転生メデューサの日常   作:ぺかちゅう

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第23話 引っ越してきたペルセポネ二世

 こんにちは、メデューサです。

 

 

「サンキューなメデューサ。わざわざ手伝いに来てくれて」

 

「ううん、気にしないで!」

 

 今日は、ミノスの部屋のお片付けを手伝いに来ています。

 二世ちゃんが虚弱体質を治すために、人間界のミノスのお部屋で暮らすことになったんです。

 別に今日来るというわけではないそうだけど、ある程度片付けておいたほうが楽ですからね。

 

「そういえば、どうして私の部屋じゃないのかな?私もミノスと同じで、一人暮らしだけど……」

 

 ミノスの方が積極的に身体を鍛えているからでしょうか?

 

「あたしも気になって二世に聞いてみたよ。先生から、メデューサだと二世を甘やかしちゃいそうだって言われたんだとさ」

 

「な、なるほど……」

 

 ……否定できないです。

 猫可愛がりしちゃうかも……。

 いえ、しちゃいますね間違いなく!

 

「あと、あたしの方が運動してそうだからだって。一緒に行動させて、より健康的になってほしいみたいだな」

 

「あぁ、それならたしかにミノスが適任だね」

 

 やっぱりそういうのも関係してるみたい。

 私もお散歩したりはするけど、積極的に運動するという感じではないですからね。

 

 

 

「それで、二世ちゃんはいつこっちに来るの?」

 

「明後日だってさ」

 

「え、明後日?ずいぶん急だね……」

 

 メデューサも驚いてるな。そりゃそうか、あたしも結構びっくりしたし。

 

「身体のことでもあるし、早いほうがいいって考えたのかもな」

 

「そうかもね。……よし、これでだいたい大丈夫かな!」

 

「おう。あとは、この後よっぽど散らかさなければ大丈夫だな」

 

 そんなに物が多い部屋ってわけでもないけど、やっぱり手伝ってもらうと効率が違うな。

 あたし自身、話しながらのほうが黙々と作業するよりも性に合ってるし。

 

「メデューサ、今日はありがとな!」

 

「うん!それじゃ私は戻るから、また手が必要なときはいつでも呼んでね!」

 

 

 

 さて、ミノスの部屋を片付けてから二日が経ちました。

 予定では今日が、二世ちゃんがこっちに引っ越す日。

 ミノスは二世ちゃんを迎えに出発するまで暇だからということで、私の部屋で一緒に過ごしています。

 

「そろそろこっちに着く頃かな。……私も一緒に迎えに行こうか?」

 

「いや、大丈夫。車もあるし」

 

「車……」

 

 愛用のリヤカーで迎えに行くみたいです。

 二世ちゃんを乗せるのかな?……あ、荷物とかがあるからそれ用かな?

 まぁそれは置いといて。

 

「分かった、じゃあ二世ちゃんによろしくね。……といってもすぐ顔合わせするだろうけど」

 

「ああ。じゃあ、行ってくるぜ」

 

 

 

「い、いけない!お店に戻らなきゃ!じゃあねー!」

 

「う、うん。あ、ラーメン代とクリーニング代を……行っちゃった」

 

 握手に応じようと思わず差し出した手を引っ込めて、悪魔の元から急いで走り去った。……別に逃げたかったわけじゃないけど。

 

「ペルセポネ二世か……。変な悪魔だったなぁ」

 

 魔族のくせに、天使のぽぽろんちゃんと友だちになりたいなんて。

 あんな変なやつぽぽろんちゃんの周りには……いたなぁ、あいつが。

 それにしても、無意識とはいえ悪魔と握手しそうになるなんて。

 

「ま、どうせ始末するために仲良くしてみせるだけだしね。握手なんてする必要ないもーん」

 

 そう、悪魔相手の握手が嫌だから拒んだだけ。……別に騙してる罪悪感なんてないし。

 

「……あれ?」

 

 前の方から……。

 

