IS 翳り裂く白夜   作:菅原リディ

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051 銀の福音

side立花響

 

 仮説指令室には1年専用機持ちと教員部隊9人が集まっていた。

 

 織斑先生がモニターを使って、まず日本の現状を説明する。

 

 日本は現在、篠ノ之束の起こした同時多発テロに現在も対応中であり、自衛隊や特異災害対策機動部は今も戦っているとのことだ。

 

 続いて、織斑先生は銀の福音撃滅作戦の内容を説明する。銀の福音は現在自己修復中であり、アメリカから提供されたスペック情報では、今のダメージから考えて早くても午後7時まではまともに動けないらしい。なので、まず、紅椿の自己修復(通常のISよりもはるかに速い)が完了する午後5時に出撃する。

 

 それからは、教員部隊とシャルロットと更識さんはイグニッションブーストで銀の福音を包囲後、弾幕を張ってその場に釘付けにする。そんな中、包囲した人たちに援護射撃されながらボーデヴィッヒさんと鳳さんと私が接近戦を銀の福音に仕掛ける。篠ノ之さんとオルコットさんは包囲網の外から大火力で隙を見て攻撃する。そのようなフォーメーションで戦闘力の低下している銀の福音を撃墜することになった。万が一、銀の福音が包囲網から離脱した際にはオルコットさんの援護で篠ノ之さんが銀の福音に張り付き再包囲の時間を稼ぐという形になっていた。なお自衛隊等からの支援は各地の戦況から考えて期待できないとのことだ。

 

 正直私は篠ノ之さんを戦わせていいものかと思っていたのだが、作戦を聞いているときの篠ノ之さんの目は最初の作戦中と違って濁っていなかった。放っている雰囲気も違う。オルコットさんに鳳さん、更識さんが戦意を復活させるべく説得したらしいが……。

 

 すると、専用機持ちや織斑先生、教員部隊は篠ノ之さんから謝罪される。

 

「私は一夏に振り向いてほしいあまり、この戦いの重要性を見失い、実戦への恐怖心も忘れ、手にした力に調子づき、彼へのアピールのために最初の作戦では戦っていました。しかし、皆さんが知っての通り、作戦中に彼に説教されたあと、さらに彼に庇われたうえ死なせかけてしまったという状況を作ってから私は、完全に間違いを犯していたことに気づけました。今は一夏が作ってくれた時間を無駄にしないために。無辜の人々を護るために力を発揮することを約束します。それが一夏への償いであり、力を手にした私がなすべきことであり、姉の起こしたと思われる凶行を止める妹としての覚悟です。どうか私も一緒に戦わせてください」

 

 頭を下げる篠ノ之さん。

 

 どうやら篠ノ之さんは銀の福音を止めるべく、誰かのために戦う決意をしたようだ。

 

 拍手をもって篠ノ之さんの覚悟を認めるその場の皆。私も拍手した。

 

 そして織斑先生がその場をまとめる。

 

「篠ノ之も今度は正しく戦ってくれる。今回の作戦は前回の作戦で言ったように多くの人命を護るための戦いである。作戦の成功率は75%と十分すぎるほどの保証もある。みんなが死力を尽くせば100%作戦を成功させられるだろう。織斑を欠いている以上ナターシャ大尉を救うのはほぼ不可能であるため、1年生諸君には人の命を奪ってもらうことになると思われる。だがどうか今の決意を揺らがせずに最後まで戦い抜いてほしい。1人の命を犠牲にして多くの命を守るという行為を正しいと言い切ってはならないが、それでも私たちのこれからの戦いは間違いなく今取れる選択肢の中で最高であり最善である。ナターシャ大尉を虐殺者にせず彼女の尊厳を護るためにも銀の福音を何としても撃墜してほしい。……それでは篠ノ之束のふざけた殺戮を止めるためにIS学園諸君。どうか頼みます」

 

『はい!!』

 

 私たち専用機持ちと教員部隊が同時に返事をした。ナターシャという人を死なせてしまうのは辛いが、篠ノ之束によって虐殺者の汚名を着せるよりはよっぽどいいはずだと私も感じる。何より銀の福音の戦闘力から考えて四の五の言っているだけの余裕がない。それでも助けたいという感情は消えないが……。ナターシャという人を死に追いやるというこれからの経験は、私にとってあのおばあさんや、茜ちゃんのように心から消えない助けられなかった犠牲者として残るだろう。だとしても。

