【ガンカタ】さくら・ぶれっと 〜剣と魔法のファンタジー世界でどちらも使えない町娘の私はガンカタ(拳銃)で戦う。自分の生い立ちを知りたいだけで、英雄だなんて呼ばれたくないってば〜【15000PV突破】   作:くろひつじ

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3月3日特別番外編「私の初めて」

 まず、炊きたてのお米に甘酢を切り混ぜながら冷ましておく。

 しばらく置いておき、その間にワンダーシュリンプを初めとした各種材料に火を通していき、酢飯の上にせっせと散りばめていく。

 彩り鮮やかで中々綺麗に仕上がったのでちょっと満足。

 ちらし寿司、完成。

 

 次はお餅用のお米を臼ですりおろし、できた粉に色付け。

 干したキラーサボテンの果肉を削って赤、外側の部分を削って緑を作り、白赤緑の3色を作る。

 ひし形の型に入れて緑、白、ピンクの順で蒸しては重ねて行く。

 

 ついでにピンクのお餅に砂糖を混ぜ、丸く纏めて置いていく。

 

 菱餅、桜餅。どちらもピンクが入っていて可愛い感じだ。

 

 このお餅用のお米に熱した油を注ぎ、破裂するまで膨らんだらこちらも着色。

 丸い小さいのが沢山あってちょっと可愛い、雛あられ。

 

 ハマグリのお吸い物、と言われたけど、ハマグリなるものが分からなかったので、代わりにブラスターシェルをまるっと茹でて、口が開いたら出汁と醤油で作ったスープに投入。

 ちぎった香草を散りばめたら出来上がり。

 何だか海を凝縮したような、心地よい香りが鼻をくすぐる。

 

 最後に、お酒屋さんから貰ってきた酒粕に砂糖を加えてお湯で割れば甘酒の完成。

 

 さてさて。これで大丈夫かな?

 聞いただけの料理だから再現出来てるか分かんないけど、味は保証しよう。

 

 

 

 三月三日。春の始まりに、異世界では女の子のお祭りがあるのだとか。

 その名も雛祭りと言うらしい。

 雛人形という物を飾り、お供え物をして、アルコールを飛ばした甘酒を飲む。

 よく分からないけど何だか楽しそうだったので、カノンさんから詳細を聞いて再現してみた次第だ。

 

 故郷の料理が食べられると、英雄たちはとても喜んでいた。

 のは。良いんだけど。

 

 

 料理を王城に持っていったら、そのままカノンさんに部屋まで拉致された。

 なんでも、雛祭りではキモノという物を着る習慣があるんだとか。

 という事で、お着替えタイム。

 

「カノンさん……この服、動きずらいです」

「はいはい。せっかくなんだから今日はこのまま過ごしてくださいね」

「むぅ……まぁみんなとお揃いだから良いですけど」

 

 なんて言うか、凄く変わった服だな。

 布を両側から巻き付けて、大きくて固めなリボンを使って閉じ合わせる感じ。

 私のは白地に桜が散りばめられた、全体的に四角い感じの服だ。

 袖の下がびろーんと伸びていてちょっと動きにくい。

 あとお腹がちょっと苦しい。

 

 ついでだからと髪の毛もセットされてしまい、思うように動きにくい。

 けどまぁ。カノンさん達の不思議に色っぽい姿を見れて得した気分だ。

 

 カノンさんは黒地に黄色い菊の花。

 凛としていてとても美人だ。妙な色っぽさを感じるのが良き良き。

 

 カエデさんは白地に赤。たくさんの雪の華があしらわれていて、愛らしさが際立っている。

 いやぁ、良き良き。

 

 エイカさんは空色。鮮やかな青から白へのグラデーションが綺麗で、エイカさんによく似合っている。

 ツカサさんが絡まない時は綺麗めな美少女なので、これもまた良き良き。

 

 ハルカさんはオレンジ色。色とりどりの花が特徴的。

 なんかお胸がすっごい苦しそうだけど、あれ潰してんのかな。

 大人の色気があって良き良き。

 

 そしてレンジュさん。黄色地に白椿の模様のキモノが不思議と似合っていて、黙っているとまるでお人形のように美しい。

 やっぱり美形ばかりだな、英雄たち。

 

 ……ところでさー。私のキモノ選んだの、だれだ?

