ベビーの腹部に拳が埋まり、くの字に曲がって吹っ飛んでいく。
「ぐ!」
岩壁にめり込むベビー。
(その体、まさに俺に相応しい肉体だ)
ベビーは再びキャルロットを乗っ取ろうと、そのチャンスを窺う。
「かかってこないの?」
キャルロットは、ベビー目掛けて光線を放った。
ベビーは光線を潜ってキャルロットに接近する。
「だから上げないって」
キャルロットはジェル状になったベビーをかわした。
「おのれええええ!」
無数の気弾がキャルロットを襲う。
キャルロットは無数の気弾をかわしながらベビーに接近して拳を腹部に埋めた。
「ぐおえ!」
ベビーはくの字に折れ曲がる。
キャルロットはベビーを下方に叩き落とす。
ベビーは地面に墜落すると、フリーザの宇宙船を目指す。
(あんなやつ俺の手には負えん)
宇宙船に乗り込んだベビーは操縦室のパネルを操作する。
ベビーを乗せた宇宙船が、宇宙へと飛び立つ。
キャルロットは光線を放った。
「気が、気が、サイヤ人の気が襲ってくるうううう!」
ベビーを乗せた宇宙船は、キャルロットの光線によって太陽へと落下していく。
「うわああああ!」
ベビーは悲鳴を上げながら、太陽へと吸い込まれて消滅するのだった。
主人を失い、放心する下僕たち。
界王神が、ベビーに洗脳された人々を、超神水で元に戻す。
キビトがベビーを倒したキャルロットの元へやってくる。
「キャルロットさん、あなたのおかげで宇宙は救われました」
「まさか、ツフル人があんな邪悪な生命体を生み出していたなんて」
と、界王神が現れる。
「誰だおめえ?」
と、悟空。
「貴様、界王神様に向かってなんたる口の利き方だ?」
「構いませんよ、キビト」
「はい」
「それにしても、十五年でしょうか。あなたは立派に大きくなられた」
「そういえば、そんなに経ってるのね。久しぶりだね、二人とも」
「なあ、そいつら知り合いなんか?」
キャルロットが悟空を見る。
「この方達は神様よ」
「神様だ?」
「うん。あの世に界王星ってのがあるんだけど。そこに住む界王様より偉い方々なのよ」
「なんだって? こんなちんちくりんがあの界王様よりねえ」
界王神の額に青筋が浮かぶ。
「ちんちくりん?」
「貴様、無礼だぞ!」
「全くです。こんな常識のない地球人がいるなんて」
「オラ、サイヤ人だ」
「い?」
「一応、これでも私の兄なんだけど」
「キャルロットさんのお兄様でしたか。これは失礼しました」
「そう
「それじゃあ、我々はこれで」
界王神とキビトは姿を消した。
そこに、
「こんにちは」
振り返るキャルロットたち。
「誰?」
「あなたが悟空さん、ですね?」
「オラ?」
「はい。ちょっと、僕と一緒にこちらへ」
青年と悟空は皆から離れたところへ移動する。
「悟空さん、すみませんが、超サイヤ人になってもらえませんか?」
「超サイヤ人? なんだそれ?」
「あれ? フリーザを倒したの、あなたですよね?」
「フリーザ? オラ、そんなやつ知らねえぞ」
「え?」
困った顔をする青年。
(伝え聞いている歴史と全然違うな)
「驚かず聞いて下さい。今から三年後、人造人間が現れ、地球がメチャクチャになります。あなたにはそれを阻止してもらいたいんです」
「人造人間?」
「レッドリボン軍が二人の人間をマシンに改造して放つのが、十七号と十八号です。実は俺は未来から来たのですが、俺のいた時代はそいつらのせいでメチャメチャになってしまい……」
「未来から?」
「ええ。あ、このことは他言は無用です。俺という存在が消えかねない。とにかく、やつらを倒してほしいんです」
青年は懐からホイポイカプセルを取り出す。
「おめえ、これをどこで?」
「ああ。俺はあそこにいるベジータさんの息子なんです」
「ベジータの息子?」
「はい。母親はブルマって言います」
「なんだって?」
「悟空さん、近い将来、あなたはウイルス性の心臓病で倒れます。これはその薬です。症状が出たらこれを飲んで下さい」
青年が悟空にホイポイカプセルから薬を出して渡した。
「俺はトランクス。三年後にまた来ます」
トランクスと名乗る青年はそう言って去っていった。