転生メデューサの日常   作:ぺかちゅう

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第15話 地雷を踏んだ

 こんにちは、メデューサです。

 

 

 私は今、お買い物を済ませてアパートに帰っているところです。

 今更ながら、紙袋を被っている相手にも普通に接してくれるって凄いですね。最初は驚かれましたけど。

 ……ん?正面から走ってきたのは……邪神ちゃん?

 

「うををををををを!」

 

 猛スピードで走ってきた邪神ちゃんがそのまま走り去っていきました。なにかを持ち上げてたけど……。

 走ってきた方向は……公園ですね。ぺこらちゃんのダンボールハウスもある公園の方です。

 ちょっと行ってみましょう。

 

 

 

 公園に着くと、服の汚れたぺこらちゃんが呆然と立ち尽くしていました。

 あ、ダンボールハウスが吹き飛んじゃってる……。

 一体何があったんでしょうか?

 

「どうしたのぺこらちゃん?服が煤だらけ……。それに、おうちが跡形もなくなっちゃってるけど」

 

「お前ですか。実は、天使に襲撃されまして……」

 

「え、天使に?でもぺこらちゃんも……」

 

「はい、同じ天使なのですが……。ぽぽろんは自分の地位をぺこらに返したくないようなのです」

 

「ぽぽろん……?」

 

「ぺこらの部下の天使見習いの子です。今はぺこらの代わりに天使を務めているようなのですが……」

 

 ぽぽろんちゃん……たしか原作でも天界からぺこらちゃんを襲いに来ていましたね。

 さっき邪神ちゃんが持ち上げてたのって、もしかして……。

 

 

 

 やっと天界に戻れると思ったのに、まさかぽぽろんがぺこらを始末しようとするとは……。

 昔から腹黒いところがあると思っていましたが……。

 

「そうだ、さっき邪神ちゃんがこっちの方から走ってきたんだけど……」

 

「あの悪魔ですか?ぺこらがぽぽろんに襲われている時に、彼女が差し入れを持ってきてくれたのですが……」

 

「差し入れ?」

 

「はい、肉じゃがを。ぽぽろんがそれをはたき落としたのに悪魔が怒りだしたのです」

 

「あぁ、邪神ちゃんは食べ物を粗末にされるとすっごく怒るんだよね」

 

「ええ。それでぽぽろんを殴り飛ばしてテープでぐるぐる巻きにしたあとに……」

 

「どこかへ運んで行っちゃったんだ」

 

「はい」

 

 今回ばかりはあの悪魔に救われましたね……。

 返せるものはありませんが、せめてお礼だけでも言うことにしましょう。

 

 

 

 やっぱり、邪神ちゃんが持ち上げていたのはぽぽろんちゃんだったみたいです。

 どこに運んでいたんだろう?原作ではどうしてたんだったかな……。

 あ、邪神ちゃんが戻ってきたみたい。

 

「はぁ、はぁ……。誰だったんですの、今の?」

 

「あ、あの……先程はぺこらを助けていただいて……」

 

「あれ、メデューサじゃん。オッスメッス」

 

 邪神ちゃん、ナチュラルにぺこらちゃんをスルーしちゃった……。

 

「邪神ちゃん、ぺこらちゃんがなにか……」

 

「ん?なんですの、ぺこら?」

 

「先程はありがとうございました。助けてもらわなかったら今頃ぺこらは……」

 

「助けるとか、別にそんなつもりはなかったですの。肉じゃがの恨みは恐ろしいんですの」

 

 照れ隠しにも聞こえるけど、肉じゃがの恨みっていうのは本当だろうなぁ。

 

「んじゃ、私は帰りますの。じゃあな、二人とも」

 

「は、はい」

 

「またね、邪神ちゃん」

 

 

 さて、と。

 

「じゃあ、ぺこらちゃんも行こっか」

 

「……?どこへですか?」

 

「私の家。服だけじゃなくてぺこらちゃんも汚れちゃってるから……お風呂貸してあげる」

 

 ぺこらちゃんは文字通りボロボロ。たしか原作ではバズーカの爆風に晒されてたような……。

 

「え、そんな……。悪いですよ」

 

「いいから行こ。ね?」

 

 私としても、このまま帰るのは心が痛むし……。

 

「うぅ……はい」

 

 

 

 結局連れられて来てしまった……。

 いつもながら強引です、ぺこらが遠慮するのを完全に読まれてますね……。

 まあいいです、せっかくですからご厚意に甘えさせていただきましょう。

 

「ふぅ。いい湯加減です」

 

「ぺこらちゃーん、着替えここにおいておくねー。洗濯しちゃってるから私のパジャマ使ってー」

 

「分かりましたー、ありがとうございますー」

 

 あいつにはお世話になりっぱなしですね……。

 

 

 

「お風呂ありがとうございました、気持ちよかったです」

 

「よかった。今ご飯ができるから、座って待っててね」

 

 なんというか、至れり尽くせりです。

 いつかお返しができれば良いのですが……。今はできることをさせてもらいましょう。

 

「お皿を運ぶの、手伝いますよ」

 

「わぁ、ありがとう。じゃあこっちのを持っていってくれる?」

 

「はい」

 

 

 

「ごちそうさまでした」

 

「お粗末さまでした」

 

「ちょっと待っててね、お皿洗ってきちゃうから」

 

「あの、お皿を拭くぐらいはさせてください」

 

「いいの?ありがとう!」

 

 準備だけじゃなくてお片付けまで手伝ってくれました。

 こういうのっていいですね、あったかい気持ちになるというか……。

 

「あ、そうだ。今日は泊まっていってよ、お布団は二人分あるから」

 

 こんな事もあろうかと、ってやつです!