 

 それから私たちは、30分後に出撃するので砂浜に移動しISのチェックを始めた。

 

 一夏君。私はあなたの思ってくれてるようなヒーローではない。けれども、見ず知らずのだれかだとしても絶対死なせたくない気持ちは一夏君と同じだよ。私たちはあなたの分まで戦うから、あなたはどうか迫りくる死に負けないで。私の初恋の人。2人目の最愛をくれる人。私をシャルロットと一緒に孤独から救い出してくれたヒーロー。私たちも頑張るから、一夏君も頑張って。

 

 打鉄撃槍を展開し、午前中に追加した武装の中で今回の作戦で使える物だけを装備する。他の専用機持ちのみんなも、自分のポジションにあった装備だけを展開していく。

 

 やがて私たちは、夕日の空の元、紅椿の自己修復が完了したので、いよいよ戦場に飛び立った。

 


 

side織斑一夏

 

 ここはどこだ?

 

 俺は真昼の空の元、美しい歌声の聞こえる全方向を海に囲まれた小さな白い砂の孤島の上に突っ立っていた。俺の姿はIS学園の制服であり、銀の福音と戦って死にかけていた。明らかに異常な状態であることがわかる。

 

 夢やら走馬灯かとも思ったが肉体の自由度が高く、意識もはっきりとしているため多分違うはずだ。

 

 すると、浅瀬で麦わら帽子をかぶり、白いワンピースを着た白髪の小さな少女が歌いながら踊っているのが視界に入る。その美しい歌声は優しさを感じる。歌詞の内容はなぜだかよくわからないが、それでも優しい歌であることはわかる。

 

 俺は状況を把握するためにとりあえず白式を呼び出そうとするが右腕には白式の待機状態である腕輪も無かった。

 

 ……まさか死後の世界じゃないだろうな……。

 

「君、歌を中断させてごめん。ここはどこかな?」

 

 俺が砂浜から声をかけると、白髪の少女は動きを止めてこちらを見つめる。空のような青い目をしていた。美しい顔立ちの少女だった。

 

「ここはね一夏。私の世界」

 

「君の世界?」

 

「新生した私の世界。でも、新生する前の私もいるんだけどね」

 

 ……言ってることがよくわからないな。でも、少なくともまともな状況ではないことはわかった。

 

「君は天使か何かで、俺を死後の世界に導いたとかじゃないんだよな?」

 

「天使なんかじゃないよ。それと一夏は生きてるよ。大けがをして深い眠りについてる。だから意識だけ私の世界に招待したの。それにしてもあの大けがでそれでも生きてる。すごいことだね。嬉しい」

 

 微笑む白髪の少女。

 

 なるほど。この子の話が本当だとすれば俺は意識だけの状態で特殊な空間にいるってわけか。それにしてもとんでもない怪我をした自覚はあるが、どんな状態なんだろう? そもそも体だけ海の上を浮いているとかそんな状況なんだろうか?

 

「……元の世界に帰れるかな? 心配してる人がたくさんいるはずなんだ」

 

「もう少し待って一夏。まだ一夏の体は目覚められないし、安全な場所にあるから心配しないで。あと、私は一夏とお話ししたいな」

 

 ……夢や走馬灯ではないという感覚。そして、曰く俺は意識だけの状態。さらに死後の世界ではない。目の前のこの子は俺の名前を知っているが、決して天使とかではない。だけど俺の肉体の状態や在りかを把握している。

 

 まさか。

 

 この世界は。

 

「ISの作り出した精神世界なのか……」

 

「正解だよ」

 

 ゆっくり浅瀬から砂浜に上がってきて、俺の眼前でニコッと笑う少女。

 

「君は……白式だな」

 

「うん。お話しするのは初めてだね一夏。こんにちは」

 

 白式は麦わら帽子を頭から外して胸に抱くと、俺に頭を下げた。

 

 


 

 

 銀の福音が自己修復モードになったからこそ全戦力を投入して撃滅するという作戦を取ることができたIS学園。

 

 まさに一夏がつないだ時間だった。

 

 銀の福音撃滅部隊は、紅椿を除いたどの機体も高機動用の追加のスラスターやブースターを追加装備している。銀の福音の機動力と運動性に少しでも食らいつくためだ。

 

『全部隊、戦闘開始!! 包囲部隊、銀の福音をくぎ付けにせよ!!』

 

