転生メデューサの日常   作:ぺかちゅう

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第18話 散歩していると

 こんにちは、メデューサです。

 この前ゆりねさんが貰ったマンドラゴラのおもちゃは、邪神ちゃんがゆりねさんを殺そうとした時に踏み潰して壊してしまったそうです。

 それのお仕置きに出くわしたときは何事かと思いました……。

 石抱なんて拷問を実際に見る時がくるなんて……。原作でもやってたような記憶がありますが、リアルで見たときは凄い衝撃でした。

 

 

 それと、ミノスの引っ越しも終わりましたよ!

 歓迎会はすっごく楽しかったし、邪神ちゃんたちと一緒に準備をするのも楽しかったなぁ。

 引っ越してすぐ、ミノスは牛乳配達のアルバイトを始めたみたいです。時々牛乳をおごってくれます。

 

 

 さて、今はお散歩中に邪神ちゃんとゆりねさんに出会ったので一緒に歩いて帰っているところです。

 

「この前カエルが部屋にいてさー」

 

「邪神ちゃん平気だったの?たしか、カエルがすごく苦手だったんじゃ……」

 

「どうにか部屋から脱出したあとに、ゆりねがやっつけてくれたんですの」

 

「へぇ、よかったね邪神ちゃん!」

 

「あの時ばかりはゆりねに感謝してやりましたの~」

 

 ……ん?

 そういえば、原作でもそんなエピソードがあったような。

 たしかあのエピソードのオチって……カエルの唐揚げ……。

 

「あ、あの……ゆりねさん……」

 

「なに?」

 

「その時の夕食って……」

 

「久々に私が作ったのよ、なかなか美味しくできたわ」

 

「たしか唐揚げを作ってくれたんですの、超美味かったんだぞー」

 

「そ、そうなんだ……。えと……邪神ちゃんを救ってくれてありがとうございました……」

 

「気にしないでいいわよ」

 

 ……知らぬが仏ですね!

 

 

 

「それにしても、今日はいい天気ね」

 

 今日は雲ひとつない空。

 朝、邪神ちゃんがウキウキしながら洗濯物を干してたのも納得だわ。

 

「そうですね。こんなにいい天気だと、なにか良いことがありそうに゛ゃっ!」

 

「メデューサー!?」

 

 ……メデューサの頭に植木鉢が降ってきた!?

 こういうのは邪神ちゃんが被害を受けるのがお約束なのに……!?

 

 

 

「うぅ……」

 

「メデューサ!しっかりしますの!」

 

「揺らしちゃダメよ、邪神ちゃん」

 

「そ、そうだった……」

 

 死んじゃったりはしないだろうけど……。

 メデューサも邪神ちゃんと同じく悪魔だし。悪い魔物って感じじゃないけど。

 

「う、うぅん……」

 

「メデューサ、大丈夫ですの?」

 

「うん、大丈夫……」

 

 メデューサ、起きるには起きたけど……。ちょっとボーっとしてるみたいね。

 

「本当に大丈夫?フラフラしたりとかはない?」

 

「はい、大丈夫です。……ゆりねさん」

 

「なにかしら?」

 

「心配してくれてありがとうございます!」

 

 ……え?

 なんでメデューサが私に抱きついてきてるの?

 

「ちょ、ちょっとメデューサ?どうしたの?」

 

「え?だって、心配してくれたから嬉しくて!」

 

 それがなんで抱きついてくることになるのかしら……。

 ……って、自分から紙袋を!?

 

「メデューサ、紙袋を取ったら他の人間が石化しちまいますの!」

 

「大丈夫だよ邪神ちゃん、他に誰もいないもん!」

 

「ちょ、ちょっとメデューサ……。頬を擦り付けないで……」

 

「えへへ~、ゆりねさ~ん」

 

 ……もしかして、頭を打って性格が変わっちゃったのかしら?

