星空へ架かる橋2   作:真田信之

6 / 24
第6話・ビックリ、ビックリ、また、ビックリ

朝、山比古南学園は、ざわめいていた。

 

それもそのはず、空からカラスに連れられ、1人の美少年がやって来たのだから。

 

カラス達「かぁー、かぁー」

 

手を振ってカラス達を見送っていた美少年は、皆の注目の的になった。

 

校舎へと入り、1年の教室に入った瞬間、女子達は、

 

女子達「きゃー、きゃー」

 

と騒ぐのだった。

 

そして、黒板に、自分の名前を書いた。

 

走「我…猿飛…走…これから…よろしく」

 

そう言って、自己紹介をして、軽くお辞儀をすると、美少年の姿を見た生徒たちは驚き、声をあげた。

 

女子たち「キャー」

 

女子S「美少年よ」

 

こより「……」

 

女子A「今度は、私達1年生の教室に、しかも」

 

女子R「高身長、陽菜先輩よりも大きいわ、神本さん」

 

円佳「ええ、あ、はい」

 

女子C「春が来たー、私達1年生の教室にも、春がー」

 

男子D「春が来たーって、今は夏が来たばかりだぞ」

 

男子たち「そうだ、そうだー」

 

女子たち「うるさい、男子」

 

そう言うと女子たちは、男子たちに怖いオーラを送った。男子たちはただ縮こまるのだった。

 

男子たち「あ、はい」

 

 

 

朝のHRが終わると、走は、雷牙のいる2年生の教室に向かった。

 

走「雷牙…様」

 

雷牙「走!」

 

走が2年生の教室に入って行った事で、初、伊吹以外の2年生の女子達は、

 

2年生女子達「きゃー、きゃー」

 

と1年生同様騒ぐのだった。

 

雷牙「どうした、急に来るとは。知らせてくれれば、歓迎会の準備をしていたのだが」

 

初「ライくん!?」

 

伊吹「雷牙!?」

 

大吾「兄弟!?」

 

初「この子、知り合いなの!?」

 

女子G「それなら、私の事を紹介して」

 

女子C「私も、私も」

 

女子K「はぁー、また、この学園に春が来たのねー」

 

大吾「何が、また、この学園に春が来たのねー、だよ」

 

東海林と西「そうだ、そうだ!」

 

西「こっちはもう!」

 

東海林「夏だ、つうのー」

 

女子達「うるさい、男子」

 

そう言うと女子たちは一年生同様、男子たちに怖いオーラを送るのだった。

 

男子達「あ、はい」

 

初「それで、ライくん、その子っていったい?」

 

伊吹「あんたの、何なのよ?」

 

大吾「さっき、兄弟の事、様付けしてたけど、まさか!?」

 

初「ライくんも、執事?」

 

雷牙「いえ、走は、私の忍びです」

 

クラスメイト達「忍び?」

 

初「それって、つまり?」

 

大吾「なでしこちゃんと同じ、ってわけか?」

 

伊吹「ちなみに、あんた」

 

走「?」

 

伊吹「身長は、何㎝なのかしら?」

 

女子K「あ、それ、私も気になっていたわ、最初合ったころから」

 

女子G「私も、ねぇ、何㎝なの?」

 

走「我」

 

我夢「179㎝」

 

クラスメイト達「…ん?」

 

我夢「179㎝ですよ、皆様、彼の、走の身長は、179㎝です」

 

クラスメイト達「うぉー!」

 

女子Y「179㎝って」

 

伊吹「海野兄弟、よりも、1㎝下なのね、あんたは」

 

走「……(ペコリ)」

 

クラスメイト達「すごーい?」

 

なでしこ「すこいでしょー」

 

大吾「その声は、もしや?」

 

どこからか、聞き覚えのなる声が聞こえると思った次の瞬間。

 

雷牙「は!」

 

走「なでしこ…なでしこ…どうして…中等部の…校舎は…別の場所に…ある…のに…どうして?」

 