 ぺこらちゃん、びっくりしてますね。お皿を拭く手が止まってます。

 

「……どうしてですか?」

 

「ぺこらちゃんのお家、壊れちゃったでしょ?」

 

「いえ、流石にそこまで甘えるわけには……」

 

 やっぱり遠慮されちゃいましたね……。

 

「じゃあ……私、今日は一人で寝るのが淋しいんだ」

 

「は、はぁ……」

 

「だからぺこらちゃんに泊まっていってほしいな。お願い!」

 

 なんだか良心に付け込むみたいで、ちょっと嫌な感じだけど……。

 受け入れてもらえないかな?

 

「……分かりました、ありがたく泊まらせていただきます」

 

「ありがとう!」

 

 よかった、泊まっていってくれるみたいです。

 

「お皿洗ったら私もお風呂に入ってきちゃうね。そしたらお布団敷くから、テレビでも見て待っててね」

 

「はい」

 

 

 

 昨日は、お布団に入ってからぺこらちゃんと色々とお話できました。

 なんだか大変なアルバイトばっかりやってるみたいです……。

 今は、ぺこらちゃんも帰っちゃって特にすることもなかったのでお散歩中。

 いい天気です、まさにお散歩日和ですね。

 

「あ、邪神ちゃん」

 

「おう、メデューサ。買い物か?」

 

「ううん、お散歩中。邪神ちゃんは?」

 

「買い物が終わって帰るところですの。ホントはゲーセンに寄りたかったんだけど……」

 

 邪神ちゃんの手提げ袋の中には冷凍食品。

 これなら、たしかにすぐ帰ったほうが良いですよね。

 

「途中まで一緒に行っても良い?」

 

「別にいいぞー。っていうか、わざわざ聞かなくてもいいですの」

 

「うんっ!」

 

 

 

 さて、邪神ちゃんと話しながら歩いていたのですが……。

 あれ?電柱の陰に人影が……。突然飛び出してきた!?

 

「おらぁあぁぁ!」

 

「ゴファーガメ!」

 

「じゃ、邪神ちゃーん!?」

 

 な、なに!?いきなり邪神ちゃんを殴り飛ばした!?

 

「な、なにをするんですかいきなり!?」

 

「邪魔だよ、肉じゃがの付属物!悪魔らしくダッサい格好しちゃって、なによその紙袋!」

 

 に、肉じゃが?付属物?

 

「肉じゃがを仕留めたら、この光の剣で始末してやるから!そこで震えて待ってなよ!」

 

 光の剣?……金属バットに見えるけど。

 あ……この子、頭の上に光の輪っかが……!

 

「もしかして……あなたがぽぽろんちゃん?」

 

「はぁ?なんで悪魔ごときがぽぽろんちゃんを知って……あ、ぺこら様に聞いたの?」

 

「そ、そうだけど……」

 

「ふぅん……ぺこら様、肉じゃがだけじゃなくてそのオマケとも仲良くしてるんだぁ。じゃあわざわざ始末しなくても失脚間違いなしだったじゃん、わざわざ手を下すまでもなかったのか……」

 

 今度はオマケ扱い……。いっしょにいることが多いのは確かだけど……。

 

 

 

 いきなり私を殴りつけた上に肉じゃが呼ばわりしやがって、なんなんですのこいつは!?

 

「私は邪神ちゃんだ!肉じゃがじゃねーですの!」

 

「昨日は良くもやってくれたじゃん、肉じゃが!」

 

「だから私は肉じゃがじゃねーって……」

 

 ん?昨日?

 そういやこいつ、どっかで……。

 

「あっ、昨日ぺこらと一緒にいた天使!」

 

「そう、お前に簀巻きにされて海に投げ込まれた天使のぽぽろんちゃんだよ!」

 

「海に投げ込んだって……。邪神ちゃん、相変わらず容赦ないね……」

 

 まあ天使相手だし。

 ……というか!

 

「お前ー!昨日はよくも私の尊い肉じゃがを地面にぶちまけてくれたなー!」

 

 ゆりねにめっちゃ叱られたんだぞ!?

 なんで私が叱られなきゃならねーんですの!

 

「知らないよそんなの。天使が悪魔にやられっぱなしじゃ、ぽぽろんちゃんの気が収まらないんだよ!」

 

「はぁ!?」

 

「そもそもお前ら悪魔は目障りなの!生きる価値のない劣等種のくせに!消えちゃってくれる!?」

 

 ……。

 

「消えない」

 

「消えるの!」

 

「絶対に消えない」

 

「あー、もうムカつく!さっさと死んでしまえー!」

 

 ふん、切りかかってきたってだなー!

