何の因果かアイディアが降ってきたのでポケモンに参加する事にしました。
相変わらずの中二病全開ですが、読んで頂けたら幸いです。
ガラル地方。
様々な人種と様々なポケモンが暮らす、表情豊かな地方である。
その中の街の一つであるエンジンシティは、蒸気による産業の発達が著しい街であり、今日のガラル経済を、シュートシティ、ナックルシティと並んで支える重要な都市である。
昨今のポケモンリーグのジムチャレンジ熱も相まって、一見すると活気あふれる街だと感じられるが、光が強くなればなるほど、その影もまた強くなる。
御多分に洩れずこの街も、大きな問題が鎮座していた。
「……おい、例のブツは持って来たか?」
「あぁ……上物をたんまり掻っ攫って来たぜ……」
「そいつは上等だ。そうと決まればさっさと始めようぜ……」
空き倉庫の一室で、ある男二人の密談が行われている。一方の男が持っていた大きな袋を開けると、その中身をもう一方の男に見せた。
「……おぉ、こりゃあいいな……何処で手に入れた?」
「ラテラルタウンからチョチョイと……な」
「足はついてないだろうな?」
「当然だろ。実行役はフォクスライにやらせたからな。下準備も完璧よ」
「流石の腕前だな……あいつだけは敵に回したくねぇぜ……」
二人は顔を見合わせ、どちらとも無くニヤリと笑う。
この街を取り巻く問題、それはマフィアである。
工業都市であるこの街には、潰れて持ち主がいなくなった空き倉庫がいくつも残っている。ある時期から移民系のマフィアがそこに目をつけ始め、住み着くようになったのだ。
彼らはそこで、様々なシノギに手をつけた。規定に満たない工業製品を拾って横流しは序の口で、その他本来ならば違法な捕獲用具や他地方のポケモンの密輸や、過度にポケモンを調教し、その筋のものの愛玩用に売り飛ばすなど、考えつく限りの酷い事を散々しでかして来た。
特に急速に発展した時期のマフィアの数は推定されるだけでも百五十を越え、これはガラル地方の歴史の中でも最大と言われている物である。
「……ほぅ、噂に違わぬ代物だな。匂いが違う」
「当たり前だろ。数ヶ月前から目をつけてた物だからな……」
そうして現在、ガラルマフィアはジムチャレンジの熱狂と歓喜に包まれるその裏で、今も蠢き、暗躍し続けているのであった……。
「……美味い! 流石だぜペリュトン! こんな美味い紅茶、俺は初めてだ!」
「そりゃあそうだろデビー! なんてったってアウローラ社の期間限定茶葉だからな!」
……と、それは今では過去の話。
現在のガラルマフィアは、事態を重く見た当時のポケモンリーグやジュンサーの活躍による一斉摘発と、それに対応した法律が制定されて自由に身動きが取れなくなり、衰退の一途を余儀無くされた。
更にその後、大きな改革がなされ、その様相は大きく変わった。
一斉摘発後の調査によれば、ガラルマフィアの多くは移民系の人間によって構成され、その殆どが自国で貧しい暮らしを強いられていた者ばかりであったと言われている。
この事実が明るみに出た後、ある法律が制定された。
それは、このガラルマフィアを警備、及び警察組織として編成し直し、国有化して合法的なものにしようというものである。
無論、反対運動は各地で勃発した。ガラルマフィアの中にも自由な生活を捨てきれる者はいなかった。
しかし、急成長する街に反して警察の数が足りない現状と、粛正も辞さないというリーグや政府の意向により、大部分はそれに屈した。これに伴い、ガラルマフィアの名を名乗るものは殆ど少なくなり、今ではマフィアをやるのは半グレのチンピラが殆どであった。
この二人の男も、その例に漏れなかった。
「これはとっときのマドレーヌが火を吹くぜ! ちょっと待ってろ!」
デビーと呼ばれた男が席を立ち、戸棚からチョチョイとマドレーヌを取り出して持ってくる。
擦り切れた真っ黒なスーツに年季が入ったチャコールグレーのソフト帽を被ったこの男は、キレ長の瞳を嬉しそうに細め、後生大事に紅茶を啜る。そのままマドレーヌを口に運ぶと、細めた目を大きく見開いて「うまーい!」とオーバーにアクションした。銀色の瞳が歓喜に震える。
「おぉ、ホントにうめぇな。マクロコスモスの野郎も偶にはいい仕事するみてぇだな」
満更でもない表情を浮かべるペリュトンという赤黒い髪をオールバックにした男は、比較的寒冷な地域のガラル地方においては異質な半袖姿の黒人であり、顔と腕には炎を思わせる赤いタトゥーが肩まで伸びている。
