超サイヤ人   作:桂ヒナギク

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2.地球

「おい、キャルロット」

 キャルロットのポッドに、禿頭の乗る宇宙船から通信が入る。

「なに?」

「さっきお前の戦闘力を測ったんだがな、たったの一だぞ? そんなんでカカロットと戦えるのか?」

「その前にカカロットって誰?」

「ターレスってやつに聞いたんだがな、お前の双子の兄らしい。そしてその兄の兄、つまりお前の兄でもあるラディッツがカカロットに殺されたんだ。俺たちは裏切り者のカカロットを始末するために地球という星へ向かってるんだ」

「へえ。あ、そういえばあなたの名前は?」

「うん? まだ名乗ってなかったか。ナッパだ。もう一人の方はベジータって名だ」

「ナッパさんにベジータさん」

 そこへベジータが割って入る。

「おい、キャルロット!」

「うん?」

「その呼び方はやめろ! 虫唾(むしず)が走る!」

「ごめん。でもなんて呼べば?」

「同じサイヤ人なんだ。呼び捨てで構わん」

「そしたらナッパもナッパでいい?」

「構わないぜ」

 キャルロットの視界に、美しい惑星の姿が飛び込んできた。

「あれは?」

「どうやらあれが地球のようだぜ」

 三人のポッドが地球の市街地に着陸する。

 ポッドから出てくる三人。

「意外と軽いわね」

「アクアもここの五倍くらいはあったからな」

「ようし、ひと暴れするか」

 ナッパの技が、市街地を消し炭に変える。

「ちょ! カカロットを倒すんでしょ!? 地球は関係ないじゃん!」

「カカロットの悔しがる姿が見たいもんでよ」

 ピピ!

 ナッパが片目に装着しているスカウターを起動する。

「いるぞ。近くに大きな戦闘力を持ったやつらが」

「ようし、行くか」

 ベジータとナッパが飛び立つ。

「待ってよ!」

 キャルロットも舞空術で二人を追う。

 草原の一角に、悟空の息子の悟飯、ナメック星人のピッコロ、他数名が集まっていた。

「来るぞ!」

 と、ピッコロが言うと、一同は身構えた。

 そこに、三人のサイヤ人が降り立つ。

「待っていたぞ、サイヤ人ども」

 と、ピッコロ。

「ナメック星人か。お前だな? カカロットと組んでラディッツを殺したのは」

「ふん!」

「まあ、いい。いずれお前も同じ運命を辿るのだからな」

「あれ?」

 悟飯が伝え聞いていた人数と違うことに気づく。

「ピッコロさん、サイヤ人は二人でしたよね?」

「ああ、確かにそうだ」

「でも、三人いません?」

「どうでもいい。まとめてやっつけるだけだ」

「随分と威勢がいいのね」

「ふん。さっさとかかってこい」

「まあ、慌てるな。俺たちはカカロットを倒しに来たんだ。お前たちには興味はない」

「カカロット? 悟空のことか?」

「悟空? そいつがカカロットなんだな?」

「お父さんはお前たちになんかやられないもんね!」

「お前は……、そうか」

 ベジータは何かを思いつく。

「ナッパ。あのチビの相手をしてやれ。カカロットに会うまでの余興だ」

「いいぜ」

「気をつけろ悟飯!」

 ナッパは悟飯と戦うが、彼では敵にすらならなかった。

「悟飯!」

 死にかけの悟飯に、トドメを刺そうと光線を放つナッパ。

 ピッコロが、悟飯を庇い、光線技を身に受けた。

「うおわああああ!」

「ピッコロさーん!」

 倒れるピッコロ。

「に……逃げろ……悟飯……」

「ピッコロさん?」

 ピッコロは息絶えてしまった。

「ピッコロさん! ピッコロさん!」

「ピッコロ!」

 と、禿頭の地球人。

(禿頭が二人……)

 と、内心思うキャルロットだった。

 


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