ウルトラリリカルキュアファイト《リメイク》 作:JINISH
すこやか市に正体不明の悪臭が漂い始めた。
AIの情報を元に山奥に急行したエクセル達。
悪臭の正体は水ノ魔王獣マガジャッパから発する臭気だった。
エクセルはグレース達に防臭対策をした後、湖の消臭を行なおうとする。
エール達とスター達はマガジャッパを追うと、ビクトリアンの戦士・ウルトラマンビクトリーが現れた。
しかし、ビクトリーはマガジャッパに苦戦する。
エクセル達も湖が目前に近付くと、スペースビーストのフログロスの群れと遭遇する。
エクセルはグレース達を先に行かせ、フログロスの群れに立ち向かう。
その時、エクセルは突如、ピンクの光に包まれ、キュアスピカに変身した。
フログロスの群れは一斉に火の玉を放つ。
スピカは飛行魔法でフログロスの群れの攻撃を次々と躱し、群れの中の1体のフログロスに踵落としを繰り出す。
フログロスはスピカの攻撃で、顎が地面に叩きつけられるように突っ伏せられる。
それと同時にスピカの踵落としによる衝撃でクレーターができ、周囲のフログロスはそれに巻き込まれて、宙に浮かび上がる。
「これが・・・プリキュアの力・・・」
スピカは先程までの戦闘中、自身のプリキュアとしての力に驚嘆する。
『エクセル。』
「ブレイブハート!」
スピカは声がした方に振り向くと、青い光の翼を展開したブレイブハートがスピカの傍に近付いた。
「さっき変身した時に弾き飛ばされちゃったんだ・・・」
『その姿、グレース達と同じ姿のようですが・・・』
「私自身もよく分かんなかったのよ。その話は後でするわ。ブレイブハート、まだイケる?」
『問題ありません。』
ブレイブハートは宝石の姿からシューティングモードに変形し、スピカはそれを握る。
「あんまり時間をかけてられない。さっき駆けつけて来た巨人もあの怪獣に苦戦してしてるわけだし。」
『ディバインバスター。』
スピカは湖を庇うように、フログロスの群れに立ち、ブレイブハートを向ける。
ブレイブハートの先端に青い光球を形成し、青い光線を放つ。
フログロスの群れはスピカの攻撃により、消滅する。
「ブレイブハート、これで全滅?」
『はい。残るはあの怪獣のみです。』
スピカはブレイブハートにフログロスの数を確認させたところ、全滅したと伝達される。
「トリプルハートチャージ!」
「舞い上がれ、癒やしの風!」
その頃、グレース達はマガジャッパが浸かっていた湖に到着し、そこに技を放とうとする。
「届け!」
「癒しの!」
「パワー!」
「プリキュア・ヒーリング・ハリケーン!」
「プリキュア・ヒーリング・オアシス!」
グレースとフォンテーヌとスパークルはプリキュア・ヒーリング・オアシスを、アースはプリキュア・ヒーリング・ハリケーンを放つ。
これによって湖から放っている臭気は消えた。
「ビクトリウムスラッシュ!」
その一方、ビクトリーはビクトリウムスラッシュを放つが、マガジャッパの全身の鱗により弾かれてしまう。
マガジャッパは自身を透明化する。
ビクトリーは周囲を見渡すが、マガジャッパの姿が見当たらない。
その時、背後から吸い寄せられるような感覚が襲う。
ビクトリーの背後には、マガジャッパがいて、マガ吸引でビクトリーを吸い寄せる。
「ギンガファイヤーボール!」
ビクトリーがマガジャッパに捕まえられる直前、火の玉がマガジャッパに命中され、ビクトリーを捕らえ損ねる。
「今のは!」
ビクトリーは火の玉が降りかかってきた方向に見上げると、所々にクリスタル状の発光体が付いている巨人がビクトリーの前に降り立つ。
その巨人の名前はウルトラマンギンガ。
UPG隊員・礼堂ヒカルが変身する未来から来たウルトラマンである。
ビクトリーと一緒にビクトルギエルやエタルガーを倒した。
「ヒカル・・・!」
「久しぶりだな、ショウ。きっつい臭いがして来てみれば、お前も巻き込まれたみたいだな?」
「あぁ。こいつがその臭いの元凶だ。」
ビクトリーは目の前に立ち上がって敵意剝き出しにして目を向けてきたマガジャッパが悪臭の原因だとギンガに教える。
「成程、温泉郷で湧き出る硫黄の臭いを上回る臭さだな・・・とっととこいつを倒して、きれいサッパリ洗い流しとこうぜ!」
