匙元士郎に憑依したから色々頑張るお話   作:妖叨+

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7 こいよ。歓迎する

あのコカビエルの一件から数日が過ぎたバチカン。

バチカンにあるカトリック教でもかなりの大きさを誇る教会。

サン・ピエトロ大聖堂で一人の異端者が判決を受けた。

 

「神より授かりしエクスカリバー及びデュランダル所有者。ゼノヴィアよ。君は神に全てを捧げるとこの場で宣言しながらも異端と感じられる行動に出た。故に追放処分とする。荷をまとめ速やかに出て行きなさい」

 

「・・・・・・・」

 

ゼノヴィアは顔を俯け、沈黙していた。

異端審問会が終わり破壊の聖剣、それに今まで奥の手として私を支えていたデュランダルは没収されたあとに今まで世話になった部屋を後にする。

幼いころから神の為に戦い、神の為に死ぬと決意していた。しかし、その自らが今まで尽くしてきたはずの神が居ないのだから。

自分が馬鹿らしく思った。

(今まで死ぬ思いをして名のあるはぐれ悪魔をどれだけ相手にしてきただろうか?)今まで死ぬ思いをして名のあるはぐれ悪魔を相手してきただろうか?

どれだけの仲間を犠牲にして生きているのか?

自分の存在価値が無くなった今。彼女の心にあるものなど、無いに等しかった。

所詮、人間は人間だ。自分達が欲するものと違ったら切り捨てる。これは、前から知っていたはずなのに・・・。

薄暗い路地裏。

異臭が漂うその場に腰を下ろす。

 

 

 

 

そらから、どれだけの時間が経過しただろうか?

ふと、独り言を口にする。

 

 

 

「・・・・これから。何をして行けばいいのだろうか?」

 

その言葉に耳を傾けるものなどいるはずもなく、その言葉が孤独感を際立たせた。

…これから、なにをしよう。

……わからない。自分がなにをするべきなのか。

 

 

 

わからない

 

 

「・・・・・・・」

 

人の気配を感じた。

(虚ろな目で気配のした方を見る。)虚ろの目を気配のした方を見る。

(そこには一人の少年が立っていた。)そこには一人の少年がっていた。

その目は悲哀に満ちていた。

彼はそのまま足を進め自分のもとへ歩み寄る。

そして手首を取り脈を測り始めた。

 

「・・・精神的にやられたな。これだから、教会上層部の人間は嫌いだ」

 

そう言うと自分を抱え彼を中心に魔方陣が展開され光とともにこの場から消えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

///

 

 

 

 

 

 

 

気が付くと、見慣れない天井があった。

不審に思い目の動きだけで辺りを見回す。

一眼でわかった。

ここは、何処かの医療施設だと。

しかし、ここはどこの医療施設なのだ…?

それに、誰がここに運んで来たのだろうか?

それよりも

 

「・・・なぜ、生きているんだろうか。この世界に・・・私を、愛してくれる人なんて・・・」

 

「いるはずだ」

 

「!」

 

扉の前には先日、何かと世話になった悪魔・・・匙元士郎が立っていた。

あいつはピンク色の花を挿してある花瓶を手にしていた。

その逆の手には・・・チェスのボード?を握っている。

 

「・・・何のようだ?」

 

無愛想に言うが匙はチェスのボードを挙げポーカフェイスのまま私に問いかける。

 

「チェス。出来るか?」

 

「あ、ああ」

 

一応、反応を示しておく。

そして匙は机に花瓶を置くとチェスの準備を始めた。

 

「先行はお前からでいい」

 

そう言って白の15の駒を私に渡してくる。

私は言われるがまま駒を全て初期位置に配置する。

 

 

 

それから、中盤戦(ミドルゲーム)が終わるころ、匙が不意に口を開く。

 

「この花。なんていう名かわかるか?」

 

ピンク色の花を指さして言う匙。

いきなり何を言うかと思えば花の名前ときたか。

そのようなもの、知るはずが無い。

そもそも花の名前など、男のくせに知っている方がおかしい。

 

「この花の名前はエリカって言うんだ。花言葉は・・・・」

 

一拍、間を置き兵士の駒を進ませながら言う。

 

 

 

 

「孤独」

 

 

 

「ふっ」

 

思わず笑ってしまった。

なるほど、つまり今の私にぴったりの花じゃないか。

今の私は孤独以外、何でも無い。

顔に手を当てて哄笑を上げる。

それを間近で見ても表情を崩さない匙は凄いと思う。

すると匙は瞑目し、呟く。

 

「と好運だ」

 

「・・・は?」

 

何を言っているんだ。神に見捨てられ一人孤独だというのに、それを好運? バカバカしい。

あ、そういう事か。なるほど、分かったぞ。こいつの言いたい事が。

つまり、神に見捨てられ一人孤独で生きていくのであれば死んだ方が好運だと。

再び哄笑を上げそうになった時だ。匙が私の名前を言う。

 

「ゼノヴィア」

 

「なんだ? 君は私を笑いに来たんだろう? なら笑えばいい。この無様な元聖剣使いを」

 

「違う。お前を笑いに来たんじゃない」

 

「それでも、ないのか・・・あ、私の身体でも欲しくなったのか? いいぞ、くれてやる。神に捧げた操を返してもらうにもいいだろう」

 

「それも違う。お前の身体など、欲していない」

 

「では、なんなんだ?」

 

怒気を含んだ声で言う。

それでもポーカ―フェイスを崩さない匙。

その匙が諭すように言う。

 

「人生、やり直してみないか?」

 

 

 

「・・・・・は?」

 

私の頭の中は今まで以上に疑問符だらけになった。

人生をやり直す? どういう事だ?

