転生メデューサの日常   作:ぺかちゅう

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第21話 ベートの小屋が

 こんにちは、メデューサです。

 

 

 今日のお昼は、キッチンジロウでした!

 そして今は、二人でお店から出てきたところ。

 一緒に食事をしてくれたのは……。

 

「美味しかったね、ぺこらちゃん!」

 

「あの、今回も奢っていただいてしまって……」

 

「気にしないで、私が一緒に食べたかっただけなんだから」

 

 ぺこらちゃんです!

 それにしてもやっぱり美味しいですね、キッチンジロウは。

 メニューは私がハンバーグライス、ぺこらちゃんはロースカツライスにエビフライのトッピング!

 ぺこらちゃんはトッピングなしでいいと言っていたのですが、あのお腹が空いていそうな様子を見てしまうと……。いっぱい食べてほしくて、ちょっと押し付けがましいと思いながらも無理やり勧めてしまいました。

 

「それじゃあまたね、ぺこらちゃん!」

 

「はい、誘っていただいてありがとうございました」

 

 

 

 さて、ぺこらちゃんと別れてアパートに戻ってきたのですが……。

 ……なんで遊佐さんがベートの犬小屋を氷漬けにしているんでしょう?

 別にベートが憎いってわけじゃないよね?第一、ベートは小屋の外にいるし……。

 ベートのために小屋を冷やしてる……とか?真夏で暑いから?

 

「げっ、メデューサ!」

 

 あ、邪神ちゃんもいました。

 

「邪神ちゃん、一体なにが……」

 

「これは別に、夏の風物詩のロケット花火でゆりねを攻撃しようとしたけど練習中の些細なミスで意図せず全部のロケット花火が暴発したわけじゃありませんの!ましてや、その火がベートの犬小屋に燃え移ってどうしようもなくなったから偶然ここに来た遊佐に消してもらったわけじゃねーぞ!」

 

「……そっか」

 

 邪神ちゃんがどうしてこうなったのかを教えてくれました……。

 そういえば、原作でも似たようなお話がありましたね。たしか焚き火で犬小屋に火がついちゃったんだったかな?

 

 

 何が起きたのかは把握したけど、遊佐さんと浩二ちゃん……じゃなくて氷ちゃんはどうしてこのアパートに来たんでしょうか?

 

「あら、メデューサさん」

 

「遊佐さん、それに氷ちゃんも。お久しぶりです、今日はどうされたんですか?」

 

 駆け寄ってきた氷ちゃんの頭を撫でながら、遊佐さんに聞いてみます。

 

「お久しぶりです。実は、ゆりねさんに用事があって……お部屋にいらっしゃいますか?」

 

「いねーよ。死んだよ」

 

「まだお昼すぎですし、大学にいると思いますよ。……夕方には戻ってくると思います」

 

「そうですか。でしたら、待たせていただきますね」

 

「無視すんなや!」

 

「だって邪神ちゃん、ウソつくんだもん……」

 

 ロケット花火でゆりねさんを攻撃しようとしてたってことは生きてるってことだし……。

 ……氷ちゃんが怒ってます。ウソだったとしても、懐いてるゆりねさんが死んじゃったって言われれば怒りたくなるよね。

 私が抱きしめてなかったら邪神ちゃんに掴みかかってましたね、多分。

 

「それじゃあ、私の部屋で待ちますか?」

 

「いいんですか?でしたらありがたく……」

 

「氷ちゃんは私の部屋で待つといいですの!」

 

「と、突然どうしたの邪神ちゃん?」

 

「いやー、今日も暑いからな。冷房が欲しかったんですの」

 

 ……ブレないなぁ、邪神ちゃん。

 

「どうする、氷ちゃん?……分かった、私の部屋で一緒に待とうね」

 

「なんでですの!?」

 

 邪神ちゃんが乱暴に接するからじゃないかな……。

 

「邪神ちゃん、そういうわけだから……。じゃあお二人とも、私の部屋に行きましょうか」

 

「はい、よろしくお願いしますね」

 