 邪神ちゃん相手なら力技でどうにかするけど、メデューサにはそういうことはしたくないし……。

 どうしたものかしら……。

 

「ゆりね、とりあえず部屋につれて帰りますの。もし人間を石化させちまったら、元に戻った時にメデューサが後悔しちゃいますの」

 

「そ、そうね……。メデューサ、一旦帰りましょう?」

 

「えぇ?大丈夫なのに~……。すりすり~」

 

 執拗に頬を擦り付けてくる……。

 

 

 

「ふぅ、これくらいで明日までの生活用水は大丈夫ですね……」

 

 食事もろくに食べてないし、天使の力を失ったぺこらでは水を備蓄するのも一苦労ですね……。

 おや、あちらから歩いてくるのは……花園ゆりねたちではないですか。

 

「あ、ぺこらですの」

 

「こんにちは、ぺこら」

 

「どうも。……あの、そちらの悪魔はどうしたんですか?」

 

 花園ゆりねにひっつくような悪魔ではなかったような……。

 紙袋も被ってないし。

 

「あ、ぺこらちゃん!」

 

「こんにち……は?」

 

 ……な、なぜぺこらが抱きつかれてるのでしょう?

 

「ぎゅー!」

 

「ど、どうしたのですか?」

 

「ぺこらちゃん、いつも頑張ってるから!」

 

 理由になってないような……。

 

「むぎゅー!」

 

「あ、あわわ……」

 

 ほ、頬同士が……!

 

「私は解放されたけど……。やっぱり早く帰りましょうか」

 

「うん、そうしますの。メデューサ、行くぞー」

 

「もうちょっと~……」

 

「いいから、帰りますの」

 

 も、もう片方の悪魔が引き剥がしてくれた……。

 

「むうぅ~。……じゃあね、ぺこらちゃん」

 

「またね、ぺこら。今日のメデューサはちょっと変になっちゃってるだけだから……気にしないであげて」

 

「は、はぁ……お大事に……」

 

「ほら、いつまでもふくれっ面になってないで……。いい加減紙袋を被りますの」

 

「もぉ、大丈夫なのに~……」

 

 ちょっとというか、これ以上ないくらい変でしたね……。

 あいつが仲間に注意されるところなんて初めてみたような?

 あ、今度は悪魔の方に抱きついた。

 

 

 

 さて、邪神ちゃんたちと部屋に戻ってきたわけだけど。

 

「まさか、芽依さんに抱きつきに行こうとするとはね……」

 

 芽依さんを見つけるやいなや走っていこうとするメデューサを邪神ちゃんが必死に止めてるのは、ちょっとおもしろい光景だったわね。

 笑ってる場合じゃなかったけど。

 

「自分から芽依に近づくなんてありえないだろ……。メデューサ、あいつに迂闊に近づくのは危険ですの!」

 

「え~?紙袋があれば石化させたりしないから大丈夫だよ、邪神ちゃん!」

 

「いや、お前が大丈夫じゃないから言ってるんですの……」

 

 たしかに、メデューサは大丈夫じゃないでしょうね。

 ……今だって私にひっついてきてるわけだし。

 

「まあ家にいれば心配する必要もないか……。とりあえず夕飯作りますの」

 

「今日は三人分お願いね」

 

「分かってますの~」

 

「ごはん作ってくれるの!?ありがとう邪神ちゃん!」

 

「包丁使おうって時に抱きついてくるのはやめろ!危ないだろ!」

 

 これは……料理するのもちょっと大変かもね……。

 

「いいわ、たまには出前取りましょ。創世記でいいわよね?」

 

「あの天使が働いてるラーメン屋か。分かりましたの」

 

「ラーメン!やったー!」

 

 ……今のやり取りのどこに、私に抱きついてくる要素があったのかしら。

 

 

 

「花園ゆりねの部屋は……ここね」

 

 まさか、出前とはいえぽぽろんちゃんの方からあの人間たちの部屋に向かうことになるなんて。

 大将は、お店に来ることは多いけど出前を取るのは珍しいなって言ってたわね。

 何かあったのかしら。

 

「こんばんはー、創世記ですけどー……」

 

「ぽぽろんちゃん!いらっしゃーい!」

 

 ……!?