 

「いま、「どういう事?」と思っただろ? そのまま受け止めればいい」

 

心を読まれたのはいささか不満だが、さっき言った人生をやり直す。これをそのまま。か。

 

「人生をやり直す・・・」

 

私の頭はその言葉に支配された。

 

「といっても過去に戻る訳じゃない。俺がお前に言っていることは・・・悪魔に転生しないか(・・・・・・・・・)? という誘いだ」

 

悪魔。つまり今まで私が断罪してきた者たちだ。

 

(「これは強制じゃない。任意だ。なるかならないかはお前次第だ」)「これは強制じゃない。任意だ。んるかならないかはお前次第だ」

 

こいつは、本当に何なんだ?

いままで悪魔には嫌悪と差別しかなかった。

しかし、こいつは今までの悪魔と何か違う気がする。

そんなどうでもいい事が私の心の中を引っ掻き回す。

そして私はこの苦しい戦況をどうするか考えた末に騎士の駒を犠牲にすることを選ぶ。

が、匙の狙いは違うようだ。

 

「プロモーション。兵士(ポーン)騎士(ナイト)に」

 

私はおもわず眉根を寄せる。

本来、チェスでは兵士が女王になるのが定石だ。

しかし匙はあえてそれをせず、騎士を選択した。

なぜ・・・?

 

「いま、「何故?」って思っただろ?」

 

・・・また、心を読まれたか。何度もやられると腹立たしいな。

 

「兵士はチェスの中じゃ最弱だ。でも、主の使い方では最弱の駒でもこうも立ち回ることが出来る」

 

「チェスの名言だな」

 

「そうだが・・・俺の現在の持ち駒は王、女王、戦車が1駒ずつ。僧侶と兵士が2駒。それと騎士が2駒だ。この状況は俺の主。ソーナ・シトリ―様と同じ眷族だ」

 

「・・・何が言いたい?」

 

「俺の主。ソーナ・シトリ―様の下で働かないか? 悪魔として」

 

「勧誘。か」

 

「そうだ。それと一つ謝罪しておく。俺は先ほど嘘をついた」

 

「嘘?」

 

「ああ」

 

匙は王を護っていた騎士の駒を一つつまみあげ私に見せてくる。

 

「これが、現在のシトリー眷族だ」

 

騎士が一つ消えた状況。

この騎士が一つ消えるとこの戦況は大きく変わる。

騎士が守っていた通路が開かれ攻めるにはもってこいの状況だ。

 

「このままでは、負けてしまう。俺達シトリ―眷族はほとんどが元一般人だ。いくら悪魔になって身体能力が上がっているとしても限界がある。そこで、お前が騎士としてこの場にいるのであれば・・・」

 

騎士の駒を再び元の位置に戻す。

うっ・・・先ほどまではガラ空きだった王への道が断たれ逆に自分の駒がとられそうだ。

 

「お前という騎士が居てくれると俺達他の眷族は相手の攻撃に専念出来るという事だ・・・あ、別にいつも王を護っていないといけないという訳じゃない。時には最前線で戦わなければいけないこともある。だから・・・・」

 

 

一拍開け、プロモーションした騎士の駒をつまみ。

 

 

 

 

「俺達と来いよ。歓迎する」

 

「・・・・」

 

いまさりげなくチェックメイトされてた。

 

「王手。俺の勝ちだな」

 

「ッ!」

 

匙のポーカーフェイスが崩れわずかな微笑みが零れた。

・・・こいつ。笑えるではないか。

こいつと一緒なら・・・・。

 

「分かった。なろう。君の主の騎士に」

 

私は純白の騎士の駒をつまみそういう。

すると匙は右手を差しだす。

握手・・・か?

私はおずおずと右手を差しのべ力強く、匙の手を握った。

 

 

 

 




一応、ゼノヴィアフラグ?だけは建てておきました。
そして、これにて、聖剣編は修了!
次回から原作4巻。三大会議の話です。
これから本格的に裏方のお話になります。
といった所で次回は・・・憑依匙君×ヴァンパイア×三大会議篇
1 堕天使の総督様

次回を御期待下さい!
感想、評価等お待ちしております。
アンケートですが、〆切をもうけさせて頂きます。
〆切は5月26日の日付変更を持って終了します。

さぁーて、気になるアンケートの途中経過です! どうぞ!

 ソーナ  …5
 イリナ  …8
ゼノヴィア …1
ロスヴァイセ…2

という結果になっております。
アンケートの結果でヒロインが決まります。皆様、よく考えたうえで回答して下さい。
では、また。
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