ハイスクールD×D 【現れし最古の吸血鬼】   作:黒紙 優紫

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はい。こんにちは!
前まで投稿していた作品を、マルっと吹っ飛ばした作者です!
心機一転で、新しく投稿始めましたので、暖かい目で見守ってください…!


放課後のパンデモニウム
歴史に残らなかった吸血鬼


1390年。

立ち上る煙。

大地に広がる数多の屍。

それでもなお、迫り来る人々。

手には、剣や槍、弓など様々な武器が握られている。

その軍隊を迎え撃つのは、180cmの身長に、服越しでもわかる鍛えられた体、白銀の髪に蒼い瞳、その体を漆黒のローブを身に纏う一人の男だけだった。

軍隊に向かって、真っ直ぐに歩き始める、周りに転がる屍を無視しゆったりとした歩幅が徐々に早くなる。

その足が走る歩幅へと変わり、その足が30歩を超えた時、眼前へと迫りった男性兵士の剣を躱し、その右腕を取り、捻りあげ手から剣が離れると、その剣を右から迫る兵士へとまっすぐ投げ、剣を持っていた兵士を殴り飛ばす。

更に、左から迫っていた兵士の首を一瞬でへし折り、その屍を他の兵士へと投げ飛ばす。

投げ飛ばした兵士が持っていた槍で、周りを取り囲む兵士たちの頭を一振で胴体とお別れさせる。

この男、名をレイ・ドラクレシュティという。

軍を迎え撃つには如何せん、人数不足と言うしかほかないだろう。

何十万人もいる軍隊を、たった1人で迎え撃つには無鉄砲と言う他ないだろう。

1人で軍を潰すというのは、無理難題もいい所だろう。

しかし、この男が一人で戦場に立つのには、それ相応の理由があった。

今の歴史で有名なのは、この男の後に君主となるヴラド・ドラクレシュティ、別の名をヴラド・ツェペシュだろう。

あの有名なヴァンパイアの祖とも言える男の先祖である。

と言っても、この男からの子孫では無いのだが。

 

しかし、このドラクレシュティ家において、ヴァンパイアと呼ばれるのは、ヴラド公だけではなかった。

戦場を駆け回るレイ・ドラクレシュティの体は時折黒い集合体になり消え、人とは思えないような怪力で人を吹き飛ばしていく。

この当時、圧倒的強さを誇り、化け物と呼ばれ、体を黒い集合体、コウモリへと姿を変え、人を薙ぎ倒すのはこの時代においてこの男しかいなかった。

気づけば何十万といた敵兵も既に全員が事切れ、地へと骸となり倒れ伏している。

その中を、まるで何も無かったかのように己が居城へと戻りゆく。

レイ・ドラクレシュティ。

歴史から消され、語り継がれることのなかったヴァンパイアの祖である。

数百の戦場を一人で出向き、その全てにおいて勝利を収めてきた。

歴史上に名が残らなかっただけで、この時代においてのレイ・ドラクレシュティの呼び名は様々だった。

【真祖】【デイ・ウォーカー】【不滅】【怪物】【吸血鬼(ヴァンパイア)】【白銀の悪魔】【一人軍隊(ワンマンアーミー)】【一騎当千】他にも様々だった。

それでも、自分の配下たちに嫌われることも、嫌悪されることもほとんど無かった。

一人一人を気にかけ、死ぬかもしれない戦に連れていかれることも無く、やる事は城の警備と、城へと攻められた時の防衛戦くらいである。

そもそも、レイが一人で戦場へと赴く為、ほぼ城へと攻められることは無かった。

更に、給金がいいこともあり、レイが嫌われると言うことはほぼ無かったのである。

しかし、いつの時代においても世代交代と言うものはある。

この日、レイ・ドラクレシュティの眼前に、一人の男が跪いていた。

 

「突然呼び立ててわるかったな。ヴラド」

 

「いえ。滅相もございません」

 

「呼びつけたのは他でもない、俺は隠居しようと思う。

故に、俺の後を継いで君主となれ」

 

「自分が…ですか…?」

 

「あぁ、と、言うことであとは頼んだぞ」

 

そう言うとヴラドからの返事も待たず、玉座から無数のコウモリへと姿を変え、空へと飛び去って行った。

そして、もう1つ付け加えるとするなら、この男自己中なのかもしれない。

 

「え!?ちょ!?……押し付けられた」

 

こうして、語られることのなかった初代ヴァンパイアは、あっという間に隠居してしまった。

そして、この君主を押し付けられた男が、後にヴラド・ツェペシュなどの祖先となるヴラド二世である。

こうして、ワラキアの地に正史通りの君主が誕生した。

後にこの地は、ヴラド・ツェペシュ公。

別名串刺し公が後を継ぎ、正史通りの歴史を歩むのであろう。

 

 

 

そんなこんなで、時代は移ろい、気づけば平成へとなっていた。

場所は変わり、日本、駒王町。

ある一軒家から、白銀の髪をした美丈夫が朝日を嫌そうに見ながら出てくる。

表札には、上城(かみしろ)とあった。

しかし、しかしである。

家から出てきた美丈夫を、見る人が見たならこう言うであろう。

『いや、お前レイ・ドラクレシュティだろ!?』と。

いかにも。彼はヴラド二世へと君主を押し付け、隠居したレイ・ドラクレシュティである。

しかし、日本に居着いてからは、上城零へと名前を変え、長いこと生活してきた。

それこそまだ日本に侍がいる時代から。

まぁ、その話はまたどこかでするとしよう。

そして、そんな零が身に纏う服は制服である。

今更学生?

