間が空いてしまいすみません。続きとなります。
最近、花粉症がやばいですね、鼻水ズルズルくしゃみもするし目がかゆいです(´TωT`)
3時間目の社会
担任の茶柱先生の授業だが、教室内は、授業開始のチャイムが鳴っても騒いでいる。教室に茶柱先生が来ても、生徒たちのテンションは変わらない。
「ちょっと静かにしろー。今日はちょっとだけ真面目に授業を受けて貰うぞ」
「どういうことっすかー。佐枝ちゃんセンセー」
ひと月近くたち茶柱先生は、既にそんな愛称で一部から呼ばれはじていた。月末なので小テストを行うとの事で、1枚のテスト用紙に主要5科目の問題がまとめてあり、各教科が数問ずつ載っている。生徒から、「聞いてないよー。ずる〜い」という声も上がるが、今回の小テストはあくまで今後の参考用で、
妙に含みのある言い方が少し引っかかったが、まあ、当然かと流した。そして、テスト用紙が配り終わると、唐突に小テストが始まった。1教科4問、全20問の各5点配点の100点満点。拍子抜けするほど、殆どの問題が非常に簡単だった。中学の復習のような、いくらなんでも簡単すぎる問題ばかりだった。── 最後の問題以外は…
他の問題に比べ桁違いの難しさで、数学最後の問題は、複雑な数式を組み立てなければ答えが出ない…
「(…これは面白いな……一体何を測ろうと言うのか…)」
最後の3問だけは、このテスト用紙に載っていること自体がミスじゃないかと思うほどである。茶柱先生は、一応監視だけはするつもりなのか、ゆっくりと教室を巡回している。授業終了のチャイムが鳴り、難しい、全然出来ないという声が聞こえてきた。
____________
朝、学生端末を開き残りのポイントを確認すると、昨日の夜から一切変動がなかったが、予測の通りである。しかしなんとも言い難い顔をしながら、寮を出た。
5月最初の学校開始を告げるチャイムが鳴った。程なくして、手にポスターの筒を持った茶柱先生がやって来る。その顔はいつもより険しい。池が生理でも止まりましたかー?と失礼なジョークをかましたが、茶柱先生は、池のセクハラに一切構わず、生徒たちに聞いた。
「これより朝のホームルームを始めるが、その前になにか質問あるか?気になることがあるなら今聞いておいた方がいいぞ?」
まるで生徒たちからの質問があることを確信しているかのような口ぶりだった。実際、それを聞いた数人の生徒がすぐさま挙手した。本堂が、今朝確認したらポイントが振り込まれてなく、毎月1日に支給されるのでは無いのかと聞いた。しかし、茶柱先生は、今月も問題なく振り込まれたことが確認されており、Dクラスだけ支給されてないということは無いと断言した。本堂や山内たちは、顔を見合わせて、振り込まれてないとモゴモゴ言った。
「……お前らは本当に愚かな生徒たちだな」
「愚か?っすか?」
怒りか、あるいは悦びか──不気味な気配をまとった茶柱先生……間抜けに聞き返す本堂に、茶柱先生は鋭い眼光を向けている。聞いたことがない厳しい口調に本堂は腰が引け、そのままズルっと椅子に納まった。茶柱先生は、再度学校側が間違えたことは無いと言った。そう言われても、生徒たちは戸惑いながらも不満げな様子を見せる。
もし先生が言うように振り込まれたのが事実だとして…矛盾でないとしたら……振り込まれた結果が、0ポイントだとしたら……
そんな疑問が微かに、だが確実に膨れ上がっていく。
「ははは、なるほど、そういうことだねティーチャー。理解出来たよ、この謎ときがね」
机に足を乗せ、偉そうな態度で本堂を指さしながら、高円寺が声高らかに笑った。Dクラスには1ポイントも支給されなかった─つまり、支給されたのは0ポイントということ…
「はあ?なんでだよ。毎月10万ポイント振り込まれるって……」
「私はそう聞いた覚えはないね。そうだろう?」
「態度に問題ありだが、高円寺の言う通りだ。全く、これだけヒントをやって自分で気がついたのが数人とはな。嘆かわしいことだ。」
