超サイヤ人   作:桂ヒナギク

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16.セル登場

 ベッドの上で目を覚ます悟空。

「あれ? オラ、いったい……」

「あ……、気がついた? 兄さん、超サイヤ人の力に負けて暴走してたんだよ」

「すまねえ」

「変身の仕方はわかったよね?」

「ああ。だけんど、理性を保てないんじゃあなあ」

「超サイヤ人は興奮しやすいからね。興奮状態を抑えられれば保てるかもね」

 キャルロットは入り口へと向かう。

「後はあなた一人でなんとかするのよ」

「ああ」

 キャルロットは精神と時の部屋を出た。

 そこへポポがやってくる。

「ちょうどよかった。今、呼びに行こうと思ってた」

「なに?」

「北の都、とんでもないことになっている」

「まさか、人造人間が?」

「すぐに行ってくれ」

「わかった!」

 キャルロットは気を探る。

「気を探っても無駄。人造人間、気を持たない」

 舌打ちしたキャルロットが天界を飛び出し、空路で北の都へ。

 しかし、キャルロットが北の都に着いた時には、もうすでに荒れ果てていた。

 地上に三人の人影が見える。

 キャルロットは物陰に隠れながら三人の人影に接近した。

「誰だ?」

 と、黒髪の男が言う。

(気づかれたか)

 仕方なく姿を見せるキャルロット。

 金髪の女は言った。

「孫 悟空ではないようね」

「キャルロット。(スーパー)サイヤ人だ」

「超? なんだかよくわかんないけど、あの世へ送ってやろう」

 男が高速で接近してきた。

 キャルロットはギリギリのとこでかわし、反撃する。

「ぐ!」

 (うなじ)にキックを当てて吹っ飛ばすキャルロット。

「やるなあ、お前」

 男が接近し、拳をキャルロットの腹部に埋めた。

「ぐえ!」

 キャルロットがくの字に折れ曲がると、そこに上部からの追撃が。

「ぐお!」

 キャルロットは地面に叩きつけられた。

「このまま押し切ろうと思ったけど、やっぱ無理か」

 立ち上がったキャルロットを気を溜める。

「はああああ!」

 黄金のオーラを纏い、稲妻を放ち、超サイヤ人に変身するキャルロット。

 刹那、姿が消え、次の瞬間には男の腹部に風穴が開いていた。

「ぐ!」

「十七号!」

「貴様……」

 と、黄緑色の服を着た男が、キャルロットの顔面を掴み、地面に叩きつけた。

「ぐ!」

「十六号、悪いんだけど、私にやらせてよ」

「いいだろう」

 金髪の女がキャルロットの前に立つ。

 立ち上がるキャルロット。

「あんた、強いんだね」

 目にも留まらぬ速度で接近戦を始める二人。

 攻撃音だけが辺りに木霊(こだま)する。

 やがて、動きを止めた二人が出現する。

 キャルロットの方はボロボロだった。

「あんた、降参しなよ。命までは取らないから」

「へ! 私はあんたたちを全員やっつけるまで、絶対に引き下がらないわ」

「そう。じゃあ、死にな!」

 刹那、十七号が悲鳴を上げた。

 悲鳴のした先を見ると、緑色の怪物が十七号を拘束していた。

「誰?」

「感謝するぞ、そこのサイヤ人」

 怪物は尖った尻尾の先を展開し、そこから十七号を吸い込んでしまう。

 姿を変える怪物。

「十七号!?」

「ふはははは! 十八号、お前も俺の一部となるのだ!」

 怪物が金髪の女、もとい十八号に接近し、尻尾で吸い込もうとするが。

「危ない!」

 キャルロットが十八号を突き飛ばして庇った。

 怪物の尻尾がキャルロットの頭に覆いかぶさった。

「違う! お前じゃない!」

 キャルロットから尻尾を離し、その体を吹っ飛ばした。

 地面に転がるキャルロット。

「お前、何者なのよ?」

「私の名はセル。今日のところは退散するが、十八号、私は必ずお前を手に入れてみせる」

 緑の怪物セルはそう言って、飛び立ってしまった。

「十七号のことは残念だったけど、あんたのおかげで助かったよ」

 じゃあね——と、十八号は十六号を連れて去っていく。

 そこへ、ベジータが現れる。

「おい、今ここで妙な戦闘力を感じたが……」

「セルとか言ってたね。逃げたけど」

「そいつは強いのか?」

「知らない」

「まあいい。どんなやつが現れようと、俺が倒してやる」

「随分と自信過剰なのね」

「フン! ほざいてろ」

 ベジータは去っていった。その表情は、自信に満ち溢れていたという。

 


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