匙元士郎に憑依したから色々頑張るお話   作:妖叨+

18 / 23
あっれ~!!
気がついたらいつの間にか8000字超えていた!

そして前の話で言っていた固形物。
***または****が登場します!

では、どうぞ!


10 黒と黒の終極

俺は眼前の光景にただ唖然としていた。

黒炎の円盤に乗り宙を浮いている少女のバックに巨大な東洋タイプの黒炎で形成されたドラゴンがいるのだ。

 

禁手(バランスブレイカー)漆黒龍王の黒炎(プリズンドラゴニック・ブレイズフレア)。ちなみに亜種禁手だよ~」

 

笑顔で補足してくれるマリア。

最悪だ。このタイミングで禁手を投入してくるなんて……。

マリアは「よっ♪」と声をかけて龍の頭に飛び移る。

夜風になびく白髪を左手で抑え右手をピストルのように構え笑顔で宣言。

 

「それじゃあ~バトルスタート♪」

 

マリアが掛け声をかけると同時に黒炎の龍は咆哮を上げ俺めがけて物凄い速さで突進してくる。

すぐさま回避行動をとり右に回避した。そのため身体の重心が大きく傾き右に身体が流れていく。

俺はとっさに態勢を整えようとするが龍の右側面から龍の腕を模した黒炎が飛び出してくる。

まずい。この不安定な態勢では回避できない……!

瞬間的に俺はラインを新校舎に向けて射出し壁に接続する。

そして黒い龍脈(アブソーブションライン)を用いてラインを音速で回収することで腕の一撃を辛うじて回避する。

ゴキ。と右肩から嫌な音がした。

……右肩が外れたか。

証拠に俺の右肩はだらしなくダランと垂れさがっている。

 

「くっ……!」

 

すぐさまラインと左手を使い肩の骨を元の位置に強引に戻す。

ゴクン。鈍い音が耳に届く。

痛いな……それを感じることが出来るのは生きているという証拠か……。

 

「あれ? もしかしてさっきの攻撃で肩が外れてたの~?」

 

わざとらしくい笑顔で聞いてくるマリア。

 

「ああ。肩は外れたが既に元通りだ。悪かったな、思惑どおりにいかなくて」

 

おそらくこいつの狙いは黒い龍脈(アブソーブションライン)の使用を封じること。

そう言う事ができる証拠も揃っている。

マリアの攻撃はどれもこれも執拗に俺の右半身を狙っているからだ。

俺の右半身にあるものなど黒い龍脈しかない。

残念だが、黒い龍脈(こいつ)はこれから行う作戦の中で非常に重要なものだからな。早々とやらせるわけにはいかない。

……頃合いだな。

 

「マリア」

 

俺はマリアに語りかける。

 

「ん? なに? 今更ギブアップとか無しだよ?」

 

「これから使用するモノはお前を消しかけない(・・・・・・)。これが最後の忠告だ。もうやめろ。無意味な戦闘は」

 

そう言うとマリアは渋い顔をする。

 

「えー。せっかく大盤振る舞いで禁手化(バランスブレイク)したのに~。それじゃあ意味無いじゃん!」

 

と戦闘を続行する意思を告げる。

……仕方ない。

俺は右手を天に掲げ呪文を口ずさむ。

 

(なんじ)の主、匙元士郎の名に()いて命ずる」

 

すると右手の先から空間が歪みだし危険なオーラが漏れ始める。

そして空間の先に右手を突っ込みその先にあるモノを握る。

 

「我が敵を封殺せよ天羽々斬(あめのはばきり)!」

 

そして空間の先から引っ張り出す。

それと同時に眩い光を放ち一帯を白一色で塗り潰す。

 

「うぅ……まぶしぃ~」

 

マリアは瞬間的に黒炎で視界を遮っていたが光は黒炎を通してマリアの元まで届いている。

光が止んだ時、マリアは俺の手にするものに疑問符を浮かべている。

 

「? なにそれ?」

 

