獅子王アルトリア・ペンドラゴンが行く異世界転移   作:アルトリア・ブラック

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しばらく書いていなかったせいでどこまで書いたか忘れてました。ごめんなさい。

オリジナル国家が出てきたところで終わってましたが、今回はカッツェ平野での戦いが発生します。




番外編・アルトリアin王国『選びとる』

ーカッツェ平野での戦いー

 

王国軍と帝国軍は24万と7万の軍勢で戦うことになったのだが…

 

「まだ来ませんね」

 

レエブン候の言葉にガセフは頷く

 

アルトリアは後方の部隊におり、クライムや王の近くに待機していた。

 

(…アルトリアが居るならば王はきっと大丈夫だ)

 

アルトリアの強さはもはや人の域を超えている。

 

自分よりも絶対に王を守ってくれるだろう。

 

(それに…)

 

「戦士長殿!動き出しました!」

 

帝国軍が動き始める

 

その中央にいる人物達を見てガセフは警戒する。

 

「ゴウン殿…」

 

かつて、合間見えた存在。

 

 

 

 

 

 

 

 

アルトリアは王国軍の後方、王のテント付近にいた。

 

「……」

 

「アルトリアさん?とうしました?」

 

「…!いえ、なんでもありません」

 

ガセフ直下の部下に心配され、笑顔で返す。

 

アルトリアは前日に出会ったラナー王女との面会の時に感じた不気味さ・異質さに気味が悪くなっていた。

 

ラナー王女は女として強いアルトリアのことを尊敬する事を言いながらも目の奥底に見えたのは異形種の姿だった。

 

(…彼女はおそらく、この国のことはどうでもいいと思ってる。自分の幸せのためなら他の人間なんてどうなろうとどうでもいいと…)

 

そして、アルトリアと面談した際に気づいただろう。

 

アルトリアがラナー王女を毛嫌いしたということを

 

それを理解した上で起こす行動なんてあの手のタイプは恐ろしい事しかしない。

 

(…あの王女がいる限り、この国は変わらない。変えられない…)

 

拳を握り締めると…

 

『ならばいっそのこと殺してしまえば良かろう?』

 

「!」

 

かつての友人の声がこだまする。

 

頭を振り、目の前に集中すると…

 

「!(あれは…!)」

 

帝国軍中央から出て来た人物に息を呑む

 

『モモンガ』

 

兄が所属していたギルドのギルド長。

 

ゲームの世界こそ最も幸せな世界だと捉えていた人

 

その人物は超位魔法を使おうと魔法陣を展開していた。

 

「!」

 

「アルトリアさん?!」

 

アルトリアは転移魔法を使って最前線まで行こうとしたのだが、転移魔法を阻む魔法が働いていた所為か、転移できなかった。

 

故に馬を勢いよく走らせて前に向かう。

 

 

 

 

 

「黒き豊穣への貢!」

 

展開された魔法は数多の人々を生き絶えさせる。

 

そして、真っ黒な羊達が出現し、王国の人々を虐殺し始める。

 

蹂躙して行く羊達を見てアルトリアは聖剣を構える

 

「っ…!?」

 

ユグドラシル時代ではあり得なかった光景が目に移る

 

羊達の中に何かがいる。

 

『助けてぇ…』『死にたくない…』『出してぇ…』

 

(…このまま切ってしまえば…)

 

瞳に映る光景は地獄絵図そのものだ。

 

「アルトリアさん…!」

 

後ろから仲間達が走ってくる

 

「!危な…」

 

次の瞬間、子羊達の足が彼らを踏み潰す

 

遅れてしまった。

 

判断が遅いばかりに選択を間違えてしまった。

 

「…!」

 

アルトリアは迫ってくる羊を見て聖剣を下ろす

 

「…いつも、私は間違える…いつも判断が遅かった…」

 

兄の死も、友人の死も、自分が判断を下すのが遅いから間違える。

 

兄の親友だからと言って手を出すのを躊躇った己を恨む

 

「私は間違えない。もう…」

 

ビリビリと周りに赤い稲妻が走る。

 

「私は、人類を愛している」

 

聖槍・抜錨

 

手を頭上に上げると空高く光が伸びる

 

「私は、間違えない」

 

光の塔が立ち、姿を【獅子王】の姿に戻す

 

手に出したのはワールドアイテムの一つ宝石剣・ゼルレッチ

 

『メェェェエエエエ!!!』

 

子羊の足がアルトリアに向かって振り下ろされる。

 

振り下ろされる前に子羊の足が吹き飛ばされる。

 

「我が聖槍に収まれ、人類の魂よ、聖槍に収まるべきものは人類のみ」

 

冷たい声が辺りに響く

 

子羊達二匹を手に持った聖槍で吹き飛ばす。

 

(…これは《時間停止》)

 

それを同じくして《時間停止》が働き、辺りが止まったのが分かる、

 

『アルトリア、お前は、お前のままでいい』

 

「……ガセフ…?」

 

アルトリアの目に光が戻る。

 

嫌な予感を感じ取る。

 

「《転移》」

 

転移を使い、ガセフ達の気配の元に行くと…

 

「ペンドラゴン様?!」

 

「アルトリア…?」

 

そこにはクライムとブレインがいた。

 

そして…

 

「ガセ…フ…?」

 

そこに倒れていたのは、自分を拾ってくれた恩人で、兄のような人だった。

 

魔法によってやられている。

 

アルトリアは前を見ると、そこにいたのは…

 