 千冬の指示で、自己修復中の銀の福音が敵性存在だと撃滅部隊を判断して、再駆動するよりもわずかに速く、包囲担当である、教員たちとシャルロットと簪がイグニッションブーストを使って包囲した。

 

 教員部隊のラファール・リヴァイヴ5機は、右腕に25mm7連砲身ガトリング砲を1機装備し、腰背部にはそのための樽型弾倉を。左腕には、通常の大口径の弾丸が装填されたマガジンに加えて特殊弾頭の発射に即時切替可能な回転弾倉を備えたマルチマシンキャノンを装備している。

 

 一方で打鉄4機は、長いマガジンの付いた大型のバズーカを右腕に。大型の盾の上に短銃身の小型マシンガン2機とマイクロロケットランチャーの装填されたポッドがいくつも備わったランチャーシールドを左腕に握っていた。

 

 銀の福音がシルバーベルを、ターンしながら全快した左ウイングと、修復途中の小さな右ウイングからばら撒く。

 

 それを教員やシャルロットと簪は可能な限り回避しつつ、火器を撃ちまくる。

 

 合わせて計算すればシルバーベルよりもはるかに大火力の弾幕が銀の福音を襲った。

 

「プロトタイプコスモスビームジェネレーター……各機正常稼働中。連射モードに切り替え!!」

 

 シャルロットのラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡの両腕の側面や手の甲には大きな六角形のプレートが取り付けられている。その表面にはビーム発射口が。側面からはビームシールド展開機能が備わったものだ。背部にIS粒子を圧縮するための厚みのある大型の円盤状のユニットがくっついておりそこから4本のケーブルが各プレートにつながっている。

 

 4機のプレートのビーム発射口からビームを大量に連射するシャルロット。

 

 そのビームの威力はシルバーベル以上の威力を誇り、シルバーベルをかき消しながら銀の福音に迫る。

 

 銀の福音は両腕のエネルギーを纏わせたブレードでビームを切り裂き、ガトリングやロケットランチャーの弾幕を回避する。

 

「いけ、春雷!!」

 

 打鉄弐式を纏う簪は、やっと完成した荷電粒子砲「春雷」を通常2機搭載のところを4機搭載し、背中に2門と両腕に1門ずつ装備して、荷電粒子の弾丸を撃ちまくる。

 

 簪は風鳴の分家の更識の血筋である。弾の目標への到達速度を逆算して、もはや先読みと言ってもいい射撃をするため、一際銀の福音のシールドバリアにダメージを与えた。

 

 銀の福音は目下の最大の脅威を簪であると断定し、彼女にシルバーベルを殺到させようとするが、それを包囲網から少し離れた地点にいる箒とセシリアの攻撃が阻止する。

 

 箒は紅椿の展開装甲を射撃モードに移行し、機体各部のビーム生成装置からビームを撃ちながら雨月と空裂の6本のレーザーとビーム斬撃波を発射しまくった。威力的には撃滅部隊の火器の中で紅椿の武装が1番高いため銀の福音は回避を強いられる。

 

 セシリアもまた射撃に関しては超一流だ。スターライトmk3よりもチャージ時間が長い代わりに大火力を誇るスターダスト・シューターというBT粒子のレーザーライフルを、ブリリアント・クリアランスという超高感度ハイパーセンサーで正確に撃つ。銀の福音の回避後の位置に最も高威力でレーザーを撃ち込むために、ブルー・ティアーズはポジションを高速で変えられるように強襲用高機動パッケージ「ストライク・ガンナー」の状態であり、ミサイルビット発射管は取り外され、レーザービットであるブルーティアーズも超小型の物になっている。

 

 10機のISによる圧倒的な全包囲からの攻撃に銀の福音はそれでも反撃しながら回避を続けるが。

 

「よし、近接攻撃部隊!! 銀の福音に貼り付け!!」

 

 千冬の指示と同時に今度は3機のISが、銀の福音へと弾幕がやや薄くなった場所から接近戦を仕掛けた。

 

 一番槍は、打鉄撃槍を纏った響だ。通常のガントレットの上に、右腕にはブレーカドリルという掘削ではなくシールドバリアを突破することにのみ特化したドリルを取り付け、左腕にはヴァイスプライヤという対象を圧壊させることに特化したペンチクローが装備されている。

 

「うぉぉぉぉ!!!!」

 