なでしこ「そりゃー、後輩が、来たのに、先輩であるあたしがあいさつしなくてどうするにゃ、走くん」

 

天井から出てきたのは、なでしこだった、なでしこが、天井からさかさまの状態で出て来たので、雷牙、我夢、そして、走以外のクラスメイト達は、驚いていた。

 

雷牙「なでしこ」

 

なでしこ「はい」

 

雷牙「喋る前に、降りたらどうだ」

 

なでしこ「確かにそうッスね」

 

そう言って、なでしこは天井から降りた。反転して足を床に着け、

 

雷牙「次からは、普通に来い」

 

我夢「教室の出入り口から」

 

なでしこ「了解ッス」

 

初「天井から、現れるなんて!?」

 

伊吹「さすが!?」

 

大吾「さすが、忍び、忍者だぜ、なでしこちゃん!?」

 

西「おい、大吾、日向、それに、中津川、あの子っていったい?」

 

東海林「なんなんだ、美人で、スタイルもいいし身長も、酒井先輩と互角、それに、さっきお前、さすが、忍者、忍びって、他にも、真田の事を、様付けしてたし?」

 

西と東海林「何者なんだ?」

 

伊吹「ああ、彼女ね、彼女は」

 

初「春野 なでしこちゃんって、いってね、ライくんやお兄さんの日向くん、それに、我夢くんと七海くんと一緒に中等部に転校して来た2年生だよ」

 

大吾「ちなみに、身長は、陽菜先輩と同じで175㎝あるんだぜ」

 

クラスメイト達「うぉー!?」

 

女子G「中学2年生にして!」

 

女子Y「陽菜先輩と同じ、身長なんて!」

 

女子達「うらやましいわ~」

 

なでしこ「えへへ」

 

大吾「あれ、ちょっと、待ってくれ、なでしこちゃん」

 

なでしこ「何ッスか?」

 

大吾「さっき、君は、猿飛の事を?」

 

初「先輩って、呼んでたよね、伊吹ちゃん?」

 

伊吹「確かに、歳は、あんたの方が上でしょ、なのにどうして、年下であるなでしこの事、先輩って、呼んでいるのよ?」

 

雷牙「それは」

 

我夢「それは、彼は、なでしこの後に、雷牙様に仕える忍びになりましたから。その彼が仕える前から、なでしこは雷牙様に仕えているので、先輩風を吹かせたいんですよ、彼女は」

 

クラスメイト達「へぇ~」

 

なでしこ「それよりも、あんた」

 

クラスメイト達「?」

 

なでしこ「これ」

 

なでしこは、懐から、何かを取り出したそれは。

 

伊吹「それって?」

 

初「お弁当?」

 

なでしこ「君、お弁当忘れて行ったでしょう」

 

走「あ!」

 

なでしこ「走の顔を見に行くついでに、お弁当を頼まれて、あんたに届けに来たってわけ」

 

我夢「楓にか」

 

なでしこ「あ、まずい」

 

初が何か聞こうとしたその時、なでしこは、入って来た天井に戻って行った。と同時に、

 

チャイム「キーン、コーン、カーン、コーン」

 

チャイムが鳴った。

 

雷牙「それに関しては、また、走も」

 

走「はい」

 

走も、自分の教室に戻って行ったのだった。

 

そして、あっと言う間に学校が終わって、走は、雷牙達、日向と七海、そして、つむぎとも合流して下校した。

 

初「それじゃ、ライくんと一緒に居たいから、楓って子と一緒に転校して来たの?」

 

走「……(ペコリ)」

 

伊吹「それで、その子たちは?」

 

走は何やら、両肩に何かを乗せていた。それは、

 

走「これが…メスの…雪と秋…それでこっち…オスの…夏と春」

 

と、話していると、中等部と繋がる橋から、かさねとなでしこ、そして、もう一人、見知らぬ女の子が歩いてきた。

 

