転生メデューサの日常   作:ぺかちゅう

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第4話 夢で見たもの

 こんにちは、メデューサです。

 ステッキの件では邪神ちゃんにさんざんいじられました……。

 今思い出しても恥ずかしいです……。なぜ私はあんなことを……うぅ……。

 

 

 ゆりねさんの話では私が恥ずかしがってる間に邪神ちゃんもポーズをとっていたらしいです。

 ……ちょっと見てみたかったかも。

 べ、別に邪神ちゃんを笑ってやろうとかではなくてですね?

 きっと可愛かっただろうなって……。やっぱり見ておきたかったです!

 

 

 あ、電話……。邪神ちゃんからだ。

 

「はーい」

 

『メデューサ、すぐこっちに来ますの』

 

「えっ?う、うん……。ちょっと待っててね」

 

『急ぎますの』

 

 なんだろう?ずいぶん深刻そうな声だったな……。

 

 

 

「こんにちはー。邪神ちゃん、来たよー」

 

「入っていいですのー」

 

「はーい。……お邪魔しまーす」

 

 よしよし、ちゃんとすぐ来たな。

 ……これ逆にゆっくり来いって言ったらどれくらいゆっくり来るのかな……。今度試してみますの。

 まあそれはされおき……。

 

「とりあえず座りますの」

 

「うん、ありがと。……それでどうしたの?なにか良くないことでも起きた?」

 

「……実は……」

 

「実は?」

 

「夢を見たんですの」

 

「え、夢?……怖い夢でも見たの?」

 

「そうなんですの。とてもとても恐ろしい……わぷっ!」

 

 い、いきなりなんなんですの!?

 

「よしよし、大丈夫だからね……。落ち着くまでこうしていてあげるから……」

 

「……うぅ、怖かったですの……。って!そういうことじゃねーよ!」

 

 抱きしめられてよしよしされてる場合じゃねーですの!

 

 

 

 怖い夢を見て独りでいるのが不安になっちゃったのかと思ったけど、違いました。

 そもそも夢を見たのは昨晩のことだったみたい。

 その夢の内容っていうのが……。

 

「ゆりねさんに槍で殺される夢?」

 

「ですの。どこからか手に入れてきた槍で悪しき者を討つとか言い出して……」

 

「悪しき者……邪神ちゃん?なんちゃっ……うわわ、やめふぇやえふぇ!」

 

 痛い痛い!ほっぺた引っ張らないでぇ!

 

「茶化すところじゃねーですの!確かに悪魔だしゆりねも同じことを言ってたけど!」

 

「うぅ……ごめんなさい……」

 

「話を戻しますの。その後、ドロップキックによる抵抗も虚しく槍の一突きでゆりねに殺されるところで目が覚めたんですの……」

 

「そ、そうなんだ……」

 

 ……なんだかその光景が目に浮かぶようです……。

 ひょっとして原作にある場面なのでしょうか?でも、邪神ちゃんとゆりねさんの間柄ならあって当然みたいな状況ではあるし、どうなんだろう……。

 まあ考えても仕方ないし、原作どうこうはおいておきましょう。

 

「でも夢なんでしょ?そんなに気にしないほうが良いんじゃ……」

 

「話は終わってないですの!今朝ゆりねが出かける時に、槍のことを話してたんですの……」

 

 

 

「つまり……槍で殺されるのが正夢になるかもしれないってこと?」

 

「そういうことですの」

 

 そう……このままでは私がゆりねに殺されちまうかもしれねーんですの……。

 

「だからメデューサ、お前には今日だけでもゆりねの気が槍に向かないようにしてもらいたいんですの」

 

「ゆりねさんの気をそらすの?……普通にお話をしてれば良いのかな……」

 

「まあそれでいいですの。殺される確率は減らしておきたいからな」

 

 ほんとはそれだけじゃねーけどな!

 気をそらした隙に、今日買ったばかりのバールでぶっ殺すってスンポーよ!

 傷害事件でよく登場するバールのようなもの……。しかしこれはバールそのもの!殺傷力は段違いですの!

 ……それにしても、朝注文して夕方に届くとは。さすが大手通販サイトアマゾネス。

 素早い配送にあやかって、ゆりね殺害計画も素早く実行してやりますの。

 でもメデューサはゆりねのことを気に入ってるからな……。計画の全容は教えないでおきますの。

 邪魔されたりしたら面倒だし。

 

「……ねぇ邪神ちゃん、ほんとに気をそらすだけ?」

 

「ほ、ほほほ本当ですの……。私がお前に嘘なんてつくわけ……む!ゆりねの足音ですの!」

 

 あぶねー!このまま勢いで計画実行ですの!

