匙元士郎に憑依したから色々頑張るお話   作:妖叨+

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……すいませんでしたぁぁああああ <(_ _)>
本来であれば和平歓談の話はここで終わるはずだったのに作者が力尽きてしまい次の話にもつれ込んでしまいました……。
という言い訳は置いといて、気を取り直して。

本編をどうぞ!


9 和平会談 後篇

現在進行形で闇夜に紛れ堕天使の総督。アザゼル様と旧魔王、カテレア・レヴィアタン様が大規模な戦闘を繰り広げている。

それを窓で見ている俺とゼノヴィア。

 

「……あれがトップ陣の戦いか。凄いな」

 

ゼノヴィアが感嘆の声を漏らす。

当たり前のこと言うことはあまり好きではないが強いの一言に尽きる。

次元が違う。

俺らが束になってかかっても勝てる気が全くしない。

アレを使っても勝てる気がしない。

ふと、目を会議室に戻すと一人の少女に目につく。

彼女は最近、グレモリ―眷族の騎士になったという荒波 忍(あらなみ しのぶ)

童顔で眼鏡と首輪を着けており、桜色のショートヘアの少女はア―シアさんと搭城さんに手を振って応答をたしかめている。

それと余分であるが……巨乳。

兵藤が食いつきそうなあれではあるが俺は特に無関心。

女性の胸が大きかろうが小さかろうが関係ない。重要なのは中身だからだ。

不意に、ルシファー様が俺の元へより話し掛ける。

 

「匙くん。君にも頼みたいことがある。君の主。ソーナくんんは停止させられている今。魔王として君に任務を伝える―――――――私とミカエルは結界維持のため動けない。私達の代わりに木場くん、荒波くんと共に外の魔術師たちを押さえてくれ」

 

「……承知いたしました。私、匙元士郎めが全身全霊を持ってその任を完遂いたします」

 

俺はその場で跪つき右の拳を左の手の中に納めて言う。

 

「ありがとう。そしてすまない。私達上の者がしっかりしていないからこのようなことに……」

 

謝罪の言葉を言うルシファー様に俺は一言物申す。

 

「お言葉ですが、ルシファー様。起こってしまったことは仕方のないことです。今は……その起きてしまった事を鎮静化することが一番です。その為に私達がいるのですから」

 

俺とゼノヴィアは立ち上がると同時にお互いお目で見てゼノヴィアとアイコンタクトを取る。

それを確認したゼノヴィアもこくりと頷き笑みを見せる。

 

「……本当にありがとう。匙君、ゼノヴィアくん」

 

魔王様にお礼を言っていただけることなど一生涯無いことだ。

つまり、俺らはそれだけ期待されているということだ。

振り返ると、聖と魔が入り混じった剣―――――――――聖魔剣を両手に力強く握った木場が、その隣には不安の色浮かべながら首飾りに触れる荒波さんがいる。

ん……今になって気がついたが。

この停止を逃れるにはイレギュラーな力を有しているか、または相当な実力者……最低でも会長、副会長、姫島先輩以上の力を有していないとあの停止を逃れることは出来ない。

しかし、彼女はあの停止を乗り切った。

そこまでの実力者では無い。これは言いきれる。

何故なら、幾つかの修羅場をくぐり抜けてきたものならではの風格が全く感じられないからだ。

それなら、木場や兵藤同様にイレギュラーな何かを宿しているのだろうか……?

すると木場が説明をしてくれた。

 

「忍ちゃんは神器を宿してね、名称は《試練の首輪》と言ってね。日常的に不運な出来事が起きる代わりに、致命的な不運やダメージを防いでくれる常時発動型神器なんだよ」

 

「……なるほど。つまりこういう事か。日常では不幸なことが起きる代わりに今回のような致命的な不運は防いでくれる。と言う事か……使い勝手の悪いことこの上ないな」

 

目を荒波さんに配らせると何故か笑顔で答えてくる。

 

「え? なんで? ギャーくんの時間停止を乗り切ることが出来たし朱乃さんや小猫ちゃんが止まってるのに私、止まってないんだよ!? これって凄いと思わない!? それに、日常的な不幸は慣れっこだから、どうとも思わないよ」

 

恐ろしく前向きだ。何故このように前向きになれるのか教えてほしいくらいだ。

俺はポーカフェイスのまま3人に言う。

 