「あぁ!」
ギンガはストリウムブレスの力でウルトラマンギンガストリウムにパワーアップする。
「ウルトランス!EXレッドキングナックル!」
ビクトリーの右腕が鈍器のような赤黒く大きな腕となった。
「えぇ~っ!?」
「腕が変わったのです~!?」
エール達はビクトリーの腕が変わったことに驚く。
これがビクトリーの得意技・ウルトランスである。
ショウが持つビクトリーランサーで怪獣のスパークドールズをリードすることで、その怪獣の体の一部を自らの武器として使うことができるのである。
ビクトリーはEXレッドキングナックルでマガジャッパに一撃を与える。
マガジャッパは先程までビクトリーの技が通用しなかったが、今の攻撃でようやくダメージを受ける。
「シネラマショット!」
ギンガはストリウムブレスの力でシネラマショットを放つ。
マガジャッパはギンガの技に後退りする。
「ウルトランス!シェパードンセイバー!」
ビクトリーは水晶でできた剣が現れ、それを握る。
ビクトリーが持つ剣・シェパードンセイバーは地底聖獣シェパードンのスパークドールズをロードすることで召喚することができる。
「よし!みんな、決めるぞ!」
ギンガはエール達とスター達に一緒に止めを刺そうと申し出る。
エール達とスター達はギンガの提案に乗る。
「心のトゲトゲとんでいけ~!」
エールとアンジュとエトワールはそれぞれ、エールタクト、アンジュハープ、エトワールフルートで演奏し、虹色のエネルギーを集める。
「プリキュア・トリニティ・コンサート!」
エール達はプリキュア・トリニティ・コンサートを放つ。
「Are you ready?」
「行くのです!」
マシェリとアムールはツインラブギターを演奏する。
「心のトゲトゲ!」
「ズッキュン打ち抜く!」
「ツインラブ・ロックビート!」
マシェリとアムールはツインラブ・ロックビートを放つ。
「宇宙に輝け!イマジネーションの力!トゥインクルステッキ!」
スター達はトゥインクルステッキを召喚する。
「スター☆トゥインクル!」
「ミルキー☆トゥインクル!」
「ソレイユ☆トゥインクル!」
「セレーネ☆トゥインクル!」
「プリキュア・サザンクロス・ショット!」
スター達はプリキュア・サザンクロス・ショットを放つ。
「プリンセススターカラーペン!おとめ座!くるくるチャージ!」
コスモはレインボーパフュームにおとめ座のプリンセススターカラーペンにセットし、ハンドルを回すと、パワーがチャージする。
「プリキュア・レインボー・スプラッシュ!」
コスモはプリキュア・レインボー・スプラッシュを放つ。
「シェパードンセイバーフラッシュ!」
「コスモミラクル光線!」
ビクトリーはシェパードンセイバーフラッシュを、ギンガはコスモミラクル光線を放つ。
ギンガとビクトリー、HUGっとプリキュアとスタートゥインクルプリキュアの攻撃がマガジャッパに命中する。
マガジャッパは2人のウルトラマンと2組のプリキュアの攻撃によって消滅する。
「やったーっ!」
エール達とスター達はマガジャッパを倒した事に喜ぶ。
グレース達とすでにスピカの変身を解いたエクセルはエール達の元に合流する。
「あれ?もうやっつけちゃったの?」
「もう!遅いのです!」
スパークルはすでにマガジャッパが倒されたことにキョトンとしており、マシェリはそのスパークルに叱る。
「湖に行く途中凄い衝撃音が聞こえたけど、あれがグレース達が言ってた・・・」
「うん!ウルトラマンだよ!最近世界中に出てきた怪獣達をやっつけてくれたんだ!」
グレースはエクセルに目の前に立っているギンガとビクトリーの事、ウルトラマンの事を話した。
その様子を木陰から窺うアカデミックドレスの少女。
「あの少女、先の戦闘からしてプリキュアの力を使いこなせておらんな・・・今後の為にどうにかしようかの・・・」
アカデミックドレスの少女はエクセルを見て、思ったことを言った後、その場から離れる。
その頃、真理奈は大貝町郊外にある小屋に到着した。
その小屋の中には、前にイヴィルアイの破壊、亜久里達の救出のための作戦を実行する時に使用したディメンジョンゲートが配置されていたのだ。
