いつの間にかビッチになってた件について   作:naonakki

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第二話

 ガラリと自分の教室の扉を開く。教室内は冷房が効いており、ヒンヤリとした空気が俺の肌を優しく撫でてくる。

 既に教室内には大半のクラスメイトがおり、友達とおしゃべりする者、読書する者、スマホをいじる者などそれぞれが思い思いの時間を過ごしていた。

 その内の一人の女子がなんとなしに俺の姿をチラリと確認すると、興味無さそうに目を逸らしかけるが、すぐにバッと目を見開きこちらを二度見してくる。軽く引く程度には凄い速さだった。俺が目を向けると、顔を僅かに赤く染め、例のごとく視線を逸らされてしまった。

 その女子が近くにいた別の女子にヒソヒソと何かを耳打ちしたかと思うとその女子もチラリと俺を見ると同じように目を見開いて見つめてくる。

 

 ……なんだってんだよ、さっきから。でも気のせいか、さっきから女子は俺の顔というよりはもう少し下の方を見ているような気がする、ちょうど胸のあたりだろうか。念のため己の胸に視線を向けるが、特に変わった点はない。強いて言えばボタンをいつもより多く開けている為、少し肌の露出があることくらいだが、そんなことは関係ないだろう。こんなことは他の男子だってしていることだ。

 ……うん、やはり分からない。

 

 結局見られていることの理由解明に至らずうんざりしながらも、とりあえず自分の席に着こうと向かう。すると途中で仲の良い男友達が四人で教室の隅に集まってヒソヒソと話し込んでいる姿が見えに入った。

 ……何をしているんだ?

 多少気にはなったものの、迷わずその輪に近づいていく。あの四人は、しょうもない下ネタトークなどで盛り上がれる非常に馬の合う貴重な友達だ。

 あいつらといつものように話せば、多少は気も晴れるだろう。

 

 「よう! 何をコソコソ話しているんだ?」

 

 俺が声をかけると四人ともビクッと反応し、恐る恐るこちらを振り返ってくる。

 その様子に違和感を覚える。こいつらは人目を気にするような奴らじゃないはずだ。よほど周りにばれてはいけないことを話していると見た。

 

 「……なんだよ、かずかよ。驚かすなよ……ってお前、なんて恰好してるんだよ!?」

 

 四人のうちの一人、裕太がホッとしたような表情を浮かべたのも束の間、顔を真っ赤にしながらそんなことを言い放ってくる。他の三人もギョッとしたような表情を浮かべ俺を見つめてくる。

 

 「……え、俺変な恰好してるか? いつも通りだと思うけど。」

 「いやいやいや、そんな胸元はだけさせて何言っているんだよ!? まるでビッチだぞ?」

 「……は? 男のビッチってなんだよ? ……まあ確かに風紀的にはよろしくないだろうけど、これくらいみんなやってるだろ?」

 「そんな恰好してる奴、隣のクラスの佐藤と山本くらいだよ。ほらっ、いいからボタン留めろよ!」

 「うわっ、ちょっと分かったから。留めるから!」

 

 裕太が無理やり俺のボタンを留めようとしてくるので、仕方なくボタンを一番上まで止める。

 まあ、教室内は涼しいし文句はないが、こいつらの反応が気になる。こいつらもこのクソ暑い時期、ボタンの一つや二つ開けていたと記憶している。

 が、しかし。

 

 ……え、みんなボタンちゃんと留めている?

 

 四人だけではない。教室内を見渡しても全員の男子がしっかり等しくボタンを留めていた。

 一部チャラそうなやつらなんかは、一番上のボタンのみ外している生徒はいたが、その程度。

 ……なんだこれ?

 流石に周りの様子が異常だと気付く。今日が風紀チェックの日だとしてもこうはならないだろう。

 

 ……いや、というか逆に女子だ。過激な恰好してる奴多くね?