俺の右手の得物を指さし尋ねる。

俺の右手に持っているのは鞘に収まった直剣。

ただの直剣ではない。その剣は今もなお危険なオーラを放っている。

本来であれば詳細は明かさないのだが、後々明らかにする事だから説明しておいてもいいだろう。

 

 「天羽々斬。またの名を十束剣(とかのつるぎ)とも言う。かの伝説の邪龍、霊妙を喰らう狂龍(ヴェノム・ブラッド・ドラゴン)八岐大蛇(やまたのおろち)を斬った剣だ」

 

「???」

 

未だに疑問符を浮かべ続けるマリア。

しばらく考えた後にフルフルと頭を左右に振り仕切り直す。

 

「よくわかんないけどパワーアップしたんだよね? それじゃあ~」

 

マリアが合図を送ると黒炎の龍は腹部を膨らませ口から黒炎を吐いてくる。

 

「……封殺剣(ふうさつけん)

 

俺は天羽々斬を鞘に収まったまま剣を黒炎に向かって振るう。

すると黒炎が鞘にすいこまれていく。

 

「え! なにそれ!? チートじゃない~!」

 

「チートで結構。お前の禁手も俺から言えば、どチートだ」

 

そう言うとマリアは「うぐっ!」と唸る。

俺はマリアの後ろにいる

 

「そろそろ、本格的に攻めるか」

 

俺は龍の頭の上にいるマリアを見据えて呟く。

俺は天羽々斬を前に出し横に構え左手で鞘を握り右手で柄に触れそれと同時に2本全てのラインを柄に接続する。

瞑目し、深呼吸をして覚悟を決めることを表すようにカッと開眼する。

そして勢いよく鞘から天羽々斬を抜刀し鞘を放り投げ攻勢にでる。

 

――――残り180秒――――――

 

俺の命のカウントダウンが始まる。

 

 

 

 

 

 

 

///

 

 

 

 

 

 

おいおい。匙の奴なんていいやがった?

俺、アザゼルはマリアと匙が戦闘を行っているところから少し離れたところで高みの見物中である。

匙の奴が右手に持っているやや反り返った片刃直剣は間違いなく天羽々斬だ。

そして大きな疑問が3つ生まれてきた。

1つ目。三大神霊剣の一振り『天羽々斬』。八岐大蛇を退治した後に存在自体が不明だった通称『失われた神霊剣』と言われた代物を何処から発掘してきたのか?

2つ目。元々天羽々斬は封印能力を持った聖剣(・・)だが……あいつの剣からは聖なる波動を一切感じさせない、ただの封印剣だになっている。天羽々斬は聖剣で封印能力はおまけで付いて来たようなもの。それでは本来の聖なる力はどこへ行ったのか?

3つ目。単純だ。何故、匙の奴が天羽々斬(そんなもん)を有しているか。だ。

 

「かー今の時代、分からないことずくしだぜ全く」

 

俺は顔に手おやり笑いながら言う。

しかし……ジェムハザの奴。なんでこんな大事な時にマリアをグリゴリから出したんだよ。

危ねぇだろ。あいつも女の癖してヴァ―リ級の戦闘狂なんだからよ。もう一度言うぞ。女の癖に戦闘狂。

ま、そう言うのは棚にあげておいてだ。あ、これ。ワザとだからな? 言葉の使い方が違うと思った奴。そこ勘違いすんなよ。

そろそろ頃合い。とも言えるが……しばらくそっとしておこう。

久しぶりに見たかもしれない。あんなに笑うマリアを見たのは。

 

 

 

 

 

 

 

///

 

 

 

 

 

 

「はっ!」

 

月明かりに照らされ銀色に煌めく天羽々斬をマリアの身体切断するようにふるうが、黒炎の龍がそれを許すわけも無く口から多量の黒炎を吐きだしてくる。

俺は両手で十束剣を握り真っ正面から切断。

そして流れるように剣の鍔へ黒炎が吸い込まれる。

このまま一直線にマリアまで突き進む。

それを確認したマリア自身の前に黒炎の盾を形成し己の安全を確保したのち黒炎を操り俺を四方八方に黒炎の槍を形成し俺を包囲する。

 

