転生メデューサの日常   作:ぺかちゅう

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第19話 シリアスな邪神ちゃん

 こんにちは、メデューサです。

 頭をぶつけてしまった後、ぺこらちゃんとぽぽろんちゃんに謝りに行ったのですが……。

 二人とも許してはくれました。でも、ぽぽろんちゃんの目をそらしながらの対応はなんというか……やってしまった感が凄かったです……。

 どうして私、頭をぶつけると時々ああなっちゃうんだろう……!でも、みんなに抱きつくのは幸せだった……いえ、なんでもないです!

 

 

 さ、さて!今は久々の古本屋さん巡りを終えて帰っている途中なのですが!

 正面から邪神ちゃんが歩いてきました。なんだかシリアスな表情……。

 

「邪神ちゃん!」

 

「……ん?メデューサか、散歩中ですの?」

 

「うん、古本屋さんに行ってきたの。邪神ちゃんは?」

 

「これからパチンコですの。小遣いの残りが少ないから、どの台で勝負をかけるか考えてたんですの」

 

「そ、そうなんだ……」

 

 ……邪神ちゃんにとってはシリアスな悩みなんでしょう、多分。

 

「っと、そろそろ戦場へ赴かないといけませんの。じゃあなメデューサ、頭上に気をつけて帰れよー」

 

「うん、またね邪神ちゃん」

 

 邪神ちゃんは大勝負に向けて表情を引き締め、パチンコに向かいました。

 頭上注意……。何度もみんなに迷惑を掛ける訳にはいきませんからね、邪神ちゃんの言うとおりです。

 

 

 

 邪神ちゃんと別れてしばらく歩いていると、スマホに電話がかかってきました。

 ミノスからですね、珍しい。

 

「はーい。ミノス?」

 

『メデューサ、今電話大丈夫か?』

 

「うん、大丈夫。今は外だけど、もう家に帰るだけだから」

 

 なんの用事でしょうか?

 ミノスの声色からして、こっちもシリアスな展開ではなさそうだけど。

 

『そっか、じゃあちょうどいいや。今ゆりねちゃんの部屋にいるんだけどさ、こっちに寄ってほしいんだ』

 

「わかった、ゆりねさんの部屋に行けばいいんだね?」

 

『おう、待ってるからなー』

 

 

 

「よっし、メデューサなら多分覚えてると思うぜ」

 

 メデューサとの通話を終えたミノスがそう告げる。

 

「悪いわねミノス、部屋に来て貰った上にメデューサまで呼んでもらっちゃって」

 

「気にしなくていいよ、大したことじゃないしな。でも邪神ちゃんの本名か、あたしも教えてもらった記憶はあるんだけどなー」

 

「私が邪神ちゃんに直接聞いた時には俯いちゃったの。あんまり教えたくないのかしら?」

 

「いや、そんなことは無いと思うぜ」

 

 じゃあ人間の私にだけは知られたくないとか?

 邪神ちゃんにもそういう繊細なところが……あるわけないか。

 

 

 

 ……チャイムの音。到着したみたいね。

 

「こんにちはー」

 

「お、きたきた!」

 

「いらっしゃいメデューサ。上がってちょうだい」

 

「はい、お邪魔しますね」

 

 

 

 あたしは覚えてないけど、まあメデューサなら覚えてるだろ。

 なんたって邪神ちゃんのことだからな。

 

「それで、どうしたのミノス?」

 

「あぁ、邪神ちゃんの名前がさ……」

 

「邪神ちゃんの名前?」

 

「ええ。私が邪神ちゃんにフルネームを教えてって言ったんだけど、俯いて答えてくれなかったのよ」

 

「そうなんですか。さっき邪神ちゃんと会いましたけど、多分……名前のことと俯いてたことは関係ないんじゃないかなぁ」

 

「そうなの?」

 

「はい。邪神ちゃん、どの台で勝負するかで悩んでただけみたいですから」

 

 パチンコのことで悩んでただけってことか……。

 すげー呆れてるな、ゆりねちゃん。

 ま、それも邪神ちゃんらしいよな。

 

「あれ、でもミノスに教えてもらえばよかったんじゃ?」

 

「それがさぁ、あたしも忘れちゃって。教えてもらったのは覚えてるんだけど」

 

「メデューサなら絶対忘れてないって、ミノスのお墨付きをもらったのよ」

 

「邪神ちゃんのことならメデューサに聞くのが一番だからな!」

 

「はぁ、なるほど……?分かったような分からないような……。邪神ちゃんのフルネームはですね、邪神……」

 

 

 

 くっふぅ~!完敗……いや、惜敗ですの!

