リディアン音楽院の問題児(✌️る〜と) 作:dedicates545
「調•••行ってくるデス、何かあったらすぐ連絡するデスよ?」
「うん••••ごめんね切ちゃん•••」
調は、熱を出してふせっていた
こうなったのも、全てあの変態のせい
●
「逃げるなぁ!!」
「ひぃ!ごめんて調ちゃん!!」
いつものようにちょっかいを出され、調は謳歌を追い回す
慣れというのは恐ろしい物で、周囲の生徒達はチラッと見こそはするものの、直ぐに何事もなかったようにしている
調と謳歌の追いかけっこは、もはや学院の日常の一部と化している
「はぁ•••はぁ•••調ちゃん•••ちょっとタンマ•••」
「誰が•••待つか••この•••変態•••」
かれこれ30分程追いかけっこをしている2人
もうガッツリ授業中である
「はぁ••はぁ••、なーんて!」
「っ!この!!」
再び謳歌は逃げる逃げる
いつしか2人は、プールにたどり着いていた
「ちょ、ちよっと!何してるの!?あなた達」
どうやら、プールの授業中だったようだ
プールサイドを全力疾走する謳歌と調を見て、友里あおいは目を丸くする
「いい加減諦めなよ〜!」
「殺す!!」
そんなやり取りがプールにこだまする
「元気だね〜まだご飯前なのに•••」
「響、今日は唐揚げだよ?」
「本当!?やったー!」
まさにプールの授業中だった未来と響
最初こそざわついたが、他の生徒達も我関せずといった所
慌てているのは友里くらいである
「こらー!!走ると危ないでしょう!!」
友里の声も届かず、未だに追いかけっこを続ける2人
「怒るとこそこなんだ友里先生••」
「もう授業中なのにねー」
そう呑気に会話していると、遠くから‘ドッボーン!’という音が聞こえてきた
「どうしたんだろ?」
「大変!調ちゃんがプールに落ちたみたい!」
音がした方を向くと、わらわらと人だかりが出来ている
どうやら、足を滑らせてしまったようだ
「大丈夫!?」
友里が直ぐにプールに飛び込み調を救出する
「ゲホッ!ゲホッ!」
艶のある柔らかな髪を、ベットリ顔に張り付かせながら、調は激しく咳き込んでいる
「だっ、大丈夫〜•••?調ちゃん••」
流石の謳歌も‘やってしまった’というような顔をしている
「あーあ•••」
「もう••謳歌さんたら•••」
いつものパターンなら、ここらで風鳴先生あたりが飛び込んできて終了のながれだが、今回は少し違かった
「ごめんね~•••?調ちゃん•••」
「•••本当っ!大嫌い••」
そう言いながら、恐る恐る調に近づく謳歌
そして、‘ボソッ’と1言
「あ••今日は白色なんだ••」
思わず謳歌が口走ったのは、濡れて透けた調の下着の色
その刹那、調は駆け出し謳歌に襲いかかる
「うわっ!?あぶな!」
ギリギリでかわす謳歌
調は、大根おろしとピーラーを手にしている
「避けるなぁ!!」
「いやいや!!無理無理!!危ないって!色々透けちゃってるしぃ!!」
「黙れぇ!!」
そのままプールを後にする2人
「行っちゃったー」
「もう••いつも1言余計なんだから謳歌さんは•••」
その後、追いかけっこは小1時間程続き、初等科の校舎に侵入したあたりでようやく先生達に制止され、終了した
●
(うぅ••喉痛い••頭もガンガンする•••寒い•••本当最悪••••)
あの後、ずぶ濡れのまま謳歌を追い回した調は、先生達に制止された時には、まだ暑いというのに顔が真っ青になり、唇も紫色になりガタガタ震えていた
(うぅ•••何か飲みたい•••)
枕元に置いていた、水や清涼飲料水は、とうの昔に空になっていたが、調にはもう体を動かす気力すら残っていない
「大丈夫•••?」
声をかけられた
誰だろうか?切歌が帰ってくるにはまだ早い
「大丈夫•••?調ちゃん•••?」
そこには、今一番見たくない顔
「いっ••いやぁぁぁぁぁ!!」
そう大声で叫んだつもりの調だったが、実際はか細い声しか出ていない
「ちょっ!駄目だよ調ちゃん!いて!」
調は周りの物を手当たり次第に投げつける
「調ちゃん!?ちょっとタンマ!駄目だって熱あるのに!」
調はベットからずり落ちるようにして、床を這っている
早くこの場から逃げなければ、調はそれしか考えていなかった
こんな状態であの変態に捕まれば、何をされるか
「ちょっと!駄目だってば寝てなきゃ!!」
あっさりひょいと調を持ち上げる謳歌
「あぁ•••」
(終わった••••)
悲壮感に打ちひしがれる調
もう抵抗する気力も残されていない
(きっと体中触られて•••あんなことやこんなことも•••)
熱も相まって、急に恐ろしくなってくる
「うぅ•••グスッ••グスッ••」
調はとうとう泣き出してしまった
「え!?どっ、どうしたの調ちゃん!?何処か怪我したとか••いやいやそれより具合が悪いから!?」
「ん•••」
目を覚ます調、いつの間にか眠っていたようだ
ガチャン!