 

「ちょ、ちょっと!?なに、なんなの!?」

 

 なんで悪魔がぽぽろんちゃんに抱きついてきてるの!?

 

「やっぱりこうなっちゃったか……」

 

「とりあえずラーメンを置きますの、あぶねーぞ」

 

「う、うん……」

 

「え~い!」

 

 って、ほっぺた!ほっぺたくっつけんな!

 

 

 

「ふぅん、頭をぶつけて……」

 

 頭をぶつけて性格が変わるって、なんか漫画みたいな展開……。

 

「そう。まさかメデューサがこんな風になっちゃうなんて」

 

「でもこいつが無警戒なのは割といつものことっぽい気もする……」

 

 お店に来た時もその前に会った時も、ぽぽろんちゃんとの距離が近かったし。

 

「まあそうね。メデューサは天使のぽぽろんやぺこらともフレンドリーだものね」

 

 やっぱりぺこら様とも仲良しなんだ。

 いつも気にかけてくれてるって言ってたもんな、ぺこら様。

 

「まぁいいや。じゃあぽぽろんちゃんはお店に戻るから……ほら、いい加減離して!」

 

「え~……」

 

「こいつも忙しいだろうし、我慢しますの」

 

「はーい」

 

 あ、悪魔の方にひっついた。

 

「それじゃあね~」

 

「ご苦労さま」

 

「またね!ぽぽろんちゃーん!」

 

「耳元で叫ぶなメデューサ!……また今度ですの~」

 

 あー疲れた。

 ……なんかあいつと会うたびに疲れてる気がするな……。

 

 

 

 食事が終わってもメデューサが元に戻る気配はない。

 それどころか……。

 

「お泊りさせてくれるなんて嬉しいです!ゆりねさーん!」

 

「落ち着いて、メデューサ……。走って抱きついてこなくていいから、ね?」

 

 悪化してきてるような……。

 さすがにこれじゃ、一人の部屋には帰せないわよね……。

 

「お風呂沸きましたの~」

 

「ありがとう邪神ちゃん!」

 

「メデューサ、さっきも言ったけど部屋の中で走ってきたら危ないですの……」

 

「そうだゆりねさん、一緒に……」

 

「それはダメよ」

 

「えー……」

 

 駆け寄ってきてもダメなものはダメ。

 

 

 ……あら、チャイム?

 

「はーい」

 

「ミノスだけどー、バイトから帰ってきたらこっちからドタバタ聞こえてきてさ。心配になって見にきたんだけど……なんかあった?」

 

「あ、ミノスー!」

 

 メデューサがミノスに向かって走っていった。

 さらに混乱が広がるのかしら……。

 

「おっとと……。どうしたメデューサ?いきなり抱きついてきたりして」

 

「えへへ~、ミノス~!」

 

「よしよーし……」

 

 ……想像してたのと違う反応。

 抱きつかれても、頬を擦り付けられても全然動じてない。

 

「ゆりねちゃん、メデューサのやつ頭でもぶつけちゃったのか?」

 

「ええ。夕方、外を歩いてる時に頭上から降ってきた植木鉢が直撃して……」

 

「夕方からずっとってこと?そりゃまた……いろんなやつに抱きついて大変だっただろ?」

 

「どうなってたのか分かるの?」

 

「まぁ、前にもあったことだしな。魔界学校の頃にさ、教室のみんなに抱きついていって」

 

「そうだったのね」

 

 ん?だけど……。

 

「邪神ちゃんは、メデューサがこうなっちゃうことを……」

 

「知ってるはずだぜ?別に驚いてはいなかっただろ?」

 

 ……言われてみれば。心配はしてたけど動揺してるって感じじゃなかったわね。

 

「こうなると何をしでかすかわからないからな、さすがの私でも物凄く心配でしたの……」

 

 