 どうして別の台で勝負をかけなかったんだ私は!

 ん、あれは……?

 

「あ、肉じゃがだ」

 

「ぽぽろんちゃんじゃん、オッスメッス!出前ですの?」

 

「だから、今はのえる……まぁいいや。そうよ、今は届け終わった帰り」

 

「真面目にやってんだなー、褒めて遣わしますの」

 

「悪魔に褒められてもなぁ……」

 

「この私が褒めてやってるんだから、ありがたく頂戴しとけば良いんですの」

 

 仮に私に褒められたのがメデューサなら、それこそ涙を流さんばかりに……さすがにそれほどではないか。

 

 

「それにしても、この前は助かりましたの」

 

「この前って……あぁ、あの悪魔がおかしくなったときの?」

 

「そうそう、包丁使うのが怖いくらいだったんですの」

 

 周りを気にせずはしゃぎ回られるとさすがになぁ……。

 ま、ああいう無邪気なメデューサも嫌いじゃないけどな。

 ……いや、無邪気なのはいつものことか?

 

「ふーん、そんなんだったんだ。でも、あんたは随分冷静だったように見えたけど」

 

「メデューサがあんな感じになるのは初めてじゃなかったんですの。魔界学校の時に一度な~」

 

「へえ、その時もあんな感じだったの?」

 

「うん。他の奴らが話してるところにまで突っ込んでいったりして、超大変だったんですの」

 

「なんていうか、容易に想像できるわ。人懐っこそうな雰囲気がすごかったもん」

 

「人懐っこいのは普段からだけどな、スキンシップが多いのもいつものことだし」

 

「ぽぽろんちゃんが初めて会ったときには、すごい剣幕で怒られたけどね」

 

「それは、初対面でメデューサの数少ない地雷を踏み抜いたお前が凄いんだと思いますの。誇っていいぞ!」

 

「全然嬉しくない……」

 

「あ、そういや私もお前に初対面で地雷踏み抜かれてましたの。ぽぽろんちゃんは地雷処理の達人だな!」

 

「これっぽっちも嬉しくない……」

 

 

 

「……っていう名前なんですよ!」

 

「そ、そうなのね……」

 

「そうだった、名前が長すぎて覚えられなかったんだ……」

 

 やっと終わった……。

 まさか名前を聞くだけで一時間もかかるとは思わなかったわ。

 だけどそれを淀みなく、しかもそらで言えるメデューサも凄いわね……。

 

「でもあたしの言うとおりだったろ?メデューサなら絶対覚えてるって」

 

「そうね。それに全部言い切るのも凄いわ、私だったら絶対途中で面倒になって教えるのをやめてたと思う」

 

「えぇ?そんなに凄いことなんでしょうか……?」

 

 この反応……。この前、私たちが抱きつかれるところを見ていた邪神ちゃんと似てるわね。

 

「なんだかんだ言って、メデューサと邪神ちゃんは似てるのかもね」

 

「えっ、そうですか?えへへ、なんだか照れちゃいます」

 

 ……邪神ちゃんと似ているって言われて照れちゃうのも中々よね。

 

 

「ただいまですのー」

 

 邪神ちゃんが帰ってきた。

 名前も聞き終わったしちょうどいいタイミングだわ。

 

「おかえりなさい、邪神ちゃん!」

 

「おかえりー」

 

「あれ、メデューサとミノス。どうしたんですの?」

 

「私が呼んだのよ」

 

「邪神ちゃんのフルネームを知りたかったんだって」

 

「ふーん。で、教えてもらえたんですの?」

 

「えぇ。メデューサからちゃんと聞いたわ」

 

 曖昧にしか覚えてないけど。

 多分、フルネームで呼ぶことは一生ないでしょうね。

 

 

 

「それにしてもメデューサはすげーな、あの長い名前をスラスラ言えちゃうんだもん」

 

「え、そう?」

 

 メデューサのやつキョトンとしてますの。

 

「あたしは覚えられなかったからなー」

 

「あれだけ長い名前だし、覚えきれなくてもしょうがないわね」

 

「私の名前ってそんなに覚えづらいんですの……?」

 

「私は覚えづらいなんて思わないけど……」

 

「そうだよなメデューサ!?」

 

 覚えづらい名前なんかじゃないよな!?

 

「まあ、メデューサが覚えててくれたんだからいいんじゃない?」

 

「そうそう、覚えてくれる相手がいるってのが大事なんだぜ?」

 

 それはそうかもしれないけど……。

 

「なんか、ごまかされてる感がすごいですのー!」

 




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