転生メデューサの日常   作:ぺかちゅう

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第12話 邪神ちゃんからの呼び出し

 こんにちは、メデューサです。

 

 

 今日はぺこらちゃんにお昼ごはんのおかずの差し入れをするために、公園にやってきました。

 持ってきたのはポテトサラダ。りんごを入れて作ってみました!

 

「こんにちはー。ぺこらちゃん、いる?」

 

「いますよ。……お前ですか」

 

「はい、差し入れのポテトサラダ。りんご入りだよ!」

 

「あ、ありがとうございます。……なんだか渡し方が有無を言わせない感じになってませんか?」

 

「あー、そうかも……」

 

 毎回断られて押し付けてを繰り返しても仕方ないと思ったのですが……。

 流石に押し付けがましいかな?

 

「ごめん、無理やり渡されても嫌だよね。今度からはもうちょっと考えるようにするから……」

 

「いえ、少し気になっただけですから。……嫌では、ないですよ」

 

「本当!?嬉しいな!」

 

 なんだか最近、ぺこらちゃんも素直というか……自然体で話してくれているような気がします。

 気のせいじゃないといいなぁ。

 

 

 

「それじゃあ、またくるね!」

 

「あ、はい。ありがとうございました」

 

 渡すだけ渡して帰ってしまいましたね。

 彼女は悪魔。ぺこらとは敵同士ですが、こう何度も会いに来られるとそういう感覚も薄れていきます。

 種族関係なく仲良くしたい、ですか。まあそういうのも悪くは……。

 ……って、いつまで手を振ってるんですかあいつは!

 そ、それでは早速。

 

「いただきます」

 

 

 

 さて、サラダを渡して用も済んだし帰りましょう。

 ……あ、電話ですね。邪神ちゃんからだ。

 

「はーい。邪神ちゃん、なぁに?」

 

「メデューサ?ちょっとうちに来てほしいんですの」

 

「うん、いいよ。今でかけてるからちょっと待っててね」

 

「おう、待ってますの~」

 

 なんだか邪神ちゃんから呼ばれるのは久しぶりのような気がします。

 そうだ!フレッシュムーン買っていってあげようっと!

 

 

 

「ごちそうさまでした」

 

 りんご入りのポテトサラダというのもなかなか美味しいものですね。

 天使のぺこらとしては情けないですが、彼女には感謝をしなければいけないでしょう。

 そういえば、今日はいつもと違って使い捨て容器ではありませんでしたね。

 他意はないのでしょうが、ずっと預かっていても仕方ないですし……。返しに行きましょうかね。

 

「善は急げです。早速出発しましょう」

 

 

 

 フレッシュムーンを買ってアパートまで戻ってきました。

 それにしても邪神ちゃん、なにか私に用事でもあるのかな?

 とりあえずチャイムを。

 ……あれ、返事がない。

 

「邪神ちゃん?……入るよ?」

 

 あ、いました。

 電気もつけずに、部屋の真ん中で微動だにせず立ってます。

 

「邪神ちゃん、用事ってなぁに?」

 

 フレッシュムーンを置きながら話しかけると、邪神ちゃんの首が落ちました。

 ……え。

 

「邪神……ちゃ……え?」

 

 ……なにこれ?

 ウソ……なんで?

 

「あ……死んじゃ……邪神ちゃん……?」

 

 だって、だってさっき電話で……。

 いつもどおりで……。

 

「やだ……やだよ……邪神ちゃん……」

 

 邪神ちゃん……。

 

「うわぁあぁぁん!邪神ちゃぁあん!」

 

 

「わははははははは!」

 

 ……え。……邪神ちゃん?

 

「今のお前の一連のリアクション!押入れから見させてもらったけど笑えたわー!」

 

「……邪神ちゃん?」

 

「うひゃひゃひゃ……おわぁ!笑いすぎて落ちちまった……。それ、脱皮した私の皮ですの」

 

「皮……?」

 

 え、でも……さっき邪神ちゃんは死んじゃって……。でも生きてて邪神ちゃんは皮で……え?

 

「私が何千年かに一度脱皮するのを忘れたんですの?今日がその日だったってわけ」

 

「脱皮?」

 

 脱皮って、死んじゃうんだっけ?あれ……でも邪神ちゃんは生きて……。

 

「それでこのいたずらを思いついてお前を呼びつけたんですの」

 

 いたずら……?いたずらで死んじゃうの?……え、でも死んでない……よね?