 

 

 

「ただいま。あー重かった」

 

 ほ、本当に槍を持ってる……。

 

「来てたのね」

 

「あ、お邪魔してます」

 

「おかえりですのー」

 

 邪神ちゃんのことだから、なにか企んでるような気がします……。

 でもひょっとしたら……もしかしたら本当に気をそらすのだけが目的かもしれないし、とりあえずは言われたとおりにしてみようかな。

 ……でも改めて話をしようって思うと何を話せば良いのか思いつかない……。

 ど、どうしよう……。

 

「この前の、写真に撮っておけばよかったわね」

 

 良かった、ゆりねさんから話題を振ってくれた……。

 

「この前、ですか?」

 

「ええ、変身ステッキの」

 

 ……どうしてこの話題!?すごく恥ずかしかったのに、自分からこの話題に食いつかなくちゃいけないの!?

 

「あの、あれはですね?本当に邪神ちゃんに押されてですね?」

 

「分かってるわ、大丈夫よ。可愛かったし」

 

「あうぅ……」

 

 分かってる、かぁ……。邪神ちゃんに言われてやったんだって分かってくれていることを願うばかりです……。

 照れて邪神ちゃんのせいにしてるだけだって思われてないことを神様に祈るしかありません……。私は悪魔だけど。

 

「それに、撮っておけばよかったっていうのは邪神ちゃんの方よ。メデューサにも見せてあげたかったなって」

 

「え……。あ、そっちの方ですか!」

 

 完全に自分のことだと思いこんでました……。

 これ自意識過剰みたいになっちゃってたよね、一番恥ずかしいやつです……!

 

「邪神ちゃんはどんなポーズだったんですか?」

 

「そうね、こう……右手を拳銃みたいな形にして顔の下にやって」

 

「ふむふむ」

 

「ウインクをしながら左手に持ったステッキを構えて」

 

 うーん、目に浮かぶようです……。可愛かっただろうな、邪神ちゃんの変身ポーズ。

 

「それで、バッカで~す☆って決め台詞を言って」

 

 ……え?

 

「……決め台詞、ですか?それが?」

 

「そのつもりだったみたいね」

 

 ……自虐?それともなにかに感化されて?

 謎です……。邪神ちゃんのやることは時々よくわかりません……。

 

 

 邪神ちゃんの謎の行動を知って、思わず邪神ちゃんの方を見たときでした。

 いつの間にかゆりねさんの背後に移動していた邪神ちゃんが、バールを持って大きく振りかぶっていたのです。

 

「だめ!避け……」

 

 避けてと言い切る前に邪神ちゃんは思い切りバールを振り下ろし……それをゆりねさんにあっさり白刃取りされていました。

 ……ですよねー!

 

「なぜバレた……」

 

「あれだけ露骨に会話に入ってこなければ、そりゃ怪しいって思うわよ。メデューサだって多分勘付いて……なかったみたいね」

 

「め、面目無いです……」

 

 邪神ちゃんの変身ポーズのことで完全に気がそれていました、情けない……。

 

「さて、邪神ちゃん?」

 

「……メデューサ!なんてことをさせるんですのー!」

 

「じゃ、邪神ちゃん……?」

 

 ……これ、ひょっとしなくても。

 

「あんた、また……」

 

「私はもうこんなことしたくないって言ったんですの!なのにこいつがー!」

 

「ひどいよ邪神ちゃん!私こんなことさせてないよ!」

 

「てめー!この期に及んで私に責任押し付ける気か!この卑怯者ー!」

 

「邪神ちゃん、見苦しいわよ……」

 

 私と言い合っていた邪神ちゃんにゆりねさんの冷たい声がかけられます。

 こ、怖い……!

 

「分かってるわね?」

 

 

 

「うぅ……助け……」

 

 結局槍でめった刺しにされましたの……。夢よりひどい状況じゃねーか……。

 

「メデューサ……手当て……アロンア●ファを……」

 

「う、うん……」

 

「まだいいわよ、再生能力だってあるし」

 

 ゆりねめ、まだ私を苦しめ足りないんですの……?

 

「……そうですね」

 

 メデューサ!?

 

「し、親友を見捨てるんですの……?」

 

「ちょっとは反省したほうが良いよ、邪神ちゃん……」

 

「たくさん反省したほうが良いわよ、邪神ちゃん」

 

 二人して反省反省ってうるせーですの……。

 

「い、意識が遠のいていきますの……。この恨み、晴らさでおくべき……か……ですの……」

 




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