ウルトラリリカルキュアファイト《リメイク》 作:JINISH
ユグドラシルが放ったホシイナーとナケワメーケ、そして空間の歪みから現れた火山怪鳥バードンを倒したふたりはプリキュアMAX HEARTとウルトラマンゼロ。
その後、ミコトの招待で珈琲店ミッドガルでコーヒーをご馳走したシン達。
しかし、ユグドラシルが再びシン達の前に立ちはだかる。
セレナを差し向け、ブラックとホワイトを追い詰める。
その上、新たなホシイナーとナケワメーケによってルミナス共々動きを封じられてしまう。
なのは達の合流により、形勢逆転できたかと思いきや、ユグドラシルが使用したゴスペルによってなのは達の魔法が封じられ、バリアジャケットも解かれた。
更にガジェット・ドローンも放たれ、絶体絶命の危機に陥れる。
しかし、シンはウルトラマンゼロとなり、ユグドラシルの猛攻に立ち向かう。
「ええい!プリキュア諸共やれ!」
兵士はガジェット・ドローンをゼロに差し向ける。
「まずはそのガラクタ共だ!」
ゼロはルナミラクルゼロにタイプチェンジする。
「ミラクルゼロスラッガー!」
ゼロはミラクルゼロスラッガーで円錐型のガジェット・ドローン10機を撃破する。
その後、ゼロはストロングコロナゼロにタイプチェンジし、巨大球体型のガジェット・ドローンに向かって走り出す。
球体型のガジェット・ドローンはベルト状の腕を出し、ゼロを襲う。
ゼロはその腕を蹴りあげたり、拳で地面に叩きつけたりと力技で躱し、ガジェット・ドローン2機を同時にキックで破壊する。
「なん・・・だと・・・!?」
「こんなに呆気なく・・・!?」
兵士達は12機のガジェット・ドローンがたった数秒でゼロに破壊された事に驚きを隠しきれなかった。
「くっ!ホシイナー!ナケワメーケ!」
兵士は巨木ホシイナーと信号機ナケワメーケにゼロを倒すように命令する。
「ウルトラマンだけいい格好させないんだから!」
エクセルはスマートフォン型の変身アイテムを取り出す。
「!?あのスマホは!?」
真理奈はエクセルが取り出したアイテムの事を知っているのか、驚いた表情で見ていた。
エクセルはスマホ型のアイテムの画面に軽く触れる。
「ファンタジック・ダウンロード!」
エクセルはピンクの光に包まれ、その光の中からキュアスピカの姿を現す。
「明るく輝く乙女の星!キュアスピカ!」
エクセルはキュアスピカに変身を完了する。
「ふぇ~っ!?」
「エクセルがプリキュアに!?」
「ありえな~い!」
なのは達とブラック達はエクセルがスピカに変身した所を見て驚きを隠せなかった。
「新たなプリキュアだと!?」
ユグドラシル兵もスピカの参上に驚いた。
(あのスマホ・・・なんであの子が・・・?!)
真理奈はエクセルが変身に使っていたアイテムを持っていることに信じられないような目で見てそう呟く。
「へぇ?エレメントやイージスの他に誕生したプリキュアがいたなんてな?」
「私も信じられない話ですけどね・・・まずはこいつらを。」
「おぉ!」
ゼロもなのは達同様にエクセルがスピカに変身した事に驚いてはいたが、なのは達とは逆に感心していた。
しかし、今は経緯を話している暇はなく、ゼロとスピカは巨木ホシイナーと信号機ナケワメーケの相手をすることにした。
その様子を屋根の上から覗き見るアカデミックドレスの少女。
「久々にあやつの町に来たが、ユグドラシル、まだ残党がいたとはな・・・エクセル・ロータス、魔法が使えないこの状況でどう対処する?」
アカデミックドレスの少女はスピカを見てそう呟く。
(あの時はブレイブハートがいたから何とかなったけど、今はゴスペルって奴に魔法を封じられたし、そうじゃなくても、私は空戦魔導師だから格闘技は使えない。今はこの姿で戦うことに慣れておかないと。)
スピカはフログロスの集団との戦闘を思い返す。
あの時はブレイブハートのサポートもあったため、フログロスの集団を全滅させることができたが、今はユグドラシル兵が持つゴスペルによって魔法が封じられて、ブラック達が信号機ナケワメーケによって動きを封じられた挙句、彼女自身も格闘技は得意ではない。
今となっては、変身したばかりで戦い慣れていないプリキュアと同じである。
「セレナ、なにをしている!?お前も行け!」
ユグドラシル兵は余裕をなくしているような表情でセレナも参戦するよう命令する。
