転生メデューサの日常   作:ぺかちゅう

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第2話 人間界にて

 こんにちは、メデューサです。

 邪神ちゃんからの電話を受けて人間界にやってきました。

 久しぶりに邪神ちゃんに会えると思うととっても嬉しい!

 

 

 わくわくしながら神保町へ向かいます。原作だとこのときに道を訪ねた人間を一人石化しちゃっていたような……。

 そのためにもガイドブックをしっかり読んできたので大丈夫!

 時間が経てば戻るとはいえ、人間を石化させるのはいい気分ではありませんからね。

 頭にはもちろん紙袋。難儀な能力ですけど、日傘代わりとでも思って我慢我慢。

 暗めのサングラスとかどうなんだろう?じっくり見つめなければ外から見えづらいし……今度試してみようかな?

 

 

 ゆりねさんと邪神ちゃんの住むアパートに向かっている間にも、ツイ●ターのDMでゆりねさんの強さについて邪神ちゃんが伝えてきます。

 曰く、必殺技のドロップキックも人間界の陶磁器メーカーから名を借りたロイヤルコペンハーゲンも通用しないうえに反撃で簡単にぶった切られる。

 曰く、指を指すだけで刺してくる。

 曰く、公共の場で舌打ちすると刺してくる。

 ……まさにバイオレンス。

 でも、会ってみなければ実際どうなのかなんてわかりません。この目で直接確かめなけれ……ば……。

 あれ?そういえば原作のゆりねさんってどうしてメデューサちゃんが直接見ても石化しなかったんだっけ?

 ……そうだ、アイテム!石化防止のアクセサリー!

 邪神ちゃんから聞き出した私の名前から推測して、前もって石化防止のアクセサリーを用意してたんだ!

 呼ばれたのが嬉しくて急いで人間界まで来ちゃったけど、ゆりねさんアクセサリー持ってるかな?

 もし持ってなかったら……。大丈夫かな、ゆりねさん……。

 あ、またDM。……合言葉?サンバのリズムで……。

 

 

 

 ゆりねも出かけたし、あとはメデューサを待つだけですの。

 それにしても勘違いして宅配便の人に怒鳴りかけたのは恥ずかしかった……。

 

「こんにちは~」

 

 来ましたの!今度は間違えないようにドア上部の覗き穴から確認……。

 ……誰?……紙袋?

 

「……サンバのリズムで?」

 

「カニバリズム」

 

 よし!……まさかノリで決めただけの合言葉を使うことになるとは……。

 

「待ってましたの!メデュー……うぉあ!」

 

「邪神ちゃーん!」

 

 ぐえぇ……抱きつくにしても勢い良すぎですの!

 

「おち、落ち着きますの……」

 

「ぎゅー!……あっごめんね邪神ちゃん」

 

 分かってはいたけど、久々だとびっくりしますの……。

 

 

 

 思わず抱きついちゃいました。

 久しぶりなんだからしょうがないということで!ごめんね邪神ちゃん。

 

「上がって上がって」

 

「おじゃましまーす」

 

「その紙袋はなんなんですの?」

 

「人間対策。人間は私と目が合うと石になっちゃうから……」

 

「魔物同士なら大丈夫なんだからとりますの」

 

「うん」

 

 ふぅ、やっぱり紙袋は無いほうがいいですね。ほんとに難儀な能力だなぁ……。

 ここがゆりねさんの家……。当たり前だけど原作といっしょだ、謎の感動がありますね。

 ……?なんだかニオイが……。

 

「さてさて、早速作戦を……何してるんですの?」

 

「あー!邪神ちゃん、また食べ物をしまってる!」

 

 ゆりねさんが使っているであろう机の引き出しに、おにぎりとサンドイッチが……。

 

「ふふん、きちんと整理整頓済みですの!」

 

「クリアファイルにサンドイッチって……相変わらずだね邪神ちゃん……」

 

 邪神ちゃんが時折見せる謎のこだわり……。

 悪魔としてなら理解できるかと思ったけど、別にそんなことはなかったです……。

 

