【ガンカタ】さくら・ぶれっと 〜剣と魔法のファンタジー世界でどちらも使えない町娘の私はガンカタ(拳銃)で戦う。自分の生い立ちを知りたいだけで、英雄だなんて呼ばれたくないってば〜【15000PV突破】   作:くろひつじ

70 / 213
69話

 

 昨日は自宅に戻ってお風呂入って、夕飯も食べずにベッドに潜り込んだ。

 おかげでフラフラ状態から完全復活できたものの、めっちゃお腹空いた。

 朝御飯には早い時間だったけど、有り合わせでサンドイッチを作って頬張る。

 今日はちょっと試したいことがあるから早めに家を出たいのもあるし、ぱぱっと食べちゃおう。

 

 

 サンドイッチは適当につくった割にかなり美味かった。

 八百屋のおばちゃんオススメ品のトマトが特に良い味してたわ。

 やっぱあの店のオススメ品は買った方がいいな、うん。

 

「よっし。さっさとやっちゃおっか」

「……どうでもいいが、無茶なことは控えろよ?」

「大丈夫。たぶん」

 

 グラッドさんに釘をさされたけど、問題は無いはず。

 

 

 さてさて。わざわざ朝早くギルドの裏に来たのにはちゃんと意味がある。

 リュウゲジマコトさんからもらったカードを試しに来たのだ。

 ぶっつけ本番は何があるか分かんないから怖いし。

 

 ちなみにグラッドさんは朝イチで私に捕まって同行させられた次第である。

 申し訳ないけどご協力願おう。

 

「リング、リュウゲジマコトさんの奴、解析終わってる?」

「――解析完了済です:インストールしますか?」

「頼んだ」

「――Now Loading……Expansion package.Installation completed」

 

 お。久々に出たな、謎言語。準備が終わったって事かな?

 

「……ふむ? 今んとこ、特に変化はないね」

「魔力の循環がトリガーに設定されています」

「なるほど。て言うか今さらだけど、英雄って滅茶苦茶だよね」

 

 使ってる本人もよくわかってないのに、後付けのオマケを作れるんだもんね。

 うーむ。本人も言ってたけど、もうちょい疑った方がいいんだろうか。

 まーとにかく、使ってみっかー。

 

 

 拳銃を抜いて魔力を廻す。でも特に変化はない。

 んー? あ、そう言えば、背中がどうとか言ってたな。

 

 肩越しに背中を確認してみる。

 ……うん? なんか、丸っこいのが浮いてる?

 

「――オウカの背部に:ブースターユニットが装着されています」

「……ほほう?」

 

 背中にブースターってことは、そのまま飛べるのかな。

 よし。ちょっと試すか。

 

「リング、背中のブースターを起動」

「――了解:起動します」

 

 後ろから轟音。物凄い勢いで押し出される。

 足が浮いて踏ん張りが利かず、そのままひっくり返って柔らかい地面に頭突きした。

 

 

 ……痛い。鼻打った。

 

 くそう、グラッドさんが口元抑えてニヤついてるのが腹立つ。

 

「……リング。ブースターを下向きにしてみて」

「――修正しました:再起動します」

 

 再び轟音、今度は上手く真上に浮かび上がった。

 あ、うん。何となく、制御の仕方が分かる。

 こうしたら……よし、前に進んだ。これ同じ高度保つの難しいな……よっ、と。

 てりゃ!! 宙返り!! からの、急降下、急上昇!!

 おお、ばしっと決まるわ。ちょっと楽しいかも。

 

 

 しばらくびゅんびゅん飛び回ってみた。

 馴れてみると便利だわこれ。飛びながら両手使えるし。

 ……両手も同時にバーニア使ったらヤバイ速度になりそうだなー。

 

 出力を弱めて着地。

 おわ、髪がやばいことになってる。

 ちょっと調子に乗りすぎたか。手櫛で戻るかな。

 

「お前、だんだんと人間離れしてきたなあ」

 

 なんか酷いことをしみじみと言われた。失礼な。

 

「で、用事は終わりか?」

「あ、うん。もう大丈夫だと思う。ありがと」

「おう。あんまり無茶はしないようにな」

「……いやあ、私もしたくはないんだけどねー」

 

 何となくばつが悪くて目を逸らす。

 いや、何も無いなら平和に暮らしたいのよ?

