サトシになって貰ったピカチュウがちょっとおかしいのですが… 作:正宗=6㎏
供養のために載せてみました。
「…あのすみません…ピカチュウを貰うことになるのは構わないのですがどこにいるのでしょうか?」
転生して十年ついにやってきた旅立ちの日俺はこの日のためにいろいろ考えてきた。ここがアニポケ世界であるのならばカントー御三家を手に入れる機会はこの先巡ってくる可能性が高い。ならばここは無理に本来の流れを壊さないようにピカチュウにしておくのが無難な流れと言えよう。
だがサトシのピカチュウは何だかんだ言ってサトシだからこそ仲良くなりスペックを発揮できる存在だと俺は考えている。そもそもここはゲームの世界のように同じポケモンが能力値と技、性格…後は持ち物さえ同じならば基本的には誰でも同じような運用が可能という世界ではない。今の俺は名前と体はサトシなのだが、厳密には《本来の世界のサトシ》ではないのだから。
…しかしそのような些末事は目の前の事象の前ではすべて吹き飛んだ。
「何を言っとるサトシ、ピカチュウなら目の前にいるじゃないか。」
「サトシ、ピカチュウなら目の前にいるじゃないか」
「ゼニ、ゼニ!」
俺が研究所に入ってそいつを目にして固まっている間にシゲルはゼニガメを選んでいたようで、残ったのは原作通りピカチュウだけだったのだがどう考えてもそのピカチュウの姿が見えなかったため聞いた俺は本当の意味で異常事態に気付く。
(いやいやいや!!どう見てもピカチュウじゃなくてセフィロスだろ!というか人型だし電気ネズミじゃないし‼)
呆れたように話すシゲルとオーキドを見て俺は心の中で絶叫する。なぜセフィロスがいるのかはもうこの際突っ込まない。ポケモン世界の住人がセフィロスを知らないのは、まぁある意味では正常と言えるだろう。なので単にオーキド研究所に来た客人(招かれざるかどうかはこの際置いておくとして)だというのならば俺もまだ納得できた。
しかし、あろうことかオーキド博士はもとよりまだ年齢的に痴呆が発症しているはずのないシゲルですらこのセフィロスらしき物体をピカチュウだと認識している。
(そういえば昔そういうゲームがあったような…)
俺は半分現実逃避をしながら思いを馳せる。内容は前世であったとあるゲームでそのゲームでは交通事故に遭って生死の境を彷徨った主人公が普通の人間がグロ肉に見え、グロ肉姿のエイリアンが美少女に見えてしまうという認識障害を患うというものである。
そしてそれと同じことが俺の身にも起こったのではないかと考えたが、それにしては妙な部分も多い。そもそもこの世界に生を受けてから今日に至るまで人がグロ肉に見えたことなどないし、オーキド博士はオーキド博士、シゲルはシゲル、母親は母親としてきちんと認識できている。そしてポケモンに関しての認識もシゲルが貰ったゼニガメのことはきちんとゼニガメと認識できている以上その部分もおかしいという訳ではなさそうだ。
…やっぱりまともなのは俺だけで、他全員はジェノバ細胞に脳をやられているんじゃなかろうか
「……」
ヤバいこのセフィロスめっちゃ俺のこと見てくるし…心臓に悪すぎる。だがそれだけでは足らず何とこのセフィロスは歩いてこちらまでやってきた。…威圧感がとんでもなさ過ぎる。
「おお!気難しいソイツが自分からトレーナーに歩み寄るとは‼どうやらピカチュウもサトシのことを気に入ったようじゃの。うむ決まりじゃ、今この瞬間からそのピカチュウはお前のパートナーだ。」
(このジジィふざけんじゃねぇ‼)
アーマードでコアな世界で烏をやらされるより酷いことを言われた俺は、この博士の頭をかち割って脳にジェノバ細胞が無いかを顕微鏡で確認したやりたい衝動に襲われたが、ぐっとこらえることにした。
(どうしよう…母さんになんて言えばいいんだよ…)