炎のように蒼い目を爛々と輝かせた彼は、マドレーヌの意外な出来に満足しつつ、紅茶を傾けて──
「……ってそうじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
持っていたカップをデビーに向かって思いっきりぶん投げた。
「のわっ、あっぶないな。当たったらどうするんだよ」
「当てるつもりで投げたんだからな! それよりも一体どう言う事だ! この俺様に紅茶のお使いなんてチンケな仕事頼みやがって!」
「そりゃあそうだろ。だって茶葉が切れてたんだからな。誰かに頼むのは当然の事だが?」
「俺に頼む事自体が間違いなんだよ! この俺様にそんな事頼むんじゃねぇ! しかも、フォクスライとか言う雑種を同行させやがって! 俺のプライドはズタズタだ!」
傲岸不遜に見つめるペリュトン。そんな事などお構いなしのデビーは、紅茶を一飲みすると、落ち着いた口調で切り返していく。
「仕方ないだろ。他の奴らは全員出張ってて、手が空いてるのはお前かラークの二人しかいなかったからな。それなのにお前は暇だの退屈だのとうるさいから、ラークをお目付役に暇つぶしとして命令したんだぞ」
「うるせぇ! 俺は血が見たいんだよ!」
「我慢しろ。俺達には大義名分があるとはいえ、今でも暴対法やらなんやらの規制が厳しいんだ、目をつけられるような事をしてみろ。一発でパクられるぞ。特にお前は──」
「ハッ、そんな心配、不要だね。そもそも俺が雑種に負けるって思ってる事自体が間違いなんだよ」
そう言うと、ペリュトンは体を震わせると、鳥のような甲高い鳴き声を発した。
すると、メキメキと体から音が鳴り始め、彼の身体に変化が現れる。
腕だった所は翼に変わり、足には大きな鉤爪が生え揃え、体には一本の赤い筋が浮かび上がった。何よりも顔には鋭い嘴が現れ、オールバックの髪はそのままたてがみに変化した。
一目見て傲岸不遜という言葉が似合う彼。その姿はカントー地方に実在すると言われている伝説の渡鳥、ファイヤーの姿と酷似していた。
『このガラルに君臨する俺様にとっては、雑種が束になってかかって来たところで無意味なんだよ』
意地の悪い笑みを浮かべて言い切るペリュトン。だが、当のデビーは驚きもせずにマドレーヌに手をつけていた。
『……おい! 聞いてんのか! この俺様がわざわざ自分の正体明かしてんだぞ!』
せっつくようにペリュトンが言うと、冷めた眼差しを向けながらデビーはカップを置いた。
『……なんだその目は。何が気に食わねぇんだ』
「いや別に? ただ、そんな事言うんだったらせめてかえんほうしゃの一つでも覚えてくれたらなーとか、回復できる技がねむるしかないのは如何なものかなーとか、そんな事全然思ってないよ?」
『不満タラタラじゃねぇか! 大体、俺とあのカントーの田舎にいるようなクソ雑魚焼き鳥と一緒にされる方が不愉快だ! 俺に発火器官なんてねぇし、そもそもそうやって休む為だけに地面に降り立つ事自体が性に合わねぇ! 悠然と空を飛び! 向かってくる敵を屠るのが俺だ! スペックが違うんだよスペックが!』
「ガラルも似たようなものだぞ。本で読んだがイッシュ地方はもっとでかいらしい。井の中の蛙だといつか痛い目に──」
デビーが言いかけたその時、両者の間にダーテングが割って入った。耳にリボンのチャームが入ったこのダーテングは、主からの命令を待つように顔を下に向けている。
「おっ、マユズミ、帰ったか。ペリュトン、通訳を頼む」
『テメェ! 話はまだ終わって……』
「次の任務、出さんぞ」
『……チッ!』
不承不承と言った感じでペリュトンは人間形態に戻ると、そのままマユズミに向かって耳を傾ける。
「……ターフタウンでのウールー不当飼育の件はそのまま片付けたらしい。ついでに組織の大元がキルクスタウンにある事も突き止めたとさ」
「よし、よくやったマユズミ。先払いの報酬だ」
ペリュトンの通訳による報告を聞いたデビーは、ニッコリと顔をほころばせると、マユズミの頭を優しく撫でた。撫でられたマユズミは、気持ちよさそうな表情でもっともっとと擦り寄ってくる。
「……おい、デビー、どうやら報告はマユズミだけじゃなさそうだぜ」
ペリュトンが倉庫の入り口の方を指差すと、物々しい音とともに扉が開かれ薄暗かった内部に光が差し込む。