 ただこう、周りにトラブルが溢れてるだけで。

 私のせいじゃない。と、思いたい。

 

 

 グラッドさんがギルドに戻るのを見送った後。

 さて、もう一つ確認、いきますか。

 

「リング。昨日のカード、いける?」

「――解析完了済:使用可能です」

「おっけ。やってみようか」

「――Sakura-Drive Ready.」

 

「Ignition」

 

 仄かに立ち上る桜色。そこから更にギアを変える。

 

「ソウルシフト、アヴァロン」

「――OK. SoulShift_Model:Avalon. Ready?」

「Trigger」

 

 

 ガチャリ、と心の中で何かが切り替わった。

 この感覚、やはり慣れないな。

 知ってたことを無理矢理思い出されるような、不思議な感覚だ。

 とりあえず、使用方法は理解できた。

 

 試しに一枚、障壁を出してみる。

 半透明の盾が出てきた。しかし、厚みが無い。

 

 試しに圧縮した魔弾を発射、意図も簡単に撃ち抜いた。

 見た目通り、防御力かなり落ちてるようだ。

 精々が通常の魔弾くらいしか止められそうにない。

 数は……うん、同時に二枚が限界か。

 

 これ、本物と比べたら廉価版的な感じなのか。

 盾にするには脆すぎるな。

 でもこれ、ちょい面白いこと出来るかも。

 

 向かい合わせに二枚の障壁を展開。右側に飛び込み、足場にして跳躍。

 そのまま反対側の障壁を蹴って再跳躍。

 跳んでいる間に一枚目を削除、次の障壁を展開して足場に。

 

 森の枝を蹴り跳ぶ要領で、空へ駆ける。

 バーニアより細かく軌道変えられるし、音も殆ど無い。

 これはちょっと、楽しいかも。

 

「あ。リング、さっきの背部ブースターってさ、位置は固定されてんの?」

「――否定:指定の位置に実体化可能です」

「じゃあさ、拳銃の真上とか、できる?」

「可能:移動しますか?」

「ん。お願い」

「――展開します」

 

 

 丸いデバイスが宙を飛び、拳銃の真上に設置された。

 ふむ。これ、考えただけで好きに動かせるのか。

 ビュンビュン飛び回っていて、少し面白いな。

 これを拳銃に追従する形で固定して、発砲。

 

 パパンッ、と、銃声が連続して聞こえた。

 

 やっぱり、この丸いのからも撃てるのか。

堅城(アヴァロン)』もどきと一緒に使えば立体的に動きながら手数も増やせる。

 かなり便利かもしんない。

 

 ……いや、待てよ? ちょっと、悪いこと思い付いた。

 

 両手の拳銃、二つのデバイス。四つの銃口を揃えて、魔力を最大圧縮。

 ギリギリまで溜めて、壁だと危ないので、空に向け、放つ。

 

 

 極太の極光が、雲を貫いた。

 

 

 ……。四本纏まって大きな光条になったな。

 雲が弾け飛んだように見えたのは、気のせいにしておこう。

 

 基本的に封印した方が良さそうだな、これ。

 火力が凄い分、魔力消費も尋常じゃないし。

 固そうな奴出てきたら試してみるか。

 

 

 よし。テスト終了。

 拳銃をホルダーに戻し、サクラドライブを解除。

 

 

 空に消えていく桜色を見送り、背伸びを一つ。

 んーっ! さて、そろそろお昼の時間だし、戻りますか。

 今日は魚料理を作る予定だ。最近揚げ物多かったし、蒸し焼きか、煮魚かな……

 

 ともあれ、こっから本番だ。張り切っていこうか。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。