大吾「かさねっち、なでしこちゃん、その子って、すごーい、美人だな」

 

初「うん」

 

伊吹「ええ、つむぎ先輩や陽菜先輩に負けないわ」

 

つむぎ「それを言ったら、なでしこちゃんだって」

 

なでしこ「え、そうッスか?」

 

我夢「それはそうと、楓」

 

七海「自己紹介を、しなさい」

 

楓「はい、かしこまりました、月村 楓です、そちらの、猿飛 走様の婚約者です、これからよろしくお願いします」

 

軽くお辞儀したと同時に、楓の豊かな胸が、ポヨン、と揺れ、それを見た、雷牙、日向、海野兄弟、なでしこ、走以外は驚いた表情を見せ、それぞれ心の中で思っていた。

 

初(うわぁー、すごい美人、それに胸!)

 

伊吹(円佳ちゃん、いや、つむぎ先輩よりも)

 

大吾(大きいぜ!)

 

かさね(何回見ても、すごいわね、私や、こよ姉、伊吹先輩じゃ、かなわないわね! はぁー)

 

つむぎ(すごいわね、私や陽菜ちゃん、円佳ちゃんよりも、大きいわ!)

 

大吾「って、婚約者!」

 

みんな「えー!」

 

大吾「婚約者って」

 

何やら、動揺し始めた、大吾は、楓に触れようと近づこうとした次の瞬間、

 

楓「は!」

 

大吾「ぎゃー!」

 

すかさず、楓は、大吾の体を押さえつつ左腕を掴んで、拘束した、雷牙、日向、なでしこ、そして、海野兄弟以外。

 

みんな「うわぉー!」

 

驚いた表情を見せるのだった。

 

大吾「い、て、て、て、て、て、てー、感心してないで、助けてくれよ、い、て、て、て、て」

 

雷牙「大吾殿!?」

 

大吾「何するんだよ、い、て、て、て、て!」

 

楓「何やら、あなた様にやらしい視線を感じましたので、反射神経で、つい」

 

走「楓…も…」

 

大吾「い、て、て、て、て、て、てー!」

 

楓「それもそうですね」

 

そう言って、楓は大吾の拘束を解いて解放した。

 

大吾「はぁー、痛かったー」

 

伊吹「自業自得よ」

 

大吾「そんなー」

 

初「楓ちゃん」

 

楓「なんですか?」

 

初「さっきの って?」

 

つむぎ「護身術かしら?」

 

我夢「あたりです、つむぎ様」

 

つむぎ「ええ、円佳ちゃんも似たような、動きをしていたから、そうじゃないかしらって?」

 

七海「ええ、楓は、幼いころから」

 

我夢「護身術の心得くらいありましたから」

 

楓「くらいって、それ、どう言う意味ですか」

 

我夢「どう言う意味って?」

 

七海「そのままの、意味だが」

 

楓「もう、また、私の事を、子ども扱いする」

 

雷牙「まあ、まあ、3人とも、そのへんにしておけ、従妹同士なのだから」

 

初「従妹!?」

 

みんな「従妹!?」

 

雷牙「あ、みな様には、言っていませんでしたね、我夢と七海の父君と、楓の父君は兄弟だ。つまり、2人は」

 

日向「従妹で、我ら、真田家のメイドです」

 

伊吹「へぇー」

 

初「メイドさんかー」

 

大吾「なるほどー、道理でスタイルがいいわけだな」

 

楓「スタイルは、関係ないでしょう」

 

と言った次の瞬間。

 

走「…そうだ」

 

走が、大吾に卍固めをした。

 

大吾「い、て、て、て、て、て、てー、また、何するんだよー!?」

 

伊吹「それは、こっちの台詞よ、あんた今の言葉は」

 

つむぎ「セクハラよ、大吾さん」

 

初「そうだよ、大吾」

 

我夢「今のは、聞き捨てなりませんね、大吾殿」

 