その時は真理奈も一緒だった。
しかし、真理奈が再びその小屋の中に入った時には、すでにディメンジョンゲートがなかった。
「いつの間にかなくなってるわね・・・スーパーGUTSが拾ったのかしら・・・」
真理奈は中を隈なく調べる。
「ん?」
真理奈は何かを発見する。
真理奈が見つけたのは、チェーンで通した2つの指輪である。
「前にここに来た時、こんなのあったっけ?」
真理奈はネックレスを見て、先述の作戦の時にあったかどうか分からない素振りをする。
その時、真理奈の背後から足音や息遣いが聞こえる。
真理奈は後ろに振り替えると、スーパーGUTSの隊員服を着た真理奈と同い年位のセミロングウェーブの少女が入ってきた。
「ハァ、ハァ・・・確か・・・この小屋に・・・!あなた・・・!」
「な、なによ!?」
「あ、い、いいえ・・・」
「どうしたのよ?そんな切羽詰まったのような顔して?」
真理奈は少女がいきなり入ってきた事に驚きつつも、慌てた表情をしていた少女に質問する。
「それは・・・あっ!」
少女は真理奈が持っているネックレスを見て目を見開く。
「返して!」
「うおぉっ?!」
少女は真理奈からネックレスを取り上げる。
「そのネックレス、アンタのなの?」
「あ、ごめんなさい。驚かして・・・」
「いや、別にいいけどさ、そのネックレス、形見みたいなもんなの?そのネックレスのチェーン、ガチャポンのオモチャについてるのと同じ構造だったし、自分で拵えた物かなって・・・」
真理奈は少女にネックレスの事を聞く。
確かに少女が取り上げたネックレスは、オモチャについているボールチェーンを連結して、それを指輪に通したシンプルな方法で出来た物だった。
「えぇ・・・父と母の指輪なのよ・・・」
少女は真理奈の質問に答える。
「ありがとう、あなたが拾ってくれたのね。」
「えぇ。次は落とさないでよ?えぇっと・・・」
「あぁ。私はミソノ・ホタル。あなたは新真理奈ね?ヒビキ隊長から聞いたわ。」
少女は自らをミソノ・ホタルと名乗る。
「じゃ、私はこれで。」
「あ、うん。」
ホタルは真理奈と別れを告げ、一瞬真理奈の方に振り向いたが、すぐさま立ち去って行った。
真理奈はそれを見て、まるでホタルは自分の事を知っているような感じを察する。
しかし、真理奈はそんなことを考えても仕方ないと言わんばかりに、自分も小屋から出て、帰宅することになった。
時が過ぎて、夜になった頃・・・
「じゃあ、まのんは登校日の後、すぐにマヤ達と一緒に?」
「うん。ヴィヴィオとアインハルトちゃん、トーマとリリィも一緒にね。海外プリキュアの皆に奪ったプリカードを返すって。」
ログハウスで当分過ごすことになったなのは達の所に訪れた真理奈。
なのはの話によると、まのんはひめ提案の『マヤの全国謝罪巡礼ツアー&海外プリキュアの共同作業』の為、世界各地の海外プリキュアの元へ転々と飛んで行ったのである。
ヴィヴィオとアインハルト、トーマとリリィも一緒である。
ちなみに海外へ行く時、ふしぎ図書館経由で行った。
真理奈はなのはの話を聞いて、前にトランプ共和国でマヤの今後の事をまりあと話した時、ふしぎ図書館の事を聞いたので、更に先日の祝勝会で旅行の事を思い出し、「本当にそれ使ったんだ・・・」と呟く。
「むー・・・私も行きたかったよ~・・・」
「オイオイ・・・」
なのはの我儘に真理奈は呆れる。
その頃、エクセルはちゆの家で泊まることになり、布団を敷いていた。
マガジャッパとの戦闘の後、旅館沢泉で自身の体を清潔に洗い流していた。
マガジャッパの影響は旅館にも出ており、閉館もままならない状況だった。
しかし、マガジャッパを倒した事により、温泉がいつも通り使用可能になっていた。
ヒカルとショウは温泉で清潔にした後、ギンガとビクトリーに変身し、何処かに飛び立って行った。
エクセルは明日、すこやか市から出て、他の町に行き、なのは達を捜すことにした。
「なのはさんもこの世界にいるんなら、捜さないとね。」
エクセルは夜空の星々が見える窓から見てそう言う。
(それに、これの事も調べないと・・・)
エクセルはポケットからスマートフォン型の変身アイテムを出し、それを見つめ呟く。