合宿最終日、朝の藤和高校との試合を敗北で終えて、昼からの伊勢崎聖陽学院との試合に備える。先発は、俺でエースの武田は温存し必要に応じて継投するようだ。合宿中のある時、武田だけを投げさせるのはこの先は通用しないと考え、投手適正のある野手を登板する方向となり俺、姉さん、息吹の三人が新たに該当した。元々、中学で数試合だけ登板する機会があり、パーフェクトリリーフをしたことがあるが、それ以来の登板がまさかこんな強豪校になるとは思わなかった。試合前に智景さんを校門へ出迎えて、グラウンドに案内していると声をかけられた。
「本当に来ちゃったんですね、智景さん」
「対戦相手も興味あるけどこの前は対戦なかったから、どんなバッティングをするか楽しみだね」
「藤原くん!」
「・・・・・・?お、佐野か!久しぶりだな!まさかお前が伊勢崎聖陽の4番になってるとはな!」
「驚いたのはこっちだよ!まさか藤原くんが私の行きたかった新越谷に行っていたなんて!」
「佐野って新越谷に行きたかったのか?」
「そうだよ!お姉ちゃんが福井に行って去年は中堅校の福井航空を全国ベスト16まで行ったんだから、私もお母さんの出身の新越谷で野球やろうと思ったんだけど、事件があったから・・・・・・」
「ねえ晃佑くん、この子は?」
「こいつは佐野真桜です。今日の対戦相手の伊勢崎聖陽の新しい4番です」
佐野はペコりと頭を下げて挨拶をする。
「佐野真桜です。貴方は柳大川越の朝倉智景さんですよね?」
「私のこと知ってるの?」
「桑原先輩と加賀先輩から聞きました!去年の夏は一年生で県内ベスト16まで行ったって!凄いですね!」
「ありがとう」
軽く談笑していると佐野が誰かに呼ばれる。
「真桜さん、そろそろ準備に入りますよ。あなたがウチで噂の藤原さんですか。5番を打ってる内村楓です。今日はよろしくお願いします」
「よ、よろしく内村さん」
「ちょっとー!楓ちゃーん、まだ大丈夫でしょー!」
「さっさと戻りますよ。菫さんによろしく伝えておいて貰えますか?」
「わ、分かった。伝えておく」
「内村さん、桑原煌良と加賀沙耶香の知り合いで二人に会いたいんだけど二人のいる場所分かる?」
「あなたが噂の朝倉さんでしたか、失礼を承知をお聞きしますがおふたりはお付き合いされているのですか?」
内村さんがとんでもない爆弾発言をするが必死に平静を保つ。
「別にそんなことはないよ、同じ趣味を持っている友人みたいな感じだよ」
智景さんは俺を傷つけないためにやんわり否定する。
「そうでしたか、失礼なことを聞きました。桑原先輩たちは私たちのベンチ外で走ってるのでおそらくその辺りいるので案内します」
「智景さん、俺はじゃあここで」
「試合、頑張ってね」
智景さんと別れベンチに戻ると、丁度スタメン発表だと言われた。
「それじゃあ、今日のスタメンを発表するね!1番、ファースト希ちゃん!2番、セカンド菫ちゃん!3番、ピッチャー晃佑くん!4番、センターキャプテン!5番ショート、稜ちゃん!6番、サード理沙先輩!7番キャッチャー、球姫ちゃん、8番、ライト白菊ちゃん!最後に9番、レフト息吹ちゃん!ヨミちゃんは継投するかもしれないから、途中から肩を作ってね!」
「やった!初スタメン!」
「私も今度こそ打ちます!」
現在七打席連続三振中の白菊や登板や経験を積むために途中からの出場が多かった息吹は意気込んでいた。俺は3番先発投手という大役を任され、落ち着くために深呼吸をする。すると、なにか思い詰めた顔の菫が視界に入る。
「どうした、菫。緊張してるのか?」
「ねえ、私たち勝てると思う?」
「それは分からないな。ただ言えるのは勝つ可能性は十分あるってことだけだ」
「そうよね、相手がいくら強くてもウチも十分強いんだから勝てる可能性はあるわよね」
「それにまだ試合が始まってないのにお通夜モードは俺も流石に辛いぞ」
「そうだよ!もうすぐ試合開始だよ!ウチは後攻だから全員行ってらっしゃい!」
全員がグラウンドに散らばる。
『1番、ショート桑原さん』
アナウンスと共に相手の1番バッターが右打席に入り、審判がプレイボールを宣告した。
オリキャラが複数人出てきました。内村楓のプロフィールは要望があれば書きます。予告ですが次の話でフラグが立つ予定です。