【ガンカタ】さくら・ぶれっと 〜剣と魔法のファンタジー世界でどちらも使えない町娘の私はガンカタ(拳銃)で戦う。自分の生い立ちを知りたいだけで、英雄だなんて呼ばれたくないってば〜【15000PV突破】   作:くろひつじ

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153話

 

 一旦フリドールへ戻り、宿の自分の部屋のベッドに横たわった。 

 なんかこう、モヤモヤする。

 うーん。こんな時は料理するに限るんだけど……

 

 こっちだと食べてくれる人いないからなー。

 かと言って簡易キッチンで作り置きは何か違う気がするし。

 どうしたものか。

 

 ……んーにゅー。なんか、だめだわ。

 

「ねえリング。あの子、どう思う?」

「――情報が不足しています:不確定要素です」

「だーよねー」

 

 セッカ。私の妹を名乗る少女。

 美しく儚げで、物腰も丁寧な、敵。

 何故か話していると安心感が湧いてしまうけれど、あれは敵だ。

 敵のはず。なんだけど。

 

 心の奥底で、身内だと思ってしまっている私がいる。

 仲間だと。そう、思ってしまう。

 

「……どうしたもんかなー」

 

 先程の一戦。力量は互角だった。

 でも。こちらが奥の手を残しているように、あちらにも何かしら切り札あるのだろう。

 もしまた戦うことになれば、どうなるか分からない。

 どちらにせよ、情報が足りなすぎる。

 

「……まー考えても仕方ないか」

 

 とりあえず、気分転換に街を見て回ろう。

 

 

 

 大通りに出て、ロウディさんに教えてもらった店を回ってみることにした。

 もちろん、防寒装備も忘れずに。

 これ暖かいけど動きにくいのが難点だなー。

 歩くだけでモッコモッコするし。

 

 最初は八百屋さん。

 お店の中はやっぱり、他の建物と同じような作りだった。

 大きな暖炉に小さな窓。そして、長い陳列棚。

 王都でも見た事のある野菜の他に、全く見知らない食材が並んでいる。

 ふむ。このテカテカした丸いやつ、なんだろう。

 

「おばちゃん、これなんですか?」

「おや、ツヤカブを知らないのかい。この辺りではよく食べられる野菜だよ」

「へー。あ、調理法とか教えてもらってもいいですか?」

「普通のカブと同じだよ。あっちより甘みが強いけどね」

 

 ほほう。んじゃスープの具材に出来そうだな。

 甘いならクリームシチューでもいいかも。

 

「なるる……じゃあこっちのボコボコしたやつは?」

「コブ芋だね。水に入れてアク抜きしてやれば煮物や揚げ物で食べられるよ」

「ふむふむ。ジャガイモに似たやつなんですね。こっちは何ですか?」

 

 こんな感じで教えてもらい、とりあえず全種類を買えるだけ買い込んだ。

 全部買っちゃうと他の人が困るので、迷惑にならない程度で。

 知らない食材で料理すると考えるとワクワクする。

 

 

 次はお肉屋さん。

 やはり見慣れたオーク肉や牛肉の他に、見慣れない名前の肉が並んでいた。

 それぞれの特徴を聞いて大量に買い込む。

 幸いなことに在庫がたくさんあるらしいので、結構な量を確保出来た。

 こちらのお肉は熊やイノシシなど臭みが強いものが多く、ハーブと一緒に料理して紛らわせるのが基本らしい。

 て事で次は、そっちに行くか。

 

 

 食材や調味料、スパイスやハーブを買い込み、片っ端からアイテムボックスに突っ込んでった。

 辛いものや匂いが強いハーブが主だけど、キラービーの蜂蜜や冬隠れ草の蜜とか、甘みのあるものも幾つか買えた。

 王都に戻ったら色々研究してみよう。

 

 

 色んなお店を回っていると、時間が遅くなってしまった。

 陽が沈みかけ、少し肌寒くなってくる。

 

 それでも私的にはホクホク気分。

 珍しいものをたくさん買えた。

 おまけもつけてくれたのでらっきーだ。

 

 

