ここ最近リアルがやたら忙しかったりめんどくさかったりな状況が続きまして……とはいえ、連載はまだまだ続くの今暫くお付き合いを。
それはそうと閃ハサはいつ公開するんだろう?
――チャンスをやる。コアガンダムを手に入れるチャンスだ――
一週間前のあの日、コアガンダムを求めて追い駆け回した事を謝罪した直後にヒロトが告げたその言葉の意味が、イツキは分からなかった。
あまりに唐突だった。これまで何度イツキがコアガンダムを作るよう懇願しても首を縦に振らなかった男が同じ口で告げたとは、到底思えない程に。
それ故の困惑に目を
そのまま帰宅し、夕食と風呂も済ませて自室へと戻った彼は、気づけばスマホからG-TUBEへとアクセスして、登録していたカザミのチャンネルからエルドラバトルシリーズの動画を再生していた。
どうしてそうしたのかは、分からなかった。
ヒロトの最後の言葉の意味を知るヒントがそこにあると思ったのかもしれないし、あるいは、一度はコアガンダムを諦めるに等しい選択をした自分を慰めるためだったのかもしれない。もしくは、どうして自分がコアガンダムに惹かれたのか、その原点を再確認するためだったのかもしれない。
確かなのは、そうしておくべきだ、という直感が働いたという事だ。
だから、イツキはしっかりとその目に刻んだ。
そこに映るコアガンダムの雄姿を。ヒロトの操作を受けて実行されるその
BUILD DiVERSの面々が初めてエルドラの地に降り立ち、その名を名乗るに至った初回から、戦いの場をGBNへと戻し、多くのダイバー達と共に
やる事を終えてから就寝するまでの僅かな時間を使ってゆっくりと、しかし一瞬も見逃さぬよう、食い入るように凝視して。
そうして
あの日と同じように、アイアンタイガーとトピアと共にアダムの林檎へと向かったイツキは、その先に何が待っているのか想像も出来ないために
刹那、視界一杯に広がるアダムの林檎の店内。
向かって左手側にあるカウンターの手前側の席では、胸元で足を組んでリラックスした姿勢のマギーが、ハーイ、と微笑みを浮かべた顔で手を振って出迎え、奥側の席ではメイが相変わらずの仏頂面のまま横眼の視線だけを
一週間前に来た時と、店内の様子は殆ど変わっていない。
その中で違うのは、ただ一人。
「――来たか」
彼らが現れたのを認めるや、メイの隣の丸椅子から腰を上げてゆっくりと振り返るヒロトであった。
「ここに来たって事は――コアガンダムの事は諦められない、って事で良いんだな?」
ゆっくりと、しかし淀みの無い足取りで歩み寄って来るヒロト。
拒絶の意思しか受け取れなかった一週間前までとは打って変わった対応を見せる彼の確認に、うん、と頷いたイツキは、手前1m弱程度で足を止めたヒロトの顔をじっと見上げる。
「チャンス、くれるんだよね? 俺が、コアガンダムを手に入れるチャンスを」
そう確かめの言葉として投げ掛けた内容を、未だにイツキは信じられないでいた。
致し方ない事であった。
何度土下座して製作を頼んでも、ヒロトは首を縦に振らなかった。ヒカルからその理由を告げられた時だって、彼の側からすれば当然の理由だとイツキ自身思えた。だから、一週間前に頭を下げたのだ。
なのに、そのヒロトから、まるで掌を返されたようにチャンスを与えると言われ、それを受け取るために、今再び自分は彼と
どうして疑わずにいられよう? あの時のヒロトの言葉は聞き間違いか、さもなくば嘘だったのでないか、と。
勿論、期待もある。
だからこそ、この場にイツキは立っている。その期待と、疑いとの
そして、
「ああ」
続くヒロトの頷きが、その鬩ぎ合いに終止符を打った。
「――っ!」
イツキは、無意識に顔を
一週間前のあの日、謝罪の後に聞いたヒロトの言葉が嘘でも聞き間違いでも無かったと確認出来た事もそうであったが、もう一つ、彼にそういう表情の変化をさせる重要な事柄がそこに付随していた。
今、チャンスを与えると確かに言った、とヒロトは認めたのだ。自分ではコアガンダムを作れない、だから作って欲しいと
それはつまり――。
「あー、ちょっと良いッスか?」
と、そこでイツキの後に控えていたアイアンタイガーが手を挙げ、そうヒロトへと問い掛ける。