「え•••?」
ガチャガチャガチャ!
「え••?え?何これ!?」
調の手足は、ベッドの柵に手錠でとめられていた
カチャ••
「あぁ調ちゃん••起きた••?」
部屋のドアを開ける音
部屋に入ってくる謳歌
「フフフ•••」
謳歌は不気味な笑みを浮かべ、ゆっくり調に近付いてくる
「いっ、いや•••来ないで••」
ガチャ!ガチャ!ガチャ!ガチャ!!
調は何とか手錠を外そうとするが、どうにかなるはずもない
「ひっ••••」
謳歌は調の頬を指でなぞる
「あぁ••夢見たい••調ちゃんを好きに出来るなんて•••」
もう逃げ出すのは不可能
そう悟った調は謳歌を説得する
「おっ、落ち着きましょう?そうだ!今度一緒にお買い物でもどうですか?それにご飯も食べに行きましょう!?
だっ、だから今すぐこれを外して下さい、こんなことしても悲しむ人が出るだけですから、ね!?お願いですから!」
必死に謳歌に語りかける調
とにかく何とかしなければ、何をされるか••
ゾワッとこみ上げる恐怖に耐えながら、何とか謳歌を説得しにかかる調
「調ちゃんがいけないんだよ••••私•••もう我慢できない•••」
「いっいや•••ひっ••••!」
謳歌は調の胸に顔を寄せ、スリスリと頬ずりをしている
そのまま足先から太ももにかけ、ゆっくりと時間をかけ、丁寧になぞっていく
まるで食事でも楽しむかのように
おもむろにハサミを取り出す謳歌
「動かないでね•••怪我させちゃうから•••」
「お願いします•••やめて•••」
チョキチョキチョキチョキ•••
遂には、下着姿にされてしまう
「いい匂い•••」
「うぅ•••」
もう、駄目かもしれない
調には、諦めに近い感情が生まれ始めていた
「さて••••」
謳歌は調の頬に両手をつけ、固定する
「なっ、何を•••まっ、まさか•••!」
謳歌は、指で調の唇をなぞっている
そして、ゆっっくりと顔を近づけてくる
「いやぁ!お願い、それだけは!」
左右に顔を動かし、必死に抵抗する調
しかし、謳歌の手によりガッチリ固定され、びくともしない
「駄目だよ•••調ちゃん•••暴れたりなんかしたら•••」
「お願いします•••私、初めてなんです•••やめて•••」
謳歌に懇願する調をよそに、謳歌はニタァ••と笑みを浮かべる
「嬉しいなぁ•••私もだよ調ちゃん•••調ちゃんの初めての人になれるなんて本当に夢みたいだよ•••」
謳歌はそう言うと、再度ゆっくりと顔を近づける
「いや•••やめて•••いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?」
息づかい荒く飛び起きる調
「はぁはぁ••夢••••?」
辺りを見回すが、手錠をつけられてもいなければ、謳歌の姿もない、服もきちんと着ている、汗だくではあるが
「はぁ••良かっったぁ•••••」
なんて最悪な夢だろうか、思い出すだけで恐怖がこみ上げて来る
「ん••?」
よく見ると、テーブルの上に鍋とタオルが置いてある、熱冷まシートと氷枕も新しい物に替えてあったし、水と清涼飲料水も補充されている
「美味しそう••••」
鍋の中にはお粥が入っており、その隣にはメモがある
【調ちゃん、ごめんね 】
謳歌からである
「もう••••ああいうことしなければ良い人なのになぁ」
言うと謳歌が付け上がるので言わないが、調は謳歌を一目置いている、料理も出来るし勉強も出来る
以前みんなで勉強会をした時は、それはそれは分かりやすく勉強を教えてもらった
言動に難ありだが、それ以外は良い先輩である
そのことは、決して口には出さないが
ピピッ
「熱下がってる••」
汗をかいて良く眠ったからだろうか、調の熱は平熱まで下がっていた
「うぅ••身体拭かないと•••」
汗でベトベトの身体を拭くために、ベッドから起き上がる調
カサ••
ベッドから何かが落ちる
「何だろうこれ••薬のゴミ?」
ベッドから落ちたのは、錠剤のゴミのようである
「私薬何か飲んだっけ••それとも飲ませてくれたのかな•••」
何にせよ、この薬が効いたのは言うまでもない
「にしてもすごいなぁこの薬、あっという間に熱が下がるなんて、随分大きいみたいだしやっぱり強い薬なのかな•••ていうか私こんなのよく飲み込めたなぁ••」
後でどんな薬か聞いてみよう、そして市販薬なら常備しておこうと考える調であった
「おう、風邪引いたって聞いたけど大丈夫か?」
「はい、お陰様で••ところであの人は•••」
調はお礼も兼ねて、謳歌達のクラスに足を運んでいた