結局とんでもない爆弾を押し付けられた俺はそのまま研究所を後にすることになった。わめいても仕方がなく、お互い気まずい雰囲気の中家に帰る途中突如としてセフィロスらしき人物が口を開き始めた。
「さて、この辺りでいいだろうか。」
ポケモンがしゃべったとは思わない。無論それはこの世界にはしゃべるポケモンが一定することを知っているから驚かないという意味ではなく、単に俺が目の前の人物(?)をポケモンだと思っていないからだ。
「サトシだったか、聞かせてもらおうか…と言いたいところだが人間は俺たちポケモンの言葉を解しているわけではないからどうしたものか…」
何か向こうは俺に言葉が通じないと勘違いしているようだが、俺以外にはこいつの声はどう聞こえているのだろうか?森〇智之ボイスで『ピカ、ピカチュウ』とか言っているように聞こえるのかそれとも声は大谷〇江ボイスになっているのか非常に気になる。…俺には普通にセフィロスがしゃべっているように聞こえていてよかった。そうでなかったら俺の脳は完全にキャパオーバーを起こしていただろう。
「あ、普通に言葉の意味は分かるからそのまま続けてくれていいぞ。」
「何!?俺の言葉が分かるのか、人間にしては珍しいな。」
確かに現状珍しいかもしれない、セフィロスをピカチュウと見間違えない程度には正常な人間は現在俺だけだ。
「それで聞きたいことってなんだ?えーっとなんて呼べばいい…セフィロス?ピカチュウ?」
「セフィロス?何だそれは?…俺に固有の名はない人間共が使う種族名で言うならピカチュウということになるからピカチュウで構わん。」
この言葉に俺は仰天する、どうやらこいつは自分のことをピカチュウだと思い込んでいる一般セフィロスだという可能性が一気に高まった。やべぇ…脳が本格的に拒否反応を示し始めている、だがここでくじける訳にはいかない。如何にこいつの見た目がセフィロスであろうとこいつ自身が自分のことをピカチュウだと言い張っているのだ、ならばそれに従うのが無難であろう。
「じゃ、じゃあこれからはピカチュウって呼ぶことにするよ…」
「そうしてくれ、それで聞きたいことというのは俺自身が何者であるかについてだ。」
「へ…」
「聞こえなかったか、お前に聞きたいことというのは俺自身が何者であるかについてだ。」
「いやいや、待て待て!俺達まだ初対面だろ、何でそんなこと俺に聞く!?」
「お前が、俺を見て明らかに狼狽えた様子を見せたからだ。それを見て俺はお前が俺のことを知っていると確信した。」
そりゃ狼狽えますよ、FF7の知識があってサトシになって旅立ちの日にオーキド博士の研究所に行ったらセフィロスが居ましたなんて状況で狼狽えない人間なんて表情筋が完全に死んでいる奴くらいだよ。
だが、それを馬鹿正直に話していいのだろうか…いや話さない方が良いな
「俺は昔から自分が普通ではないと気付いていた。でも俺の親代わりになってくれたガルーラや他のポケモン達に聞いてもまるで分からなかった。それで人間共ならば俺について何か分かるかと思っていろいろ知ってそうな人間のところに居座ってみたが結局何も分からなかった。」
(ちょっと待て今ガルーラが親代わりって言わなかったか?…ということはこいつはサトシのピカチュウなのか!?もういい…やめてくれこれ以上俺の脳をバグらせるのは…)
ポケットモンスター0話のピチューがセフィロスに置き換わった映像が俺の脳内で流れ出す。酷い、あまりにも酷過ぎる光景だ。そんなこと…そんなこと…アルセウスが許しても歴史が許さんだろ‼
「だが、諦めかけたその時、サトシ…お前が現れた。さぁ…怖がることはないぞサトシ、お前の知っていることを話すだけでいいんだ。」
距離を詰めながらねっとりとした感じの森〇智之ボイスで俺に語り掛ける暫定ピカチュウ。ヤバい超怖いだがここで全部ゲロってしまう訳にはいかない…俺は何も話さんぞ!!