 

 改めてクラス内を見渡してみると、女子の多くがボタンを大胆に開けている。中には胸の谷間がはっきり見えている者さえいる。スカートも標準より短くしている者が多い。

 そしてその事実に気付いた瞬間、これまであった違和感やらイライラしていたことが全て吹っ飛んだ。当然だ。この状況に舞い上がらない男子はいないだろう。

 

 「ちょ、ちょっとお前らそれよりあれ見てみろよ! 女子達どうしたんだ? みんなあんな肌さらけ出して。夢かこれは夢か??」

 

 しかし、興奮する俺をよそに四人はシラーとした表情を浮かべ、可愛そうなやつを見るような目を俺に向けってくる。

 

 「……あー、かず。最近暑かったもんな? きっとこの暑さがお前をおかしくしたんだよ。だからちょっと落ち着いた方がいいぜ?」

 

 誰一人共感してくれる奴がいなかった。

 おかしい……いつものこいつらなら、舞い降りた幸福に踊り狂う……は流石に言いすぎたが、大騒ぎくらいはするだろう。

 ……まさか本当に暑さが俺をおかしくしたのか? だとすれば、この暑さを作り出している夏はやはりクソだと言わざるを得ない。

 

 「それよりお前ら何の話をしていたんだよ?」

 

 話を変えようと、そう振ってみる。すると、大地の奴がニヤリと笑みを浮かべると顔を近づけてきてコソコソと周りに聞こえない声量で教えてくれた。

 

 「……それがよお、裕太の奴昨日彼女と童貞を捨てたらしいぜ。」

 「ええっ!? まじで??」

 「ちょ、声がでかいっ。」

 「あ、悪い……。」

 「ま、そういうわけだ。これでお前らより大人に一歩近づいたぜ。」

 

 心なしか大人っぽく見える裕太の余裕の笑みを見て思う。

 ……死ぬほど羨ましい、と。

 裕太が以前から彼女と付き合っていたことは知っていたが、まさかいくところまでいったとは……。

 でもなんでこいつら、これをコソコソと話してたんだ? 普通に話せばいいのに。

 

 「それで裕太。初めての感想はどうだったんだよ?」

 

 ひろがまたもコソコソと裕太に質問を投げかける。

 ……ふむ、疑問に思うことはあるが、これは俺も非常に気なるところだ。

 いったん思考を中止し、裕太の回答を待つ。

 裕太は得意げに、俺たちを見渡すと

 

 「……そうだな、なんていうか天にも昇るような気分だったぜ?」

 「「おぉー」」

 

 裕太の言葉に、俺たちの間から興奮を含ませた小さな歓声があがる。

 天にも昇る……。なんて素晴らしい響きだろう。裕太に憧憬の眼差しを向けるとともに、思わずこんなことを口走っていた。

 割と大きな声で。

 

 「あぁー、俺も早く童貞捨てたいわー。どこかに相手いないもんかねー。」

 

 

 

 ザワッ!?

 

 

 

 ……ん?

 なんか教室内が静かになったんだが? 

 そして全員が俺の方を見てるんだが?

 男子は俺を軽蔑するような表情を浮かべ、女子はどこか興奮したように獲物を見つけた獣のような視線をこちらに向けてくる。

 ……え、俺なんかまずいこと言ったか?

 まあ、もしかしたら、本当にもしかしたら多少下品なことを言ってしまったかもしれないが、あの程度の発言は毎日している。今更さっきの発言程度でどうのこうのという事はないはずだ。

 そのはずなのに、このみんなの反応は?