「俺達は、魔術師の殲滅の任を与えられた。しかも。魔王様直々にだ。敵の数は未知数。実力は一人当たり中級悪魔ほどだ。俺とゼノヴィア、木場にとっては死地ではないかもしれないが悪魔になって日が浅く実戦経験も皆無に等しい荒波さんには死地と言っても過言じゃない。故に基本、2人1組になって魔術師を相手する。俺、ゼノヴィア、木場と荒波さんでペアを組み魔術師どもを殲滅する。相手のほうが実力があるのであれば無理に相手をするな。一目散に逃げろ。死ぬことは決して許さない。俺達は生きて帰る。主のもとへ。もう一度言う――――――――――――死ぬな」

 

最後の「死ぬな」を力強く言うと3人は力強くうなずいてくれた。

よし……。準備は整った。

 

「……行くぞ!」

 

俺の掛け声とともに俺達4人は窓から外へ飛び降りる。

背中から翼を出して木場と荒波さんとは一旦別れ別々に魔術師達の相手をする。

俺とゼノビィアは一度地面に降り戦闘を開始することにした。

そして着地するや否やで360°魔術師に囲まれる。

 

「ふっ、馬鹿な悪魔。この人数で私達とやろうっての?」

 

1人の魔術師がそんな事を言うが当然の事ながら無視だ。

俺は魔術師どもに向かって言い放つ。

 

「本当の馬鹿はどっちだ?」

 

その言葉に頭に血が上ったのか一斉に魔法陣を展開し標準を俺達に定める。

嗚呼、本当に馬鹿な奴らだ。

魔法陣から魔法が放たれる瞬間。

俺は右手を振るうと俺達を囲んでいた魔術師一人一人に身体がすっぽり入る大きさの魔法陣が展開する。

 

「縛れ」

 

無情に口にすると魔法陣が光り輝き魔法陣の中から無数の手が出現し魔術師たちを拘束していく。

魔術師たちはなすすべもなくただ出現してきた手に捕縛されていくだけだった。

 

「くそぉぉぉおお!」

 

「な、何故だ!? 何故魔法が使えん!」

 

「腐れ悪魔が!」

 

魔術師たちはそれぞれの言葉を口にしていく中、俺はとどめの一言。

 

「あれだけの滞空時間があったんだ。これくらいは仕掛けることは出来る。それに気づくことが出来なかったお前らはただのバカという事だ」

 

ついでに俺は黒い龍脈(アブソーブション)を出現させラインを魔術師たちに繋げ魔法力を魔力に変換する。

余談であるが最近、黒い龍脈のラインの数が1本増えた。

たかがライン1本、されど1本だ。

ラインが1本増えただけで戦略の幅が広がる。

枝分かれさせることは前から出来るので捕縛されている魔術師に接続してドンドン魔法力を絞り取る。

俺の身体に貯蔵できる魔力は限られている。なので魔力の体内タンクが一杯になると魔法力をそのまま俺の身体に流す。

これも余談だが現段階で使える魔法としては簡単な火、水、雷、風魔法。それと北欧魔術をかじった程度。

種類としては少ないかもしれないが用は使いようだ。

そうしている間に最後の魔術師から魔法力を絞りとった。

これで、並の奴らとはやり合えるな。

その傍ら、ゼノヴィアがデュランダル(相棒)を笑いながら振るい一振るい10人単位で魔術師達を屠っている。

 

「いいぞ! デュランダル! やっぱり私にはお前が必要だ! お前に私が必要なように! さぁ、もっと踊ろう! my best partner(デュランダル)!!」

 

デュランダルを手に気分は最高潮のゼノヴィア。

……ゼノヴィア。少しは自重しろ。お前が放った斬戟が校舎を破壊しているんだぞ? あとで説教だ……。

俺はゼノヴィアに負けじと今まで培ってきた体術を持ちいて魔術師たちの急所を的確に殴り、気絶させていく。

が、殴って気絶させていっても次から次へと湧いてくる魔術師たち。

ちっ……。いくらなんでも多すぎる。

いくら魔術師どもを叩いても埒が明かない。

こうなったら本日3度目だが、まだしまったまま(・・・・・・・・)でもいけるか。

俺は魔術師たちを気絶させて行き新たな魔術師たちが転移してきた瞬間。

俺が右手を突き出すと空間にぽっかりと穴が開き穴の名から漏れ出る危険なオーラ(・・・・・・)が転移の光をとらえる。

よし。これでいい。

するとオーラは魔法陣を喰らった。

それと同時に魔術達が出現することはなかった。

成功。だな。

俺は一旦、ゼノヴィアと合流しゼノヴィアと背中を合わせ互いの死角を埋める。

 