 

「マジで死んだと思ったんですの?んなわけねーだろ!」

 

「邪神ちゃん……」

 

「ん、どした?」

 

 邪神ちゃん……邪神ちゃん……。

 

「うわぁああぁああん!邪神ちゃぁぁあああん!」

 

「おわー!」

 

「邪神ちゃん!死んじゃやだよぉ!邪神ちゃん!邪神ちゃん!」

 

「ぐえぇ、苦しい……力を込めて抱きつくなー!」

 

「やだあぁぁぁあ!うああぁぁあぁぁぁん!」

 

「お、落ち着けー!」

 

 

 

「あら、ぺこらじゃない。どうしたの、こんな所で?」

 

「ん、花園ゆりね?……そうか、このアパートに住んでいるのでしたね。今お帰りですか」

 

「ええ」

 

 ぺこらがここに来るなんて随分と珍しいわね。

 邪神ちゃんに会いに来るとは思えないし、メデューサに会いに来たのかしら。

 

「メデューサに用事?」

 

「はい、渡したいものがありまして。でも留守のようなので、また改めて来ようかと……」

 

「あの子は邪神ちゃんと仲がいいから、私の部屋にいるかも知れないわね。来てみる?」

 

「でも魔女の……いえ、お邪魔させていただきます」

 

 この子も随分柔らかくなったわね。以前はこっちの提案をひたすら突っぱねてたけど。

 

 

 

 さて、ぺこらを連れて部屋の前まで来たけど……。

 

「あの、中からなにか聞こえませんか?」

 

「そうね。……泣き声かしら?」

 

 部屋の中からぐすぐすと泣いているような声が聞こえてくる。

 とりあえず入ってみましょ。

 

「ただいまー。ぺこらも上がってちょうだい」

 

「はい。お邪魔します」

 

 

 部屋の中には邪神ちゃんとメデューサがいた。

 いることはいたんだけど。

 

「ぐす……ひっく……邪神、ちゃ……ひぐ……」

 

「も、もう泣き止みますのメデューサ……なっ?なっ?……げっ、ゆりねとぺこら!」

 

 何この状況。

 

「な、なにがあったのですか……?」

 

「あんた、またなんかやらかしたの?」

 

「いや、これはその……」

 

「ぅぐ……うえぇ……やだぁ……邪神ちゃん……やだよぅ……」

 

 メデューサがこんな泣き方してるの初めて見たんだけど。

 

 

 

「……で、メデューサが泣き出して今に至るというわけですの……」

 

「ひっく、うぐ……うえぇん……」

 

 ぺこらと一緒に事情を聞いている間も、メデューサはずっと泣き続けていた。

 私たちに気づいているのかいないのか、こっちには目もくれずに邪神ちゃんにしがみついている。

 

「いたずらでそこまでやりますか、普通……」

 

 邪神ちゃんの説明にぺこらはドン引き。

 それはもちろん私も同じ。いつも大事にされておいてこの仕打ちは……ないわー。

 

「あんた、ほんと……サイテーね」

 

 

 

 事情を話し終えた私に、ゆりねとぺこらがドン引きした視線を向けてきてますの……。

 

「なんだよ!私がそんな目で見られるほどのことをしたってのか!?……したか……」

 

 ま、まあ考えてみればちょっと行き過ぎたいたずらだった気はしますの……。

 

「邪神ちゃん、あんた……もういいわ。メデューサ、どうする?部屋に帰る?」

 

「ぐすっ……ひっく……」

 

 私にしがみついたまま、メデューサは首を横に振りましたの。

 

「分かった、落ち着くまでこっちにいるといいわ」

 

 今度は首を縦に振りましたの。

 

「ぺこらはこれを返しに来たのですが……それどころではないですよね」

 

 食べ物の容器?

 メデューサ、またなんか料理を渡しに行ってたんですの?

 

「いいわ、こっちで預かっておくから」

 

「はい、お願いします」

 

「ひっく……ひっく……」

 

 ゆりねとぺこらが話をしている間もずっとメデューサは私にしがみついたままでいましたの。

 さすがに罪悪感がこみ上げてきますの……。

 そしてゆりねたちの怒る気も起きないとでも言いたげな視線で胃酸もこみ上げてくる……。

 

「うぷっ……」

 

 こ、こらえろ私!今吐いたら、親友をガチ泣きさせた挙げ句自分が大ダメージを受けてゲロを吐いた情けない魔物に成り下がっちまう!

 

「メデューサ、私は死んでないから。な?大丈夫だから離れますの……」

 

「ひぐ……やだ……やだぁ……ぐす……」

 

 ダメだ、離れようとすらしてくれませんの……。

 

「あんた、親友を泣かせといて自分はそれを引き剥がそうとするとか……」

 

「悪魔にしたってやりすぎですよ……」

 

 違いますの!泣かせたのは間違ってねーけど!

 た、頼むから二人してその軽蔑した視線を私に向けるのをやめてくれ……!

 ……わ、私が……。

 

「私が悪かったから!せめて泣き止んでくれメデューサー!」

 




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