 なんで私だけ下側がミニスカートになってんの?

 しかもめっちゃフリル使われてるし。

 リボンも他の人と違ってふわっふわだし。

 極めつけは膝上まで覆われた白い長靴下。これも含めて一セットらしい。

 なんか違くないか、これ?

 

「いやぁっ!! オウカちゃん可愛いねぇっ!! 特注で作ってもらって良かったなっ!!」

 

 犯人、あんたか。

 

「あの……すっげぇ落ち着かないんですけど。わたしも皆さんと同じ形が良いです」

「似合ってるから大丈夫だよっ!!」

「いや、その。そこじゃなくって……」

 

 うぅ……そうじゃなくてさー。

 なんて言うかこう、ぶっちゃけた話。

 

「スカートとか履きなれて無いんで、ちょっと……」

 

 履きなれてないというか、実は初めて履いた。

 しかも短いし。見えちゃいそうで、なんかモジモジしてしまう。

 

「……見えてないですよね? 大丈夫ですよね?」

 

 つい後ろ手でスカートを抑えてしまう。

 やっぱり短すぎないか、これ。

 うあぁ。めっちゃ恥ずい……

 

「大丈夫っ!! 見えないギリギリラインで作ってもらってるからねっ!!」

「また変なところだけ本気出したんですね……」

「可愛いは正義だからねっ!!」

 

 くっそう。でもはしゃいでるレンジュさん、いつもと少し雰囲気違って可愛いなー。

 これアレだ。演技じゃなくてガチで喜んでるやつだ。

 私がこれ着たの、そんなに嬉しかったのかな。

 

 んー……いや、悪い気はしないけどさー。

 でも割と真面目に恥ずかしいと言うか……

 

「うぅぅ……とりあえず、ご飯食べましょっか」

「いやぁっ!! 恥らってるオウカちゃんも良いねっ!!」

「うっさいですよそこ。お酒出しませんよ?」

「それは勘弁かなっ!!」

 

 にししと笑うレンジュさん。

 むぅ。なーんか目線が気になるというか……

 なんでそんなに下見てんだあんた。

 

 ほんとに見えてないよね、これ。

 

 

 広間で料理を並べている間も、なんか周りの視線が気になってモジモジしてしまった。

 少し身を乗り出しただけでスカートがふわりと持ち上がるからすっげぇ気になっちゃう。

 

「こほん。とりあえず、一通り作ってみました」

「凄まじいですね……伝聞だけでここまで再現するとは。さすがオウカさんです」

「お子様ランチの時も凄かったですからねぇ」

 

 おぉ。高評価らしい。頑張ったかいがあったわ。

 みんな懐かしそうに食べてるし。良きかな良きかな。

 

「オウカさん、これってどうやって色付けしたんですか?」

「キラーサボテンの粉末ですよ。カラッカラにして砕きました」

「なるほど……アイデアが凄いですね」

「やー、むしろ食べ物に色付けるって考えが凄いと思いますけどねー」

 

 アースフィア(こちらの世界)には無い考え方だ。

 さすが異世界。いろいろ凄いなー。

 食べ物と娯楽に関してはめっちゃ進んでるよなー。

 

「私たちの国は少し特殊でしたからね。こういった工芸品のような食べ物が多いんですよ」

「へー。また今度色々教えてくださいね。試してみたいんで」

「是非お願いします……あぁ、オウカさんが居れば故郷の味を再現して貰えるのはありがたいですね」

「お任せください。いくらでも作りますんで。あ、でも報酬は弾んでくださいね」

 

 撫でたりハグしたり。報酬はプライスレスで。

 

「構いませんが……下手に動くと見えますよ?」

「はぅあっ!?」

 

 慌ててスカートを抑えると、クスクスと笑われてしまった。

 むぅ。からかわれてしまった。

 でもまぁ、なんかこんなカノンさんも可愛らしいからいいか。眼福眼福。

 それに、みんな喜んでくれてるみたいだし。

 うん。美味しいは正義だね。

 

 さてさて。私も何か……あ、そういや甘酒飲んでないな。味見してみよ。

 

「…あ。オウカさん、甘酒大丈夫なの?」

「え? あぁ、アルコール飛ばしてるから大丈夫ですよ」

 

 ツカサさんに心配されたけど、さすがにこれで酔うことは無いと思うから大丈夫。

 しっかしこれ、めっちゃ独特な味というか……なんだろ、甘いおかゆ?