「そのチャンスっつーヤツだけど、それってつまり、イツキに
そう、そういう事だ。
今のイツキがコアガンダムを自作する事など出来ないとヒロトには散々訴えて来たのだ。
その上でのチャンスを与えるという発言は、コアガンダムを作ってやっても良い、とそう言っているも同然の事だ。
そう確信していたからこそ、アイアンタイガーの問いにヒロトが返事を返すのを今か今かとイツキは荒い鼻息を吐いて待ち、そして、
「いいや」
そうして当然とばかりに彼が小さく首を振って否定するや、ガクリ、とその場で転びそうになった。
「――って、何でぇ!?」
すぐに態勢を立て直したイツキは、慌ててヒロトへと先程の返答の事を問い質そうとする。
その顔を見下ろしながらのヒロトの回答はこうだった。
「前にも言った筈だ。欲しければ自分で作れ、と。あの言葉を
「そ、そう言ってたけど! でも、俺、スクラッチなんて出来ないって――」
納得できず、詰め寄ろうとするイツキ。
そこに掌を突き出し、分かっている、と言い掛けていた言葉ごと彼を制したヒロトは、続けて言う。
「でも、君はこうも言っていた筈だ。――
「あ……あー、うん」
言われ、イツキは記憶を掘り返して見る。
半ば勢い任せの中での発言だったためはっきりと覚えてはいなかったが、確かにそんな事をヒロトに言ったかもしれない。
「俺は君の為にコアガンダムは作らない。たとえ、パーツだけであろうと。――だけど、君がコアガンダムのパーツを手に入れる
「
ヒロトの言葉の意味が分からず、イツキは首を傾げる。
コアガンダムはヒロトが一から作り上げたオリジナルのガンプラだ。それを手に入れる方法など、製作者である彼に作ってもらうか、それこそ自分でスクラッチするかくらいしか思いつかない。それ以外の方法があるというのか?
その疑問に対する答えを待つイツキであったが、その意図に反してヒロトは手近な空間にメニューウィンドウを呼び出し、何やら操作し始め出した。
その唐突な行為にイツキが困惑していると、一通りの操作を終えたらしいヒロトがウィンドウの角に人差し指を当て、彼らにも見えるようにウィンドウを移動させた。
その中に表示されていたのは、
「? 何これ?」
周囲を走る線が囲いを作り、その中に――どこかで見たような気がする――様々な形の何かが散りばめられた、良く分からない
少なくとも、イツキにはそうとしか表現出来なかった。市販のガンプラさえ作った事の無い、彼には。
だから、
「これ、“パーツデータ”じゃねーか」
トピアと共に彼の肩越しに
「何、パーツデータって?」
「そのまんま、ガンプラのパーツのデータだ。コイツを“射出成型機”に読み込ませりゃ、データに入ってるパーツが丸々
「現実で……って、ええっ!?」
聞き慣れない単語に首を傾げつつ尋ねるや返って来た答えに、思わずイツキは驚きの声を上げる。
特に3Dプリンター関連についての技術の進歩と、公開以来ユーザー登録者数を増やし続けるGBNの発展によって徐々にその設置範囲を広げている“射出成型機”だが、それを利用するに当たって、今正にアイアンタイガーが言ったように対応するパーツの――正確にはパーツが収まったランナーのデータが必要となる。そのデータが、今正に目の前に広げられている“パーツデータ”であった。
データそのものは特にGBN内のミッションの報酬に設定されている事が多いため、遊び続けていれば少なくとも2,3データくらいは手に入れる機会が巡って来るし、そのデータを読み込ませた射出成型機からパーツを手に入れる体験をする機会も自然と回って来るものである。が、いずれもまだまだ先の話である今のイツキからすれば、GBN内のデータから実物のパーツが手に入るという事実はあまりに予想外のものだった。
「
「ホントかよ、スゲー……」
アイアンタイガーとトピアの説明からまた一つ知ったGBNの仕様について、イツキは驚きつつも感心する。
さて、そうしてパーツデータと射出成型機の関係について知った今、一つ疑問が浮かび上がって来る。
「それはともかくよー、
――今ヒロトが見せている、パーツデータの正体だ。
