転生メデューサの日常   作:ぺかちゅう

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第6話 ゆりねの誕生日パーティー

 こんにちは、メデューサです。

 

 

 今日はゆりねさんの誕生日!というわけで、邪神ちゃんに呼び出されて誕生日パーティーの準備中です。

 邪神ちゃんって、こういう時は大概なにか悪巧みをしているんです。

 原作でもなにか企んでいた……ような……。どうだったかな?ともかく、何事も起こらないことを祈るばかりです。

 ……正直な話、なにか起きてもゆりねさんなら大丈夫だろうという信頼はあるのですが。それでも人間が辛い目に遭うのは嫌ですからね。

 

 

 

「鶏肉はこれでよし。メデューサ、部屋の飾り付けはどうですの?」

 

「進んでるよー」

 

 ……うんうん、なかなかいい感じになってますの。

 

「……美味しそうな匂い。さすが邪神ちゃん、ゆりねさんも喜んでくれるね!」

 

「当然ですの」

 

 今日のは特に気合を入れて作ったからな!

 なんといってもゆりねにとって最期の……。まぁそれは置いておきますの。

 

「やっぱり邪神ちゃんのお料理はすごいな、味はもちろんだけど見た目も綺麗。私も追いつけるように頑張らないと」

 

「まあお前の料理も悪くはないと思いますの、私には劣るけど」

 

「ほんと!?ありがとう邪神ちゃん!」

 

「ちょ、ちょっと!褒められたくらいでいちいち抱きつくんじゃねーですの!」

 

 力いっぱい抱きしめすぎだろ!

 

「いつか美味しいって言わせてみせるからね!邪神ちゃん!」

 

「ま、まあ気長に待ってますの。というか、そろそろ離しますの」

 

「あっ、ごめん」

 

 

 

 また抱きついちゃいました。いつもは普通って言われるだけだからつい……。

 邪神ちゃんの期待に応えられるように頑張らなきゃ!

 

「お料理は大丈夫、飾り付けも終わったし……。あとはケーキを買ってくれば大体大丈夫かな?」

 

「あ、ケーキの電話はしてあるから……」

 

「うん、受け取りに行くね。不死家?」

 

「ですの。お金は……」

 

「私が出すよ。他にはなにか買ってくるものある?」

 

 といっても準備はほとんど終わってるしなんにも無いかな?

 

「んー……。対ゆりね用の武器!」

 

「……なにも無しね。じゃ、行ってくるね」

 

 こんな日でも邪神ちゃんはいつも通りです……。

 冗談だと思って出かけましょう、冗談じゃないんだろうけど……。

 

「あ、うん……。行ってらっしゃいですの……」

 

 

 

 メデューサに小言でも言われるかと思ったら、それすらなかったですの……。別に、ちょっとくらい反応してほしかったなんて思ってませんの……。

 まあいいや、人間大好きのメデューサがゆりねを殺すためのものを買って来てくれるなんて思ってなかったし。

 今日のところはパーティーの費用を全部出してくれたからよしとしますの。

 

 

 それに、武器なんてわざわざ今日手に入れなくてもいいんですの。

 私の手には既にあるのだ……本日のラッキーアイテム、スタンガンが!

 いやー、大手通販サイトアマゾネスでいろいろ買っといた甲斐がありましたの。

 下準備の大切さが身にしみるなー。

 

 

 まず何も知らずに帰ってきたゆりねの誕生日パーティーを始める。

 美味しそうな料理やケーキを前に油断しきったゆりねを、不意打ちのスタンガンで動けなくする。

 あとは包丁で腹を掻っ捌いて殺してジエンド……。

 か、完璧な計画だ……。自分の才能が怖い……。

 あえて言うならドロップキックの出番がないのが問題だが、ラッキーアイテム補正は重要だからな。

 

 

 さーて、メデューサが帰ってくるまでゴロゴロしてますの。

 テレビでも見よっかなー。

 

「ただいまー」

 

 ちょ、ゆりねのやつもう帰ってきたんですの!?

 まだメデューサ帰ってきてねーぞ!

 

「お、おかえりですのー!」

 

「あら、たしかメデューサと二人でお祝いしてくれるって言ってたけど。帰ってくるのが早すぎたかしら」

 

 早すぎですの!

 メデューサがいないと失敗した時のスケープゴートが……。

 

 

 ……いや、待ちますの。

 なぜ私はやる前から失敗したときのことを考えている?

 これは私が自分の立てた計画を信じきれていないからではないのか?

 さっき計画を完璧と称したのは他でもない私自身。

 そうだ、弱気になる要素などなにも無い。

 ケーキはなくとも料理で油断させることはできるし、失敗しなければスケープゴートなど必要ない!

 

「邪神ちゃん?急に黙ってどうかしたの?」

 

 帰ってきたばかりでゆりねの気が緩んでいるはずの今が好機!

 もはやタイミングを待っている暇など無い!いや、むしろタイミングを待つことこそが愚鈍の証明!

 やってやりますの!

 

「邪神ちゃん?」

 

「う……」

 

「う?」

 

「うをー!喰らえゆりねー!スタンガンを取り出す間すらも惜しんだ不意打ち超速ドロップキーック!」

 

 決まったー!

 この距離ではスタンガンを取り出して押し当てるまでに数歩の踏み込みが必要!

 だが悠長に踏み込んでいればゆりねに回避されるのは目に見えている!