ニヤニヤと笑いながら、高円寺は茶柱先生にも堂々と指を向けた。教室中は突然の出来事、報告に騒然とした。そんな中、平田が手を挙げた。さすがはクラスのリーダー、自分のポイントを守るためではなく、不安に包まれるクラスメイトを心配して、挙手したように見えた。平田は、なぜポイントが振り込まれなかったのか、理由を聞いた。
「遅刻欠席合わせて98回授業中の私語や携帯を触った回数391回、ひと月でずいぶんでやらかしたもんだ、この学校では
茶柱先生は呆れながらも感情のない機械的な言葉を発した。つまり、スタートダッシュでもらった10万円という巨額のアドバンテージをDクラスはひと月で失ってしまったということだ。近くでカリカリと鉛筆の筆記音が聞こえるので、きっと誰かが冷静に事態をはかろうとしているのだろう。平田は、茶柱先生に、自分たちはそんな説明を受けた覚えはないと言ったが、説明されなければ理解ができないのかと言われた。
「それは不思議な話だな平田。確かに私は振り込まれるポイントがどのようなルールで決められるかを説明した覚えはない。しかし、お前らは学校に遅刻するな、授業中に私語をするなと小学校、中学校で教わらなかったのか?」
「それは……」
「見に覚えがあるだろう、そう、義務教育の9年間嫌という程聞かされてきたはずだ、遅刻や私語は悪だと。そのお前らが言う事にかいて説明されなかったから納得できない?通らないな、その理屈は。当たり前のことを当たり前にこなしていたなら、少なくともポイントが0になることはなかった。全てお前らの自己責任だ。」
反論のしようなどない、絶対的正論であって、誰もが知っている一番簡単な善悪。日本政府が作った優秀な人材教育を目的とするこの学校で、高校1年に上がったばかりの自分たちが、毎月10万円を何の制約もなく使わせてもらえると本気で思っていたのか……常識的に考えて、おかしいと思わないのか。なぜ疑問を疑問のままにしておくのか…先生言わく、ポイントの増減は人事考課─つまりのところ、詳細な査定内容は、教えられない。
「あまりに悲惨な状況だ、一つだけいい事を教えてやろう。遅刻や私語を改め…仮に今月マイナスを0に抑えたとしても、ポイントは減らないが増えることは無い。つまり、来月も振り込まれるポイントは0ということだ。裏を返せば、どれだけ遅刻や欠席をしても関係ないという話だ。どうだ、覚えておいて損はないぞ?」
1部の生徒は意味を理解できなかったようだが、そんな説明ほぼ逆効果で、遅刻や私語を改めようという生徒の意志が削がれる。何が狙いなのか。話の途中だが、チャイムが鳴り、ホームルームの終わりを告げる。無駄話が過ぎたようだと言いながら手にしていた白い筒から、白い厚手の紙を取り出し、広げた。そこにはAクラスからDクラスの名前とその横に最大四桁の数字が表示されていた。Dクラスは0、Cクラスは490、Bクラスが650、そして一番高い数字が良いクラスの940──これがポイントのことだとすると1000ポイントが10万円に値し、全てのクラスが軒並み数値を下げていたが、おかしいところがある。
「……ちょっと綺麗すぎるよな」
後ろから聞こえてきた声に口元のニヤケが隠せなくなる。先生の話だと、学校側は好き勝手していた、自分達の生活を否定するつもりはない、ポイントの使用もどう使おうが所有者の自由、その点に関しては一切制限をかけていなかった。他クラスは一ヶ月生活するには十月すぎるほどのポイントが振り込まれている。一切不正がされておらず、全てのクラスが同じルールで採点されているのに、これだけの差がついたというのは元のできが違うのだ。
「この学校では優秀な生徒達の順にクラス分けをされるようになっている。最も優秀な生徒はAクラスへ、ダメな生徒がDクラスへ、と大手集団塾でもよくある制度だな。つまりここDクラスは落ちこぼれの集まり、最後の砦というワケだ。つまりお前たちは最悪な不良品ということだ。実に不良品らしい結果だな」
確かに優秀な人材は優秀な箱に劣等な人材はダメな箱に詰めた方がいい、腐ったミカンがいいみかんを腐らせることはよくあることだ。茶柱先生はわざとらしい拍手をしながら、全てのポイントを1ヶ月で吐き出したのは過去のDクラスでも初めてだと言った。必要最低限の生活ができるよう、部屋はタダで使用でき、食事も無料のものがある、ポイントは0である限り卒業までずっと0ということだ。この1ヶ月生徒達は贅沢三昧の生活を送ってきた、急にそれほど我慢しろというのは相当大変なことだ。まあ、ツケが回ってきただけだが……