「でもずいぶん長いことこの状態だったんだな、いつもはすぐ戻るんだけど」

 

「戻す方法はないの?」

 

 違和感の塊だから早く元に戻って欲しいんだけど……。

 

「ある、っていうかなんていうか……」

 

「どういうこと?」

 

「もっかい頭をぶつけりゃすぐ戻るよ。でもなぁ……」

 

「メデューサの頭を殴りつけるってのはどうにも罪悪感があるんですの……。特に今の状態だと……」

 

 あぁ、そういうこと……。やっぱり、邪神ちゃんたちもメデューサを殴るのは気が引けるってわけね。

 

「ま、今のメデューサは注意力散漫だから。そのうち足でも滑らせて頭ぶつけるだろうし……」

 

「気長に待ちますの」

 

「え~?私そんな簡単に滑ったりしないよ゛っ!?」

 

 ……。

 

「簡単に……」

 

「足を滑らせて……」

 

「頭をぶつけましたの……」

 

 

 

「ん……」

 

 ……あれ、私……どうしてたんだっけ。

 

「おっ、起きたな。よかったよかった」

 

「メデューサ、大丈夫ですの?」

 

「う、うん」

 

「メデューサ、大丈夫?あなたさっきまで……」

 

 さっきまで?さっきまで……。

 あ、あわわ……!

 

「ごめんなさいゆりねさん!私ゆりねさんにたくさんご迷惑を!」

 

「え、えぇ……大丈夫よ……。邪神ちゃん、メデューサはさっきまでのこと……」

 

「覚えてるはずですの」

 

「うわ、顔が真っ赤だなメデューサ……」

 

 だって、だっていろいろやらかしちゃったんだもん!

 

「邪神ちゃんとミノスも、ごめん!」

 

「怪我したとかじゃないんだから大丈夫ですの」

 

「あたしも最後にひっつかれただけだしな、気にすんなよ」

 

「みんな、ホントにごめんなさい!」

 

 ……そうだ、ぺこらちゃんとぽぽろんちゃんにも謝ってこなきゃ!

 

「私、ちょっと出かけてきます!ゆりねさん、お邪魔しました!」

 

 

 

 メデューサはほんとに生真面目だな、これから謝罪行脚か。

 ま、今日はゆりねちゃんが一番大変だっただろうな。あの状態のメデューサを見るのは初めてだったみたいだし。

 あたしも一緒にいる時だったらよかったんだけど。

 

「考えてみれば、メデューサって邪神ちゃんにはいつもああいう感じなのよね」

 

「なんのことですの?」

 

「今日のメデューサのことで、ね」

 

「あぁ、たしかにあの状態だと半端ねー危なっかしさですの……」

 

「いや、そこじゃなくて」

 

「……?じゃあ、どこなんですの?」

 

 なんか二人の会話が噛み合ってねーな。

 ……あぁ、邪神ちゃんがいつも抱きつかれてることについて言いたいのか。

 

「ゆりねちゃん。邪神ちゃんはさ、普段メデューサが抱きついてくるのは自分に対してだけじゃないって思ってるから」

 

「ああ、そういうこと。だから私やみんなが抱きつかれてても全然驚いてなかったのね……」

 

「おーい、ああいう感じってどういう感じですの?」

 

 

 

 なんかゆりねとミノスだけでコソコソ話しだして、私だけ蚊帳の外にされてますの……。

 

「ちょっと!二人とも、なんの話をしてるんですの!?」

 

「んー?邪神ちゃんとメデューサが仲良しだなって話だよ」

 

「そう、二人が如何に仲良しなのかって再確認してたのよ」

 

 はぁ?なんであいつが無用心になると私たちの仲の良さが分かるんですの?

 

「適当なことを言って誤魔化さないでほしいですの!」

 

 ……あれ?

 な、なんですの?そのやれやれとでも言いたげな表情は……。

 

「全然分かってないっていうのが……」

 

「二人の距離の近さの証明だよなぁ……」

 

「だからー!一体何のことなんですの!?」

 




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