 響は右腕のブレーカドリルを回転。突き出して突撃しているブレーカドリルの長さにより、響と銀の福音は。シールドバリア一体化距離よりもぎりぎり離れているためブレーカドリルの先端が銀の福音のシールドバリアにぶつかる。そして恐るべき速度で銀の福音のシールドエネルギーを減らした。

 

 響から距離を取り、全方位からの援護射撃を回避しながら、シルバーベルを的確に響に撃ち込もうとした銀の福音だったが、後方から鈴に襲撃されてそれを阻止される。

 

「えぇぇい!!!!」

 

 鈴の甲龍は機能増幅パッケージ「崩山」の状態になっており、非固定浮遊部位の衝撃砲が2門増えて合わせて4門になっているほか、衝撃砲自体が拡散使用になっており面制圧力が上がっている。拡散であるにもかかわらず威力自体も低下していない恐るべき武装だ。ただ赤い炎を纏って見えるため不可視でないという欠点や射程が短いという欠点こそあるが、近接戦闘に今回は振り切っているためさしたる問題はない。

 

 拡散衝撃砲を響を迎撃させまいと銀の福音に撃ちまくる鈴。それをぎりぎりで回避する銀の福音。だが、さらに鈴は、シールドバリア一体化距離まで入り込み双天牙月を振り回して銀の福音と剣戟を始めた。銀の福音は鈴が全方位からの援護を受けまくるせいで距離を取ってもすぐに追いつかれ双天牙月の連続の斬撃をブレードで受け止めざるを得なくなる。

 

「はぁぁぁぁ!!!!」

 

 そんな銀の福音の腰部に、鈴と同じくシールドバリア一体化距離に入ったラウラの得物である長さがISの身の丈ほどもあり剣幅も一般的なISの非固定浮遊部位を含まない幅がある大剣。タクティシュヴァッフェンが叩きつけられた。腰部アーマーが破断する銀の福音。

 

 シュヴァルツェア・レーゲンには、レールカノンが左の非固定浮遊部位にも追加されているうえ、タクティシュヴァッフェン……。英名タクティカルアームズというドイツの技術の粋を集めて作られた戦術的武装という名の超大型両刃大剣が装備されていた。タクティシュヴァッフェンには刺突時の加速ブースターやPICが内蔵されており見た目に反して取り扱いやすいうえ、それらを斬撃時に適切な動作をさせることで威力を増加させる能力まである。

 

 しかも、このタクティシュヴァッフェン、変形機構があるのだ。戦況に合わせて用途を変更できるのである。

 

 変形するタクティシュヴァッフェン。剣身が左右に開き、剣身に挟まれる形で秘匿されていた4連砲身ガトリング砲が露出。そこから大量の弾丸が発射された。シールドバリア一体化距離内でラウラは発砲したので、銀の福音の装甲をどんどん傷つけていく。

 

「ガトリングモードの応用だ!!」

 

 ラウラは叫びながら、自分の方に注意を向けた銀の福音の両腕部シルバーベルの射撃を再び完全な大剣モードに戻したタクティシュヴァッフェンの剣身を盾にして防ぐ。そしてその陰から2門のレールカノンを連射する。

 

 銀の福音はイグニッションブーストを発動してレールカノンを回避した。だが、それに合わせて包囲部隊もイグニッションブーストで上昇し、さらに弾幕で銀の福音のシールドエネルギーを削っていく。

 

 そして響は今度はヴァイスプライヤを前方に構えて銀の福音に突撃。機体各部にシルバーベルを撃ち込まれてダメージを負うが……。

 

「潰れろ!!」

 

 ヴァイスプライヤのペンチクローが銀の福音の振り下ろした右ブレードをつかみ、回転し、無理やりねじ折った。

 

 銀の福音は左ブレードで響を斬りつけようとするが、イグニッションブーストで後退して回避する響。

 

 空を切った銀の福音に全包囲からの攻撃が牙をむく。

 

「どんどん当たらなくなってきたわね……」

 

 教員の1人が呟く。

 

 彼女の言う通り銀の福音は学習しどんどん全方位からの攻撃は、簪とセシリアの攻撃を除いてほとんど回避するようになっていた。

 

「完全に学習される前に倒すわよ、みんな!!」

 

 別の教員の叫びに「了解!!」と返す、銀の福音撃滅部隊の全員。

 

 それから、しばらくの間、銀の福音は先ほどまでと同じく、弾幕で動きを封じられ、正確無比な射撃で確実にシールドエネルギーを減らされ、近接戦闘で各部を少しずつだが再び損壊させられる。