「これから俺たちも他の連中にバカにされるってことか」
須藤がガンッと机の脚を蹴った。クラス順に優劣が決まるなら、当然一番下クラスが馬鹿な集まりだと公言していることになるので、卑下するのも無理はない。先生は、クラスポイントは毎月振り込まれる金と連動しているだけでなく、クラスのランクに反映されているといった。つまり、私たちが500ポイントを所有していたら、DクラスからCクラスに昇格していたということだ。
黒板に追加されるように張り出された一枚の紙、そこにはクラスメイト全員の名前がズラリと並んでいて、各名前の横にはまたしても数字が記載されていた。先生はカツカツとヒールで床を踏み鳴らし、生徒達を一瞥する。これは先日やった小テストの結果で、中学で一体何を勉強していたんだという事にひどい点数である。1部の上位を除き、ほとんどの生徒は60点前後の点数しか取れておらず、須藤の14点、池の24点という驚異的な点数のものもあった。今回は本番だったら7人の生徒が入学早々退学になっていたところだそうだ。
「この学校では中間テスト期末テストで一科目でも赤点を取ったら即退学になることが決まっている、今回のテストで言えば32点未満の生徒は全員対象ということになる。本当に愚かだな、お前達は」
真っ先に驚愕の声を上げたのは、そんな人に回答する池達。7人で一番点数の高い菊池の31点の上に赤いラインが引かれていた、つまりそれ以下の生徒は赤点ということだ。机に足を乗せたまま爪を研ぎながら、高円寺が偉そうに微笑みながらこのクラスには愚か者が多いようだと言った。高円寺は、上位の上位同率首位の1人に名を連ねていた。その点数は90点で恐ろしく難易度の高い問題を一つは解いたということだ。
全国屈指の進学就職率を誇り、此処さえ出れば通常では難しいとされる希望先にもすんなりと入れると噂されている国家の管理下にあるこの学校。おそらくこのクラスのほとんどのものを目標とする進学就職先を持っていて、それにあやかろうとしているものばかりだろう。
「が………世の中そんな上手い話ではない。お前らの予定レベルの人間がどこにでも進学、就職できること、世の中はうまくできているわけがないだろう────この学校に将来の希望を叶えてもらいたければ、Aクラスに上がるしか方法はない、それ以外の生徒にはこの学校は何ひとつ保証することはないだろう。」
滅茶苦茶だと言い立ち上がったのは、幸村という眼鏡をかけた生徒だった。しかし、男があわてふためく姿ほど惨めなものは無いと高円寺が横槍を入れ、そんな態度の高円寺に対し、幸村は不服は無いのかと尋ねると、学校側が自分のポテンシャルを測りきれなかっただけだと言った。実際、この学校に在籍している生徒の中には将来親の跡を継いだり、就職先が決まっていたりする生徒も少なからずいるだろう。高円寺は、そのうちの一人なのだろう。
「中間テストまであと3週間、まぁ、じっくりと熟考し、退学を回避してくれ。お前らが赤点を取らずに乗り切れる方法はあると
少し強めに扉を占めると茶柱先生は教室を後にした。
その後の教室は今後どうやってポイントを手に入れるか話し合いが行われていた。若干1名、反抗的な態度を示し教室を出た者もいたが……
───────
同時刻
「……おってくるのがお前だとは思わかなったぞ───天喰。何か用か?」
「1つ確認したいことがありまして───今月マイナスを0に収められなかった場合、ポイントが支給される際に引かれるということはあるのでしょうか?」
「それは無いな。0は0だ。マイナスポイントになることは無い。─しかし、何故それを聞く?」
「何故?──んー…難しい質問ですね。まあ、Dクラスなら今後も遅刻・私語がありそうだなぁと思ったので、それが負債とならないといいなぁ〜って感じですね」
「そういう事にしといてやる。早く教室に戻れ、チャイムが鳴るぞ」
