚いた表情を見せた。
千歌「ねぇ、雷牙くん、あれって!?」
雷牙「はい、あれは、真田社が開発した、バイク型ロボット・佐助です」
佐助「俺、佐助、これからよろしく」
軽くお辞儀した。
千歌「ああ、いえ」
つむぎ「こちらこそ」
全員、軽くお辞儀した。
そして、雷牙達は、走、楓、佐助を引き連れ、旧館に向かった、新しく入った3人が部屋に入ると同時に、クラッカーが鳴り、ビックリ歓迎会が始まった。
つづく