「自分の人望の無さが辛いですの……」

 

「あ、邪神ちゃん」

 

「なんですの?」

 

「火の扱いには気をつけないとダメだよ?」

 

「分かってますの!お母さんかオメーは!」

 

 

 

「どうぞ、上がってください」

 

「お邪魔します」

 

 妹と一緒にメデューサさんの部屋に上がります。

 以前お邪魔させていただいたときより、少し物が増えているように感じますね。

 

「お茶、お出ししますね。麦茶は……」

 

「ノンシュガーでお願いします」

 

「あ、はい……」

 

 すみません、でもこればかりは美味しさがよくわからないんです……。

 

 

「最近はお変わりありませんか?人間界に越してきてそれなりに経ちましたが……」

 

「そうですね。友人のミノスもこっちに越してきたりして、楽しく過ごしてますよ」

 

「ミノス、さん……ですか?」

 

「はい、ミノタウルス族の。幼馴染なんです」

 

 人間界にも悪魔が増えてきているんですね。

 

 

「それとですね、天使の子たちとも知り合いになったんですよ!」

 

「天使の方とですか?一体どこで……」

 

「片方の子はぺこらちゃんっていう名前で、ゆりねさんのお部屋で出会ったんです。私たちを駆除しに来たって言って」

 

「駆除って……。よく無事でしたね、メデューサさんもゆりねさんも」

 

「それが、ぺこらちゃんは天使の輪っかをなくしちゃってまして……。それが力の源みたいで、逆にぺこらちゃんのほうが邪神ちゃんにいじめられちゃってて……」

 

 苦笑いしながら説明するメデューサさん。

 というか、天使の輪ってなくせるものなんですね……。

 

「輪っかが再生するまでは人間界で暮らすことにしたみたいなんです。それで一緒にお食事したりするうちに仲良くなって」

 

 もともと友達をつくるのは得意なメデューサさんですけど、自分を排除しようとしてきた相手とまで仲良くできるなんて。

 ちょっと心配な気もするけれど……これもメデューサさんらしさですよね。

 

 

「もう片方の子……ぽぽろんちゃんはぺこらちゃんを探しに人間界に来たんですけど、邪神ちゃんに天使の輪っかを食べられちゃって。ぽぽろんちゃんも人間界で暮らしてるんです」

 

 ……食べられるんですね、天使の輪って。

 

「そ、そうなんですね……。その方とも?」

 

「はい、仲良く……していきたいんですけど。ぺこらちゃんと比べると距離を置かれてる感じはありますね……」

 

「それってやっぱり……」

 

「私が悪魔だからだと思います。あと、初対面で私のほうが怒っちゃって」

 

 メデューサさんが怒ることって、あまりないですよね。

 逆鱗に触れるようなことでもされてしまったということなのでしょうか?

 

「でも怒っちゃったことを謝ったら許してくれて。優しい子ですよね、いつかはちゃんとお友達になりたいって思ってるんです!」

 

「うふふっ」

 

「?」

 

 やっぱりメデューサさんらしいですね。

 

 

 

「ところで、ゆりねさんにはなんのご用で?」

 

 人間界に関することでの用事でしょうか?

 直接聞くってことは、人間の感性が必要なのかな?

 

「はい、ゆりねさんに商売の相談をしたくて……」

 

「商売ですか?」

 

 たしか、遊佐さんたちは氷屋さんを経営してましたよね。

 

「ええ。実は……」

 

 

 

 隣の部屋ではメデューサたちが楽しくお茶してるんだろうな……。

 それに比べて私は部屋で一人きりですの。

 私だけが孤独……。

 

「うぷっ!」

 

 ひ、久々に胃酸が上がってきましたの。

 このままでは不安と孤立感で気が狂っちまう……!

 とりあえずトイレに行かねば……。

 

 

 

 ……よし!