七海「そうです、従妹として、許せませんよ、今の言葉は」

 

大吾「ごめんなさい、もう言いませんから、どうか、お慈悲を、お慈悲を、くださいーい、て、て、て、て、て、てー」

 

楓「走様」

 

走「…ん?」

 

楓「もう、そのへんで」

 

走「いい…のか?」

 

楓「はい」

 

走は、大吾の卍固めを解いた。

 

大吾「はぁー、痛かったー」

 

伊吹「また、自業自得よ」

 

大吾「いやー、マジで、死ぬかと思ったぜー」

 

楓「卍固めをしたくらいで、人間は死にません、フン」

 

そう言って、楓は機嫌悪くそっぽを向いた。

 

大吾「そんなー」

 

走「おい…お前…」

 

大吾「ん? ひ!」

 

走は、懐から、苦無を取出し刃を、大吾の首に差し向けた。

 

みんな「……!」

 

それを見た、雷牙、日向、海野兄弟そして、なでしこ以外の全員、驚いた表情を見せた。

 

走は殺意丸出しの表情で、大吾に向かって、こう言った。

 

走「…楓を…変な…目で…見るな…次は…殺す…」

 

走は殺意を引込め、苦無を懐に戻した。走の表情が元に戻ったと同時に、雷牙、日向、海野兄弟そして、なでしこ以外の全員、大吾も含め、腰が抜け尻餅をついた。

 

楓「さて、気を取り直して、山比古町の案内してくれるんですよね、なでしこちゃん、かさねちゃん」

 

かさね「ええ」

 

なでしこ「そうだったにゃ、みなさんも、よかったら、ご一緒にいかがッスか」

 

初「それなら、私も案内する」

 

伊吹「初が、行くなら私も」

 

大吾「俺っちも」

 

楓「……」

 

冷たい目で、大吾を見た楓。

 

大吾「……」

 

静まり帰る大吾。

 

かさね「むぎ姉は?」

 

つむぎ「今日は、よろづよのバイトの日よ」

 

かさね「あ、そうだった! ごめん、お兄さんは?」

 

雷牙「あ、すまない、私と兄さん、それに、我夢に七海も急に予定が入ってしまった、本当にすまない」

 

雷牙は軽くお疑似をした。

 

楓「それなら、私も」

 

走「我…も…」

 

雷牙「いや、そなた達は、山比古町の案内をしてもらえ、これから、この町に住むのだから」

 

我夢「そうだ、2人とも、雷牙様の言うとおり、案内してもらいなさい」

 

走「わかった」

 

楓「わかりました、それでは、雷牙様、日向様、我夢様、七海様、つむぎ様、また、よろづよで、お出会いいたしましょう」

 

走「……(ペコリ)」

 

楓も走と同様に軽くお疑似をした後、初、伊吹、かさね、なでしこ、ついでに大吾とともに、よろづよに向かう雷牙達と別れるのだった。

 

雷牙「よし、それでは、急いでよろづよへ行きましょう、おのおのがた」

 

そう言って、雷牙達はよろづよへと急ぐのだった。

 

時間を、昼休みに戻す。

 

回想

 

雷牙「初殿」

 

初「ん?」

 

我夢「伊吹様」

 

伊吹「ん?」

 

雷牙と我夢「ちょっと、いいですか?」

 

初「何、ライくん?」

 

伊吹「我夢?」

 

雷牙と我夢「はい、実は」

 

そう言って、初には雷牙が、伊吹には我夢が、それぞれの耳にひそひそと話しかけた。話の内容は、走と楓のビックリ歓迎会の準備が終わるまで、2人の相手をしてほしいということだ。すでに、この事を知らせていたのは、日向、七海、つむぎ、なでしこ、かさね、そして、よろづよの女将・千歌であった。

 

雷牙、日向、海野兄弟、つむぎ、千歌は、よろづよでビックリ歓迎会の準備。

 