「…要するにその宝条とかいうコンプレックスの塊のような屑のせいで俺は普通のピカチュウではなくなったということか?」
うう…結局全部ゲロっちまった、でも仕方がないよね俺だって死にたくねぇもん。
「子供のころから俺は感じていた…俺は他のピチューやピカチュウとはちがうと…しかしそれはこんな意味じゃない!!…俺は本当にピカチュウなのか?」
そもそもピチューとかピカチュウとかそういう問題以前にポケモンかどうかが既に怪しいだろ!どっちかというと俺ら人間に近いぞアンタは。だが、ここで『お前はピカチュウではない、お前はジェノバ・プロジェクトが生みだした最高のモンスターだ(CV:GA〇T)』などとのたまうとどうなるか、間違いなくニブルヘイムと同じことが起こり、マサラタウンがさよならバイバイすることになるだろう。
故に俺は自分の中の認識を切り替えるようにした。
「(セフィロスはピカチュウ…セフィロスはピカチュウ…ピカチュウはCV:森〇智之…これで良し‼)だ、大丈夫だ、ちょっとジェノバの細胞が入っているだけでアンタはピカチュウだ。クラウドやザックスもジェノバ細胞が入っていたが人間だったから、アンタもピカチュウで問題ない。」
「クラウド?ザックス?誰だそれは…」
いかん‼そういえばこいつはピカチュウであってセフィロスじゃないから、クラウドやザックスを知らないんだった。まだ認識の切り替えが甘かったというのか…このガバはオリチャーで挽回するしかない。
「えーっとクラウドやザックスっていうのはジェノバが本来いた世界の人間でジェノバ細胞を投与されていて…」
実際にはセフィロスの誕生の仕方は結構違う部分もあるのだが、そこまで説明すると話がややこしくなりすぎるのでやめておいた。そもそもこの自称ピカチュウがジェノバプロジェクトによって誕生したとは限らない。当たり前だが、FF7の世界にポケモンなど存在しないし、したとしてもセフィロスがガルーラによって育てられるなんてことは考えられないからだ。
「つまりは俺と似たようなものだということか。だが、何故そこまで詳しい?お前がこの世界の住人ではないのだろうということはなんとなく察しが付くが、まさかジェノバプロジェクトとやらに…」
「そのジェノバだの宝条だのが巻き起こす事件が物語として出てくる作品を知っているだけで、俺自身は別にそこには関わっていない…本当だぞ!!」
「物語か…サトシ、お前は本当に一体何者だ?」
「俺が何者か…改めて考えると難しい質問だな。」
前世のことでポケモンやFF7のことは覚えているが自分がどういった人間であったかまでは正直そこまで覚えていない、なのでここは当たり障りのない答えを出しておくしかない。
「かつての名を忘れ、サトシという人物に憑依してしまった一般人だとしか答えられないな。」
「お前も自分のことが分からないのか、今日までの俺と同じだな。」
だいぶ違う気がするが、大別するなら同じような感じなのかもしれない。まぁこいつがこいつなりに納得してくれたのならそれでいいだろう。
「あと、聞きたいのだが俺を育ててくれたガルーラは大丈夫なのか?その…俺は危険な存在なんだろ。」
「推測でしか話せないが、おそらくは無事だと思う。セフィロスと一緒にいたからといってジェノバ細胞が体の中に入ってきたという事例はなかったはずだからな。」
この考えは前世でのゲーム知識からの推測ではある。たしかFF7CCでセフィロスは他者へのコピー能力がなく情報が拡散しないとかいう話が出てきたはずだ。FF7ACでの思念体はあくまでもセフィロスがライフストリームに溶けたからであって普通の状態ではなかったからな。だから多分ガルーラにも問題は無いと信じたい。
「そうか…それは良かった。」
心底安堵したかの様子を見せる自称ピカチュウ。セフィロスのこんな顔はゲームではまずお目にかかれないから、新鮮な感じがするな。
「それで俺の話を聞いてアンタはこれからどうするつもりだ?まさかとは思うが…」
「この星の支配者となると言ったらどうする?」
「無論止め…れないよな、俺にそんな力はないし。」
「心配するな冗談だ。」