 胃酸も吐いたしガ●ター10も飲んだし、これで万全ですの。

 

「ただいまー」

 

 お、ゆりねが帰ってきましたの。

 

「おかえりですの。遊佐と浩二がゆりねに会いに来てたぞー」

 

「そうなの?なんの用だったのかしら?」

 

「二人ともメデューサの部屋で待ってるから、今電話で呼び出しますの」

 

 時間を見計らってこっちにくるって言ってたけど、特別に私の方から教えてやりますの。

 

「いいわよ、私が行ってくるから。邪神ちゃんは留守番を……」

 

「私も行きますの」

 

「そう?普段は誘っても面倒だからとか言って待ってるのに……どうかしたの?」

 

「一人だとまずいんですの。……ガ●ター10の在庫が切れたからな」

 

「は?」

 

 

 

 意味不明の理由でついてきた邪神ちゃんと一緒に、メデューサの部屋の前までやってきた。

 ただの人間の私になんの用事なのかしら。

 

「こんにちは」

 

「はーい。……あ、ゆりねさん!どうぞ上がってください」

 

「メデューサ、お邪魔するわね。……遊佐さんと氷ちゃん、お久しぶりです」

 

「お久しぶりです。早速ですけど、今日はゆりねさんにお願いがありまして……」

 

「お願い、ですか?」

 

「実は魔界での商売が不景気なので、人間界でアイスを販売しようと考えているんです。それで、人間のゆりねさんに試食をしていただけないかと」

 

 なるほど、それで人間の私に会いに来たのね。

 ……パッケージかわいい。

 

「ええ、私でよければ。ところで、不景気って普段はなにを?」

 

「遊佐さんたちは氷屋さんをやってらっしゃるんですよ」

 

 邪神ちゃんに膝枕をしながらメデューサが教えてくれた。

 

「そうなんです。でもなぜか地元では全然売れなくて」

 

「地元?」

 

「その、氷族の方の地元は氷だらけの寒い地方でして……」

 

 ああ、そういう……。

 

「そんなところじゃ氷なんて売れるわけねーですの……」

 

「……ああ、なるほど!全然気づきませんでした」

 

「お前のねーさんバカなんですの?」

 

 邪神ちゃんにそう聞かれた氷ちゃんも、ちょっとだけ呆れた感じの表情。

 

「あはは……。遊佐さんはちょっと商売が苦手なだけなんですよ?」

 

 メデューサが苦笑い気味にフォローしてきた。

 商品の質は間違いないだろうし……。実際に売るのだけが苦手なのね、多分。

 

「せっかくですので、メデューサさんと邪神ちゃんさんも食べてみてください」

 

「いいんですか?じゃあ遠慮なく……」

 

「いただきますの~」

 

 

 

 さてさて、どんな味ですの?

 ……こ、これは!

 

「凄く美味しいわ」

 

「絶妙な甘さですの」

 

「なめらかな食感もいいですね!これはなんの味なんですか?」

 

「バジリスクの毒液です」

 

 ふむ、バジリ……!?

 

「バジリスクって、そばを歩いただけで生き物が死ぬアレか!?そんなのをアイスにするって何考えてるんですの!?」

 

「大丈夫ですよ、処理はしてありますから」

 

 そりゃそうか。まぁ私もメデューサも死んでないしな。

 ゆりねも……当然死んでないよな。……残念。

 でも処理が必要なものを使ってるなら先に言ってほしかった……。

 畳に噴き出しちまいましたの。これは掃除が大変ですの……。

 

「おい、大丈夫かメデューサ?」

 

 思いっきり咽てる……。

 仕方ない、背中を擦ってやろう。感動で咽び泣くがいいですの。

 

「あ、ありがとう邪神ちゃん……」

 

 

「それにしてもバジリスクの毒液なんてよく取ってこれましたの……」

 

「はい。そのせいで費用がかかってしまったので……」

 

「かかってしまったので?」

 

「このアイスは一個百万円で売ろうと思っているんです!」

 

 ひゃく……まんえん?

 

「売れますかね?」

 

「売れないんじゃないですかね……」

 

「き、厳しいかと……」

 

「売れるわけねーですの!」

 




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