「うーん……何だか、いっぱいパーツがついてますー」
「だな。ヘタすりゃHG一体くらいあんじゃねーのか?」
改めてデータを眺め、その中に描かれているパーツの数にアイアンタイガーとトピアは揃って首を傾げる。
これもまた今のイツキには知る由も無い事だが、ミッション報酬等で手に入るパーツデータは大抵武器や装備のもののため、入手できるパーツ数そのものはあまり多くないものが大半だ。ここまで内包するパーツ数が多いデータは二人共見た事が無い。そのパーツ一つ一つの形状も。
だがイツキは違った。
アイアンタイガーやトピアに比べてGBNやガンプラの知識は浅い彼だが、それでも今回は二人より先に彼が答えに到達する事となった。
何故なら、ヒロトのパーツデータに表示されているそのパーツ一つ一つについては、彼の方が二人よりも目にする機会に恵まれていたからだ。
だから、行きついたパーツデータの正体を迷う事無くイツキは口にした。
「――コアガンダムだ」
「あ?」
「コアガンダムだよ! このデータの部品、
そうであると、間違いないという自信がイツキにはあった。
ヒロトのパーツデータに描かれている部品は、どれもG-TUBEでその姿を何度も見続けて来たコアガンダムを構成するパーツと同じ物であると、彼の記憶と直感がはっきりと告げていた。
そして、それは正解であった。
「そうだ」
イツキの答えに揃って驚くアイアンタイガーとトピアの声に続いて、そうヒロトが肯定する。
「君の言う通り、このデータにはコアガンダムを作るのに必要なパーツが入っている」
「やっぱり! って事は――」
「このデータを射出成型機に使えば、コアガンダムのパーツを手に入れる事が出来る。―― 一機作るのに必要なものを、全部」
「――!」
ヒロトの言葉にイツキは息を呑み、そして悟った。
「それじゃあ、つまりヒロトさんが言ってた、コアガンダムを手に入れる“チャンス”って!?」
「ああ」
そう頷き返すヒロトに、イツキは目を輝かせた。
間違いない。目の前にあるこの――コアガンダムのパーツデータこそが、ヒロトが自分に与えんとしている“チャンス”だ。
確かに、この方法ならばヒロトの手を借りる必要は無くなる。データさえ渡してしまえば、後はヒロト自身が言った通り彼の知るところではないのだから、大手を振ってイツキは必要なパーツを手に入れ、自らの手でコアガンダムを作り上げる事が出来るだろう。
そう、コアガンダムが手に入るのだ。最初に作るガンプラにしようと決めていた念願のガンプラが、このパーツデータをヒロトから受け取る事で、ようやく……!
そう思えば、自然とイツキはその手をパーツデータへと伸ばしていた。後は受け取るだけのそのデータが、待ち切れないとばかりに。
だが、そうは
イツキのその認識は間違いでこそ無かったが、まだ足りないものがあったのだ。
つまりは
「このデータを君に渡すか、それとも
あと少しで指先が触れるというところで、ふっと消えたパーツデータと入れ替わるようにメニューウィンドウ内に表示された
そうして時が少しだけ流れた現在、乾いた赤土の地面と積み重なった岩塊が広がる荒野の中にイツキは立っていた。
正確には、ログイン前にヒカルから借りて来ておいた陸戦型ガンダムのコックピットの中に、だが。
“機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ”における火星の大地などに見られるような、荒涼とした地形。右隣りのDXフルバスター、左隣りのモビルドールトピアと共に並び立つ陸戦型ガンダムのツインアイを通して、時折吹き込む風によって土埃が巻き上がるその土地の様相を正面モニターに映していたイツキは、その先に見える一機のガンプラを緊張の
白を基調とした胴と四肢と、それらを繋ぐ赤い腹部とダークグレーの関節部。
額と胸部で鮮やか碧色の光を放つクリアパーツ。
その特徴全てを、イツキ達のガンプラから見て2/3程度しかない小柄な体躯の中に収め込んだ、そのガンプラを。
「……コア、ガンダム」
右手に小振りのライフルを、左手にその小さな機体を易々覆い隠してしまえそうな程に大きな赤いシールドを
