転生メデューサの日常   作:ぺかちゅう

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第3話 日曜日の留守番

 こんにちは、メデューサです。

 邪神ちゃん……というかゆりねさんのお部屋の隣の部屋に引っ越してから数日が経ちました。

 

 

 引っ越し後のお片付けはゆりねさんが時々手伝いに来てくれたりして、思っていたより早く終わりました。

 もちろん邪神ちゃんは手伝ってくれませんでした。知ってた!

 まあ私が自分の判断で引っ越してきたわけですからね。むしろゆりねさんがお手伝いに来てくれるのがものすごくありがたい事なのです。

 

 

 まだ部屋が散らかってるでしょうって言ってゆりねさんがお部屋に招いてくれた時には、邪神ちゃんの作ったお料理を食べさせてもらいました。

 邪神ちゃんはとってもお料理が上手です。私は大得意というほどではないので、すごく羨ましい!

 ちなみに、私の料理は邪神ちゃん曰く『普通ですの』だそうです。

 いつか邪神ちゃんに美味しいって言ってもらえるようになりたいな。

 

 

 あ、そろそろお昼。

 準備して邪神ちゃんのお部屋に行こうっと。

 

 

 

 ……暇ですの。

 日曜日というものは何もすることがありませんの。

 ダラダラするのは幸せだけど、なんかこう……楽しくダラダラしたいですの。

 ゆりね殺そっかなー。でももうお昼近いしなー。

 というかゆりねは出かけてるんだった……。暇すぎて思考が覚束無くなってますの……。

 

 

「こんにちはー」

 

 メデューサの声……。パチ代かな?

 いや、あいつは自分からお金を持ってくるタイプではありませんの。

 それに今月は既に月に一度の借金をしてあるし……。

 

「邪神ちゃーん、いませんかー?」

 

「めんごめんご、今開けますのー」

 

「ごめんね、お鍋持ってると開けづらくて……」

 

 この食欲を誘うスパイシーな香りは……。

 

「カレー作ってきたんだ、一緒に食べよ?」

 

「ラッキー、お昼作る手間が省けましたの!……でもなんで?」

 

「ゆりねさんに頼まれたの。邪神ちゃん、食事も作らずダラダラしてるだろうから見に来てって」

 

 ……なぜ分かるんですの……。そしてなぜメデューサもそれを疑いすらしてない様子なんだ……。

 

「ま、まぁとにかく上がりますの」

 

「うん、お邪魔します」

 

 

 

 やっぱり邪神ちゃんはダラダラしてました。ゆりねさんの読みは見事に的中。

 変なことをしてないか気になるからとも言われたことは黙っておこう……。

 

「ご飯はある?無ければ私の部屋から冷凍してあるのを持ってくるけど」

 

「パックのご飯があるから大丈夫ですの」

 

「わかった、温めるからちょっと待ってね」

 

 最近はパックのご飯も馬鹿にできない味だよね。……っと、できたできた。

 

「お待ち遠さま」

 

「いただきまーす!……ふむ」

 

「どうかな?美味しい?」

 

 私の料理を邪神ちゃんに食べてもらうのは久しぶり。ちょっと緊張。

 

「ん……。うん、普通ですの」

 

「そ、そっか……」

 

 邪神ちゃんはまずい時はそう言ってくれるので、悪い評価ではないと前向きに受け止めます……。

 

 

 

「ごちそうさまでしたの~」

 

「お粗末さまでした」

 

 やっぱり誰かに作ってもらうご飯は良いものですの。

 メデューサがこっちに引っ越してきたのはラッキーだったなー。お金はともかく世話焼きに来てくれるし。

 あとはゆりねを殺してくれれば……。

 

「なー、メデューサ~」

 

「なーに?」

 

「まだゆりねを殺す気にならねーんですの?」

 

「ならないよ、ゆりねさん良い人だと思うし」

 

 即答ですの……。洗い物の手すら止めずに……。

 って、ゆりねが良い人ぉ?

 

「どこがですの!すぐ切って刺して投げて叩いて吊るしてくるやつのどこが良い人なんですの!」

 

「んー、まあ過激だとは思うけど……。話を聞いてると邪神ちゃんにも問題はあると思うんだよね……」

 

「大体、帰還の呪文も知らずに私を召喚した時点でアウトですの!」

 

「帰還の呪文について知らなかったみたいだし、それに呪文が書いてある本を探してはくれてるんでしょ?時間がかかったとしても私達にとってはあっと言う間なんだし、もうちょっと待っててみようよ」

 

「ぐ……」

 

「せっかくだし仲良く暮らしたほうが楽しいと思うけどなー」

 

 メデューサを対ゆりね包囲網に引き込むのはまだ難しそうですの……。人間と仲良くしてみたいって昔から言ってたしなーこいつ……。

 

 

 

 色々言ってみたけど、絶対諦めてないよね邪神ちゃん。私は人間が好きだしちょっと引いた視点で見てるけど、邪神ちゃんからしたら理不尽でしか無いだろうし。

 ゆりねさんはとっても強いから大丈夫だと思うけど……。

 それにしても、私の家事の腕前が壊滅的じゃなくてほんとに良かったです。原作のメデューサちゃんと比べると、これもある意味転生チート!なのかな?