 

 「……やっぱりお前、ビッチじゃねえか。」

 

 そんな空気の中で、裕太のボソリと呟いた言葉がやけに響いた。

 

 

 

 その後、すぐに先生が来て有耶無耶になったが、俺はいまだに落ち着かないでいた。

 ……やっぱりおかしい。どう考えてもおかしい。

 何がおかしいのかよく分からないが何かおかしい。

 俺が暑さでおかしくなった可能性も捨てきれないが、どちらにしてもしばらく大人しくしておいた方がいいかもしれない。

 そんなわけでなるべく目立たないように静かにしていたつもりだが、朝の影響なのか、授業中や休憩時間ずっと女子からの視線を感じた。といっても、どうすることもできず、神経をすり減らしながら過ごしていると時刻は昼休みになった。

 いつもは例の四人と昼食をとっているのだが、朝の件からしばらく気まずい空気が流れていたので、そそくさと一人で教室を抜け出し、食堂へと向かっていく。

 食堂へと入っていくと中は多くの生徒でごった返しており、うんざりしてしまう。仕方なく人の間をすり抜け、空いている席を探していく。舞香が毎日弁当を作ってくれていることもあり、席さえ見つければ後はそこで弁当を食べるだけだ。

 その後、運よく空いている四人掛けの机を見つけたので、そこで昼食をとることにする。

 

 ……はぁ、一人で食べる昼飯のまずいこと。一応誤解ないように言っておくと、舞香の料理の腕は確かでどれも絶品だ。たまに変な味がする時はあるけど。まあ要は俺の気持ちの問題な訳だ。

 この後、とにかくあの四人には謝ってみよう。何がいけなかったのか分からないので釈然としないが、このまま一人きりでいるよりは余程ましだ。

 

 「あ、森宮君じゃない。」

 「本当だ。噂の森宮君だ。」

 

 視線を向けると、そこにはクラスメイトの女子、佐々木さんと上田さんがいた。

 二人とも、髪を金色に染め、顔も化粧で整えたいわゆるギャルだ。着崩したシャツから除く胸元と、短いスカートから惜しげもなくむき出している太ももが非常に眩しい。二人とも可愛いとは思うが、ギャルは好みではないのでそこまで興味はない。

 ……ふむ、しかしけしからん恰好をしているな。

 それにしても女子から俺に声をかけてくるなんて珍しいな。何か言ってて悲しくなってきた。

 

 「よお。」

 

 一応声をかけられたのでそう返事を返すと、二人はなんと俺が座るテーブルの席に腰を下ろしてきた。しかも佐々木さんに至っては、対面でなく俺の隣の席についてきた。

 

 ……え、何事?

 

 あまりの急な事態に思考が追い付かずアタフタとしていると、佐々木さんがその小さな顔を俺に近づけてくる。香水なのか分からないがフワリと甘い香りが俺の鼻腔をくすぐってくる。

 

 「ねえねえ、今日の朝言ってたことってさー、本当なの?」

 「あ、朝? 何のことだ?」

 

 だめだ落ち着け、こんな緊張してたら童貞みたいじゃないか。童貞だけど。

 でも佐々木さんと上田さんもどういうつもりだ? これまで接点も特になかったはずだが。二人の様子を窺うと、二人ともやけにテンション高めで興奮しているようにも見えた。息遣いもどこか荒い気がする。

 ……ちょっと怖いんだが。

 

 「だからさー。朝に童貞を捨てたいとか言ってたじゃん。相手がいないかなとかさ。」

 「そうそう。ずっと気になってたんだよね。」

 「……いや、そりゃあ言ったけど。当たり前だろう? 童貞捨てることは俺の今の一番の目標といっても過言じゃない。」

 

 そうはっきりと言い切ると、二人とも顔を赤くし、

 

 「そ、そんなにはっきり言うんだ。」

 「……ね、森宮君ってこんなキャラだったっけ?」

 

 と、二人は恥ずかしそうに、しかし先ほどよりさらに興奮している様子だ。

 ……流石にあまりしゃべったことのない女子にここまでストレートに言うのはまずかっただろうか?