「チェックメイトだよ!」

 

と叫ぶ。

その声と同時に黒炎の槍が俺に襲い来る。

 

「甘いんだよ」

 

無情な声と共にひと思いに天羽々斬を振るうと今まで刀身から放たれる黄金のオーラが全ての槍を飲み込む。

そして先ほどと同様、鍔に吸い込まれる。

マリアは驚愕の表情に染まり一瞬、黒炎の揺らめき盾が歪む。

その一瞬の隙を突き俺はすぐに刺突を繰り出す。

が、マリアは紙一重で回避し突き出して右腕がガラ空きになったところを黒炎の剣で切断しようとするがそれをさせないために俺は瞬間的に魔法陣をマリアの眼前に展開し最大威力の火魔法の上位に位置する爆炎魔法を相討ち覚悟でマリアの身体にたたき込む。

あたりを爆風と土煙が混じり合い視界が一気に悪くなる。

土煙が晴れ、お互いの姿を肉眼で確認出来るまで視界が回復したときマリアは綺麗な白髪を暴れさせ、着用していた可愛らしいワンピースも所々破れていた。マリアの被害はそれだけだ。どうやら即席の黒炎の盾で被害を最小限に抑えたらしい。マリアの眼前に黒炎が揺らいでいるからな。それに、ドラゴンのほうは何事も無かったかのようにピンピンている。

それに引き換え俺は……。

俺の背中に生えていた蝙蝠のような漆黒の翼の右翼が根元から切断されていた、そしてその傷口をジリジリと焦がす黒炎。どうやら爆炎魔法を放つ際に瞬時に攻撃対象を俺の右腕ではなく俺の翼に変更したみたいだな。これで俺は空は飛べない。おまけに左腕は先ほどの爆炎魔法で大きな火傷を負った。この戦闘では左腕はもう使い物にならないだろう。

……此方の被害は甚大だ。

状況はかないまずいが、条件は整った。

すると天羽々斬の鍔が淡く光りはじめる。

天羽々斬に接続されているラインを横目で見ると小さくスパークが上がっている。

ラインもヤバい状況か。

 

「いやー、今のはちょっとヤバかったよ~。危うく大けがするところだったよ~」

 

出来ればそこで大けがを負って欲しかった。

でも……マリア。

君はこれで―――――

 

「チェックだ」

 

そう言うと黒炎の龍を中心に巨大な魔法陣が展開される。

すると魔法陣から光が発しマリアと黒炎の龍をすっぽり覆うように障壁が出現する。

 

「……やけでも起こしたの?」

 

つまらなそうに言うマリア。そして黒炎の龍に支持を与えると黒炎の龍が雄たけびを上げ障壁を破ろうとしたときだ。

マリアの身体が黒炎の龍の動きが停止(・・)した。

しかし、マリアはモノの数秒で停止から解放される。

……やはり質力不足か。だが、あれだけ止めれば十分だ。

するとマリアは何かに気づいたように上……夜空を見上げる。

見上げた空には禍々しいオーラを放つ魔王クラスの魔力弾があった。

 

「なっ!」

 

マリアは何が起こっていいるか理解できないようだ。

その隙が命取りだ。

 

「言っただろ? チェックだって」

 

そう言うと高出力の魔力弾が黒炎の龍に向かって自由落下していく。

 

「チェックメイト」

 

思わず口にするとマリアと黒炎の龍を魔力弾が飲みこみ魔王クラスの攻撃を受けた障壁は完全に破壊され土煙と爆風が巻き起こる。

何故、俺がわざわざ防御障壁を囲むように展開したか。

理由は簡単だ。

あの高出量の魔力弾を確実にマリアに当てるためだ。

そして謎が謎を呼ぶ。

俺の貯蔵できる魔力は平均の転生悪魔よりも少ないのに魔王クラスともいえる魔力弾を放つ事が出来たのか?