「ゼノヴィア。あとはこいつらをまとめて始末するだけだ。いけるか?」

 

背中越しに語りかける。

 

「ふっ、愚問だな。今の私達に不可能なことなど……何一つ無い!」

 

そう叫びデュランダルを掲げる。

この調子ならいけるな。

と思った瞬間だった。

ごぉぉぉおおおお! と周りを囲んでいた魔術師達を巻き込み黒炎が俺達を囲んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

///

 

 

 

 

 

 

 

 

「匙……これは」

 

ゼノヴィアが背中越しに語りかける。

俺の背中に嫌な汗が流れる。

俺の仮説が正しければかなりまずい。

この炎は魔術、魔力の類のものではない。

神器……しかもただの神器じゃない。

この黒炎は太古の昔に存在していた五大龍王の一角。黒邪の龍王(プリズン・ドラゴン)と称されたドラゴン――――ヴリトラの黒炎。

そしてヴリトラの黒炎の能力を持った神器……それは。

 

邪龍の黒炎(ブレイズ・ブラックフレア)。どう~? 龍王の黒炎は?」

 

声が聞こえた。

声のトーンは高い。年傘はおおよそ13~15と言ったところだな。

声のした方……夜空を見上げる。

そこにはゆるいウェーブがかかった白髪に赤い目をした少女が黒炎の円盤に乗りこちらを見下ろしていた。

すると少女は笑みをこちらに向け自己紹介を始めた。

 

「はじめまして~。私、マリアって言うの。よろしく~」

 

手を振りながら言う少女―――――――マリアに呆気に取られる。

こんな純粋な少女が戦場(こんなところ)にいていいのか? と。

 

「ご丁寧に自己紹介ありがとう。俺は匙元士郎だ。君はここに何をしに来たんだ?」

 

「強いヒトと遊びに来たんだ~」

 

……無邪気な笑みを作りながら言うマリア。

 

「残念だがこの場には君の求めている強い奴はいない。お引き取り願おうか」

 

「ん~、それは無理だね~。それじゃあわざわざグレゴリから抜け出してきた意味無いじゃん」

 

やはり、この子がアザゼル様が仰ってたヴリトラの神器使い……。

以前白龍皇が言った言葉を思い出す。

 

『ヴリトラの力を持ったものは俺が知る限りでは君を含め2人いる。もう一人は……現段階の君では太刀打ちできないだろう』

 

たしかに、今の俺(・・・)では100%勝てない。奥の手を使ったとしても勝算は相手が禁手(バランス・ブレイカー)となることも踏まえるとやはり1%あるか無いかだ。

しかし、死ぬわけにはいかない。

俺は会長の為に生き、会長の為に死ぬ。とあの場で宣言したのだから。

故にここで命という名の花を散らすわけにはいかない。

俺は最後にマリアに確認を取る。

 

「マリア……君に問う。この場で戦闘を行う気はあるか?」

 

「あるよ」

 

即答だった。 

俺はため息交じりに言葉を見つくろう。

 

「マリア。俺は魔王様から魔術師殲滅の命を受けた。故に魔術師及びそれに関する者たちの捕縛又は殺傷が許されている。君がここで暴れるというのであれば、捕縛、又は―――――――」

 

一拍置き、マリアに言い放つ。

 

「殺す」

 

言うと同時に目を吊り上げま幼いマリアに殺気を浴びせる。

それをみたマリアは口の端を吊り上げる。

 

「いいね~キミ~。おもしろいよ~」

 

「!」

 

マリアが言葉を言うと同時に黒炎で形成した槍を投げてきた。それも予備動作なしで。

鍛え続けた動体視力のおかげでなんとか回避できたが左腕に擦り傷を作ってしまう。

 

「くっ!」

 

