超サイヤ人   作:桂ヒナギク

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9.フリーザ

「なんだこいつ!? 俺たち四人が束になっても勝てないだなんて!」

 ギニュー特戦隊のジース、グルド、バータ、リクームは怯え始めていた。

「なに? もう終わりなの?」

 四人相手に圧勝したキャルロットが拍子抜けしている。

「この人、強いですね、クリリンさん?」

 グルドがギニューに通信を入れた。

「ギニュー隊長! 戻ってきて下さい!」

 そして、ギニューが戻ってくる。

「なるほど貴様強そうだな」

 キャルロットとギニューが浮かび上がる。

 二人の戦闘が始まった。

 ボボーン。

 ババーン。

 目にも留まらぬ動きで壮絶な戦いを繰り広げる二人。

「俺は嬉しいぞ。貴様のような強い体の持ち主に会えたのだからな」

「キャルロット、やつの技に気をつけるんだ!」

 と、下方でギニューの姿をしたベジータが叫ぶ。

「あんた、どうやってベジータと?」

「いいだろう。見せてやる」

 ギニューは両手を横に広げる。

「チェーンジ!」

 不思議な光線が放たれる。

「しめた!」

 ベジータ自らが光線を浴びに躍り出た。

 光線はベジータに当たり、二人の精神が入れ替わった。

「ベジータ、貴様!」

 元の体に戻ったギニューは、「今回は特別に見逃してやる」と、どこかへと去っていく。

「隊長、待って下さい!」

 特戦隊の四人が後を追った。

 五人が向かったのは、フリーザの元だった。

「それで? 尻尾巻いて逃げ帰ってきたということですか」

 眉間に青筋を立てるフリーザ。

「いいでしょう。そのサイヤ人には私自らがお仕置きをして差し上げることにしましょう」

 フリーザはスカウターを頼りに、キャルロットの元へ向かう。

 キャルロットはフリーザの気配に気づいた。

(これがフリーザ……)

「ホッホッホ、あなたが最強のサイヤ人ですか」

「あんたがフリーザ? 思ったより弱そうね」

「そう言っていられるのも今のうちですよ」

 キャルロットはフリーザの懐に潜った。

「……!?」

 驚くフリーザをよそに、拳をその鳩尾にめり込ませる。

「ぐお!」

 フリーザは体をくの字に曲げて痛そうな顔をする。

「は!」

 キャルロットがフリーザの側頭部に蹴りを入れ、その体を真横へ吹っ飛ばした。

 吹っ飛ばされたフリーザが岩壁にめり込む。

「ふっふっふ、いいでしょう。私の本気を見せてあげます」

 フリーザは別の姿に変身した。

 フリーザ第二形態。

「へえ。あんたも変身できるの?」

「なに?」

 キャルロットは気を溜める。

「はああああ……!」

 黒髪が逆立ち、金色に染まり始める。

「なに!?」

 キャルロットは超サイヤ人へと変貌した。

「待っていたぞ!」

 ギニューが現れる。

「これはこれはギニューさん」

「きええええ!」

 離れたところからグルドが超能力でキャルロットの動きを封じる。

「な!?」

「チェーンジ!」

 不思議な光線を浴びたキャルロットが、ギニューと入れ替わってしまう。

「だ、ダメだ。もうおしまいだ……」

 怯えてプルプル震え始めるベジータ。

「え?」

「貴様の最強の体はもらった!」

 だが。

「うん?」

 超サイヤ人だったキャルロットの髪が元の黒色に戻ってしまった。

「どうやら、力を使いこなせないみたいね」

 戸惑っているギニューの懐に潜り、拳を乱打した。

「ぐお!」

 削られていくギニューの体力。

「おのれー!」

 ギニューが光線を放った。その矛先はベジータ。

「……!」

 キャルロットは光線に飛び込んだ。

 二人の体が元に戻る。

「くそ! 今度こそ!」

 ギニューがベジータの体と入れ替わろうとする。

「させないよ!」

 キャルロットは地面のカエルを掴み取ると、ベジータの前に投げ飛ばした。

「な!?」

 ギニューはカエルと入れ替わってしまった。

「ゲロゲロ!」

 ギニューになったカエルがどこかへと飛んでいく。

「おい、私のことは無視か?」

 振り返るキャルロット。

 目の前には先ほどより大きな体のフリーザがいた。

「ふん!」

 キャルロットを殴り飛ばし、先回りして拳を乱打する。

「ぐあ! があ!」

 怯むキャルロット。

「くたばれ! この死に損ないが!」

 キャルロットはフリーザの渾身の一撃をかわす。

「なに!?」

 距離を取り、超サイヤ人へと変身する。

「波ー!」

 キャルロットがフリーザに光線を放った。

 光線はフリーザに当たって爆発を起こす。

 砂塵が消えると、傷だらけではあるが、大してダメージを受けていないフリーザが立っていた。

「貴様の力はその程度か?」

 フリーザは更なる変身を始める。

 


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