結局、試合は5回表に2点、6回表に1点を追加されて8-7まで追い詰められる。しかしヨミは最終回のツーアウトまで追い詰め返す。それでも伊勢崎聖陽も必死に粘って球数を投げさせている。そして、遂にツーアウトから4番の佐野に出塁を許す。続く5番はセカンドの内村さんは決して非力では無いがホームランを狙うバッターではなかった。内村さんは俺と対戦した時と違い左打席に立っている。カウントがツーボールワンストライクになり、ヨミが追い込むために投げた4球目のストレートを内村さんは思いっきり引っ張る。更に一塁走者の佐野はスタートを切っており、ヒットエンドランを仕掛けて来た。
「落ちる?いや、大きい!」
打球は思ったより飛んでいる。フェンスの辺りと思い、練習でしかやった試しがない、ホームランキャッチを試みる。フェンス際で受け身を取らず、勢いに身を任せボールに食らいつく。結果、ボールを掴みフェンスに激突する。それでもボールは離さずに着地する。
「晃佑・・・・・・ホントにホームランキャッチするとはな」
怜さんが感嘆の声を上げる。立ち上がろうとするが、意外と痛くて立ち上がれない。
「晃佑!大丈夫!?」
すると、打球が足に直撃して痛むはずの菫が全力で走って来る。
「大丈夫だ、これくらいどうってことない」
「嘘よね!だってあちこちから血が出てるじゃない!無茶しないでって言ったじゃない!肩貸すから早くベンチに戻るわよ!」
「す、スマン」
「貸一つ!」
「え?」
「貸一つ!後で話があるから!」
「お、おう、分かった」
その後、整列し試合が終了すると俺は応急処置を菫にしてもらう。すると、智景さんと佐野と内村さんがやってくる。
「お疲れ様、怪我大丈夫?」
「大丈夫です、智景さん。今こうして、菫が応急処置してくれてるので」
「藤田菫さんだっけ?ごめんなさい!貴女の足に打球直撃したけど大丈夫だった?」
「あ、佐野さん、大丈夫ですよ。今はそんなに痛くないですから」
「すいません、藤原さん。私のせいでこんなことに・・・・・・」
「内村さん、大丈夫だから。あのプレーは完全に俺の自業自得だから気にしないでくれ」
「あと、最後のプレーはこんな言い方で申し訳ないのですがとてもかっこよかったです。あのプレーは惚れました。」
「・・・・・・へ?」
「あ、いえ、今の発言はなかったことでお願いします」
内村さんがトンデモ発言をしてその場にいた全員が固まっている。すると、どこからともなく姉さんがニヤニヤしながら現れた。
「晃佑、もしかして菫ちゃん以外にもこんなに女の子とそういう関係だったの?ちょっと関心しないなー」
「嘘!晃佑って楓と付き合ってたの!?今日初対面よね!じゃあさっき言ったことって・・・・・・」
「お、落ち着け菫。俺は誰とも付き合ってないから!とりあえず落ち着け!智景さん助けて!」
この後、智景さんに助け舟を出してもらい事態は沈静化したが、反撃で姉さんに余計なこと言ってしまいその場にあった消毒液を大量に掛けられるまでの一連の流れがあった。ちなみに診断結果は菫は軽い打撲で俺は全身のあちこちに擦過傷と軽い打撲だったので数日の安静で済んだ。智景さんとの外出は県大会の準々決勝の前の日になった。この日は大会中の数少ないオフの日でもあるが、そもそも、新越谷がそこまで勝ち進むとは思えないので問題なかった。抽選結果で勝ち進み続けると柳大川越と当たるということに気づくまでは。
朝倉さんとのデート?は要望があったら書きます。内村さんのイメージはアズレンの罵倒を抜いたシェフィールドです。(分からなかったらすいません、調べて見てください)