ただの擦り傷ならばどうと言うことは無いが出来たかすり傷に黒炎が入り込み傷口を焼いてくる。

すぐさまラインで傷口から黒煙を排出させる。

これは厄介極まりない。

 

「匙、どうする?」

 

ゼノヴィアが隣に並び俺の反応をうかがう。

それに対し、俺はゼノヴィアにこう返す。

 

「ゼノヴィア。あの子は俺がやる。魔術師たちはお前ら3人に任せる」

 

その答えに動揺するゼノヴィア。

 

「匙……本気で言っているのか?」

 

「当たり前だ。ただ、俺一人であの子の相手は厳しい。だから魔術師を大方片付けたら援護に来てほしい」

 

しばらくの沈黙ののち「了解だ」という返事が返ってくる。

そしてゼノヴィアはデュランダルで黒炎の壁を斬り裂きこの場から離脱する際、俺に釘を刺すように言う。

 

「匙! 自分の言ったことは全うするんだぞ!」

 

自分の言ったこと……。

 

 

死ぬな。か。

 

 

たしかに、自分の言ったことは実行しないといけないな。

俺は悪魔の翼を展開し闇夜に飛び立つ。

それを見たマリアは嬉々と黒炎の槍を形成する。

それに対し俺は黒い龍脈本体に2本のラインを巻き付け魔力で硬化し拳を放つ。

黒炎の槍とラインの拳が切り結ぶ。

相手は女。しかも少女と来ている。単純なパワーでは此方は負けない。

このまま押し切る。

力を込めた時だ。

黒炎の槍が消滅した。

完全に前に全体重をかけていた為前に倒れるようになる。

そして俺の眼前にはまるで小鹿のような細い脚に黒炎を纏った蹴りが放たれる予備動作をしている。

あれを喰らったらひとたまりもない。

ブゥン! と蹴りが空を蹴る。

寸でのところで回避が間に合った。

その空ぶった蹴りから脚に纏った黒炎が離れ斬戟とかし俺の首と胴体を断絶しようとしている。

速い! 黒炎の斬戟は目の前だ。

瞬間的に右手を突き出す。

間に合ってくれ!

空間が歪みぽっかりと穴が開く。

その穴に黒炎が吸い込まれる。

どうにか間にった……それに今のは危なかった。俺の表情はいつものポーカフェイスから驚愕の色に変わっているのに気付く。

俺は瞬間的にマリアと距離を取る。

するとマリアは何かを思い出したように言う。

 

「あ、今の技の名前ね、《黒炎斬脚(レッグブラックブレイズ)》って言うんだ」

 

……ずいぶんと凄い名前じゃないか。違う意味で。

そしてマリアはパチパチと手を叩き賛辞を送ってきた。

 

「凄いね~。私の黒炎斬脚を回避した悪魔(・・)はヴァーリ以来かな~。凄いよ~」

 

ん……待てよ。

 

「マリア。一つ聞きたい。あの白龍皇は人じゃないのか?」

 

「そだよ」

 

肯定した。つまり……白龍皇は悪魔という事になる。

 

「あ、ついでに教えてあげる~。ヴァ―リの本当の名前はね。ヴァ―リ・ルシファー(・・・・・)。旧魔王ルシファーの孫に当たるんだよ~」

 

「!?」

 

俺の顔が今までにないほどに驚愕の色に染まる。

バカな……。嘘だろ……!?

だが、神器が宿るのは人間のみ。では何故、ヴァ―リは白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)を宿すことが出来たのか……?

答えはすぐにおも付いた。ハーフならば……悪魔と人間の混血児なら、可能だ。

しかし……いや、今はこの事は切り捨てる。

これは後々、明らかになってくる。

 

「まぁ、お話はここまでにしておいて……そろそろ本当に遊ばない? んじゃあ、本日のびっくりドッキリ、はっじめまーす!」

 

嫌な予感がした。

そして……その予感が当たる。

 

禁手化(バランス・ブレイク)♪」

 

マリアの背後に黒炎で形成された巨大な東洋タイプのドラゴンが出現する。

その姿はまるで……五大龍王。ヴリトラのように禍々しく神秘的だった。

 

 




いかがだったでしょうか?
そしてすいません。
あの***と****は次話に登場します。
読者の皆さま。本当に申し訳ありませんでした。

次回! 10 黒と黒の終極

次回を御期待下さい!

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