フッと笑う自称ピカチュウ。心臓に悪い冗談はやめてくれませんかね!その姿で言われるとマジで言ってるようにしか思えないんだよ‼
「じゃ、じゃあ本当はこれからどうするつもりなんだよ?」
「そうだな、ジェノバとかいう危険な生物がいるかもしれないならそれを探す、そして駆除する。後は宝条とかいう狂ったやつの同類がいるのならばそいつも駆除する。俺の親や兄弟がいる地をそんな連中の好きにはさせん。」
「おお‼なかなかいい考えだと思うぞ!俺も応援するぞ」
まさかのセフィロスが味方側ポジに‼これもガルーラ親子の教育のたまものか、この功績をたたえてゲーフリはガルーラのメガシンカをXYの頃の仕様で復活させるべきだと俺は感じた。
「あと最後に聞きたいが、もしかするとお前はこの世界についても物語として知っているのではないか。」
「…まぁ今更隠してもしょうがないから言うが、知っているぞ。」
「物語と聞いた時からそんな予感はしたが、やはりそうだったか…決めた、これからはお前の旅についていこうと思う」
「え!?」
「どうやら、お前はいろいろ知っているようだからな。お前といたほうが俺の目的も達成しやすそうだ…という訳でこれからよろしく頼むサトシ。」
どうやら俺はこいつと旅に出ることになったらしい…いやマジかよ‼明らかに最序盤にいていいパーティメンバーじゃないだろ、ポケモンで言うなら禁止伝説級がいきなりいるようなもんだぞ。だが今更拒否権は無さそうだ。
一度家に帰った俺たちはとりあえず昼食を取りながらピカチュウ(セフィロス)をオーキド博士から貰ったことを報告する。
「あらあら、ピカチュウって写真で見るとすごくかわいいポケモンだったけど、本物は可愛いだけでなくかっこよくもあるのね。」
(オーキド研究所の連中だけがおかしいわけじゃなかったんだな…)
その後これまで過ごした家に報告に来た俺を待っていたのは、やはりこの自称ピカチュウがこの世界の人間には本物のピカチュウに見えているという事実だった。
「これからサトシのことよろしくお願いするね、ピカチュウ。」
「ああ、こちらこそよろしく頼まれるつもりだ。(ピカ、ピ、ピカチュウ:ハナコ視点)」
「何て言ってるのか分かるの?」
「鳴き声だけだから詳しくは分からないけど分からないけど『分かった、任せて』って言ってるようには聞こえるわ。」
ふと思うのだが姿はピカチュウに見えたとして声はどう聞こえているのだろうか?少し気になった俺は聞いてみることにした。
「なぁ、母さんにはピカチュウ(自称)の声ってどんな風に聞こえてるの?」
「どうって、可愛らしい鳴き声だと思うけど…」
マジかよ、まさかの大谷〇江ボイスなのかよ‼それを聞いて今俺の頭の中ではセフィロスが大谷〇江ボイスで話す地獄絵図が繰り広げられているのだが…いかん‼これ以上は危険だあまり考えないようにしよう。
「ねぇ大丈夫?これから本当にちゃんとピカチュウと意思疎通できるの?」
「いやいや心配ないってピカチュウ(自称)が(森川ボイスで)何を言ってるかバッチリ分かってるって。」
「ああ、何故かこいつには俺の言葉が理解できるみたいだからな。」
「そう、それなら良いんだけど」
やはり心配されていたか…まぁ本物のサトシのように運命力があるなんて全く考えなかった俺は小さいころからせめて身体能力ぐらいは上回っていようと、フィジカル全振りで行動してきたから心配されるのも分からなくもない。
ただ既にセフィロスと旅すること自体が無茶の極みのような気もするが、そんな泣き言は言ってられない。この世界がアニポケである以上そのくらいの危機はちょくちょく訪れるのだから、予行演習だと考えよう。それに一応はセフィロスが味方ポジにいる以上頼もしい戦力になるとも考えられなくもない。さすがに普通のバトルでは極力戦ってもらうことは無いようにするつもりだが。
「なぁサトシ…」
「どうした?」
ポケモンが椅子に座り行儀よくオムライスを食べていることに母も突っ込まないことに俺は違和感を感じていたが、よくよく考えればポケモンの中にはインテレオンのようにモデル体型の者もいるためそれぐらいは誤差なのかと結論付けた。