初、伊吹、なでしこ、かさねたちの役目は、ビックリ歓迎会の準備が終わるまで、2人をろよづよに近づけさせないことであった。

 

雷牙と我夢「と言うわけですので」

 

我夢「伊吹殿」

 

雷牙「初殿」

 

雷牙と我夢「よろしくお願いいたします」

 

軽くお辞儀をする、2人。

 

伊吹「わかったわ」

 

初「任せておいて」

 

回想終わり

 

雷牙(任せましたよ、初殿、伊吹殿、かさね殿、なでしこ、それと、大吾殿)

 

大吾「ハクショーン」

 

伊吹「あら、風邪?」

 

初「大丈夫、大吾?」

 

大吾「ああ」

 

楓「馬鹿は、風邪をひかないと言いますが」

 

走「……(ペコリ)」

 

大吾「そりゃねぇよ、2人とも、いい加減機嫌直してくれよ、な」

 

手を合わせて、何度も走と楓に謝った。しかし、2人は無視した。

 

かさね「では、改めて気を取り直して、ここ、山比古町の案内をするわよ」

 

楓「はい、かさねちゃん、みな様、よろしくお願いします」

 

走「……(ペコリ)」

 

雷牙達と別れたとき同様、軽くお辞儀をした。また、楓の胸はポヨンと揺れた。

 

山比古町の案内は、雷牙達と同じルートで、木霊神社では、雷牙となでしこ同様、走は目にも止まらぬ早さで、石段を飛んで行った。

 

それを再び見た、石段の下にいた初、伊吹、大吾、かさねの4人は、また、驚いた表情を見せたが、楓となでしこの2人は、驚いた顔も出さず平然としていた。

 

そして最後は、この前同様、バク・パイプ、初たちの行きつけの喫茶店へ行き、走と楓はコーヒーを頼んだ。

 

2人はコーヒーを、砂糖やミルクを入れずに、そのまま華麗に飲んだ。

 

走「美味…しい…」

 

楓「美味しいです、ご主人」

 

マスター「ああ、ありがとう」

 

初「走くんも、楓ちゃんも、よく砂糖もミルクも入れないで、コーヒーが飲めるね、私は無理」

 

なでしこ「ふ、まだまだ、お子様ですね、初ちんは、苦が!」

 

かさね「そう言う、なでしこ、あんたも」

 

伊吹「飲めないじゃないのよ」

 

そう言って、かさねと伊吹はアイスコーヒーを飲んだ、砂糖もミルクも入れずに。

 

楓「今日は、山比古町の案内をしていただき、ありがとうございました」

 

走「あり…がとう…」

 

初「いいよ、お礼なんて、ねぇ、伊吹ちゃん、かさねちゃん、なでしこちゃんも」

 

伊吹「ええ」

 

かさね「先輩の言うとおりよ、ね、なでしこ」

 

なでしこ「そうッスよ、楓ちゃん、走くん」

 

そんな風に楽しくおしゃべりしていると、何やら、一台の車が、アナウンスしていた。女性の声で。

 

女性「ただいま、商店街で、熊が出ましたので、家にいる人は、外に出ずに、事態が収まるまで、待機していてください」

 

マスター「だ、そうだ、初ちゃん達」

 

初「はい」

 

伊吹「わかりました」

 

かさね「ええ、あれ?」

 

伊吹「どうしたのよ、かさね?」

 

かさね「楓と走がいません!?」

 

初「あ、ホントだ!?」

 

伊吹「いつの間に!?」

 

なでしこ「2人なら、熊を止めに、出て行っちゃったッスよ」

 

3人「えー!?」

 

伊吹は、その事をよろづよに電話で知らせた。

 

千歌「雷牙くん達、たいへんよ!?」

 

日向「どうしましたか?」

 

雷牙「千歌殿?」

 

我夢「……?」

 

七海「……?」

 

つむぎ「どうしましたか、女将?」

 

千歌「伊吹から電話が来て、走くんと楓ちゃんが熊を止めに行ったって!?」

 