 

「ウソ!?」

 

「見たか必殺、白刃取り!」

 

 さあ、どう反撃してやろうか……ん?

 あーっ!

 

「ゆ、ゆりねに頼まれていたシロクマ杏仁豆腐が!」

 

 こいつの攻撃のせいでダメになっちまってる!

 やばい……やばいやばい!これ、お仕置きほぼ確定じゃねーか……。

 またもこいつのせいでー!

 

「きさまーっ!肉じゃがに続いて杏仁豆腐までも……」

 

「そんなの知らないって言ってんでしょ!悪魔なんかの事情なんて!」

 

 ぜってー許しませんの!

 

「何が天使だ、この輪っかを付けてるのがそんなに偉いのかよ!」

 

 こんな輪っか、奪い取って……!

 

「喰ってやる」

 

「えっ……あぁっ!?」

 

「ふむ……なかなかの風味ですの。バリバリしてて食いづらい上に喉越しも最悪だが……おぉっ!?」

 

 聖なる光の力と邪なる闇の力の融合によって最強の力が湧いて!……こねーな。

 ま、まぁ頭がおかしくならなかっただけマシか……。

 

 

 それはさておき!

 輪っかさえなければこいつもただの雑魚!

 

「さーて、ここからは劣等種である悪魔のターン……」

 

「邪神ちゃん」

 

 ……メデューサ?

 

「な、なんですの?いきなり押しのけてきて」

 

「これ」

 

 被ってた紙袋?こっちに渡したりしてどうするんですの?

 

「持ってて」

 

「は、はい!」

 

 こ、これは……。

 

「ぽぽろんちゃん」

 

「……なによ?」

 

「食べ物をそんな風に扱っちゃダメでしょ?」

 

 ガチ説教モードですの!

 そういえば、メデューサって食べ物を粗末にされるとすっげー怒るんだった……。

 

「はぁ?悪魔ごときがなにを……」

 

「悪魔とか!」

 

「ひぃっ!?」

 

「悪魔とか天使とか関係ないの!この杏仁豆腐も、この前はたき落としたっていう肉じゃがも!誰かに美味しく食べてもらうために作られたものなの!」

 

「そ、それは……」

 

 ぽぽろんのやつ、言い返せないでやんの。

 しっかし、相変わらず怒ったメデューサはこえーですの。

 言ってることは普通なのに、得も言われぬ迫力がありますの……。

 

「食べ物を粗末にして、あまつさえそんなの扱いするなんて絶対ダメ!分かった!?」

 

「え、あ……その……」

 

 メデューサのやつ、めっちゃぽぽろんを見つめてますの。

 謝るまでやめないやつですの……。

 

「あ、えと……あの……」

 

「なに!?」

 

「ひぅっ!……ご、ごめんなさ……はっ!て、天使のぽぽろんちゃんが悪魔なんかに謝るわけないでしょ!」

 

 なんだとこいつー!この期に及んでー!

 

「覚えてなさいよ!」

 

 逃げやがった……。テンプレ的な捨て台詞でしたの。

 ……あぁっ!また経験値を積むチャンスを逃しましたの!

 

 

「行っちゃったね、ぽぽろんちゃん」

 

「メデューサ……あんま悔しそうじゃねーのな」

 

 あいつにちゃんと謝らせてねーのに。

 

「まあ、謝ろうとはしてくれたし。……今はそれで十分かなって」

 

「ふーん、そんなもんなんですの?」

 

「うん、そんなもんなんですの。ごめんね、邪神ちゃんの邪魔をしちゃって」

 

「別にいいですの」

 

 経験値はちょっと惜しかったけど……あの状態のメデューサにとばっちりで怒られたりしたら嫌だったしな!

 

「それより、怒るのはわかるけどもうちょっと冷静でいたほうが良かったと思いますの」

 

「そうかな?」

 

「私が天使の輪っかを奪い取ったあとだったからよかったけど、そうじゃなかったら有無をいわさず殺されてたかもしれねーんだぞ……」

 

「……あっ」

 

 今気づいたのか……。

 やれやれですの。これだから目が離せないんだよなー、メデューサは。

 こいつには私が必要だな、やっぱり。

 

 

「ま、まぁ攻撃もされなかったし結果オーライってことで!」

 

「そういうことにしておきますの。とりあえず帰るか……あ」

 

 ゆりねに頼まれてたシロクマ杏仁豆腐……。

 

「どうしたの、邪神ちゃん?……あ、ひょっとして杏仁豆腐……?」

 

「ですの。あぁ、ゆりねにどう言い訳すれば……」

 

「とにかく、ちゃんと説明しよう?わたしも一緒にお話するから、ね?」

 

 マジか!

 ゆりねと仲良しのメデューサなら多分説得できるはずですの!

 

「頼むぞメデューサ、お前だけが頼りだ!」

 

 やっぱり私にはお前が必要なんですの!

 

「う、うん!任せておいて!」

 

「さぁ、一緒に帰りますのー!」

 




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