「この食料の上に乗っている赤い物体、これは何だ?」
「ケチャップだが、それがどうした?」
「ケチャップか…旨いなこれ。」
「……」
どうやら味覚はサトシのピカチュウと同じらしい。町を出る前に何本かケチャップを用意しておくか。
「じゃあ二人とも気を付けてね、たまには帰ってくるのよ。」
「ああ、行ってくるよ母さん。」
こうして俺はサトシとして十年過ごした家を後にする。そしてしばらく歩いたのち街から離れた林の中でピカチュウ(自称)が俺に話しかけてきた。
「なぁサトシ、お前はどんな気分なんだ?」
「何がだよ?藪から棒に」
「この世界に俺たちには本当の故郷がないがサトシとしてこれまで過ごした故郷なんだろ?どんな気分がするものなんだ?」
「まぁ名残惜しくはないかと言えばちょっと違うかもしれないが、別に二度と帰れないわけではないからそこまで思うところはないかな。」
「そうか…羨ましいな。」
「そういうあんたも本来のセフィロスと違ってちゃんとしたところで育ったんだろ。帰るつもりは無いのか?今は無理でもある程度問題が解決してからなら顔出しくらいはできるんじゃないか」
「ジェノバ細胞とかいう危険なものを身に宿した俺が帰るわけにはいかんだろ。今も無事に生きていてくれているのならばそれでいいさ。」
なんとも言えない空気が流れる。さすがにアルセウスでもセフィロスをピカチュウにする方法なんて知っているとは思えないからこれ以上は言えることはないが、この空気は何とかしたい。
「そうだ、
「俺の使える技か…とりあえず電気系の技とふぶき、炎技をいくつか、いわおとし、ぼうふう、そらをとぶを始めとした飛行系の技をいくつか…後はアイアンテールは使えるな。」
「んん!?今言った技の中に何かおかしな技がなかったか?」
「…やはりピカチュウが空を飛んだり冷気や炎を扱ったりするのはおかしいか」
「いやいや、もっとおかしい技があっただろ最後!最後‼」
どう見ても尻尾などあるわけがないそのセフィロス姿で一体どうやってアイアンテールをやろうというのか。体の構造的に不可能だろ‼
「良いだろう、そこまで言うならば見せてやろう…」
そう言うや否や
そしてそんな俺の考えを他所に
「どうだ、これが俺のアイアンテールだ。」
(絶対アイアンテールじゃねぇ!!)
表情一つ変えずにのたまう
…しかし本人がアイアンテールと言っているのだ、はがね技には違いないからもうこれは実質アイアンテールでいいんじゃないだろうか。俺はそう無理やり納得することにした。
「他の技も見てみるか?」
「いや後は大丈夫だ…それといわおとしだけは絶対にやめてくれ」
「ああ、そのつもりはない。俺のいわおとしは範囲がとんでもないから極力やらないようにしている。」
そのいわおとし、メテオに改名すべきじゃないんですかねぇ。何が悲しくて最初に貰ったポケモンがエピソードΔの主犯になれるようになってるんだよ。
「さーて使える技も分かったことだし、これからどうしようか目的地はまだ決まってないんだよな」
「そうなのか?」
最初は本編通りカントージムチャレンジをしていこうかと思ったが、ハッキリ言って同行者がここまで別人になってしまった以上当初のチャートは破棄してオリチャーで行くしかない。
「とりあえず、今アンタは何か感じたりしてないのか?なんて言えばいいかな…こう何かに呼ばれているような感じとか。」
「別に今のところそんな感じはしないがどうしてそんな…ああ、リユニオンか。」
「そ、もし今何か感じるものが無いというのならばジェノバはこの世界にいないか活動をしていないかのどちらかになるからな。」
できればこの世界の守護者連中にジェノバが既に退治されていてくれれば嬉しいのだが、楽観は禁物だ。ジェノバはゴキブリよりはるかにしぶといからな、今は存在が感知されなくてもどこかで虎視眈々としているだけかもしれない。
「なるほどな、ではジェノバがいそうな場所に心当たりはあるか?」
「いや、さすがにそこまでは分からんな。ただ、可能性としてはウルトラホールを通ってきたかもしれないからジェノバの一部くらいはアローラにあるかもしれないな。」