現れたのは、無数のあくタイプポケモン達であった。マニューラを先頭にドラピオンやズルズキン、スカタンクにゴロンダ、バルジーナにキリキザンと言った、ガラルに住む悪タイプ達が、この寂れた空き倉庫に集っていた。
「みんな、おかえり。よく頑張った。各々には休んで欲しいと言いたいところだが……まずは報告だ。マユズミがターフタウンの不当飼育業社を叩きのめした上に、奴らの大元を突き止めた」
デビーがマユズミのお手柄を報告すると、周囲から歓声が上がる。当のマユズミも、満更でもない表情で胸を張っていた。
「さて、次に仕事の報告をしたい者は誰かな?」
そう尋ねると、一斉にポケモン達の手が上がる。
「そうだな……出来れば全員の話を聞いてやりたいが、ここは順番と行こう。まずは護衛業務のミナミツとイワキからだ。次は……」
テキパキと手際よく順番を指定し、順序よく報告を聞いていく。通訳のペリュトンは忙しさのあまり目を回しそうであったが、それでもなんとか捌き切る。
「なるほど……ナックルシティ、バウタウンは問題なしか……それならキルクスの方に集中出来るな……」
状況をまとめ、整理を終えたデビーは、「よし」と小さく呟くと、再びポケモン達に顔を向けた。
「みんな、重ね重ね申し訳ないが、これからまた任務を発表する。今から指名した者達は、直ちに準備をし、私と共にキルクスタウンへ出向いて欲しい。先程のウールーの不当飼育業社をこのまま叩き潰す」
デビーのこの言葉に、緩み切った全てのポケモンの気がピリリと引き締まった。
「みんな準備はいいようだな……ではいくぞ、まずはマユズミ、君だ」
呼ばれたマユズミは、「ダーテ」と小さく頷く。
「後はオベロン、スプリガン、ミナミツ、マルガリタ。そして──」
そこまで言うと、デビーはペリュトンの方を向き、ニヤリと笑う。
「出番だ、ペリュトン。思う存分楽しんでこい」
「……ハッ、やっとかよ」
同じようにニヤリと笑うと、待機しているポケモン達に向かって高らかに宣言する。
「テメェら! やるからには全力で叩き潰すぞ!」
この宣言に、全てのポケモンは熱狂し、歓声があがった。
「その他の者は待機だ。何かあった時、すぐに動けるように準備しておくように! では、行くぞ!」
号令と共に、外までの道が開く。指定した六体のポケモンを引き連れ歩くその姿はさながら海を割ったモーセのよう。
そのままデビーは空飛ぶタクシーを呼び寄せ、キルクスの入口まで向かって行った。
ガラルマフィア衰退の裏には、一般には知られていない続きがある。
確かにガラルマフィアの多くは要求により国有化され、その名を騙るものはチンピラ以外にはいなくなった。
だが、それでもなおガラルマフィアを誇りに思い、政府の要求を飲まなかった組織が、ごく僅かながらに存在した。
どれだけの脅しをかけても屈服しなかった彼らが、ある日一つの疑問を口にした。
それは、所謂逮捕出来ない水面下ギリギリでの犯罪が行われた場合、それを取り締まるのはどうするのかという物だった。
この謎かけに、当時のリーグ委員長や政府は頭を抱えた。
ガラルマフィアの合法化は、表立った犯罪の取り締まりを強化する為のものであったが、裏を返せばグレーゾーンの犯罪を表立って逮捕出来ないという事であり、放っておけば少しずつ、だが確実にガラルの未来が危ぶまれる事態にまで発展する可能性があるという事の裏付けでもあった。
その時、あつまった組織の代表者が現れ、こう宣言した。
“私達が、取り締まりましょう"と。
この宣言に、彼らは渋々ながら同意した。ただし、その代償として、年に一回莫大な税金を納めなければならず、シノギは合法的なもの以外を禁止され、仮に現場を押さえても手柄が表に出る事もないという厳しい制約が課される事となった。
しかし、彼らは組織の誇りと愛すべきガラルの為に、今日も人知れず戦っている。
これは、その組織の一つであるガラルマフィア『アービターファミリー』の首領デビーと、相棒であり、何故か人間に化けられるガラルファイヤーペリュトンの、誰も知らない、知られない物語である……
はい、気が向いたら続きます。
あ、因みにバトルの描写は実際のランク戦を参考にしたいと思ってます。
因みに現在の私のランクはモンスターボール級です。悪統一難しい。
まぁこんな感じでグダグダな感じですが、よろしくお願いします。