カツカツとヒールを鳴らし歩いていく茶柱先生に会釈をして、自分も教室へ戻る。しかし、いい情報だ。負債になることは無い──つまり、0の間は何をしてもいいのだ。まあ、これでポイントがある時に自堕落な授業態度になったら困るが……
「さて、どうしようか……退屈しのぎにはなりそうだ」
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放課後
朝の話し合いの結果通り、平田が教壇にたち、黒板を使って対策会議の準備を始めていた。平田の求心力の凄さが伺える参加率で、数名の男女を除きほぼ満席だった。ゲームを買うように頼むもの、友達を建前に人に借りるもの、違ったやり方で、しかし確実に、ポイントを得ようとしている。
「あのさ、天喰さんちょっといいかな?」
「なんでしょうか?」
「実はあたしさ、ポイント使いすぎちゃってマジで金欠なんだよね。今、クラスの女子から少しづつポイント貸してもらってるだけど、天喰さんにも助けてもらいたいって思って。あたしたち友達だよね?ほんのひとり2000でいいんだけどさ」
軽井沢さんは、ヘラヘラとした様子で友達という言葉を建前にポイントを貸してほしいと要求してきた。普通だったらこんなもの、即断って終了だが、まあ、慈悲の心というやつだ。
「2000ポイント
「そうそう」
「分かりました。振り込んでおきますね」
軽井沢さんは、了承すると軽く返事をし、次のターゲットである生徒をみつけ風のように立ち去った。まあ、返ってこないのは承知の上だが、ここで恩を売っておくのも悪くない。何せ、彼女は今クラスのリーダー的存在であるからだ。
『1年Dクラス綾小路くん、同じく1年Dクラス天喰さん、担任の茶柱先生がお呼びです。職員室まで来てください』
さて、悪い事をした覚えは無いのだが───ましてや、綾小路清隆との繋がりなんて、ほとんどない。彼だけが呼ばれるならまだわかるが……
──────────
横に並び無言で、職員室まで向かう。少々気まずいが、どうしようもないだろう。職員室の扉を開けグルッと見回すが茶柱先生の姿は見えない。綾小路くんが、鏡で自分の顔をチェックしている先生に話しかけた。セミロングで軽くウェーブのかかった髪で、茶柱先生のことをサエちゃんと呼び、歳も近そうなので、2人は親しい間柄なのかと思った。茶柱先生は、さっきまでいたらしく中で待たないかと言われたが、2人同時にじゃあ廊下でと言い、廊下にならんでた。
先程声をかけた先生はBクラスの担任の星野宮知恵先生で、茶柱先生とは、高校時代からの親友で、私達がどういう理由で呼び出されるとのかを聞いてきた。どちらかと言うと質問攻めにあってるのは綾小路くんだ。茶柱先生とは違って、担任距離が癖に近いような雰囲気を纏い、彼女ができたとかかっこいいなど当たり障りない世間話をしてきた。頬を人差し指で疲れと返答するべきか迷っている綾小路くんだったが、突然現れた茶柱先生が手ににしていたクリップボードでスパン、といい響きのいい音を立てながら星之宮先生の頭をしばいたことで、解放された。
「待たせたな、綾小路、天喰。ここじゃなんだ、生徒指導室まできてもらおうか」
「いえ、別に大丈夫ですけど。それより生指導室って…………オレ何かしました?これでも一応目立たないように学校生活を送ってきたつもりなんですが」
「右に同じく心当たりがないのですが………」
「口答えはいい。ついてこい」
なんなんだと思いながら歩きださ茶柱先生についていく。すると笑顔の星宮先生もついてきて、それに気づいた、茶柱先生が鬼の形相で振り返った。ついて来るなという茶柱先生に対し聞いて、別に減るもんではないと、ニコニコ茶柱先生に答えたあと綾小路くんの背後に回り両肩に手を置いた。含みのあるセリフを呟きながら星之宮先生は歩いている私達の後を追ってくる。しかし、一ノ瀬と呼ばれた生徒から質問があるようで、ひらりと踵を返し、職員室へ入っていく。
「で…………なんなんですか俺を呼び出した理由って」