「きゃああ!ぽぽろ……じゃなかった、のえるちゃん!?」

 

 魔族のくせに天使と仲良くしようとして、いつもぽぽろんちゃんに構ってくる変なやつ。そいつが血相を変えて駆け寄ってきた。

 ……紙袋をかぶってるから表情は見えないけど。

 

 

 

 ミノスが出発した後、やることがなくなった私は散歩にでかけていました。

 その最中にぽぽろんちゃんを見つけ、急いで駆け寄りました。

 なぜなら……。

 

「のえるちゃん、大丈夫!?どこを怪我したの!?」

 

 そう、ぽぽろんちゃんの服が血まみれになっていたからです……!

 

「あの、これは……」

 

「とにかく手当てを……。私の部屋が近いから、とりあえずおぶさって!」

 

「いや、自分で歩けるし……」

 

「いいから!行こう!」

 

 無理して大丈夫だって言ってるみたいだけど、急いで部屋に戻らなきゃ!

 

 

 

 そんなわけで、ぽぽろんちゃんを背負って部屋まで走ってきたのですが……。

 

「……えっと。その……早とちりしちゃってごめんなさい!」

 

「ほんとよ、まったく……」

 

 全部私の勘違いだったみたい……。

 服に染み付いていたのはぽぽろんちゃんの血じゃなかったし、当然怪我もしてませんでした。

 すれ違いざまに二世ちゃんが吐いた血が、エプロンにかかっちゃったんだそうです。

 そして出前箱を持ってるということは、出前の途中だったということで……。

 

「お仕事の邪魔をしちゃったよね……。本当にごめんね……」

 

 というか、どんな怪我なのかを聞かずに背負うのもダメでしたよね。実際は怪我をしていなかったからよかったとはいえ……。

 反省点ばかりで、もう謝ることしかできません……!

 

「はぁ……いいわよ、もう。ラーメン届けたら今日はおしまいでいいって言われてたからさ」

 

 そう言われて顔をあげると、すっごく微妙そうな表情のぽぽろんちゃん。

 

「ていうか、そこまでヘコまれると怒る気も失せちゃうじゃん……」

 

「ごめん……じゃなかった、許してくれてありがとう」

 

「ふんっ……」

 

 ……そういえばこれ、原作でもあったことですよね。

 ぽぽろんちゃんと二世ちゃんが初めて出会うお話だったはずです。

 まあ、それはさておいて。

 

「今日はおしまいってことは、急いでるわけじゃないんだ」

 

「そうよ、お金とかはお店に戻ったときでいいし。住み込みの強みよね」

 

「そっか。じゃあ、お詫びになにか……そうだ!エプロンの洗濯だけでもさせて?」

 

「はぁ?なんでそんなことされなきゃいけないの?」

 

「血だらけの服着てるをほっとくのは嫌だから!」

 

「別に大丈夫だって……まぁいいや。じゃあお願いね」

 

「洗わせてくれるの?」

 

 受け入れてくれるなんて、ちょっと意外です。

 自分で言い出しておいてアレだけど。

 

「どうせ洗わせてもらえるまで食い下がるんでしょ?」

 

「うん」

 

「……」

 

 

 

 目の前に座ってるこいつにぽぽろんちゃんのエプロンを洗濯してもらって、ついでにお茶を出してもらったわけだけど……。

 

「ねぇ」

 

「なぁに?」

 

「何がそんなに嬉しいわけ?」

 

 別に見返りがあるわけでもないのに。

 

「え、そんなに嬉しそうに見える?」

 

「見える」

 

 なんていうか、ハッピーです!って雰囲気がすごく出てる。

 

「うーん、誰かと一緒にいられるのが嬉しい……のかな」

 

「その誰かが天使でも?」

 

「それは関係ないかな、私にとっては」

 

 ……やっぱ変なやつ。

 

 

「ごちそうさま。それじゃ、ぽぽろんちゃんは帰るから」

 

「あ、うん。洗濯物は私が届けに行っても大丈夫?」

 

