あれから、ちゃんとした練習を始めだした。外野を守る予定の初心者二人の練習は怜さんの管轄になったので、練習半分、裏方仕事半分の状態で放課後を過ごしていた。武田と山崎の間にはなにか一悶着あったようだが、特に影響らしい影響も出ていない。言ってしまえばモチベーションが明らかに向上している。
「走った!」
「セカンド!」
今は盗塁やヒット処理の練習だ。というわけで絶賛、軽いベースランニングをしている。体力的には余裕だが、山崎の送球が思っていたより捕球からのスローイングが早く正確なので思っていたより盗塁に失敗してしまう。これには通算盗塁成功率が.847と高い自分も若干傷ついてしまう。
「くそー!またアウトだ!」
「タマちゃん、ナイススロー!」
また、菫のタッチが上手く、足とベースの間にグラブを差し込んでくるため、分かりやすくアウトになる。こうして何回も挑んでは成功し挑んでは失敗を繰り返す。
「はい、集合ー!」
怜さんが集合をかけるので集まると一人の女性が立っていた。
「先生、お願いします」
「引き継ぎが遅れましてすみません。顧問の藤井です。皆さん自主的に練習されていて偉いです」
「良かった、優しそう」
「家庭科の先生ですよ」
「ふふ・・・・・・もう授業で会った子もいますね。さて・・・・・・」
ここで先生が纏う雰囲気がガラリと変わる。
「どうやら全国を目指しているのらしいですね。そこで一週間後に練習試合を組みました」
「試合やった!」
「どこまでやれるか見せてくださいね」
「早速来たね!」
「うん!絶対勝とうね!」
一週間後、川沿いを歩いていると、この辺りでは珍しく川釣りをしている女子高生を見つけた。
「ここで川釣りか・・・・・・」
「!?」
「驚かせましたか?すいません」
「いえ・・・・・・野球ですか?」
「はい、久しぶりに試合なんですよね」
「そう・・・・・・頑張って」
「ありがとうございます、あっ、もっとあっちに良い釣り場ありますよー!」
しばらくして、今日の試合相手の柳大川越がグラウンドで練習していた。
「よくこんなチームが試合受けてくれたな」
「向こうは今日、先発の大野さんに経験を積ませたいんじゃない?」
「それでも、相手は強いことにこしたことはないよ!」
「先攻か・・・・・・そういえば、スタメンは誰なんだ?」
「そうだ、スタメンを発表するね!一番ファースト、希ちゃん!二番セカンド、菫ちゃん!三番レフト、晃佑くん!四番センター、キャプテン!五番キャッチャー、球姫ちゃん!六番サード、理沙先輩!七番ショート稜ちゃん!八番ピッチャー、ヨミちゃん!最後に、九番ライト、白菊ちゃん!息吹ちゃんは途中で代打で出すからね!」
「お、三番か。重役だな」
「私の周り、強打者だらけね」
「もうすぐ試合が始まるよ!」
「じゃあ怜さん、円陣をお願いします」
そう言って全員が肩を組んで前のめりになる。
「新チームでの初めての試合だ!絶対勝つぞ!」
「「「「「「「「「「おー!」」」」」」」」」」
こうして俺は背番号7を背負い久しぶりの試合に挑もうとしていた。
背番号7は今後、息吹に渡される可能性があります。