 つぶつぶしてて面白いな。

 

「おや、オウカさんが飲んでるのって……あれ、本当に甘酒ですか?」

 

 んー。なんか、飲んでると喉が熱くなるな。なんだろ、甘いからか?

 

「……おい、レンジュ。お前まさか、酒持ち込んで無いよな?」

「もちろん持ち込んでるけどちゃんとここにっ!! ……ここ、に?」

「何も無いな」

「何も無いねっ!! あははっ……やばっ!?」

 

 あー。なんか、楽しくなってきたような。

 あれかな。初めてスカート履いたり、珍しいもの作ったからかな。

 ふふ。いやぁ、楽しいね。うん。

 

「…あれ、さっきレンジュさんが甘酒と日本酒混ぜてたやつだよね?」

「退避! 非戦闘員は広間から出てください! 急いで!」

 

 なんかカノンさんが叫んでんなー。凛としてて美人さんだ。お持ち帰りしたい。

 あぁ、そっか。お持ち帰りしちゃえばいいのか。

 そしたら前みたいに邪魔入らないだろうし。

 うん。そうしよう。それがいいね。

 

「……ひっく。リングー」

「――拒否します。オウカ、酔いを覚ましましょう」

「あぁん? 甘酒で酔う訳ないじゃん。変な事言うわね」

「――アルコール成分が含まれています。水分摂取を推奨」

「ふーんだ。いいもんいいもん。自分でやるから」

「――オウカ。落ち着いて。冷静さを欠いてはいけない」

 

 うっさいなー。ええっと、どうやるんだっけか。

 かなりうろ覚えなんだよなー。

 よし。なんかそれっぽくやってみよう。

 

「限定術式、壱番、弐番、参番解放。魔王システム起動」

 

「はぁっ!? ちょっ、オウカちゃんそれダメなヤツだってマジでっ!!」

「取り押さえろ! カノン、急げ!」

「多重障壁展開! 阻め、『堅城(アヴァロン)』!」

 

「Yozaku(夜桜)ra-Drive(機関)……むぎゅっ!?」

 

 うなーっ!? なんだこれ、潰れるー!

 はーなーせー!

 

「未然に防げましたか……良かったです」

「あれはシャレにならんからな……王都が消し飛ぶぞ、マジで」

「うん、ほんとごめん。油断してたよ。もっと気をつけるね」

「本当に気をつけてくださ……男性陣っ! 後ろを向きなさいっ! 今すぐにっ!」

 

 んあ? なんだ? みんな後ろ向いて、どした?

 

「オウカちゃんっ!! 見えちゃう見えちゃうっ!!」

 

 見えるって何が……あ。

 

 いま、私、床にへばりついてる訳で。

 そんで、スカート、めっちゃ短い訳で。

 それって、つまり。

 

「……うにゃあああぁっ!?」

 

 ホルダーから拳銃を抜き放ち。

 見える範囲にいる人全員に、発砲した。

 

 

 

「……私、悪くないと思うんです。レンジュさんが悪い」

「あははっ!! いやぁっ!! ごめんねっ!!」

 

 二人並んで正座なう。

 他のみんなは私が暴れた後をお片付け中である。

 微妙に記憶が曖昧だけど、多分私は悪くないと思う。

 

「そう言えばアレだねっ!! こうしてるとお雛様みたいだねっ!!」

「は? お雛様?」

「雛祭りで飾る雛人形でねっ!! カップルの人形があるんだよっ!!」

「なるほど。たしかに奉られてる感はありますね」

 

 二人ともキモノだし、周りに食べ物沢山あるし。

 

「ついでに私達もイチャイチャしようかっ!!」

「ついでならお断りします。ついでなら」

「えっ!? あれっ!? なんか思ってた反応と違うよっ!?」

「知りませんよ。あーあ、せっかく可愛い服着てるのになー」

「……その、後でねっ?」

「ふーんだ。知りません。レンジュさんなんて一人でお酒飲んでてください」

 

 ちょっと意地悪を言ってやると、最強の英雄はあたふたと言い訳を始めた。

 気が済んだらハグでもしたげようかな、うん。




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