「アルトリアさん…?」

 

そこにいたのは、あれほど会って話したいと思っていた存在『モモンガ』だった。

 

(……あぁそうか、彼はアンデットだったな…)

 

アルトリアの頭の中はひどく混乱していた。

 

それと同時にアルトリアはガセフを見つめる。

 

ガセフは生き絶えている

 

それも低位の魔法では蘇らせられないように

 

「………」

 

こんなことを出来る人物など一人しかいない。

 

アルトリアは光の消えた瞳でモモンガを見る

 

「アルトリアさん、王国にいたんですか」

 

毒気が抜かれたように話す彼は、悪意がない。

 

沢山の人が死んでいるというのに眉ひとつ動かさない。

 

人を殺したのに動揺もしていない。

 

(…あぁ、この人は人間性を失ったんだな)

 

アルトリアはガセフの死に際が兄の死に際に重なる。

 

「………」

 

「アインズ様!!」

 

モモンガの隣にアルベドとマーレが飛んでくる

 

「良い」

 

「しかし…!」

 

「…一つ聞く、モモンガ、お前は人間が死んだことに何も感じないのか」

 

その言葉にモモンガは辺りを見渡していたが、いつも通りの口調で

 

「別に何も感じませんよ、アンデットになった影響ですね、ところで…」

 

「困っている人間がいたら助けるのは当たり前」

 

「!!」

 

その言葉にモモンガはハッとなり、アルベドとマーレは警戒心を露わにする。

 

「どうして、兄に助けられたのに兄の気持ちを無視する?どうして、人を殺した?」

 

「……それは、ナザリックのためですよ、アルトリアさん。みんなが戻ってくるための場所を世界に知らしめようと…」

 

「どうして、虐殺することが良いと感じたのか私には理解出来ない。こんなことをして兄は戻ってくると思ったのか?世界征服の過程である犠牲者のこと何も考えなかったのか?子羊達に踏み潰された彼らには帰るべき場所があり、待っている者達がいたのだ。なぜ、それを理解できない」

 

「…アルトリアさん、たっちさんの妹さんらしいな」

 

まるで話が通じない。

 

「たっちさんは戻って来ますよ、だってここには…」

 

(…狂人だ)

 

彼は、モモンガは

 

帰ってくるはずのない彼らをいつまでも待ち続ける。

 

ユグドラシルを辞めたのに何故戻ってくるなどと思っているのだろう。

 

聖槍にある程度集まったのを確認すると、聖槍を持ち直す

 

動くたびにマーレとアルベドが警戒している。

 

「…ガセフを殺した理由は」

 

そう聞くとモモンガは一連の流れを話し始める。

 

ガセフは王のためにモモンガに戦いを挑んだとのことだった。

 

「力の差を理解しているはずなのにな」

 

その言葉にアルトリアは怒りがこみ上げてくるが、冷静に辺りを見る

 

ガセフの亡骸とクライム、ブレインがいる。

 

ここで戦闘を行ったら間違いなく人死にがもっと増える。

 

アルトリアは怒りをグッと堪えモモンガを見る

 

「…私がここに来たのはガセフを連れて帰るためだ。貴公に用はない」

 

その言葉にモモンガも『俺も貴女と戦うのは望みません』と言って子羊に乗り移る。

 

アルベドとマーレもそれに続いて去っていく

 

アルトリアは彼らが完全に居なくなったのを見届けるまでそこにいた。

 

「…行きましたね」

 

クライムの言葉にブレインが頷く

 

完全に気配が消えたのを見て、アルトリアの周りに何か光が集まっているのを見たブレインはアルトリアの方を見る

 

「アルトリア?」

 

そう問いかけてハッとなる。

 

アルトリアから物凄いプレッシャーが襲ってくる

 

セバスやあの魔導王並みの強烈な圧が

 

「必ず、彼らを滅ぼさなければ…必ず、絶対に」

 

これは殺意だ

 

ブレインはそう感じ、アルトリアを止めようとするが恐怖で進めなくなる。

 

ガセフの亡骸を見てアルトリアが魔導王に対して敵意を剥き出しにしていると…

 

「フォウ」

 

小動物の鳴き声が場に響き渡る。

 

「フォウフォーウ」

 

アルトリアの肩に登り、スリスリとアルトリアに擦り寄る。

 

「……フォウ?」

 

アルトリアはフォウに気づき、辺りを覆い尽くそうとしていた殺気を止める。

 

アルトリアは深呼吸をすると、ガセフを見て悲しげな顔をする。

 

「…連れて帰りましょう」

 

「あ、あぁ…そうだな」

 

ブレインが背負い、アルトリアはそれに続いて歩いていく

 

光の塔が消え、辺りには兵士の遺体が積み重なっていた。

 

 




【アルトリアの呼び方】
名前や『あなた』などと言った言い方の時は親しみを持っている話し方で『貴公』あるいは『お前』などと言った呼び方の時は怒っているか警戒しているかのどちらか。


フォウ
【種族】魔獣(異業種)
【レベル】??

【詳細】
白い魔術師(マーリン)の塔にいた小動物。
キャメロットのプレイヤーである◾️◾️◾️◾️が作ったNPCであり、人間同士の競争と成長、そして妬みや悔しさを糧とし、「相手より強くなる」特徴を持つ獣。
白い魔術師(マーリン)の塔にいるのは、◾️◾️◾️◾️がアーサー王伝説を参考に作ったから。
塔から突き落とされてアルトリアの元に向かっていた。

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