 

「よしっ、洗い物おしまい!邪神ちゃんは午後なにか予定とか……なんだろこれ?」

 

 タンスの上に……これは、おもちゃのステッキかな。

 

「なんですの?ステッキと置き手紙?……『絶対に変身しないでください』?」

 

「変身ステッキ……なのかな?まさか本物のわけないよね」

 

「バッカでー!こんなおもちゃで変身できるわけねーですの!」

 

 馬鹿にした様子の邪神ちゃんだけど、ステッキをチラチラ見てます。ものすごく気にしてます。

 変身してみたいのかな?

 

「やってみたいの?」

 

「いっ!?いやいやいや、全然興味なんてねーですの!」

 

「そ、そう……。そんなに焦んなくても」

 

「焦ってなんていませんの!さーて食後のダラダラですのー!」

 

 今度は露骨に目を背けてます。わかりやすいなー。

 

 

 

 しかし、あのゆりねがこんなギャグみたいなことをやるだろうか?

 石化防止のパワーストーンなんて調達してきたゆりねだぞ……。ひょっとしたら……。

 でもまさか変身ステッキはないわな!……ない、よな?

 ……。

 

「メデューサ」

 

「なぁに?」

 

「ステッキ。使ってみますの」

 

「え、なんで?」

 

「いいから!」

 

 こういう時は誰かにやってもらえば良いんですの!冴えてるなー私。

 

「で、でも恥ずかしいよ……」

 

「大丈夫ですの!私しか見てないし!」

 

 さあさあ!ハリー!ハリー!

 

 

 

 うー、邪神ちゃん物凄く急かしてくる……。

 しょうがないなあもう……。

 

「じゃ、じゃあ。……へ~んしん☆」

 

「ただいま」

 

「あ、おかえりですのー」

 

「ひえぇっ!」

 

 ゆ、ゆりねさん!?

 ものすごく微笑ましいものを見る目……!

 み、見られて……た?

 

「いらっしゃいメデューサ。とっても可愛いと思うわ」

 

「い、いえあの……。これはその、邪神ちゃんがあぁ……」

 

 私今顔真っ赤です!鏡とか無くてもわかります!

 恥ずかしいよぉ……!

 

「ぷくく……。メデューサ、恥ずかしいならその決めポーズ解きますの!」

 

 あぁぁ!やめて!言わないでえぇ!

 

「おもちゃのステッキ掲げてかわいーポーズまで決めて!ここまで露骨にぶりっ子なメデューサなんて久しぶりに見ましたの!」

 

「許してえぇ……」

 

「ゆりね、しっかり記憶しておきますの!こんなメデューサめったに見られねーぞ!」

 

「やめてあげなさいよ……。メデューサも、なにも蹲らなくても大丈夫よ」

 

「うぅ、ゆりねさん……」

 

「ほんとに可愛かったから恥ずかしがることなんて無いわ」

 

「あぁぁああ!」

 

「うひゃひゃひゃひゃ!」

 

 

 

 まあ邪神ちゃんに押されてやったんでしょうけど……。

 というかバカ笑いしすぎでしょ邪神ちゃん。

 

「でも惜しかったわね」

 

「わははは……なにがですの?」

 

「かわいーポーズを決めるまでは良かったけどそれだけじゃ足りないの」

 

「足りない?」

 

「呪文が必要なのよ」

 

「えっ、呪文?……じゃあまさかほんとにこれ……」

 

 信じちゃうんだ……。そりゃ邪神ちゃんだし信じるか……。

 

「バカでーす☆って唱えながらかわいーポーズをとらないとダメなの」

 

「そうやれば変身できるんですの!?」

 

 完全に信じてる……。

 せっかくだしメデューサにも見せて……これはダメね、しばらく恥ずかしがり続けるパターンだわ。

 

「やってみますの!……バッカで~す☆」

 

 

 

 ……。

 ……あれ?

 

「変身しませんの……」

 

 ちゃんとかわいーポーズをとって、呪文も……。

 バカでーす☆って……。バカでーす……って……。

 

「あああああ!!」

 

 騙されましたのー!

 

「邪神ちゃん……。あなた最高に面白い……!」

 

 たかが人間であるゆりねの用意したステッキ一本に、この私が翻弄されるなんて……。

 メデューサはともかくこの私が……!

 

「ププッ」

 

「くっふぅ~!いつかぶっ殺してやりますのー!」

 




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