「乾くと良くないからな!食べ物を粗末にするのはいけませんの!」

 

「大事なことだとは思うけど、だったらしまっておかないで早く食べようよ!」

 

「お腹いっぱいなのに無理して食べるのは食べ物に失礼ですの!……ってそんな事はいいんですの、早く対ゆりねの作戦を」

 

「邪神ちゃん、足音が聞こえるよ?」

 

「も、もう帰ってきちゃいましたの!?明日の朝に待ち合わせればじっくり作戦を練れたのに!」

 

 ゆりねさんが帰ってきたんだ、どんな人なんだろう?

 

 

 

 と、とにかく作戦開始ですの!

 

「いいかメデューサ!お前は出会い頭にゆりねと目を合わせて石化させますの!そこを私のドロップキックで粉々ですの!」

 

「え、えぇっ!?いきなりそんな卑怯な策を!?」

 

「卑怯ではない!先手必勝というものですの!お前には想像もつかない作戦だろうがな!」

 

「ううん、邪神ちゃんならやると思った」

 

 ……メデューサはこういうところがありますの……。変なところで察しが良いというか……。

 

「でも私、人間を石化させるのはやっぱり……」

 

「悪魔が何言ってますの!さあスタンバイ!ガ●ダム風に言うとスタンバりますの!」

 

「ただいまー」

 

 あばよゆりね!最期にお前の発した間抜けな声は忘れませんの!

 ……やっぱりすぐ忘れてやりますの!

 

「おかえりですの~!もう来てますの、この子が……お前の息の根を止める布石ですの!」

 

 勝った!勝ちましたの!

 

「可愛い子ね、確か……メデューサよね。私ゆりね、よろしくね」

 

「あ、よろしくおねがいします。……あの、こっちであってますよね?」

 

「あなたからみてちょっと右ね……うん、そのへん」

 

 ……なんか普通に会話してますの。右とかなんのことですの?

 

 

 

 紙袋は間に合わなかったけど、とにかく目を見せないようにしないと……。

 対策してくれてるかわからないし……。

 

「あー!なんで目をつぶってますの!必殺のコンビネーション殺法が!」

 

「だって私、人間を石化させるのいやだもん!」

 

 邪神ちゃんは大好きだけど、私にも譲れないものはあるのです!

 

「大丈夫よメデューサ、目を開けても」

 

「え、でも私の目は……」

 

「対策はバッチリだから」

 

「は、はい……」

 

 恐る恐る目を開くと、ゴスロリ服を身に纏った絵に描いたような美少女が立っていました。……漫画では絵だったけど!

 

「あなたがゆりねさん……あ、改めまして、私メデューサといいます。今後ともよろしくおねがいします」

 

「こちらこそ。邪神ちゃんと違って礼儀正しいのね」

 

 気だるげな表情とちょっと鋭い目つきでとっつきづらそうに見えるけど、優しい声色です。

 想像していたとおり……ううん、想像よりも素敵な人みたい。

 

「なんでメデューサとゆりねが親交を深める感じの展開になってますの!」

 

「その、人間相手にちゃんと目を見せて話せるのが嬉しくて」

 

 原作で大丈夫だったからって目の前のゆりねさんがそうとも限らないし、やっぱり不安なものは不安でした。

 

「あの、ゆりねさんはどうして私と目を合わせても石化しないんですか?」

 

「これよ」

 

 ゆりねさんが手首につけているのは……アクセサリー!

 

「石化防止のパワーストーン。アキバの露天商で買ってきたの」

 

 アキバの露天商すごい!