雷牙「そうですか」

 

千歌「え?」

 

海野兄弟「そうですか」

 

つむぎ「え?」

 

日向「……」

 

千歌「そうですかって!?」

 

つむぎ「心配じゃないんですか、雷牙さん、我夢さんも七海さんも、従妹とその婚約者が!?」

 

雷牙「心配も何も」

 

我夢「走が、いれば」

 

七海「楓は安心」

 

日向「もちろん、他のみなさんも」

 

商店街

 

男性「熊が出たぞ!!」

 

そこへ猟師が表れ、銃を向ける。

 

猟師「このままじゃ危険だ。行くぞ!」

 

熊の前に、猿飛走が現れる。

 

走「撃つな…我に…任せろ!」

 

初「走くん!」

 

伊吹「無茶しないで!」

 

かさね「そうですよ、走くん、楓あんたも!」

 

楓「いえ、大丈夫です、走様は」

 

走「我は…獣医……」

 

みんな「獣医!?」

 

走「どうしたんだ!?…我に…話してくれ……」

 

熊が鳴き始めると、走は目を閉じて聞き取る。

 

熊に近づくと、猟師たちがよけた。

 

走「よし…もう大丈夫…大丈夫…怖かった…もう大丈夫…」

 

走が熊に乗り話しかける。

 

走「どうだ!?…もう…痛くない」

 

それを見た、その場にいた全員、驚いた表情を見せていた。ただし、楓となでしこを除いて。

 

初「走くん、すごい!?」

 

かさね「はい、本当に動物と心を通わせているみたいです」

 

なでしこ「いえ」

 

伊吹「え?」

 

楓「走様は、本当に動物と心を通わせていたのですよ」

 

かさね「え、それマジ、楓、なでしこ!?」

 

楓「はい、走様は、小さい頃から、動物と心を通わせることができるのです」

 

初「え!」

 

伊吹「ホントなのそれ!?」

 

なでしこ「ええ、その他にも、走くんは、医療・薬草にも詳しく、それを見込まれて、地元の獣医の先生にスカウトされて、海外の獣医の大学に飛び級で合格」

 

3人「えー!」

 

なでしこ「たった3年で獣医の免許を取得したんッスよ、走くんは」

 

3人「嘘だー」

 

そんな、言葉を聞いた、走はスマホを取出し、画像を3人に見せたそれは。

 

かさね「走先輩!?」

 

走「……」

 

伊吹「これって!?」

 

なでしこ「ええ、まぎれもない、獣医の免許ッス」

 

楓「走様の」

 

3人「えー!」

 

そんなこんなで、無事、走は熊を森に帰した後、よろづよへ来た。

 

従業員たち「いらっしゃいませ~~!!」

 

走「……」

 

楓「うわ、すご!」

 

雷牙達同様、旅館の前に従業員たちが立ち並び、走と楓を歓迎してくれる。

 

千歌「あははは、驚いたでしょ?」

 

楓「うわっ!?」

 

走「……」

 

それまで誰も居なかったはずの背後から声を掛けられ、楓はさっきと同様、驚きの声をあげてしまう。この時も、走は驚かなかった。

 

千歌「ようこそ、よろづよへ。この出迎えがうちの流儀、はるばるようこそってね」

 

走「りゅ…流儀…」

 

楓「りゅ、流儀ですか?」

 

千歌「あなた達が、猿飛 走くんとその婚約者で、我夢くんと七海くんの従妹の」

 

楓「はい、月村 楓です、これからお世話になります」

 

軽くお辞儀したと同時に、また、楓の豊かな胸が、ポヨン、と揺れ、それを見た、雷牙、日向、海野兄弟、なでしこ、走以外は驚いた表情を見せ、それぞれ心の中で思っていた。

 

千歌(はぁー、つむぎが言ってたとおり、楓ちゃん美人でそれに、胸は、私やつむぎ、陽菜、円佳ちゃんよりも、大きいわ!)