と、思わなくもないが、何を隠そうこの男、今まで学び舎と言うものに行ったことは無いのだ。

帝王学やら、知識やらは何者にも負けないほど、頭に詰まっているが、学び舎という物に通ってみたいという事で、嫌いな朝日を浴び緩やかに学校へと足を進めていた。

彼がこれから通うのは、駒王学園。

そこは、悪魔の通っている学校と言うことを、この時の零はまだ知らなかった。

 

レイ・ドラクレシュティ改め、上城零の学園生活はこれから始まるのだ!

と、なんだかんだナレーションで言ってはいるが、既に教師への挨拶も済み、自分がこれから通うことになる、2年のクラスでの転入の挨拶を終え、帰路に着いている零。

物語というものは、合間合間を端折られる傾向にあるものである。

ざっくりと説明するならば、白銀の髪に蒼い瞳と、その整った顔立ちから、あちらこちらから視線を感じるものの、特に気にした様子は無く、編入初日を難なく乗りきったという所である。

1つ気になるとすれば、茶髪の男子生徒と、坊主の男子生徒、それからメガネの男子生徒が血涙を流しながら、まるで親の仇を見るかのような瞳で睨みつけてきていたことくらいだろうか?

俺は転入初日で奴らに恨みを買うような事したか…?

まぁ、それはさておき。

これからの学園生活を楽しみにしつつ、己の時間へと移り変わる空を見ながら自宅へと帰宅した。

 

「ただいま」

 

零の声に反応する者は一人もいなかった。

それはそうだ。

ここは零が一人で暮らしているのだから、誰かから返事が帰ってくる訳は無いのだから。

日本へと来る前にも、色々な場所を渡り歩き、色々な出会い、色々な戦場を駆けて来たが、それでも特定の人物と添い遂げる事は無かった。

しかし、何故だろうか。

玄関には、一足の女性用の白いブーツが置いてある。

一応、家には認識阻害の陣を引いてあるのだが。

警戒しつつ、ゆっくりと中へと入る。

光が漏れている、リビングへと続く扉を開け、中を覗き見ると、キッチンで鼻歌を歌いながら何か料理をしていると思われる女性が一人いた。

 

「なんでお前がここに居る?」

 

その姿を見た零は、ため息を吐きつつ自分が思った疑問を相手へとぶつけてみた。

声をかけたからだろう、自分が帰ってきたことに今気づいたのか、その女性が此方へと視線を向けた。

プラチナブロンドのストレートの長髪、こぼれ落ちそうな瞳。

白のワンピースであろう服の胸部を押し上げる大きな胸。

同じ人間とは思えないほどの美しさをした女性が、そこでは料理をしていた。

 

「レイさん。おかえりなさい」

 

「おかえりじゃない。俺は、なんでここに居るのかを聞いたんだ。ガブリエル」

 

侵入者が誰かわかったからと、警戒をとき制服の上着を脱ぎながらガブリエルと呼んだ女性へと近づく零。

そんな零を気にした様子もなく、また料理を再開するガブリエル。

 

「天使であるお前が、魔の塊である俺に近づいていいのか?」

 

「だって、レイさん会いに来てくださいませんし、御一緒してても私堕天してないからいいじゃないですか〜。

真実の愛に、種族は関係ないんですよっ」

 

そんな事を宣いながら、可愛らしくウインクを飛ばすガブリエルに、やれやれと首を左右に振る零。

そして、そんなガブリエルの元からは食欲を刺激する美味しそうな匂いが漂ってきていた。

 

「しかし、よくここが分かったな。一応認識阻害は掛けているのだが?」

 

ガブリエルの横に立ち、その手元を覗くとそこには、美味しそうなホワイトシチューが鍋で煮詰められていた。

しっかり腹ぺこです。

 

「私だって一応熾天使なんですから、本気を出せばレイさんを見つけることくらいできるんですよ!」

 

自慢するようにその上体を逸らすガブリエル。

そんなガブリエルに呆れながらも、頭を数度撫でてやると、後ろに設置された棚から、食器を2人分取り出す。

 

「今後はもう少し本気で陣を引くようにしよう」

 

ご飯を粧い、シチューをかけ、スプーンを持ちリビングのテーブルへと移動する。

その後を同じく着いてきたガブリエルが、目の前の席へと腰を下ろし、合掌と共に食事が開始された。

 

「それは流石にやめて頂けると嬉しいんですけど?私、探せなくなっちゃいます…」

 

少し落ち込む様な顔になったガブリエルへ、クスリと笑みを浮かべ冗談だと言えば、怒ったように頬を膨らませるガブリエル。

これ、天使と吸血鬼(ヴァンパイア)の会話だぜ?信じられる?

 

 

 

 

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