 宿に帰る前に冒険者ギルドに顔を出して、依頼をチェックしてみる。

 雪熊以外に緊急性が高いものは無いみたいだし、今日のお仕事は終わりかなー。

 

「……あ。そうだ。アルカさーん」

「あらぁ…どうしたのぉ…?」

「ここのギルドって、ご飯どうしてるんですか?」

「みんなでぇ…当番制ねぇ…」

 

 おお。やっぱり。

 

「ちょっと提案があるんですが…今日の当番、どなたです?」

「今日はぁ…私ねぇ…」

「ならちょうど良いですね。今日のお昼なんですけど、私に作らせてもらえません?」

「あらぁ…それは嬉しいけどぉ…いいのぉ…?」

「お店の宣伝代わりになればなーと」

「なるほどぉ…それならぁ…お願いしようかしらぁ…」

 

 よっしゃ。

 

「んじゃ、キッチンお借りしまーす!」

 

 

 

 

 調味料は……ああ、この棚かー。

 んで食材はー……おお。これ、朝方持ってきた雪熊かな?

 すっげ。肉だらけじゃん。

 

 あー、そっか。寒いから痛みにくいのが。

 なるほど……あ、こっちはワイバーンかな?

 んで、コイツはオーク、と。

 

 ふむふむ……人数は職員さんが二十だっけか。

 

「すみませーん。晩御飯、ギルドで食べたい人いますかー?」

 

 希望者さんが……ええと。三十、かな……? まじか、これ。

 いつの間にこんなに集まったのよ。

 

「ああ、すみません。宣伝を兼ねて作って頂けると聞いて、私が皆を集めました」

「あ、なるほど。ありがとうございます」

 

 おー。こりゃ作りがいがあるなー。

 んじゃお代わり分合わせて100人分かー。

 まあ、いつも通りの量かな?

 

 

「少し集めすぎましたね……大丈夫ですか?」

「え? はい。大体こんくらい作ってますよ?」

 

 いやまー、半分趣味だし。

 

「おい嬢ちゃん。金はいくらだ?」

「お代? あー、じゃあみんなで材料費だけください。これ、ギルドの食材なんで」

 

 私が作りたいから作るだけだしなー。

 それに、宣伝になるならそれで良いし。

 

 

 さって。

 やりますかねー。

 

 

 熊肉は臭みが強いからツヤカブとか香味野菜と合わせて汁物にするか。

 生姜を一欠片すりおろして入れる。これでだいぶ温まるはず。

 大根おろしも入れちゃおうか。

 ポッカポカになれるように、よく煮込んでおこう。

 

 ワイバーンは定番の唐揚げかなー。量を一気に作れるし。

 二度揚げして油切って、ついでにタルタルソースを作っておくか。

 かけるかどうかはお好みで。

 

 オーク …うーん。今日は照り焼きにすっかな。

 味醂(みりん)と醤油、砂糖とお酒でザザっと。

 こってりしてて食べ応えもあるし、力仕事の人にはちょうど良いと思う。

 

 んで、ついでに王都のオウカ食堂のメニューを片っ端から。

 焼肉、鶏唐揚げ、チャーハン、酢豚、特製スープ。

 

 そしてトドメのオウカ特製プリン。

 アイスクリームは冷えちゃうから今回はパス。

 代わりに、ホットワインを作ってみようかな。

 各種ハーブを入れて、アルコール飛ばない程度にあっためてあげよう。

 

 

 あ、お皿足んないや… いっか、アイテムボックスから出そ。

 器もデカいのあるし、こっちに入れっか。

 んで、こっちに並べて……うし。でけたー。

 

 

 

「んじゃみんなで持ってってくださいねー。

 あ、ほら、つまみ食いはダメですって。みんな揃ってから!」

 

 よしよし。みんな揃ったかな。

 

「んじゃ両手を合わせてください。私の実家の習慣なんで、みなさん、ご一緒にお願いします。では!」

 

 

「いただきます!」

 

 

 

 尚。お代わり分含めた百人前の夕食は、全て綺麗に食べ尽くしてくれた。

 うむうむ。大満足だわ。

 

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