セレナは命令に従い、ゼロに剣を振り下ろす。
ゼロはそれに気づき、ゼロスラッガーでセレナの剣を防ぐ。
「この輪っかで操られたのか。待ってろ、すぐ戻してやるぜ。」
ゼロはセレナの頭に嵌めている輪の効能に気付く。
「あいつ!操りの輪の力に気付いたのか!?」
「ホシイナー!好きにさせるな!」
巨木ホシイナーはユグドラシル兵の命令でゼロを襲う。
「おっと!」
ゼロはセレナの剣を躱し、更に巨木ホシイナーの攻撃を避ける。
「今だ!」
「ナ~ケワメ~ケ~!」
信号機ナケワメーケは赤いランプから赤い光線を放つ。
それによってゼロは動きを止められてしまう。
「なっ!?」
「今だ、セレナ!奴に止めを刺せ!」
ユグドラシル兵は今の状態のゼロを見て、セレナに止めを刺すように命令する。
セレナは命令通りにゼロを襲い掛かる。
真理奈はゼロが窮地に立っているのを見て、ポケットからスパークレンスを取り出す。
しかし、今のスパークレンスは石になっている為、当然ティガに変身できない。
(・・・ったく、ティガになんないと何もできない私にイラつくわ・・・)
真理奈はティガに変身できないことに口惜しくなる。
その瞬間、真理奈の隣からすごい勢いで走り出す影が横切る。
その正体はミコトである。
そのミコトはゼロを庇うように立ち塞がる。
「早乙女!?」
「危ないよ!?」
真理奈達はミコトの行為に驚き、逃げるように急かす。
「馬鹿め!自ら死にに行くとはな!」
ユグドラシル兵達はゼロを庇うミコトを見て嘲笑う。
「ミコト!なにしてやがる!」
「あなた!逃げて!」
ゼロとスピカもミコトに逃げるよう諭すが、逃げようとしない。
剣を握っているセレナは、もうすぐそこまで来ている。
(彼を死なせはしない!シンさんは私や真理奈ちゃんを助けてくれた!今度は私がシンさんを助けたい!その為に・・・力が欲しい!)
ミコトは迫ってくるセレナに慄きつつも、強い眼差しでゼロを守ろうと盾になる。
屋根の上から見ていたアカデミックドレスの少女のポケットから青い光が放つ。
「ムッ。これは・・・!」
アカデミックドレスの少女はポケットに手を突っ込み、そこから青く光る物を取り出す。
彼女が取り出したのは、氷山を横切るように水面上に遊泳するプレシオサウルスが描かれていたメモリーカードである。
そのメモリーカードの光が強くなり、青い光の球となってミコトの方に飛んでいく。
その光はセレナを遮るように包み込む。
「!?」
「な、なんだこの光は!?」
セレナとユグドラシル兵達はその光に驚き、目を見開く。
「この状況!私がプリキュアになる時と同じ!」
スピカはミコトを包んだ光を見て、自身が初めてプリキュアに変身した時の事を思い出す。
「こ、これは一体・・・!?」
ミコトは今、光に包まれた状態で驚き、開いた口が塞がらなかった。
その時、ミコトの目の前にある光の球がスマートフォン型のアイテムに変化する。
その画面に「Tap the link」と、文字が浮き出る。
「タッチすればいいの?」
ミコトは疑心暗鬼になりつつ、アイテムにタッチする。
その時、画面が青色に拡がり、そこから青い光が溢れ出し、ミコトを包み込む。
「ファンタジック・ダウンロード!」
ミコトは青いコスチュームを身に纏い、胸に雪の結晶の形をしたブローチを飾り、ビッグウェーブを思わせる波型のカチューシャを嵌め、プレシオサウルスが描かれたスマホポーチが付けられる。
「時を遡る幻の水神!キュアネッシー!」
プリキュアに変身したミコトは自らをキュアネッシーと名乗る。
「キュアネッシー・・・!?」
「また新たなプリキュアだと!?」
スピカ達とユグドラシル兵達はキュアネッシーの誕生に驚く。
(・・・)
真理奈はスピカ達とユグドラシル兵とは別にミコトが使った変身アイテムの方に気に掛けた。
「わ、私が・・・プリキュアに・・・」
ネッシーに変身したミコト自身にも驚きを隠せなかった。
しかし、今はそんな場合ではなかった。
巨木ホシイナーと信号機ナケワメーケがスピカとネッシーを襲い掛かる。
「あぁ、もう!しつこいわね!」
「今はこの姿になってるだけでもいっぱいいっぱいなのに!」
スピカとネッシーは巨木ホシイナーと信号機ナケワメーケの猛攻にただ避けるばかりであった。
「画面を右にスクロールした後、アプリをタッチして!」
真理奈はスピカとネッシーに変身アイテムを使うように指示する。