「それでいいよ。……じゃ、またね」

 

「……うん!」

 

 またね、か。

 ……悪魔相手に何やってんだろ。

 まぁいいや、さっさと帰ろっと。

 

 

 

 さて、二世ちゃんが引っ越して来てから数日が経ちました。

 今日はミノスと二人でゆりねさんのお部屋にお邪魔しています。

 二世ちゃんはゆりねさんとお出かけ中。

 スマホをいじるミノスの横で、私は邪神ちゃんの耳かきをしながら二人の帰りを待っています。

 

「邪神ちゃん、ふ~ってするよ?」

 

「わかりましたの~」

 

 耳に息を吹きかけると、邪神ちゃんが少しくすぐったそうに身じろぎます。

 こういうゆったりした雰囲気、好きだなぁ。

 

 

 ……あ、二人が帰ってきたみたいですね。

 

「ただいまー。二世ちゃんの服買って来たわよ」

 

「おかえりー」

 

「おかえりなさい」

 

「二世はどうしたんですの?」

 

 邪神ちゃんのいうとおり、二世ちゃんの姿が見えません。

 

「は、恥ずかしい……」

 

「大丈夫よ、かわいいから」

 

 ふすまの後ろに隠れていたみたい。ゆりねさんに促されて出てきました。

 

「わぁ、かわいい!」

 

「おー、いいじゃん!」

 

「豆板醤!」

 

 ……邪神ちゃんのギャグはさておいて。

 二世ちゃん、原作でもおなじみの服装になってました。

 やっぱり可愛いなぁ、二世ちゃん。

 

 

 

 ミノスに頼まれて二世ちゃんの服を買いに行ったけど、気に入ってくれてよかったわ。

 素材がいいと選びがいがあるわね。

 

「けっ!服なんて着ちゃってさ!」

 

 邪神ちゃんがまた変なことを言いだした。

 

「服は弱いやつが着るモノ!私のように強いヤツは着ないんですの!」

 

 ……その理屈だと、邪神ちゃんは相当厚着したほうがいいでしょうね。

 

「うん、その通りだね邪神ちゃん」

 

「まったく感情のこもってない同意はやめてくれメデューサ……。キッパリ否定されるよりキツいですの……」

 

 なんだかんだいって邪神ちゃんには遠慮がないわよね、メデューサも。

 

 

 

「パジャマとか下着も私が選んじゃったけど」

 

「あたし、センス無いから助かるよ」

 

 他のやつは私の金言に反応すらしてくれませんの……。

 

「邪神ちゃん、あんたにはこれ」

 

 こ、これは!

 

「私が欲していたケ~プ!」

 

 早速装備しますの!

 

「あんたさっき、強いヤツは着ないって……」

 

「ケ~プはいいんですの!」

 

 強い者を強くする装備……。それがケ~プなんですの!

 

「邪神ちゃんかわいい~!」

 

「かわいいのではない、強いのだ!」

 

 

 

「ところで、二世ちゃんの呼び方なんだけど。もっとかわいい感じの呼び方にしてあげたほうがいいと思ううの」

 

 ゆりねさんがそう提案しました。

 二世ちゃんだとたしかに味気ないというか、女の子っぽくないですよね。

 

「じゃあ私が決めますの!」

 

「え~、邪神ちゃんが?変な呼び方にしそうだな……」

 

 ミノス、凄く嫌そうです。

 そこまで嫌がらなくても。……でも、おかしな呼び方を提案しそうなのもたしかですね。

 

「セカンドはどうですの?」

 

「セカンド?」

 

「メンズセカンドバッグ!」

 

 聞き返した二世ちゃんに解説をしている邪神ちゃん。

 でも、私には全然意味が分からないです。ミノスと二世ちゃんも分かってない様子。

 分かっているのは……。

 

「プッ……。あんたのギャグ難しいのよ、面白いけど」

 

 ゆりねさんだけみたい。

 邪神ちゃんとゆりねさんって、こういうところで妙に波長が合うみたいなんですよね。

 ……あれ?原作で二世ちゃんのあだ名を提案したのって、たしか……。

 

 

 

 これはセカンドで決定間違いなしですの!

