超サイヤ人   作:桂ヒナギク

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14.ベビー昇天。未来からの訪問者現る

 ベビーの腹部に拳が埋まり、くの字に曲がって吹っ飛んでいく。

「ぐ!」

 岩壁にめり込むベビー。

(その体、まさに俺に相応しい肉体だ)

 ベビーは再びキャルロットを乗っ取ろうと、そのチャンスを窺う。

「かかってこないの?」

 キャルロットは、ベビー目掛けて光線を放った。

 ベビーは光線を潜ってキャルロットに接近する。

「だから上げないって」

 キャルロットはジェル状になったベビーをかわした。

「おのれええええ!」

 無数の気弾がキャルロットを襲う。

 キャルロットは無数の気弾をかわしながらベビーに接近して拳を腹部に埋めた。

「ぐおえ!」

 ベビーはくの字に折れ曲がる。

 キャルロットはベビーを下方に叩き落とす。

 ベビーは地面に墜落すると、フリーザの宇宙船を目指す。

(あんなやつ俺の手には負えん)

 宇宙船に乗り込んだベビーは操縦室のパネルを操作する。

 ベビーを乗せた宇宙船が、宇宙へと飛び立つ。

 キャルロットは光線を放った。

「気が、気が、サイヤ人の気が襲ってくるうううう!」

 ベビーを乗せた宇宙船は、キャルロットの光線によって太陽へと落下していく。

「うわああああ!」

 ベビーは悲鳴を上げながら、太陽へと吸い込まれて消滅するのだった。

 主人を失い、放心する下僕たち。

 界王神が、ベビーに洗脳された人々を、超神水で元に戻す。

 キビトがベビーを倒したキャルロットの元へやってくる。

「キャルロットさん、あなたのおかげで宇宙は救われました」

「まさか、ツフル人があんな邪悪な生命体を生み出していたなんて」

 と、界王神が現れる。

「誰だおめえ?」

 と、悟空。

「貴様、界王神様に向かってなんたる口の利き方だ?」

「構いませんよ、キビト」

「はい」

「それにしても、十五年でしょうか。あなたは立派に大きくなられた」

「そういえば、そんなに経ってるのね。久しぶりだね、二人とも」

「なあ、そいつら知り合いなんか?」

 キャルロットが悟空を見る。

「この方達は神様よ」

「神様だ?」

「うん。あの世に界王星ってのがあるんだけど。そこに住む界王様より偉い方々なのよ」

「なんだって? こんなちんちくりんがあの界王様よりねえ」

 界王神の額に青筋が浮かぶ。

「ちんちくりん?」

「貴様、無礼だぞ!」

「全くです。こんな常識のない地球人がいるなんて」

「オラ、サイヤ人だ」

「い?」

「一応、これでも私の兄なんだけど」

「キャルロットさんのお兄様でしたか。これは失礼しました」

「そう(かしこ)まられてもオラどうしたらいいかわかんねえぞ」

「それじゃあ、我々はこれで」

 界王神とキビトは姿を消した。

 そこに、青髪(せいはつ)の青年が現れる。

「こんにちは」

 振り返るキャルロットたち。

「誰?」

「あなたが悟空さん、ですね?」

「オラ?」

「はい。ちょっと、僕と一緒にこちらへ」

 青年と悟空は皆から離れたところへ移動する。

「悟空さん、すみませんが、超サイヤ人になってもらえませんか?」

「超サイヤ人? なんだそれ?」

「あれ? フリーザを倒したの、あなたですよね?」

「フリーザ? オラ、そんなやつ知らねえぞ」

「え?」

 困った顔をする青年。

(伝え聞いている歴史と全然違うな)

「驚かず聞いて下さい。今から三年後、人造人間が現れ、地球がメチャクチャになります。あなたにはそれを阻止してもらいたいんです」

「人造人間?」

「レッドリボン軍が二人の人間をマシンに改造して放つのが、十七号と十八号です。実は俺は未来から来たのですが、俺のいた時代はそいつらのせいでメチャメチャになってしまい……」

「未来から?」

「ええ。あ、このことは他言は無用です。俺という存在が消えかねない。とにかく、やつらを倒してほしいんです」

 青年は懐からホイポイカプセルを取り出す。

「おめえ、これをどこで?」

「ああ。俺はあそこにいるベジータさんの息子なんです」

「ベジータの息子?」

「はい。母親はブルマって言います」

「なんだって?」

「悟空さん、近い将来、あなたはウイルス性の心臓病で倒れます。これはその薬です。症状が出たらこれを飲んで下さい」

 青年が悟空にホイポイカプセルから薬を出して渡した。

「俺はトランクス。三年後にまた来ます」

 トランクスと名乗る青年はそう言って去っていった。

 


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