「へ?画面?ってあれの事?」
スピカはスマホポーチから変身に使ったアイテムを取り出し、真理奈の指示通り、画面を右にスクロールする。
その画面には本から出てきた鍵が描かれたアプリが一つしかないが、真理奈が言っていたアプリとはこの事だろう。
スピカはそれをタッチする。
ネッシーも少し遅れてはいたが、そのアプリをタッチする。
その後、画面が文字が浮き出る。
変身する時出てきた文字は「Tap the link」だったが、今度は「Scan to the brooch」と表記する。
「ブローチにレンズ向けて!あとは自分のイメージした技を敵にぶつけて!」
「エールやスター達と同じようにしろって事ね?了解!」
スピカはスマホのレンズをブローチに翳す。
その時、スピカの体全体にピンクの光で包まれる。
「プリキュア・スターライトウェーブ!」
スピカは自身に包まれているピンクの光を右手に集約し、一度右手を大きく引いた後、思い切り手を突き出す。
よってスピカの右手からピンク色の光線を放つ。
その光線は巨木ホシイナーに命中し、そのまま浄化される。
スピカは後ろから攻撃が来るのを気付き、足早に避ける。
今の攻撃は信号機ナケワメーケの赤い光線である。
「これ以上はさせない!」
ネッシーはスマホのレンズをブローチに翳す。
よってネッシーは青い光に包まれる。
「アクアストリーム・フレッシュ!」
ネッシーは右手に青い光を集約する。
すると、ネッシーの右手に青い光で形成されたレイピアが出来上がる。
その後、ネッシーの体に水を纏い、激流の如く飛翔し、信号機ナケワメーケの懐に突進し、光のレイピアを突き出す。
よって信号機ナケワメーケは大爆風が起きると同時に浄化される。
それと同時に信号機ナケワメーケによって動きを封じられたゼロとブラックとホワイトとルミナスは動けるようになった。
それも束の間、セレナはスピカとネッシーを襲い掛かる。
しかし、それを阻むようにゼロはセレナの懐に手を触れる。
「レボリウムスマッシュ!」
「がぁっ!?」
ゼロはセレナにレボリウムスマッシュを繰り出す。
威力は抑えていたのか、セレナは吹き飛ばされず、ゼロに抱かれるように眠ってしまう。
更にゼロはウルティメイトブレスレットからウルトラゼロランスを出し、ユグドラシル兵の方に投げ飛ばす。
ウルトラゼロランスはユグドラシル兵が持つゴスペルに命中し、そのゴスペルが自壊される。
これによってなのは達は魔法が使えるようになった。
ユグドラシル兵達は煙玉を叩きつけ、煙幕を張る。
煙がなくなった時にはすでにユグドラシル兵達はいなくなった。
その同時刻、トランプ共和国の郊外で、小さな空間の歪みが生じた。
その歪みから茶髪のポニーテールの少女が現れた。
「い、今のは一体・・・!?ここはどこじゃ?なんだかメルヘンな世界じゃのう・・・」
茶髪のポニーテールの少女は広島弁混じりの言葉で周りの風景を見ながらそう言う。
その少女の名は、フーカ・レヴェントン。
ナカジマジムに所属する格闘競技選手である。
ウィンターカップの決勝戦で同じ事務の所属のアインハルトと対戦したことがある。
「キャアァァァァァァッ!!!!」
「ん?どわあぁっ!?」
フーカは頭上から悲鳴が聞こえ、上を見上げようとすると、そのまま下敷きにされる形で地面に突っ伏してしまう。
「い、いたたた・・・な、なにが起こったの・・・」
「こ、この声・・・リンネか?」
「え?」
フーカを下敷きにした銀髪の女の子は起き上がろうとし、フーカに声を掛けられた時、下に見下ろす。
フーカはその女の子の事をリンネと呼ぶ。
リンネ・ベルリネッタ。
ベルリネッタ家の養子で、フロンティアジム所属のDSAAワールドランク1位の格闘技選手である。
アインハルトの仲介でフーカと試合した後、仲直りした。
「フ、フーちゃん!?ご、ごめんね!」
リンネは自分がフーカを下敷きにしていることに気付き、慌ててフーカから下りて謝る。
「い、いや、気にすんな・・・」
フーカは苦笑い気味に起き上がりながら静める。
「それより、ワシらもハルさんのように知らん世界に飛ばされたようじゃ・・・」
「うん・・・ヴィクターさんも同じ現象に巻き込まれたみたいだよ・・・」
「何がどうなっとるんじゃ・・・」
フーカとリンネは目の前に聳えるトランプ共和国を見て、自分達が巻き込まれた空間の歪みの事を思い返しながら言う。