 

『ボディへのダメージ蓄積率、50%を超えたぞ!! 全員、踏ん張れ!!』

 

 千冬が真耶の解析によって分かった銀の福音のISボディのダメージの蓄積率を全員に伝え鼓舞する。

 

 だが銀の福音は徐々に攻撃を受け付けなくなり始めた。

 

 ダメージレベルで言えばCというパフォーマンスが著しく低下する状態にあっても銀の福音は徐々に計12機のISの射撃攻撃をほとんど回避し、3機のISの近接攻撃もどんどんしのぎ始めた。

 

「これが第4世代機!?」

 

「使いこなせれば紅椿も16機のIS相手でも戦えるのか……」

 

 遠巻きにいるセシリアと箒が驚愕する。

 

 第4世代機は、第3世代機と第2世代機の性能の差が比較にならないほど、他のISと大きく性能に隔たりを作っていた。第4世代機というのは次元が違うのだ。その上、篠ノ之束が設計したのである。

 

 篠ノ之束は、基本的には常にその時点において完全かつ完璧なものを創り出すことを心掛けている女だ。だからこそ彼女が設計した銀の福音は驚異的な戦闘能力で16機のISとまともに張り合うのだ。

 

『よし、ボーデヴィッヒ。左目の力を使え!!!! 奴の予測を超えろ!!!!』

 

「はい教官!!!!」

 

 千冬の全力でかかれという命令にラウラは気合の籠った返事をすると同時に眼帯を解除。越界の瞳を露出させる。金の瞳が日がほとんど沈み薄暗くなっている海上の上で明るく輝く。

 

「鈴、響、援護してくれ!!」

 

「「わかった!!」」

 

 近接攻撃部隊の3人が援護射撃を受けながら銀の福音に襲い掛かる。

 

 ラウラのタクティシュヴァッフェンのこれまでとは次元の違う速度での斬撃が銀の福音の各部に切り傷を与える。

 

 スパークが生じる銀の福音の各所。

 

 ラウラを再分析しながら、逃げようとする銀の福音を響と鈴が挟み撃ちにしてその場に縫い留める。回転するブレーカドリルを右手でつかんで、双天牙月の交差斬りを左ブレードで受け止め何とか直撃を防ぐ銀の福音。

 

 そんな銀の福音に容赦なくラウラのタクティシュヴァッフェンの袈裟斬りが振り下ろされる。

 

 右肩部アーマーや左腰部アーマーが吹き飛びシールドエネルギーが一気に削れる銀の福音。

 

「止めを刺す!! 許せよ、ナターシャ大尉!!」

 

 ラウラは、タクティシュヴァッフェンの後部ブースターを起動、加速された刺突攻撃を銀の福音に見舞った。

 

 胸部装甲の一部がはじけ飛び、切っ先が銀の福音の胸部に埋まる。

 

「墜ちろぉぉぉぉ!!!!」

 

 そしてラウラはイグニッションブーストを発動。銀の福音はブレーカドリルの負荷に耐えかねて右手首を破損させ、双天牙月の圧力に左ブレードを砕かれ、そしてタクティシュヴァッフェンがナターシャの胸骨に埋まった瞬間!!

 

 銀の福音が電子音の咆哮を上げた。甲高い叫び声が響き渡る。それは銀の福音の怒りの叫びだった。

 

 銀の福音のフルフェイスのクリア素材が使用されたハイパーセンサーの内部に様々なウインドウが開き多数の情報が表示され始める。そこには銀の福音撃滅部隊には見えないが、怒りと憎しみの感情を表すワードや漢字がいくつも表示されている。やがてそれらのウインドウがすべて閉じて、赤黒い、血のような色の一つのウインドウが展開される。

 

 そこには単一仕様能力。座標移動〈シルバリオン・ディサピアランス〉と表示されていた。

 

 ナターシャが長い間、銀の福音のコアと心を通わせてきた集大成が誕生したのだ。

 

 ……それは銀の福音の報復が始まることを意味していた。




 タクティシュヴァッフェンこと、タクティカルアームズは、ガンダムアストレイブルーフレーム系列機のタクティカルアームズだと思ってください。

 また、ブレーカドリルとヴァイスプライヤ、それらが合体したメガソニックドライバーは、サタニクスガンダムのものと同デザインだと思ってください。
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