「アローラ?どこだそこは」
「ここから結構南に行ったところで4つの火山島と1つの人工島でできた地方で…地図で言うとこのあたりだな。」
家から持ってきた世界地図を広げ指差し
「なるほどこの方角か、飛んで行けないこともないな。」
「え、飛ぶってまさか!?」
「かなり飛ばすから、気を付けることだな。」
「ちょ、ちょ、ちょっと待って下さい!待って!助けて!待って下さい!お願いします!ワアアアアアアアア!!!!!(発狂)」
叫びは聞き入れられることなく、俺はあえなく
「ここがアローラか、随分と温暖な気候だな。」
「うぉぇぇぇぇぇ…まだ三半規管がおかしな感じがする…」
結局気絶しながら空の旅を満喫した俺は吐き気をこらえるのに必死だった。全くとんでもないピカチュウだ、成層圏でもしばらく生きていられる超マサラ人ボディーじゃなかったら確実に死んでいたぞ。
「というかここどこだ?植生の感じや、気候からしてアローラではあると思うが…」
俺たちが今現在いるのはどこかの森の中だった。無論正確な場所など分かるはずもない。
「さて、無事アローラに来たわけだがウルトラスペースとやらはどこにある?」
「アンタは物事を焦り過ぎる、そもそもウルトラスペースは異次元につながる穴みたいなものだからアローラのどこという特定の場所に限定されるものじゃない」
「何、では無駄足だったという訳か…」
「そういうことになるな。」
より正確に言えば近年で確実にウルトラホールが開いた事例というのはあるはずである。それはザオボーがウルトラホール開いた時でリーリエがウツロイドと出会った時でもある。ただもしその時ウツロイドではなくジェノバが来ていればもっと大ごとになっていたはずでニュースにもなっているはずだ。ジェノバがやらかす破壊規模はザオボー程度が隠ぺいできる規模をはるかに超えるはずだからな。
「ではこれからどうする?」
「とりあえずはこの島の伝承について軽く調べておこう。もしかしたら何かが分かるかもしれない。」
最近きては無くてもはるかに昔にジェノバがウルトラホールを通っている可能性については全くの未知数だ、無いとは言い切れない。ただその場合何らかの伝承に残っている可能性が高いためそこは確認しておくべきだろう。
などと考えていると、ガサゴソと草をかき分けるような音がしてきた。何事かと思ったらソイツは突如として
「何者だ?」
「ギギッ…クカッ……」
「俺の姿に似た人形…いや被り物か。それに俺が憎いだと?」
「(似ている…どこが!?)そいつはミミッキュだ。しかもその様子だと多分…」
間違いない、ピカチュウを憎んでいるミミッキュは俺が知っている限りアニポケでは一体だけだ。あれはムサシのミミッキュだ…というかやはりポケモンから見てもこの
「なぜ俺が憎まれているかは分からんが、もしや貴様ジェノバを知っているのか。」
「ガ…ギギギ…クカカッ」
「『ジェノバなど知らん、全てのピカチュウが憎いだけだ』だと、関係者ではないのか。」
「あー、そいつはジェノバとは関係ないよ。本当にピカチュウが憎いだけだ。」
「じゃあ何故俺たちピカチュウのような姿をしているのだ?」
「(普通の)ピカチュウの姿をしているのは憎しみを忘れないためだ。言っておくがそんなふうに考えているのは多分そのミミッキュだけだから種族事態に勘違いしないようにな。」
「クカカッ…クカカッ…(そこの人間、よくわかっているじゃないか!)」
シャドークローで攻撃を続けながら、ミミッキュは感心したように鳴き声を上げる。
「それでこいつどうする?」
「どうするといってもなぁ…」
正直言うとゲットしたい、単純に強いだろうというのもあるが何より一番大きな理由はこいつが仲間になってくれれば、俺は本来のピカチュウの姿を忘れずに済みそうだというのがある。このまま生活していれば俺のピカチュウミームもセフィロスに飲まれてしまいそうで怖いからだ。
「とりあえず傷つけないように動きを止めることは出来ないか?そうだな…コイツが確実に知らないだろうこおり系の技で」
「いいだろう、
「ギガァ!?」