それは、テロが起こりカテレア様が俺に魔力弾を放った時のモノをそのまま使用しただけだ。

そして俺がギャスパ―君の停止を乗り切ることが出来たのもカテレア様の高出力の魔力弾から身を護る事が出来たのも全部、天羽々斬のおかげだ。

こいつの封印能力で一時的に封印していたのだ。

今まで貯め込んでいた俺の切り札(ジョーカー)をここで切ったのだ。

相手は人間。あの魔王クラスの攻撃をまともに受けたんだ。これで終了だ。

心の中で安堵し、この場を去ろうとしたときだ。

 

 

 

 

「アブッないな~。今のは本当に死ぬかと思ったよ」

 

 

 

「!?」

 

俺は反射的に振り返ると土煙をかき分けて飛び出してくる黒炎の剣の対応が間に合わず左腕でとっさにガードした。

 

「ぐうっ……!」

 

左腕を焼き焦がすように黒炎が燃え広がる。

俺は天羽々斬のオーラで黒炎を封印させる。

激痛に顔をしかめる。

左腕を見れば黒炎の剣で貫かれた部分が火傷を負っているため、かなりの激痛となっているようだ。

土煙が晴れ、痛みをこらえながら前を見ると笑顔を崩さないマリアとなんとか形を保ってる黒炎の龍。

くっ……! まずいぞ。

俺が天羽々斬を使用できるのは抜刀から3分のみ。

本来、本当の主ではない俺が天羽々斬を長時間使用することは出来ない。

俺がこいつを見つけ、使用しようとしたときに俺自体を封印しかかったことがあった。

なので俺は天羽々斬にラインを接続し俺自身を封印しようとするオーラを体外に排出していたのだ。ラインの強度と俺の身体のことも踏まえた上で天羽々斬の使用時間は3分。という答えになったのだ。3分を超えて使用したときはライン自体が封印され体外に封印オーラが排出できなくなり俺自身がこの剣に封印される。

そして、今。抜刀時間から考えて、使用できる時間はもう20秒も無い。

 

「危なかったな~。本当に危なかったよ」

 

笑顔のままマリアが手を天に掲げ無数ともいえる数のの黒炎の槍を俺に向かって放つ。

槍が雨のように降り注ぐ。

 

「くっ!」

 

ラインよ。もう少し、もう少しだけいいから保ってくれ。

俺は天羽々斬を振るい俺に当たるような射格の槍だけを封印する。

致命傷となるような攻撃だけは封印、または回避していく。

体中にかすり傷を作りながらも槍の雨を乗り切る。

 

「へぇー、まだそんな力残ってたんだ~頑張るね~お次は……」

 

槍の雨の次は黒炎の龍が雄たけびを上げ突進してくる。

ぼろぼろの身体に鞭打ちギリギリで回避する。

が、すぐに黒炎の龍は体制を立てなし再び突進してくる。

あれは……かわせない!

とっさに天羽々斬の腹で黒炎の龍を受け止める。

既にボロボロの足腰に力を入れ踏ん張る。が確実に推されている。

パン! 先ほど槍の雨で俺の右腕につけられた切り傷が広がり血が噴出してくる。

くそっ……!

押し返そうにも黒炎の龍は恐ろしい力で俺を押している。

この力を保つのに精一杯だ。

すると黒炎の龍は自らのあタメで俺を天に弾きあげられる。その時に手汗で天羽々斬が手から滑り手から離れる。不幸はさらに続き今まで俺と天羽々斬を結んでいた2本のラインが黒い龍脈の根元から引きちぎれる。そして俺という持ち主がラインと離れたこともが原因で天羽々斬を接続してたラインも離れていき天羽々斬は自由落下していきドスン! と地面に突き刺さる。

それを確認すると黒炎の龍が尻尾で俺を地面に容赦なく叩きつける。

ボキボキボキ。勢いよく地面に身体を叩きつけられ体中の骨が折れ、またヒビが入り、五臓六腑がグチャグチャになり口からブチまけそうになる。

 

「ゴホッ!」

 