指導室の壁に掛けられた丸時計をチラチラ確認していきたかと思うと指導室にあるドアを開いた。そこは給湯室となっているようで、コンロの上にはヤカンが置かれていた綾小路くんがお茶でも沸かせばいいですかと言い粉末のほうじ茶が入った容器を手に取った。余計なことはしなくていい、黙ってココに入って、物音を立てず、静かにしていろ、破ったら退学にすると言われ、2人で静かに待った。
「天喰は、何をしたんだ?」
「特に心当たりはありません。綾小路君こそ何かしました?」
「思い当たることはないな……」
程なくして指導室のドアが開く音がし、茶柱先生の声で指導室を訪ねてきたのは堀北だとわかった。堀北の質問はなぜ自分がDクラスに配属されたかということで、入試試験の問題はほとんど解けたと自首し、面接でも大きなミスをした記憶はない予定少なくともDクラスになることはないだろうと言った。堀北は自分を優秀な人間だと思ってるタイプだが、それは決して自意識過剰ではなく、実際に結果が伴っているからである。先日のテストも同率1位に名を連ねていた。入試問題の結果も、今年の1年の中では同率3位で1位2位とも僅差で十分すぎるほどの出来だと茶柱先生も褒めた。だからこそ、堀北は自分がなぜDクラスなのか納得がいってないようだ。
「その前に、お前はどうしてでDクラスであることが不服なんだ?」
「正当に評価されていない状況を喜ぶ者などいません。ましてこの学校はクラスの差によって将来が大きくされます。当然のことです。」
「正当な評価?おいおい、お前は随分と自己評価が高いんだな」
茶柱先生は失笑、あるいは単純な笑いなのか──
堀北が学力が優れている点は認めたが、学力に優れたものが優秀なクラスに入れるお誰が決めたのだと堀北に問うた。それに対し堀北は世の中の常識だと言った。今のダメな日本を作ったのは、ただテストの点数がいいだけで、人間を評価し、優劣を決めていたこと。その結果無能な人間が上で幅を利かせて本当に優秀な人間を蹴落とそうと躍起になる。綺羅莉もよくそんなこと言っていた。勉強ができるということは一つのステータス、しかし本当の意味で優秀な人間では無い。仮に学力の優劣だけで入学が決まっているのならば、今回のテストで赤点をとった人達はきっと入学できなかっただろう。
「正当に評価されていない状況を喜ぶ者はいないと決めつけた発言をするのも早計だな。Aクラスともなれば学校から受けるプレッシャーは強く、下のクラスからの妬みも強い。日々重いプレッシャーの中で競争させられるのは、想像よりはるかに大変なものだ。なかには正当に評価されないことを良しとする者もいる。」
その考えは理解できないという堀北に対し、茶柱先生はDクラスにも低いレベルのクラスに割り当てられて喜んでいる変わり者がいると思うがなと言った。その言葉を聞いた瞬間、隣の綾小路くんの顔が少し動いた。堀北は自分がDクラスに配属されたのが事実かどうか、採点基準が間違っていないかの再確認を頼んだが、茶柱先生はミスはなく、堀北はDクラスになるべくしてなったといった。なおも食い下がらず上に聞こうとする堀北に向かい、卒業までにAクラスへと上がれる可能性も残されていると言った。
「ああ、そうだった。もう2人指導室に呼んでいたんだったお前にも関係のある人物だぞ。出て来い綾小路、天喰」
こんなタイミングで読んで欲しくなかったと2人で顔を見合わせ頷き合い、ここを出ないでおこうと意を決しだ。しかし、出てこないと退学にするぞという聖職者が平然と退学を武器にした言葉によりため息をつきながら、わざとらしく溜息をつきながら、指導室へ戻る。話を聞いていたのかという堀北の問いに、全く聞こえなかった意外と壁が厚いんだなと綾小路くんが答えたが、茶柱先生は何が何でも土俵に引きずりを出したいらしく、会話をよく聞こえただろうと言った。これが仕組まれた流れだったことにすぐに気が付いて堀北を明らかにご立腹で、失礼しますと帰ろうとした。
「まて、堀北。最後まで聞いておいた方がお前の為にもなる。それに、Aクラスに上がるためのヒントかもしれないぞ」
手短にという堀北に対し、茶柱先生はクリップボードに視線を落としながらニヤニヤと笑い、お前は面白い生徒だな綾小路と言った