 ならば尻尾の分リーチが長い上に踏み込みと攻撃を同時に行えるドロップキックが最善手!

 ラッキーアイテム補正も当たらなければ意味がないという見事な判断ですの!

 これで終わりだゆりねー!

 

 

 ……あれ?

 なんで私、キックを当てる前に着地してるんですの……?

 

「邪神ちゃん、あんた……」

 

「い、いや……。これは、その……」

 

 し、しまった!

 最近お菓子の食い過ぎで体重が増加気味なんだった!そのせいでドロップキックの飛距離が短く……!

 人間界のお菓子のせいで計画が台無しですのー!

 

「?……なにか落としたわよ。……スタンガン?」

 

「げ……」

 

 私のラッキーアイテムが……ゆりねの手に……。

 

「ふーん……そういうこと。私へのプレゼントにこれを渡して、そのまま自分に向かって使ってほしいってことね」

 

「……え?な、何を言って……あ゛ー!」

 

 

 

「邪神ちゃんただいまー。ごめんね遅れちゃって……あ、ゆりねさん」

 

 私より少し遅れてメデューサが帰ってきた。

 この様子だと、邪神ちゃんが私を襲うことは知らされてなかったみたいね。

 

「いらっしゃい、上がっていいわよ」

 

「お邪魔します。ケーキ出すのでちょっと待っててくださいね、他の準備は多分もう邪神ちゃんが……」

 

「あぁ、邪神ちゃんなら……」

 

「邪神ちゃんがどうかしたんですか?……あぁ、そういうことですか……」

 

 まだ部屋も見ていないのにだいたい察したみたい、さすが親友だわ。

 

 

 

 やっぱり、邪神ちゃんはゆりねさんを殺そうとしていたみたい。

 予想していなかったわけでもないのに、なんだかいつもより悲しい気持ちです……。

 楽しいパーティーにしたいと思っていたからでしょうか。

 

「ごめんなさい、ゆりねさん。せっかくの誕生日パーティーだったのに……」

 

「気にしなくていいわよ、悪いのは邪神ちゃんなんだから」

 

「でも……。私たち悪魔よりも、人間の誕生日って大事なものじゃないですか」

 

 人間だった前世があるからでしょうか、私は人間と悪魔の違いを意識することが多いです。

 

「私たちは何千年も生きてきて、誕生日だってたくさんあります」

 

 悪魔で有る私たちにとって誕生日っていうのはカウントが一つ増える日というか……少なくとも私はそういう認識です。

 

「でも人間は違う。百年くらいっていう短い時間の中で……だからこそ誕生日っていう節目もとっても大切なものだって思うんです」

 

「メデューサ……」

 

「だから……やっぱり謝らせてください。邪神ちゃんを止められなくて本当にごめんなさい!」

 

 

 

 ……メデューサの泣き顔なんて、初めて見たかも知れないわね。

 いつも笑ってることが多いし。

 

「やっぱり気にしなくていいわよ、メデューサ」

 

「で、でもゆりねさん……」

 

「大切な節目の日なんだから、今から楽しく過ごしましょう」

 

 暗い雰囲気を長続きさせるような関係でもないし、ね。

 

「……はい!そうですね!」

 

 

 

 なんかいい話っぽくなってるけど、二人とも私を忘れてるんじゃねーかこれ……。

 黒焦げだぞ?一方的にスタンガンを喰らって黒焦げの私がいるんだぞ?黒焦げのまま荒縄で椅子にキツく縛り付けられた哀れな私がいるんだぞ?

 

「邪神ちゃん」

 

「ゆ、ゆりね……なんですの?」

 

「あんたのやろうとしてたことを知ったメデューサ、心底幻滅したって顔をしてたわよ」

 

「え……」

 

「数少ない親友なんでしょ?そのうち一人にあそこまで幻滅されるって……」

 

「あ……あ……」

 

 や、やめろ……胃が……!

 

「最低ね」

 

 やめろー!ストレスで神経性胃炎になっちまうー!

 

「い、胃酸が……上がって……」

 

「あ、あの……ゆりねさん……。そこまで幻滅してたわけじゃないですから……」

 

「メデューサ……。ほんと……ですの?」

 

「うん、悲しかったけど……。邪神ちゃんならやるかもしれないって思ってもいたから……」

 

 よかった……親友との関係に傷がついたわけではなさそうですの。

 ……って、ゆりね襲撃計画自体は予想してたのか……。止めてくれればこんなことにはならなかったかもしれないのに……。

 

 

「はぁ、まったく……」

 

 ゆりね?縄……ほどいてくれるんですの?

 

「あんたの親友に免じて、今日はこれくらいで許してあげるわ」

 

「ゆりね……」

 

「ありがとうございます、ゆりねさん!」

 

「ほら、さっさとあんたの作ったお料理並べてちょうだい。おなかペコペコだわ」

 

「合点承知ですの!」

 

「手伝うね、邪神ちゃん!ゆりねさん、ちょっとだけ待っててください!」

 

 

 調理は終わってたし、並べるのはすぐに終わりましたの。

 それでは早速……。

 

「えー、これよりゆりねの生誕祭を始めますの」

 

「そんなにかしこまらなくてもいいわよ」

 

「ふふっ。許してもらえて照れちゃってるんですよ、邪神ちゃんは」

 

「そこ!うるせーですの!」

 

 ……まあいいですの。

 

「それでは、ゆりねの誕生日に……かんぱーい!ですの!」

 




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