ハイスクールD×D 【現れし最古の吸血鬼】   作:黒紙 優紫

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予想外

レプリカの駒王学園にある校舎内。

一回廊下を零は何食わぬ顔で歩いていた。

遠くの方では、何かの破壊音が微かに聞こえてくるが、知ったことではない。

確かに手伝うと言ったが、別に率先してライザー(ホスト崩れ)の眷属を倒そうとは思っていない。

向こうから仕掛けてくるのならば、いくらでも御相手するが、わざわざこちらから行く必要もあるまい。

そんなこんなで、敵陣本拠地である駒王学園の校舎内をブラブラと散歩しているのである。

 

しかし、接敵しないつもりではなかった。

もし接敵しないつもりならば、わざわざゲーム開始早々に敵陣本拠地へと単身突入等という馬鹿な真似はしない。

もし敵がわざわざ自陣に単身突入してきているのに、見逃すようなマヌケはいないだろう。

そして、それはこのゲームにおいてもそうだ。

零は初めて顔を合わせた時に、敵将であるライザー・フェニックスを散々コケにした。

それを許すような家臣など、自分の主に忠誠を持っていないものくらいだろう。

故に、現在零の目の前に立つ女性はちゃんとライザー・フェニックスに忠誠を誓っているという事なのだろう。

 

「こんばんは。こうやって言葉を交わすのは初めてですね。私はユーベルーナと申します」

 

「初めまして。知っているとは思うが、俺は上城零。

貴女はライザー・フェニックスの眷属の中で一番強いな」

 

「ふふっ。それはそうですわ。私はライザー様の女王(クイーン)ですもの」

 

駒王学園二階にて、遂に敵と接敵した。

零の目の前に立つのは、女性一人。

そして、忠誠を誓っているという事は、ここで零を見逃すつもりは無いようだ。

零の周りで動く魔力。

既に、相手方は攻撃の為に動き始めている。

 

女王(クイーン)か。と、言うことは貴女を倒せばグレモリー先輩達の勝率も自然と上がるわけだ」

 

「残念ながら、それは有り得ませんわ。

たかが人間風情の貴方に私が倒せるわけがありませんもの。それに、何かの間違えで貴方が私を倒したとしても、我らが主、ライザー様を倒す事は不可能ですわ。それでは、さようなら」

 

ユーベルーナのその言葉と共に、零は爆発に飲み込まれた。

 

「だから言いましたのに。貴方が私を倒す事など無いと」

 

そう言い残し、振り向き立ち去ろうとするユーベルーナ。

しかし、立ち去ること無くその場で足を止め、もう一度零の立っていた場所へと目を向ける。

舞っていた土埃が少しづつ晴れて行くと、そこには無傷で立つ零がいる。

 

「なぜ…ですの。確かに貴方は私の爆発に呑まれたはず!!」

 

「あぁ、今の爆発の事か?あんなもんで俺を殺せるとでも?ん?あ、これゲームだから死なないって言ってたか。言い直そう。あんなもんで俺を倒せると思ったのか?」

 

「人間でしたら、今の一撃で跡形もなく消し飛ぶはずですわ!」

 

「はっ。よかったよ、俺がただの人間じゃなくて。」

 

上着に着いた土埃を払い、ユーベルーナを見据える零。

 

目の前で不敵な笑みを浮かべる零。

そっから何が起こったのかは、ユーベルーナに理解できなかった。

魔力も何も感じない人間が、悪魔である自分を一方的に攻撃をくわえてくる。

気づけば眼前におり、正面から殴り飛ばされ、殴り飛ばされたと思えば、吹き飛んだ場所におり、そのまま蹴り飛ばされ、魔法を使おうとすれば、何故か魔力が分散し魔法が使えず。

 

何が起こっている?

何故人間などにここまでやられる?

なんで魔法が使えない?

なんで?どうして?

 

そんな事が10分ほど続いただろうか。

満身創痍のユーベルーナなが吹き飛んだ場所は、駒王学園の校庭だった。

気づけば、学園内から校外へと吹き飛んでいた。

恐らく、今自分が吹き飛ばされたであろう学園の廊下部分の壁が崩れ、土埃が立っている。

その土埃を睨みつけながら、起き上がり胸元に手を入れる。

 

「ユ、ユーベルーナ!?」

 

あの人間かどうかも分からないモノを警戒していると、横から声をかけられた。

ふと、周りを見渡せば自分の味方二人と、グレモリー眷属が3人立っている。

みんな一様に驚いた顔をして、こちらを見ていた。

 

「どうしたのユーベルーナ!?」

 

「レイヴェル様……」

 

自分を心配して駆け寄ってくる、金髪に縦ロールのツインテール。

少し小柄だが、胸の発育は十二分というほど育っている。

 

「離れて…いてください……」

 

そう言うと、少しづつ晴れていく土埃を睨みつけ、胸元を漁る。

何かを探していたのだろうが、その探しているものが見つからなかったのだろう。

胸元から手を外し、真っ直ぐに土埃へと両手を伸ばす。

消えていく土埃から、ゆっくりと歩き出てくるのはもちろん零。

その右手には何か小瓶が握られている。

 

「探し物はこれか?何か分からなかったが、とりあえず貰っておいたぞ」

 

「くっ…やはり、貴方が…!」

 

「ん?まだこんな所にいたのか。兵藤一誠、木場祐斗、姫島先輩」

 

小瓶を見せると、ユーベルーナの顔が歪む。

零は、そんな事はお構い無いと、その後ろでライザー(ホスト崩れ)の眷属と剣を合わせたままこちらを見ている木場祐斗と、間抜け面を晒している兵藤一誠、そして、いつでも動けるようにしている姫島朱乃へと視線を向けていた。

呆れたと言わんばかりに、首を左右に振る。

 

「ここは俺に任せて(ライザー)の首でも取ってこい。効率良く、無駄の無い一手、それが大事だぞ」

 

その言葉と共に、木場祐斗と剣を合わせていた女が吹き飛び、木場祐斗の目の前へと現れた。

 

「ほれ、ボケっとしてないでさっさと行け」

 

その言葉を聞き、イッセー達は校舎へと走っていった。

その後ろ姿を横目に、ユーベルーナとライザー眷属2人の女と対峙する零。

満身創痍なユーベルーナ(女王)、レイヴェルと呼ばれた女の子、木場祐斗と剣を合わせていた女がこちらを睨みつける。

兵藤たちにああ言ったはいいものの、既にこのゲームとやらには飽きてきている。

数百年前なら愉しく出来たかもしれないが、最近はあまり闘争心というものがわかなくなり始めたからかもしれない。

俺が最後に暴れ回ったあの戦からはもうだいぶ経つしな。

弱いものいじめのような気もする。

それにわざわざ倒す必要は無いわけだ。

と、いうことは。此奴らが疲れ果てるか、兵藤たちがライザー・フェニックス(ホスト崩れ)を倒すまで攻撃を捌ききればいいか。

 

「さて、では少々御付き合い願おうか」

 

 

 

 

 

そうして、俺の予想とは裏腹にグレモリー眷属は負けた。

投了(リザイン)という形で。

 

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