新越谷の世代最高外野手   作:レオパルト

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今回も長い!


13話

side 吉川和美

 

私は今、驚いていた。抽選会場から戻った奈緒さんと陽さんによると一回戦の相手が強豪の埼玉宗陣高校ということもある。だが何よりも奈緒さんと陽さんが抽選会場であの藤原晃佑にあったそうだ。藤原晃佑と言えば、中学時代から世代最高外野手と名を馳せており、一度だけの練習試合でも私の決め球である縦のスライダーをいとも簡単に何度も打ち返された。最終打席に至っては球姫が見せ球で構えた外角低めのコースを強引に流してヒットにされた。その試合を見て、妹の侑羽も彼のことに憧れを抱くようになった。奈緒さんは今度、妹に会わせてくれるらしい。姉として妹のここ数年の夢が叶うのは嬉しいが、私がボコボコにされた相手に会うのも気が引ける。奈緒さんと陽さんの抽選結果を聞いて今日の練習は終わりだ。携帯を使い、侑羽に連絡する。

 

『・・・・・・もしもし?お姉ちゃん?何?』

 

「奈緒さんが、侑羽の憧れの藤原くんに会わせてくれるって言ってるよ」

 

『え!嘘でしょ!いつ藤原さんに会えるの!?』

 

「まだ日程は決まってないって」

 

『え!奈緒先輩って藤原さんの連絡先持ってるの!?』

 

「そりゃあ、連絡するなら持ってるとは思うけど?」

 

『今すぐ奈緒さんに代わって!私も連絡先欲しい!』

 

「急に知らない人から連絡来たら藤原くんも驚くから直接会ってからの方がいいと思うけど?」

 

『分かった!そうする!』

 

侑羽との会話終えて、電話を切る。一回戦は恐らく奈緒さんが先発、藤原くんのことだから多分、一回戦は突破してくる。となると二回戦で先発出来れば私は彼との投げ合いになったらもう一度リベンジできるチャンスがやってくる。唯一の気掛かりは彼の背番号が1番ではなくて7番だったことだが、新越谷高校は一年生主体のチームらしいので情報があまりない。だが、侑羽には悪いけど彼らには二回戦で負けて貰う。

 

side out

 

「スマン!1番やばいカード引いた!」

 

「これは・・・・・・やばいわね」

 

「よくこんな凄い激戦区のブロックのカード引けるよな!」

 

「晃佑、ホントにスマン!私が引かなかったからこんなことに!」

 

激戦区のカードを引いた俺は練習の終わりに謝罪していた。一回戦の影森高校は毎年、一回戦負けの無名校だが、やはり問題は埼玉宗陣か梁幽館のどちらかが来る二回戦だ。ここが今大会の山場になるかもしれない。

 

「でも大丈夫だよ!私たちは全国ベスト4に勝ったんだから!」

 

「そ、そうよね!ウチは伊勢崎聖陽に勝ったのよ!」

 

「ねぇねぇ、芳乃ちゃん、さすがにエースの私が二回戦だよね?」

 

「うーん、一回戦は息吹ちゃんと理沙先輩で繋ぐとして二回戦は晃佑くんかヨミちゃんだね。ヨミちゃんこの前の伊勢崎聖陽戦で結構失点してたからね」

 

「えーそんなー」

 

すると、自分の携帯から着信音が流れる。画面には『中田 奈緒』と表示されていた。

 

「悪い、電話に出てくる!」

 

そう言って部室から出て、扉の前で電話に出る。

 

「もしもし?中田さんどうかされました?」

 

『藤原に前に伝えた話なんだが、いつの間にか監督にも伝わったらしくてな。その子と会うついでに監督がウチの練習を見学しないかと言っていてな。どうだ、見に来るか?』

 

「え、マジですか!一度くらい行きたかったので嬉しいのですが本当に大丈夫ですか?もしかしたら当たる相手に情報を与えて?」

 

『構わない、監督の許可も下りてるから私としては是非とも来てもらいたいのだが・・・・・・』

 

「そういうことなら、分かりました。是非見学させてください。ちなみに日付はいつ頃ですか?」

 

『まだ決まってないが恐らく、今週の日曜だな。ではまた日曜に会おう』

 

そう言って電話を切る。部室に戻ろうとすると扉が鍵がかかっていた。

 

「あ、もう着替えだした」

 

side 藤田菫

 

「悪い、電話に出てくる」

 

晃佑が電話に出てくると言って部屋から出ていく。すると球姫が何やら凄く驚いている。

 

「ねえ、今、晃佑くんの携帯に中田奈緒って見えたんだけど・・・・・・」

 

「中田奈緒ってあの中田さんじゃない?」

 

「そういえば、抽選会の時に私、晃佑くんから陽さんと中田さんのサイン貰ったよ」

 

「あれ?朝倉さんともこの前、連絡取ってなかったっけ?おや、もしかして晃佑くんはモテるのでは?」

 

「だってよ、菫。早く晃佑に告らないと、他の人に取られるぞ」

 

「そ、そんな告白なんて・・・・・・///」

 

「晃佑、割と野球バカで鈍感なところあるけど普通にかっこいいからな」

 

「中田さんも陽さんも晃佑の憧れだし、朝倉さんも晃佑のタイプっぽいのよね。昔は、お姉ちゃん、お姉ちゃんって言ってて可愛かったのにね・・・・・・」

 

やっぱり晃佑はモテるらしい。このことを聞くと少し心が痛む。今の感覚で確信した、私は晃佑のことが好きだ。振られても構わない誰よりも先に晃佑に告白する。そう決心して晃佑にメールを送ろうと文字を打ち込み出す。

 

「どうかしたの、菫ちゃん?」

 

「決めた、私、晃佑に告白する!」

 

side out




今回は他人称が多いですね。次回、乞うご期待!
次話から夏大会が始まると言ったな、あれは嘘だ。
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