ミミッキュを中心に局所的に凄まじい冷気が生じる。まさかピカチュウがふぶきを使うなど想像だにしなかったミミッキュは驚きの声をあげるが、その隙が致命的であった。冷気はいとも簡単にミミッキュを凍り付かせ、氷でできたオブジェを形成した。
「…死んでないだろうな?」
「加減はしたから大丈夫だ。」
「とりあえず捕まえてポケモンセンターに連れていくか…」
俺は手持ちのモンスターボールをミミッキュに投げる。ミミッキュはボールに吸い込まれしばらくしたのちボールの揺れと点滅が収まり、ゲットできたことが確認できた。
「(あ…ゴージャスボールじゃなくても捕まえられるんだ。)ミミッキュ、ゲットだぜ!!」
いやーこの世界でサトシになってから絶対に言ってみたかった台詞を言えて俺は非常に満足だ。
「グガ…ギガァ…ガガガァ」
「『俺はお前の手持ちになったつもりは無い!』と暴れているがどうするつもりだ?」
あの後俺たちは近場のポケモンセンター(多分アローラ編の最初に旅行に来ていた街)でミミッキュの解凍と回復をしてもらったが、やはりというかなんというかミミッキュは怒っていた。無論これは想定の範囲内だ。
「まぁ任せておけ、俺にいい考えがある。」
「どうするつもりだ?」
「ミミッキュよ、別に俺はお前を従わせようとは考えていない。ただ聞かせて欲しいんだこのピカチュウと戦ってどう感じたかを。まさかこおり技を使うピカチュウが存在するなど思いもしなかっただろう。」
「ググググ…ガァ(確かに…一体どうなっていやがるんだ?)」
「驚くのはまだ早い、このピカチュウは他にもほのお技やいわ技、ひこう技も使える。」
「ガ!?(ハァ!?)」
「ふふふ…まるで今までの常識が通用しないだろう、俺もそうだった。体感したお前なら気づいているだろうがこのピカチュウは特別な存在だ、おそらくはこの世界で最強のピカチュウと言ってもいいだろう。」
「!?」
何せ種族値詐欺とかいうレベルではなく電気ネズミというくくりにすら収まらないからな。
「そこでだ一つ提案なんだが、俺達は今後いろいろな場所を旅する。そこではお前が知らないであろう数々の修業場所が存在するだろう。しかも俺たちと共に来るということはいつでもこのピカチュウに挑戦できるということだ、どうだ魅力的だろう?」
「……」
何時でも挑戦できるという言葉に明らかに迷った様子を見せるミミッキュ。ちなみに修業は俺もやる、この超マサラ人の体はまだまだ発展途上だ、どれだけ今後強くなるか正直ワクワクする。
そしてしばらくした後ミミッキュはこう切り出した。
「グ…ゲゲ…ガァ…」
「『一晩考えさせてくれ』と言っているぞ。」
「いいだろう明日の朝またこの場所で会おう、その時に答えを聞かせてくれ。」
ミミッキュはそのままその場から去っていった。その様子を見終わったのち
「…どういうつもりだ?」
「どうもこうも、ああ言うのが一番効果的だと思っただけだ。」
「襲い掛かられるのは面倒だぞ。」
「そこは…まぁ悪かったとしか言えないな。」
「…ケチャップだ。」
「ん?」
「ケチャップ三本で手を打とう。」
「了解。」
…そして翌日
「さて、この場所にちゃんと来てくれるかな?」
かなり迷った感じだったから少なくとも答えを言いに来るぐらいはするはずだ。来なければその時はまぁ縁がなかったとしか言いようがない。
「ガギギギ…」
そんなことを考えているとミミッキュ特有の鳴き声が聞こえたのでさっと振り向く。
「おお、ちゃんと待ち合わせ場所に来て…くれたのかぁ!?」
俺はミミッキュの姿を見て絶句する。嘘だそんなことがあってたまるか!?
「ギギギガァ…グゲゴガァ…」
「『ついていくことに決めた、せいぜい首を洗っていろ最強のピカチュウ』か…まぁ励むことだな。」
「…お、おま…その姿は一体!?」
「ゴガガガガァ…ギギギギギギ(ピカチュウの中でも一番憎い奴の姿となり憎しみを絶やさないためだ)」
そこにいたのはピカチュウを模した布を止め、恐らくは自作なのだろうがセフィロス人形とでも言うべき姿をした何だかよく分からない物体だった。
「こんなことってある!?」
どうやら俺のミーム汚染は止まることはないらしい。