。
「茶柱、なんて奇特な苗字を持た先生ほどオモシロイ男じゃないすよ、俺は」
「全国の茶柱さんに土下座してみるか?んん」
茶柱先生は入試の結果をもとに個別の指導方法を思案していたが、綾小路くんのテストを見て興味深いことに気づいたらしい。
──国語50点、数学50点、英語50点、社会50点、理科50点……おまけに今回の小テストの結果も50点
茶柱先生の手元にあるテスト用紙を見て、どれも本当の結果だということを確認した。綾小路くんはというと高得点が取れる頭あるなら全科目満点狙っているといい、偶然って怖いッスねと言った。数学の問題を正答率が学年で3%だった問題だが、複雑な証明式も含め完璧に解いている、一方、正答率76%の問題を間違えた。なんとも奇妙な話だ。自分に隠れた天才とか、そんな設定はないというが、堀北よりも頭脳明晰かもしれないぞという先生の発言にピクリと堀北が反応する。AでもDでも良い言えるような他の生徒とは異なる理由があるのかもしれないが、と茶柱先生はいい、綾小路くんは、どうやらその理由を詳しく聞く突然発狂して部屋の備品という備品を壊しそうなんで遠慮しておきますと言った。
「先生、綾小路くんについては分かりましたが、彼女がいる理由はなんですか?」
「天喰のことか?───そういえば、お前も面白い生徒だったな天喰」
口の端を上げながら目線をこちら側に移す茶柱先生。
「入試も2位、今回の小テストも上位だ。面接でも大きなミスはなく、授業態度も悪くない。堀北と同じように自分がDクラスということに不満を持たないのか?」
わざとらしく聞いてくる茶柱先生。入試とテストの結果を聞き、堀北がばっとこちらを振り向いた。
「別に特に不満はありませんが、まぁ、しいていうのであれば0ポイントの生活は少々……」
「そんなに残っているのにか?まぁ、いい。私はもう行く。そろそろ職員会議の始まる時間だ。ここは閉めるから3人とも出ろ」
背中を押され廊下へと放り出される。茶柱先生はなぜ私たちを呼び出し堀北と鉢合わせたのか意味のないことをするタイプには見えなかったが……とりあえず帰ろうと言う綾小路くんの言葉を聞き歩き出す。
─────────
「待って──さっきの点数……本当に偶然なの?」
堀北は綾小路が全ての教科において五十点を取ったことについて問いただしていた。我、関せずと横を通り抜けようとしたらこちらもこちらで堀北に止められた。Aクラスに上がるのは相当大変なことであり、まず初めにクラスの問題児たちを再生させなきゃならない。ましてや、もともと優秀という位置づけにいるAクラスを負かすのは大変なことだ。堀北は綾小路くんがに協力を願った。綾小路くんは露骨に嫌そうな顔をし断ったが、堀北はその断りを聞き流し協力すると言ってくれたと言い出した。そそくさと逃げ言おうとしたが、その矛先はこちらにも向いてきた。
「あなたは手伝ってくれるかしら天喰さん」
「確かにAクラスに上がるのは大変なことです、しかし不可能とは言われていません。できないこともないでしょう」
「ええだから、協力して欲しいの」
「は?」
「こちらとして協力する気は一切ない。そもそも私はDクラスであることに不満がない、ゆえに、Aクラスに上がる気もない。こちらは好きにやらせてもらう。」
肯定から一気に否定と変わった内容に驚いて理解が追いついていない堀北を横目に見ながら脇を通り抜けていった。元ネタを知らないと思われる堀北、綾小路には全く不条理な言い訳に聞こえただろう。
こちらとしては、1度は行ってみたいセリフ第4位をリアルに言わせてもらえたことが感激でしかない。孤独と孤高をはき違えたやつについていく気は一切ない。それに気づかない限り、彼女についていくものはいないだろう。そもそもだ、マイナスポイントというものが存在しないのであれば5月はまともに過ごす必要性がない。こちらはこちらのやり方でやらせてもらう。卒業しようがしまいが、関係ないのだから
お読みいただきありがとうございました。誤字脱字ありましたら、ご報告お願い致します。感想評価は、作者のやる気になりますので、お暇があればよろしくお願いします。