 

「ば、バカな……なぜゆりねは私の友人が石化能力をもっていると気づいたんですの……」

 

「あんたが教えてくれたんでしょ、友だちの名前はメデューサだって」

 

「あ……!」

 

「石化する能力をもってることぐらい想像つくわよ」

 

 邪神ちゃん……相変わらずバ……素直なんだね……。

 

「ところで邪神ちゃん……必殺のコンビネーション殺法とやらが不発に終わったけど」

 

「こ……こ……これはメデューサが立てた作戦ですのー!」

 

 えっ。

 えっ。

 

「私は嫌だって言ったのにさっさとゆりねを殺してしまえってメデューサがー!」

 

「あんたって子は……メデューサ?」

 

「ひ……ひ……ひどいよ邪神ちゃーん!」

 

「へぶー!」

 

「腰の入った見事なビンタね」

 

「パチンコ代をせびられたりならしょうがないと思ってたけど……」

 

「しょうがなくないわね」

 

「人様を傷つけようとした上に誰かに責任をなすりつけるなんて……こんな……こんな……!」

 

「い、いやあの……。その、つい勢いで……」

 

「絶対責任をなすりつけてくるとは思ってたけど!」

 

「思ってたんかーい」

 

 ……思ってました。原作知識とかじゃなくて邪神ちゃんだし……。

 どうでもいいけどゆりねさんの平坦なツッコミ、癖になりそうです。

 

「さて、邪神ちゃん……帰還の呪文を探すのを待ってなさいって言ったわよね?」

 

「は、はい……」

 

「分かってるわよね?」

 

「じゃ、邪神ちゃん!」

 

「メデューサー!は、早く助けますのー!」

 

「ア●ンアルファは用意してあるからね!」

 

「そういうことじゃね……あ゛ー!」

 

 

 

「た、助け……血が……無くなっちまいますの……」

 

 天井から吊るして血抜き中の邪神ちゃんのかすれた声がBGMになっている私の部屋。

 目の前のメデューサは顔をひきつらせてはいるけど咎めるような雰囲気は感じない。

 

「メデューサ」

 

「はい?」

 

「邪神ちゃんって昔からこうなの?」

 

「?……あ、別に召喚されたことでクズになっちゃったとかではないので、お気になさらないでください」

 

 すぐ聞きたいことを把握するあたり、この手の質問に慣れてるのかしら。

 

「そう、気にしてないけど……元からクズだったのね」

 

「あ、あはは……」

 

「気にしろー!」

 

 この子、無闇に相手を貶めるタイプには見えないけど……。邪神ちゃんは昔からの筋金入りのクズなのね、やっぱり。

 

 

 

 邪神ちゃんが血抜きをされていることを除けば友好的な雰囲気です。

 人間と仲良くなれるのはとってもうれしい!

 

「あの、ゆりねさん」

 

「なに?」

 

「人間界での邪神ちゃんのお世話をしていただいで、本当にありがとうございます」

 

「特にお世話なんてしてないけど……」

 

「いいえ。この邪神ちゃんのために生活費を割いてくれているだけで、本当に……」

 

「このってなんですの、このって……」

 

 だって、うん……。邪神ちゃんだし……。私はそんな邪神ちゃんが大好きだけど。

 

「これからは私もお手伝いできるようにするので、よろしくおねがいしますね」

 

「これから?」

 

 そう、私は考えたんです。大好きな邪神ちゃんの近くにいる方法!それは……。

 

「お隣の部屋が空いているみたいなので、お引越しすることにしました」

 

 そう、原作のミノスの真似っ子です!いずれはミノスと同居したりできるかも!

 

「そういえば空室だったわね。それじゃ、これからはお隣さんになるのね」

 

「はい、よろしくおねがいしますね!」

 

 

 

 なんか私を無視して話が進んでますの……。

 でもこれはチャンスですの。

 石化能力が効かなくても、一人で襲うよりは二人で襲った方が殺せる確率も上がるというもの!

 乗り気じゃないメデューサを言いくるめて戦力に組み込んでやりますの!

 

「邪神ちゃんがメデューサを抱き込んで私を襲わせようと思っていそうな顔をしているわね」

 

「二人で襲いかかることで勝率をあげようとしていそうな顔をしてますね……」

 

 なんで分かるんですの……。というか……。

 

「早く下ろしてくれー!血液の不足が原因でめまいや頭痛などの症状を引き起こしちまうー!」

 




読んでいただき、ありがとうございました。
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