 

つむぎ(はぁー、何度、見ても、大きいわね、楓ちゃんの胸は)

 

千歌「ところで、熊は?」

 

つむぎ「出たんでしょ?」

 

伊吹「ああ」

 

初「その件なら」

 

楓「走様が、片付けました、ねぇ、走様」

 

走「(ペコリ)…熊は…森に…帰した…」

 

つむぎ「へ?」

 

雷牙「だから言ったではありませんか」

 

千歌とつむぎ「…?」

 

我夢「走がいれば」

 

七海「安心、なぜなら、走は」

 

海野兄弟「獣医ですから」

 

千歌とつむぎ「獣医?」

 

千歌「獣医って、動物のお医者さんの?」

 

つむぎ「あの、獣医かしら、日向さん?」

 

日向「ええ」

 

千歌「ちょっと、日向くん、雷牙くん、それに、我夢くんに七海くん、なでしこちゃんも、冗談言う、のやめなさいよ、走くんは、今、いくつなのかしら?」

 

走「……」

 

楓「16歳になります、走様は」

 

つむぎ「それって」

 

千歌「おかしいわ、獣医の免許を取るにも、年齢制限が」

 

我夢「はい、ですから、走は、海外の大学に飛び級で合格し、たった3年で獣医の免許を取得した、その証拠に、走」

 

走「……(ペコリ)」

 

再び、走はスマホを取出し、免許の画像を千歌とつむぎに見せた。すると、さっきの、初、伊吹、そして、かさねの3人同様、2人も驚いた表情を見せた。

 

千歌「え!?」

 

つむぎ「まさか!?」

 

楓「そのまさかですよ、走様は、医療・薬草にも詳しく、それを見込まれて、地元の獣医の先生にスカウトされて、先ほども、言いましたが、海外の獣医の大学に飛び級で合格、3年で獣医の免許を取得しました」

 

千歌とつむぎ「……」

 

雷牙「それはそうと、走と楓」

 

走「は!」

 

楓「なんでしょうか?」

 

雷牙「佐助はどうした、佐助は?」

 

我夢「一緒に来たのでは?」

 

七海「ないのか?」

 

日向「……」

 

初「ねぇ」

 

雷牙「……」

 

初「佐助くんって、誰、ペット、走くんの?」

 

七海「いえ、佐助は、ペットではなく」

 

とそこへ。

 

バイク音「ぶる~る~る~」

 

かさね「ん、この音って?」

 

伊吹「バイク?」

 

その場にいた全員が振り向いて見てみると、一台のバイクが走って来た。しかも、誰も載っていたい無人の状態で。それを見た、雷牙、日向、海野兄弟、なでしこ、そして、走と楓を除いた全員驚き、ビックリした表情を見せた。

 

初「あれって、まさか!?」

 

かさね「幽霊バイク!? スクープ」

 

大吾「こっちに、近づいて来るぞ、逃げろー!?」

 

よろづよに近づいた次の瞬間、バイクが変形し、人型へと姿を変え、そして止まった。

 

佐助「おい、走、楓、置いて行くなんて、ひどいじゃないか」

 

みんな「しゃ、喋った!?」

 

これもまた、雷牙、日向、海野兄弟、なでしこ、そして、走と楓を除いた全員、驚いた表情を見せた。

 

千歌「ねぇ、雷牙くん、あれって!?」

 

雷牙「はい、あれは、真田社が開発した、バイク型ロボット・佐助です」

 

佐助「俺、佐助、これからよろしく」

 

軽くお辞儀した。

 

千歌「ああ、いえ」

 

つむぎ「こちらこそ」

 

全員、軽くお辞儀した。

 

そして、雷牙達は、走、楓、佐助を引き連れ、旧館に向かった、新しく入った3人が部屋に入ると同時に、クラッカーが鳴り、ビックリ歓迎会が始まった。

 

            つづく

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。