 

 「ねえねえ森宮君、今日の放課後暇? 空いてるなら一緒に遊ぼうよ。」

 「行きます。何時からでもいいぜ?」

 

 ……はっ、思わず脊髄反射で了承してしまった。

 今まで美穂以外の女子から遊びに誘われたことがなかったので、嬉しさのあまりといった感じだ。

 やばい、なんで急に誘われたか分からんが滅茶苦茶テンション上がってきたんだが。心臓の鼓動が早まり、全身が熱くなっていく。

 ギャルが好みじゃない? 何のことだ? ギャル最高。

 

 「あはは、即答だね。つまり、そういうことでいいんだよね?」

 「……うん? よくわからんが、多分。」

 

 上田さんが意味深な質問をしてくるが、何のことか分からない。しかし嬉しさのあまり適当にそう返事をしてしまう。まあ細かいことなんてどうでもいいだろう。

 

 「やったね! 放課後が楽しみだよ。じゃあ放課後また声かけるからね。じゃっ!」

 「ばいばーい。」

 

 そう言うと、二人は席を立ち去っていく。そんな二人の後姿をボーと見つめる。

 女子との放課後の約束……。

 あれ、俺ひょっとしてリア充になりつつある?

 沈んでいた気持ちが一気に浮上していく。そのまま天に突きあがっていくまである。

 何をするか知らんが、早く放課後が来てほしいものだ。

 多分、カラオケとかボーリングとかに行くのだろう。今から想像するだけでも楽しみだ。これまで女子とカラオケとかに来てる男子どもを見るたびに嫉妬の嵐に駆られていたが、今日は俺が嫉妬される側なのだ。なんと素晴らしい。

 そのまま俺は、弁当を口の中にかきこんでいく。とても美味しく味わうことができた。

 

 

 

 そして待ちに待った放課後。

 俺は、はやる気持ちを抑え、努めて冷静になろうとしていた。

 いかん、ここで慌てていたら余計童貞ぽく見えてしまう。

 

 「あ、かずー。一緒に帰ろう!」

 

 そこに隣のクラスでもある美穂がやってきてそう声をかけてきた。相変わらず元気である。

 

 「おー、美穂。悪いが今日は……って、ぶっ!?」

 

 美穂の姿を見て思わず咳きこんでしまう。

 いや、それはそうだろう。あの美穂がシャツのボタンを開け放ち、スカートもいつもより短いのだから。他の女子がそうなのだから美穂もそうなっていても不自然ではないのだが、毎日見ていた美穂が急にこんな恰好をしてくると驚くのも無理ない。一種のギャップ萌えというやつだろうか。

 美穂は美少女だ。それは間違いない。そんな美穂がこんな厭らしい恰好をするなんて……。

 個人的にはその格好には大賛成だ。スタンディングオベーションだ。

 しかし姉弟のように親しい美穂が男の目もある中でそのような恰好をするのは、やめてもらいたいというのが本音だ。美穂が他の男どもの下品な目に当てられるところはあまり見たくない。

 

 「……おい、美穂。どうしたんだよその恰好。」

 「え、何か変かな?」

 

 何となく美穂を直視するのが恥ずかしかったので、目を逸らしつつそう指摘するも、何のこととしらを切っている。

 

 「いやいや、そんなシャツをはだけさせるなんて女子がやったらだめだろ。」

 「ん? どうしたの急に? いつものことだし、みんなもこんなもんじゃん。」

 「……確かにみんなしてるけど。」

 

 ……いや、というより’いつものこと’だって? 

 俺は昨日の美穂との会話を覚えている。シャツをはだけさせていた俺を注意した美穂との会話を。そして美穂が制服をしっかり着こなしていた姿も鮮明に覚えている。その俺の過去の記憶がなかったことになっている?

