「…結構並ぶもんだな」
「ここ人気だからねぇ…」
行列に並ぶこと十数分、流行りのスイーツにありつけるのはまだ先になりそうだった。
「ジャン・バール、大丈夫?並ぶの好きじゃないでしょ」
「確かに好きではないな」
私とジャン・バールは、母港近くのショッピングモールに来ていた。
せっかくなので、前から気になっていたお店のパフェを食べたい、と並んでいるのだが。
「…他のお店行く?」
正直こういう場を好まないジャン・バールを付き合わせているのが申し訳ない。
せっかくのデートなのにつまらない思いさせるのは嫌なので、そんな提案をした。
「ここのが食べたいんじゃなかったのか?」
「そうだけど…」
ジャン・バールは私の頭にポンと手を置いて言った。
「あんまり気を遣わなくてもいい。今日誘ったのはオレだしな」
「いいの?」
「ああ。こういうのも、お前となら別にいい」
ゆっくり、私の髪を撫でてくれる。
「あ、ありがとう…」
人前というのもあって、照れくさくなって俯いてしまった。
そんな私を面白がって、ジャン・バールは暫く私の頭を撫で続けた。
「お次のお客様どうぞー」
でん、と私達の前にそびえ立つパフェ。
「でかいな…」
「おお、おいしそー」
フルーツが盛り沢山で、座った私達の顔の高さぐらいあった。
「いただきます!」
崩れないように気をつけながらスプーンを入れ、口に運ぶ。
「んー、おいしい!」
「ああ、これはうまいな」
パクパクと食べ進める。
フルーツがあるおかげで食べやすい甘さだ。
ふと、悪戯心が沸き上がった。
私はパフェを一口すくって、ジャン・バールの前に差し出した。
「はいジャン・バール、あーん」
「…やらんぞ」
ジャン・バールがジト目で睨み付けてくる。
だがここで引いてはいけない。
「あーん」
笑顔でスプーンを差し出し続ける。
ちょっとすると、観念したかのように目を閉じた。
「ちっ…、あー」
ジャン・バールの開いた口に、スプーンを運ぶ。
「ん」
口を閉じるのに合わせて、スプーンを引き抜いた。
「どう?おいしい?」
「ったく、ああ、うまいよ」
ジャン・バールは優しい。
なんだかんだ、こういうコトにも付き合ってくれる。
「次はお前の番だぞ。ほら、あーん」
「えっ、え」
今度はジャン・バールが、私にスプーンを差し出していた。
「やられっぱなしは性に合わないからな。ほらさっさと口を開けろ」
「うぅ、あ、あーん」
は、恥ずかしいっ…。
やる時はそんなでもなかったのに、いざ自分がされると、すごく恥ずかしい。
「どうだ?美味しいか?」
「うぅ、味なんて分かんない…」
「ふふ」
ジャン・バールは至極満足そうに微笑んだ。
私は恥ずかしさを紛らわそうと、せっせとパフェを口に運んだ。
するとジャン・バールは何かに気付いたようで、私の顔に手をのばした。
「ついてるぞ」
ジャン・バールは親指で、私の口の端に付いていたクリームを拭った。
それを口に持っていき、私に見せつけながら、ペロ、と舐める。
「甘いな」
「うぅぅ…」
恥ずかしいし、ドキドキするし。
私の顔は多分真っ赤だった。
現状ここまで。
何かネタが浮かべば続くかもしれない。