「謳歌か?頭痛いって言って保健室行ったぞ?お前からあいつに用なんてどうかしたか•••」
「あっ••いえ、ちょっと聞きたいこともありましたし••お礼も兼ねてなので、すいませんお邪魔しました」
謳歌達のクラスを後にし、高等科の保健室に向かう
「謳歌ちゃん?こっちには来てないわよ?」
高等科の養護教諭である櫻井了子はそう答える
「そうですか••頭が痛いって言ってたので•••どこに居るか知りませんか?」
「そうねぇ••ここに居ないとなると、ウェル先生の所じゃないかしら••」
「先生〜あたま痛い〜••••」
「だから、高等科の方の保健室に行けと言っているだろう、ここは中等科だ」
「いや〜•••休ませて〜••••お願い〜•••」
リディアンの校医であり中等科の保健室に常駐しているウェルの元に来ている謳歌
「ガンガンする〜•••痛いよぉ〜•••」
「はぁ•••こっちに来い•••」
仕方なくウェルは謳歌を診ることにする、このまま居座られても迷惑と考えたからである
「おい••扁桃腺が真っ赤じゃないか•••熱をはかれ熱を」
ピピッ
「あ〜•••熱あるぅ〜•••」
「今すぐ帰って寮で寝るんだ、風邪が感染る」
ウェルはそう言うと、シュっと除菌スプレーを謳歌にふりかける
「わ〜ん•••ひどいよ先生〜•••休ませてよぉ〜•••」
「はぁ••どうして君はいつもそうなんだ•••、•••奥のベッドを使え、•••少しだけだぞ」
「ありがとう〜•••先生〜•••」
その時ガラッと戸が開く
「失礼しま〜す•••」
「何だ、次から次へと高等科の生徒が中等科の保健室に入り浸るな」
入った瞬間毒を吐かれ、若干イラッとくる調ではあるが、ここは我慢する
「あの••あの人は来てませんか?」
「誰だ、名前を言うんだ名前を」
正論である
「高等科の変t••じゃなくて謡詠吟さんはいらっしゃいますか?」
「丁度いい、奥で寝ているから連れて行ってくれ、迷惑してるんだ」
「はぁ•••」
奥のベッドのカーテンを開けると、ぐったりとしている謳歌の姿があった
「熱が出ている、早く連れて行って休ませるんだ」
ウェルはそう言うと、アルコールランプでお湯を沸かし始める
「あれ••調ちゃん?どうしたの〜•••」
「•••伝染っちゃいましたか?」
「いやぁ〜••そんなことないよ〜••」
そうは言ったものの、キツそうだ
「それに調ちゃんのウイルスに身体が犯されてるって考えただけでゾクゾクするよ•••」
「熱にうなされていることを考慮しても今の気持ち悪い発言は聞き流せないので、元気になったらぶん殴りますね」
「えへへ~•••」
調は懐から紙袋を取り出す
「•••お礼です、クッキーを焼いたので元気になったら食べてください」
「わぁい•••!調ちゃんの手料理ぃ〜•••防腐処理して部屋にかざるねぇ•••」
「はい没収」
「ふぇぇ・・・」
というのは冗談ではあるが、とりあえずクッキーは枕元に置いておく
「あっ、そうだ」
調は懐から薬のゴミを取り出す
「ウェル先生、これなんの薬か分かりますか?」
「何だね?早く連れて帰ってくれ」
「教えてくれたら連れて帰りますから」
調はウェルに薬のゴミを渡す
「ん?これは•••」
ウェルが答えようとした時だった
「だめぇ••!」
「うわ!?」
謳歌が薬のゴミを奪おうとベッドから這ってきていた
「おっそ・・・・」
調自身、こんなにも弱っている謳歌を見るのは初めてである
「ほら!大人しく寝ててください!」
調は謳歌の脇に手を入れ、引きずるようにしてベッドまで運ぶ
「ちなみにこれは座薬の包だな」
「へ?」
予想外の回答に、思わず聞き返す調
「えーっと・・それはあれですか?ZAYAKUって名前の新しい風邪薬か何かですか?」
「君は何を言っているんだ?座薬は座薬だ、それとも座薬を知らないのかね?」
ゆっくりと謳歌に向き直す調
「大丈夫だよ調ちゃん・・・医療行為だから全然恥ずかしくないよ・・・!」
そう言いながら、ヘロヘロの腕でグッドマークを作る謳歌
「先生・・・」
「なんだね?」
「これと同じ薬はありますか・・・?」
「あるにはあるが?」
そんな会話をよそに、恐る恐る顔を上げる謳歌
「・・・・大丈夫ですよ先輩、医療行為なのでぜっんぜん!恥ずかしくありませんからねー・・・・!」
満面の笑みを浮かべながら、謳歌を脱がしにかかる調であった
前回の投稿が半年前だと・・・!?
頑張ります・・
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