 自分のセンスが恐ろしい……。

 

「かわいいあだ名がいいよね……。そうだ、ペルちゃん!ペルセポネのペルちゃんはどうかな!?」

 

 メデューサよ、それは……。

 

「いくらなんでも安直がすぎますの!」

 

「こういうのは、凝りすぎるよりも分かりやすくてかわいいほうがいいの!」

 

 な、なんか妙に食い下がってきますの。

 まぁ悪くはないが、セカンドを超えるほどでは……。

 

「ペルちゃん……いいかも。かわいい!」

 

 本人による鶴の一声で私のセンスが存分に発揮されたあだ名が蹴落とされましたの……。

 

「よかったな、ペルちゃん!」

 

 ミノスもあっさり受け入れてますの……。

 

 

「ミノス、ペルちゃんが来てから楽しそうだね」

 

「あたし、男の兄弟しかいないからさ。妹ができたみたいで嬉しいんだ」

 

 ふーん、そういうもんなのか。

 

「わたしもひとりっこだから、お姉さんが四人もできて嬉しいな!」

 

 ……ん?

 ここにいるのは、メデューサとミノスとゆりねと……。

 

「四人って、私も入ってるんですの?」

 

「うん。邪神ちゃんお姉さん!」

 

 ……!

 

「お、お姉さんじゃねーし!お前のお姉さんじゃねーし!」

 

「……嫌だった?」

 

「あ、いや。その……」

 

 嫌というわけでは……。

 

「嬉しくて照れちゃってるだけだから大丈夫だよ、ペルちゃん」

 

「おいメデューサ!」

 

「素直じゃねーなぁ」

 

「本当ね」

 

 ミノス!ゆりねまで!

 

「お前ら、好機と見るや私を弄り始めるのをやめろ!」

 

 

 

 邪神ちゃんにもかわいいところがあるんだ。

 そんなことを考えていたら、メデューサちゃんが紙袋を被った。たしか人間対策だったよね。

 

「ったく!……メデューサ、出かけるぞ!」

 

「は〜い。ゆりねさん、ちょっとお買い物してきますね」

 

「いってらっしゃい」

 

 ……行っちゃった。

 

「ずいぶん急いでたけど、何を買いに行ったのかな?」

 

「ペルちゃんの引っ越しに関するいろいろが落ち着いたし、夕食会でも開くんじゃねーかな」

 

「結構バタバタしてて、歓迎会もできてなかったものね」

 

「そうそう、メデューサはみんなで集まって食事したりするのが好きだからな」

 

「邪神ちゃんが急いでたのは、照れ隠しをしたかったんでしょうね」

 

 なるほど。それでメデューサちゃんに声をかけて、一緒に買い物に行ったんだね。

 ……あれ?

 

「でもメデューサちゃん、邪神ちゃんに声をかけられる前に紙袋を被ってたよ?」

 

「二人に聞いてみたことがあるけど、お互いになんとな〜く雰囲気で分かるんだってさ」

 

「阿吽の呼吸ってやつね」

 

「へぇ~」

 

 すごいなぁ……。

 

 

 

「メデューサ、あいつは……」

 

「ペルちゃんは特に好き嫌いはないと思うよ。一緒に食事に行ったときも、特にそういう素振りはなかったし」

 

「わかりましたの」

 

 そういや人間界の案内で一緒にでかけてたな、こいつら。

 

「お肉とお野菜と……。うん、これで大丈夫のはずだよ」

 

「よっし、じゃあ帰るぞー」

 

「うん!邪神ちゃんのお料理楽しみだなー」

 

 ふっ。覚悟しろよメデューサ、そして家で待っているミノスたちよ……。

 

「今宵の食卓は、私の料理で完全に支配してやりますの!」

 




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