口から大量に血を吐きだす。

俺はこの戦場で仰向けになり夜空を見上げている。

せめて戦車(ルーク)女王(クイーン)昇格(プロモーション)出来ればある程度は反撃できるだろうが、今の俺は人間に毛が生えた程度の悪魔だ。そんな俺が神器を禁手に至らせた奴に勝てるか? と言われたら答えはNOだ。勝てるわけがない。

そう。勝てないのだ。

ではどうするか? 諦めて白旗を振る? 違う。

このまま無謀にも敵に突っ込む? それも違う。

そこで俺の作戦はここで初めて花開く。

相手は俺の爆炎魔法とギャスパ―君の停止、カテレア様の魔力弾を受けているのだ。

必ず体力を消費している。

それに禁手↓という事はそれに拍車がかかっていると考えるのが妥当だ。

そこで俺が打つ手? それは……。

 

「は、はは。はははははははは!」

 

仰向けのまま笑いはじめる。

それを見たマリアは渋い目を向ける。

 

「なに? 壊れたの? ま、身体は壊れてるから、次は精神が壊れたんだ」

 

「ははははははぁ……マリア」

 

「なに? 遺言なら聞いてあげるよ?」

 

その心使いに感謝するが、残念だが俺の言いたいのは遺言じゃないんだな。

俺は右手を掲げようとするが右腕が言う事を聞かない。

笑えないな。この状況は。

俺は消え入るような声で俺が張った技名を呟く。

 

龍王の無限魔枷(プリズン・インフィニティグレイプニル)………」

 

ガガガガガガガガ! 地面から鎖状の無限にも等しいラインが出現し鎖状のラインはありとあらゆるところに突き刺さりマリアと黒炎の龍にギリギリ触れない隙間を作りながら動きを封じる。

 

「こんなもの!」

 

黒炎の龍が咆哮を上げた瞬間、黒炎の龍がラインに触れた。

するとラインに触れた部分が吸い込まれていった。

 

「これって……! あの剣の能力!?」

 

御明察。と言いたいのだが口が開かない。

俺は口を開けこの技の補講をしておく。

 

「こ、この……わ…ざは……ライ……ンに……はあ……触れたものを……はあ、はあ……無差別に……封印……はあ……はあ……する」

 

呂律が回らないがなんとかこの技が何を示すか、マリアは察したようだ。

この技は俺がオリジナルで編み出した奥の手。

俺の黒い龍脈に備わった新たな能力。それは増殖。

魔力を黒い龍脈に喰わせラインの数を累乗して増やしていく。

ただ、ラインを増殖させるにはかなりの魔力が必要だ。

では何処からその大量の魔力を持ってきたか?

愚問であるが答えよう。

頭の良い方なら察しているでしょう。

そう。カテレア様の高出力の魔力弾の一部を少しいただいた。

少しでいいのは理由がある。

お察しの通り、使用するのは旧とは言え魔王の魔力。通常よりも何十倍も高質で濃密な魔力なのだ。少量で代用するには申し分ない。

そして無限とも言える数のラインを増殖させることが出来たのだ。

次に、封印オーラはもちろん天羽々斬のを使用している。

天羽々斬にラインを接続していてもラインから俺の体外へ排出される封印のオーラは完全に排出される訳ではない。

少しずつ、少しずつラインに俺の身体に蓄積されていく。

その蓄積された封印オーラを使用する。

この2つがそろって初めてこの技は成り立つ。

成功……してくれたか。

当初の予定ではこの技を使う前に三大勢力のトップ陣の1人が止めに来てくれるはずだったが……。

やはり、そう物事はうまくいかいか。それにこの技の使用確率は5%未満だったのにな……。

俺はぼやけていく視界の中でマリアに聞こえるよう、途切れぬように声に出す。

 

「マリア……本当にチェックメイトだ……」

 

「くっ……!」

 

そう呟くと悔しさに歯を軋ませるマリアがおぼろけながら見えた。

視界が霞んでいき瞼が自然に落ちてくる。

そして、俺は意識を手離した。

 