 

 「ねえねえ、それより早く帰ろうよ。もう放課後だよ。」

 

 考える俺に美穂がそうまくし立ててくる。

 ……はっ、そうだ。今は待ちに待った放課後なのだ。色々異変が起きていることは間違いないが、今から俺が女子と遊ぶ、この事実に変わりはない。そしてそれが第一優先だ。

 

 「悪いな、美穂。俺は今から上田さんと佐々木さんと遊ぶ約束があるんだよ。」

 

 少々ドヤ顔気味でそう言うと、

 

 「……は? え、なんで? 二人と仲良かったっけ?」

 「え、いやそんなに仲はよくなかったけど。」

 「じゃあなんで?」

 「いや流れで……?」

 

 え、なんか美穂が怖いんですが。 

 こちらを責めるように迫ってくる美穂は何が気に食わないのかどう見ても怒っている。

 

 「どんな流れ?」

 「いや、いつものように童貞捨てたいなーなんて言ってたら、会話が盛り上がって遊ぶ流れになった、かな?」

 

 盛り上がっていたかどうかは微妙だが、そもそも俺もなぜ遊びに誘われたのかよくわかってないので、明確な回答をすることができない。

 美穂は俺のそんな答えを聞くや否や、目をクワッと開き、俺の両肩を強く掴むと、その顔を明確な怒りに包み

 

 「ちょっ、なんてことしてるのよ! あんたそれ意味わかってて言ってるの!?」

 「ちょ、痛い!?」

 「いいから答えて!!」

 

 美穂の俺の肩を掴む力が尋常ではない。陸上部に所属しているのでその辺の女子よりは筋力はあるはずだが、それを考慮しても力が強すぎる。これではまるで運動部の男子に力強く掴まれているようだ。俺が痛いと訴え、引きはがそうとするも、未だに全身に力が入らず叶わない。

 

 「い、意味っていっても、ボーリングとかカラオケ行くんじゃないの?」

 「……ボーリング? ……カラオケ? ……はぁ。」

 

 呆れたように溜息をつく美穂は脱力したように俺の肩から手をどけると

 

 「そんなことだろうと思ったわ……。何かおかしいと思った。」

 

 ホッとしたようにそう呟く美穂。

 一体何だったんだ? それにしても肩痛い……。握力どれだけあるんだよ美穂……。

 

 「あ、肩思い切り掴んでごめんね? でもかずも誤解させるようなこというから悪いよ?」

 「……なんだよ、誤解って?」

 「そ、それは、その……。」

 

 俺が肩をさすりながらそう質問すると、なぜか美穂は顔を赤くして黙ってしまった。意味が分からん。

 

 「おーい、森宮君。早速行こうよ!」

 「ようやく放課後だよ!」

 

 そこに、テンション高めの佐々木さんと上田さんがやってきた。いよいよか。

 

 「よし、行こう。」

 

 二人の言葉に即答しついていこうとする。しかし

 

 「ちょっと待って、どうして今の流れで二人と遊びに行こうとしてるの?」

 

 美穂がそんな俺を止めてくる。腕をがっしり掴まれ、逃げることができない。

 ……さっきから普通に痛いんだが。

 

 「いや、だから言ったじゃん。二人と遊びに行くって。」

 「だめよ。」

 「なんで?」

 「……なんでもよ。」

 「意味がわからん。理由がないなら早く離してくれ。」

 

 俺がそう言うと、美穂はなぜか顔を赤くしながら「うぐぐ」と唸り、何かと葛藤する様子を見せると

 

 「あー、もうわかった。でもその代わり私も一緒に行くから! これは絶対よ。二人もいいよね?」

 

 吹っ切ったようにそう言い放つ美穂。

 ……なぜ美穂も? 美穂こそこの二人と接点があるとは思えないが。

 

 「えー、まあ私は別にいいけど。」

 「うん、別に構わないよ。どうせすることは変わらないしねー、ふふ。」

 「はい、じゃあ決まりね。」

 

 そう言い俺の方を振り返ってくる美穂。文句ないでしょとその表情が語っている。

 

 「……まあ俺も別にいいけど。」

 

 本音を言うと、美穂とは一緒にいることが多いので、新鮮さの観点から佐々木さんと上田さんと三人で遊んでみたかったが、ここでごねるとさらに突っかかってきそうだったので、ぐっと言葉を飲み込んだ。

 

 まあ、何はともあれ夢の女子との放課後だ。楽しむぜ!

 

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