その搭乗者が、モニターの隅にポップした通信ウィンドウ越しに現れる。
イツキ達が各々のガンプラ越しにこの場でコアガンダムⅡと対峙している、その原因たる人物である、ヒロトが。
『ミッションについて確認しよう』
コアガンダムⅡのコックピットから顔を見せるやそう告げるヒロトに、イツキは自らの内の緊張がより高まったような気がした。
その感覚は恐らく間違いではない。
彼がコアガンダムを手に入れるための“チャンス”――アダムの林檎からこの場へとエリア移動した理由である、コアガンダムのパーツデータを渡す条件としてヒロトから提示された
だが、同時に自分の中の疑念の存在も確かにイツキは感じ取っていた。
『これから君達には俺とバトルしてもらう』
淡々とした口調で、直前にモニター上に現れたミッションの詳細画面について再説明を行うヒロト。
その内容は、早い話が彼とのガンプラバトルである。
もちろん、その時点でイツキにとっては十分に驚かざるを得ない内容だ。
何せ、GBNを始めてようやく一週間を超えたばかりの初心者である彼に、間違いなく比べものにならない実力を備えているヒロトと刃を交えろと言っているのだ。傍から見ても、無理としか言いようが無い。
だが、本当に彼が驚愕を禁じ得なかったのはここではない。
問題は、
『制限時間はミッション開始から30分。その間に、俺に一撃でも攻撃を当てる事が出来れば、俺は撃墜されてミッションクリア。逆に、一度も俺に攻撃を当てられずに時間が無くなったなら、ミッションは失敗だ』
その差を埋めて公平にするために設けられたと思われる、ミッションの達成条件と幾つかの
その条件の一つ目が、今彼が達成条件として挙げた通り、一撃で倒されてしまう事だ。
例えそれがバルカンの弾一発だろうと、ビームサーベルのほんの先端が触れるだけであろうと、ともかく機体本体に命中した時点でこの条件は成立。受けた損傷の大小に関係無くコアガンダムⅡは撃墜され、その時点でミッションはクリアとなるのだ。
そして二つ目は、
『それから、俺から君へは攻撃しない』
ミッション中のヒロトからイツキへの攻撃の一切が禁止されるという事だ。
これにより、イツキはヒロトからの反撃による撃墜を恐れる事無く、時間いっぱい彼に攻撃を当てる事のみに集中する事が可能となる。それに留まらず、もしもこの条件を破ってヒロトがイツキへと攻撃を行った場合は彼の反則負けとなり、この場合でもミッションは達成というおまけまでも付いて来る事となった。
この時点で既にイツキ側は極めて有利なのだが、更にダメ押しとばかりに、アダムの林檎から移動する直前に三つ目の条件が後付けされる事となった。
それは、
『改めて確認するけど、君達もミッションに参加するって事で良いんだな?』
『はいですー』
『あー、そうッス』
イツキ側へのアイアンタイガーとトピアの参戦の許可であった。
――このミッション、俺とトピアも参加して良いっスか?――
先の二つの条件を含めたミッションの説明を終え、後は受注するか否かというところでそれを問う画面がイツキの眼前に現れるのと同じくして、一連の様子を背後でトピアと共に静観していたアイアンタイガーがそう進言し、それが受け入れられた事が、急遽この三つ目の条件が決められた経緯であった。
これにより、イツキとヒロトとの戦力差は3対1。単純に戦力差の上でも有利に立てるのだが、今回のミッションにおいてヒロトは
無論、ヒロトとて唯でアイアンタイガーとトピアの参加を認めたワケではない。
『ただし、君達に対しては俺からも攻撃させてもらう』
それに加え、もしアイアンタイガーやトピアへの攻撃をイツキが庇って損傷、ないし撃墜されたとして、この場合は反則扱いにはならず、ミッションは続行となる事を認めさせている。
――しかし、それでもだ。
『……あのー』
ヒロトが映るウィンドウの隣に新たな通信ウィンドウが現れ、その中に眉を顰めたアイアンタイガーの胡乱気な顔が映し出される。
どこか言い難そうなその問い掛けの声に、何だ、とヒロトが問い返す。
『あー、いや、入れてくれって頼んだの俺だし、こーいう事訊くのショージキアレだなって思うんスけどね? その……マジで良いの?』
