超サイヤ人   作:桂ヒナギク

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20.あの世一武道会

 キャルロットがセルを倒し、十年の歳月が経っていた。

 悟空の息子、悟飯が、サタンシティーのオレンジスターハイスクールに通っていた。

 今日は高校の初登校日。学校へ向かう途中、街中で銀行強盗と警察官隊の抗争を目撃した。

「あれは……」

 悟飯は物陰に着地して隠れて様子を(うかが)う。

「ちょっとあなたたち!」

 端正な顔立ちをしたツインテールの女の子が強盗の前に躍り出た。

(なんだあの子? 危ないじゃないか。助けなきゃ)

 そう思った刹那、女の子は強盗を一瞬で叩きのめした。

「い……!?」

 悟飯は驚いた。

「ご協力感謝します!」

 警察官隊が敬礼をした。

 女の子は去っていった。

 悟飯は舞空術で高校に向かう。

 一方、キャルロットは、あの世一武道会会場の最終ステージでパイクーハンと戦っていた。

 お互いの拳がぶつかり合い、なかなか勝負がつかないでいる。

「なかなかやるわね」

「お前もな」

「けど、まだ本気じゃないんだからね」

「なに?」

 キャルロットは気を溜めた。

「はああああ!」

 気が解放され、超サイヤ人へと変貌する。

「な、なんだその姿は?」

「超サイヤ人よ」

「超サイヤ人?」

「知らなくても結構。あんたは負けて、私が優勝なんだから」

 キャルロットはそういうと、一瞬でパイクーハンの懐に潜り込んで拳を腹部に捩じ込んだ。

「ぐおえ!」

 パイクーハンは吐血して落下した。

「とどめよ!」

 キャルロットが武舞台に倒れるパイクーハン目掛けて気功波(きこうは)を放った。

 パイクーハンは咄嗟に気功波をかわして背後を取る。

(な!?)

 キャルロットはパイクーハンの回し蹴りをダックでかわし、振り返って蹴りを側頭部に叩き込む。

 パイクーハンは勢いよく吹っ飛ぶが、場外ギリギリのところで舞空術を使って静止した。

 だが、界王拳を発動したキャルロットが一瞬でパイクーハンの眼前に出現した。

「なに!?」

 パイクーハンはパンチをかわして飛び上がった。

 不発に終わったキャルロットは振り返り、パイクーハンを()()ける。

(超サイヤ人界王拳を見切られるなんて!)

 キャルロットは瞬間移動でパイクーハンの背後に回り込んだ。

「消えた?」

 キャルロットは両手を組んでパイクーハンを叩き落とした。

「うわああああ!」

 パイクーハンは場外目掛けて落下していく。

(やばい! 立て直せない!)

 パイクーハンは場外に激突し、キャルロットに敗れた。

「場外! 優勝はキャルロット選手です!」

 と、審判。

 キャルロットはパイクーハンの前にゆっくりと降り立って手を差し伸べた。

 パイクーハンはキャルロットの手を取って立ち上がる。

「負けたのは悔しいが楽しかった。またやろう」

「そうね」

 キャルロットは優勝賞金を受け取ると、観戦していた界王と共に界王星へと戻った。

 


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