 

 

 

 

 

///

 

 

 

 

 

俺、アザゼルはマリアと匙の戦闘が終わったと同時に中に割って入り「まだ終わってない!」と喚くマリアを抑えるのに苦労したもんだ。因みにマリアを捕縛していた危険なオーラを発しているラインは匙が気を失うと同時に霧散していった。

俺は仰向けにぶっ倒れている匙に目を向ける。

ったくよ。グリゴリでもかなりの力を持っているマリアをこんな感じに戦闘不能にさせるとはな。

随分と甘いな。匙。

こいつが倒した魔術師は殺すではなく気絶させるに止まっていた。こいつの手を下した魔術師は誰1人として死んでいない。

匙の奴が理解しているか知らないが「捕縛、又は相手を戦闘不能にさせるのは殺すことよりも10倍も難しい」ってこと知ってんのか? こいつ。

本来であれば自分よりも実力が上の相手を捕縛しようなんて考えない。殺すことしか考えない。

なのにこいつの攻撃は全部甘い。

あの爆発の魔法が使えるのあればその気になればこのあたり一帯を破壊できるし天羽々斬でもマリアに当てればそれで終わりだ。

なのに、こいつはその気にならず、殺さず捕縛の選択をした。

おい、なんでそんな無謀な事をしたんよ。成功確率なんて1%もないだろ?

おっと、そんなことを考える前に……っと

俺は素早く堕天使式転送魔法陣を展開しサーゼクスでもいいが、まぁ、こいつはシトリ―眷族だからセラフォル―に一任してもいいだろう。

そして意識不明の重体の匙をセラフォルーに向けて転送。

それと、最後にやることもあるしな。

「マリア」

 

「なに? アザゼル」

 

黒炎の龍から見降ろしなら言うマリア。

 

「あーあれだ。お前、どうだった? さっきの奴と戦ってみて」

 

「どうって……まぁ、覇龍(ジャガーノート・ドライブ)ヴァ―リのまでは届かないけど冥界の魔獣よりは楽しかったかな?」

 

「そうか……それなら、良かったが。これからまじめな話になるぞ。お前は無断でこの協定の場に乗り込み破壊活動を行った。これは覆しようのない事実だ。最悪、死刑、良くてコカビエル同じコキュートス行きだろうよ」

 

「え? そのへん心配いらないよ?」

 

「は?」

 

真顔で言うマリア。

すると魔法陣が展開されその中から聖剣を携えた優男が登場。

 

「マリア。お遊びはここまでですよ。ヴァ―リも美候と共に本部に戻りました。私達も戻りますよ」

 

「うぅ~らじゃー!」

 

元気良く返事をしたマリアを連れて優男と共に姿を消したマリア。

あっという間の出来事だった。

……はぁ、ヴァ―リと同じ。あいつも禍の団に入ったのか……。

どちらにしろ、いずれ指名手配されるだろう。

だが、あいつの実力は本物だ。並の上級悪魔ならあしらえるだろう。

 

「さて、どうやってサーゼクスとミカエルにこの状況を言い訳すべきだろう……」

 

余談であるがこの後にセラフォル―から妹の眷族が瀕死状態だったことに怒り、魔王少女から「怒りのミルキージャーマンス―プレックス」なるものを受けたのは聞かなかったことにしてくれ。




という話でした。
あー、なんか急ぎ過ぎたかな? 早く5巻の内容書きたいから急いで書いてしまったらこうなった…
さて、次の話で4巻は修了。そしてとうとう俺が初めて匙の事をかっこいいと思った巻を執筆いたします!
そして、今回からあとがきに次の話の一部のセリフを抜き出しここに書かせて頂きます。
それでは……ドン!


「俺はあなたの兵士じゃありません」

「ふ、お安い御用だ」

「貴方は私の大事な兵士です。強くなりなさい」

「うぅ……あり…が、ごほごほっ! とう……ござい……ばす!」

といった所で次回! 11 俺の進む道
次回を御着たください!

感想、評価等待っております!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。