『何が?』
『ミッションの事なんスけど、スゲーイツキっつーか俺らに有利っつーか……むしろヒロトさんにスゲー不利になってるっつーか……』
「そうだよ!」
今回のミッションは、引いてはヒロトの“チャンス”とは、つまりはイツキがコアガンダムのパーツデータを手に入れられるかどうかを賭けた試験なのだ。それが正しい事は、目の前の詳細画面上にパーツデータがクリア報酬として記載されている事実が物語っている。
だからこそ、ミッションの存在を提示された時、イツキは思わず身構えていた。
これまでコアガンダムを手に入れようと自分がして来た事。ヒロトのコアガンダムに込めた想いを
だからこそ、イツキは幾度となく己の目や耳を疑った。
最初にミッションの詳細を伝えられた時の、そのあまりに自分に対して優位な内容に。
その後、自分達も参加すると声を上げたアイアンタイガー達に。
そして彼らの一声を、構わない、の一言で顔色一つ変える事無く受け入れたヒロトにも。
確かに、イツキとヒロトとではあまりにも差があり過ぎる。戦えというのなら、その差を埋めるためのハンデはイツキとしても一つでも多く欲しいのが正直なところだ。だが、この量はあまりにも……。
それに、問題はそれだけじゃない。
この場で互いのガンプラで対峙し合ってから、ずっと気がかりな事がイツキにはあった。
「ヒロトさんコアガンダムしか出してないけど、“アーマー”はどーしたの!?」
『あ゛ん?』
『あーまー?』
そう、無いのだ。
コアガンダムという機体が持つ最大の特徴。それを発揮するために必要となる専用装備を搭載したサポートマシンが、エルドラバトルやそれ以外のカザミの動画内で常に付かず離れずの距離を保ちながらコアガンダムの戦闘補助を行う姿を見せて来たあの戦闘機のようなメカの姿が、何処にも。
――まさか、それさえもか。
それさえも、
『必要無い』
「え?」
『今回のミッションで、“アーマー”は使わない』
ハンデだというのか?
『――今回のミッションは、あくまで君にコアガンダムのデータを渡すかどうかを決めるためのもの。つまり大切なのは、データを渡して良いと、君が、俺を
「けど――」
ヒロトの返答にいまいち納得出来ず、追い縋ろうとするイツキ。
しかし、
『質問はそれだけか?』
続けて告げた、有無を言わさぬ重さを伴った確認の言葉によって、彼はその口を思わず
その様子を見てイツキが納得したと判断したのか、それとも狙った通りに彼が口を閉ざした事を認めてかは分からないが、ともかく一拍置いて、ヒロトが言葉を続けた。
『それじゃあ、そろそろ始めよう』
その言葉が何を指し示すのかは、考える間でもない。
いよいよ始まるのだ。
イツキがコアガンダムを手に入れられるか否かを賭けた
『何度も言うけど、一撃だ。一撃でも俺に当てる事が出来れば、その時点で君達の勝ち。ミッションは達成だ。逆に、一撃も当てる事が出来なければ俺の勝ちとなり、ミッションは失敗になる』
そう、一撃だ。
たった一撃で、全てが決まる。
ほんの一撃をヒロトに、コアガンダムⅡに当てられるかどうかで、念願のガンプラがイツキの手の内に納まるかどうかの運命が、分かたれる事となる。
『一撃当てて、俺を認めさせられるか? それとも、今度こそコアガンダムを諦めるか? どちらに転ぶにせよ、結果は受け入れてもらうぞ?』
いいな、と告げられたそれは、最初にミッションの事を告げられた時に投げ掛けられた問いと同じものだった。
ミッションを成功させればコアガンダムのパーツデータを手に入れられるが、失敗すればコアガンダムの事は――少なくとも、その事でヒロトを頼る事は――すっぱり諦める。――その条件を受け入れたからこそ、こうしてミッションを今始めようとしている。
なら、返す答えは何も変わらない。
「はいッ!!」
一度深呼吸した後、腹にたっぷり溜め込んだ空気を吐き出す要領でイツキは返事を叫ぶ。
それに呼応するように、ヒロトもまた告げる。
『なら、つけよう。――俺と君との、
そうして互いの
<MISSION START>
電子音声がミッションの開始を告げた。
次回、VSヒロト!