この素晴らしい英霊たちと異世界へ!   作:もえみ

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第十一話 魔王軍・・・?

あまり来たことのないギルマスの部屋だ。初めて見る訳ではないのだが忙しなく私の目は部屋の中を動き回った。以前来たのは、スキルの件で騒がせた時だろうか?あの時は滅茶苦茶に怒られるもんだと思って緊張でそれどころではなかったが。

 

 

 

魔王軍の幹部ぅ!?

「違う違う、らしき、な」

「いや、らしきでもなんでんなもんがこの街の近くに居るの?」

「それを調べるために王都へ人材くれって依頼出してんだよ」

「うん?」

「これで状況は分かったか?」

 

 

全然分かりたくない。

 

 

 

「じゃあなんで私が呼ばれたんです?ティムさんに任せきりなので厨房戻っていい?」

「オッキーに出てもらえないかと思ってな」

「・・・〆切延びる?」

「王都の依頼だからな」

「じゃあ話しときますね!」

「で、お前さんにもその話が来てるんだ」

・・・!?

 

 

 

未だ上級職になっていない私になんでそんな話があるんだ?

アサシンとして有名であるオッキー。冒険者は引退しているが、冒険者カードは返却していない。その実力から引退を惜しまれて私のPTであるのならとギルド側に頼み込まれた形でアサシンとして動けるようにカードを持っているというのが正解だ。

 

 

 

「私、器用貧乏ではありますがアサシン程の練度はありませんよ?」

「分かっている。自虐するな」

「哀しいことに事実です」

「オッキーは冒険者辞めてから結構経つからな。現地の案内人だ」

「厨房任せっきりで大丈夫ですか?」

「高難易度クエストばかりだとここらでは解体の仕事の方がほとんどないから大丈夫だ」

「・・・報酬でローン返せます?」

 

ローンとは聞こえがいいのだけどつまりは借金。できる限り早く完済したいものだ。

 

 

 

「足しにはなるさ」

「やる」

「よし。なら伝達も頼んだ」

 

 

 

ギルマスに呼びだされた件は指名クエストの話だった。

 

それにしても王都ならともかくアクセルに魔王軍幹部とか。

そうじゃないにしても強いモンスターでしょう。近辺のモンスターが姿を隠すくらい。

うーん、危なそうならカオルコにも出てもらうようお願いしようかな・・。でも普通の異世界生活を謳歌している彼女に危ないことをお願いするのは気が引ける。

キャベツなどの美味しいクエストならともかくなぁ。

 

しっかし、まじもんだったらどうするんかな。おそらくカズマさんがどうにかするんだろうけどさ、主人公だもの。

 

王都でPT募集してこちらに来るまで10日前後か?私はオッキーと探索ルートを確立させておきますかね。ものほんが出てきたら全力で逃げる。

王都で戦っている前線のPTでもきっと魔王軍幹部は無理だよなぁ。受けたくないけど、指名クエストは断れないし。オッキーには引退という免罪符があるから断れるが、私はそうじゃない。絶賛現役冒険者です。ギルドと冒険者の関係ははっきりと上下の関係。仕事を貰う側。

上からの命令。私はギルドにも所属している感じになっているから、ギルマスからの直接クエスト。・・・断りづらいよ~~!まあ、もちろんやりますよ、仕事なんだから。

 

 

ギルマスの部屋から出た。・・・ら、いっぱい居た。

 

 

 

「何々。皆さんお揃いで?」

「何だった!?」

「リーフさん?」

「ここに残るわよね!?」

「ユーリさん?」

「待ってください!」

「ルナさん??」

 

 

 

私の目の前に躍り出た二人を押しのけて、ルナさんが私の目の前にくる。

 

 

 

「彼女は確かに料理も給仕もピアノも出来るので王城に居てもおかしくありません」

 

何の話や???

 

 

 

「しかし、致命的に常識が足りていません!!」

「おい」

「そんなイチカに王都で働けるとは思えません!つまりは大丈夫です。大丈夫よね!?」

「だから何の話だよ!!」

 

 

クエストなくて暇だからって受付一人に任せてギルマスの部屋の前で何してんのさ。

 

 

 

「だってギルマスがイチカに王都のクエストだって」

「ああ、王都からのクエストですって」

「え、」

「勘違いです」

「誰だよ、王都のって言ったの」

「あんたよ!!」

 

 

リーフさんが私を呼び出して、ギルマスの所に一緒に来て、その後受付メンバーで会議。どうなったのかはよく分からないが、私が王都でクエストをすることになったみたいだな。

 

 

 

「というか、ルナさんのさっきのは悪口?」

「別に悪口じゃないわよ。本当のコトだもの」

「もう常識は知ってるもん!」

「いーえ!まだたまに変です!」

 

 

 

こっち来てもう二年やぞ!?ある程度は大丈夫だもん!

王城で働けるかどうかは別として。

 

私とルナさんの言い合いは止まらず、怒ったギルマスの拳によって収束した。なんで殴られたの私だけなの・・・。理不尽にぶーたれていた私だが、仕事は仕事なので終わらせた。

 

 

 

 

 

夕食の席でオッキーにギルマスからの要請を伝える。

二つ返事かと思っていたけど、彼女は予想に反して少し考えていた。懸念事項である〆切は延ばしてもらえるし、オッキーの実力ならこのクエストは報酬が美味しいだけになるんだけど、どうしたんだろう。

 

 

 

「姫が断った場合でもイチカはクエスト受けるの?」

「指名クエストは断れないから受けるよ?」

「・・・うーん。ちょっと待っててね。返答期日は?」

「10日内」

「了解~」

 

 

 

何かあるんだろう。私は待てばいいから。返答が来るまで普通に仕事しよう。

という訳でギルマスにはオッキーの返答待ちを告げて、私は前日までギルドでの仕事が決まった。暇なのでギルメンは順番に休暇を回している。冬前だからまだ里帰りしてない人の方が多いしね。

 

 

 

「安いよ、安いよー!新鮮なキャベツですよ!」

「ですよー!」

「ほら奥さん、お一つ如何ですか?そこのお兄さんも!」

「お兄ちゃんもお野菜買ってってー!」

 

 

 

食材の買い出しなんかもいつもは調理場以外で行くのだが、今日は私が行くことになった。

 

道中の露店でアクア様と孤児院の子どもたちがキャベツを売り出している。見つかる前に逃げよう。キャベツは買い物リストに載っていないのだ。スキル潜伏が役に立った。街の中で使ったのは初めてだったけど、必要なことだったんだ、うん。

 

帰りにはカズマさんにも出会った。めぐみんを背負っていたのを見て守衛さんに怒られないようにとだけ告げて手を振った。あれは反省してない。時間帯はバラバラだったが、それからも毎日欠かさず出会ったので、もしかしたら二人で特訓だったのかもしれない。流石は主人公。その調子で街の近くに出たという強敵も倒して欲しいところだ。

 

 

そんなこんなで一週間。

「相手が魔王軍幹部だった場合は私とイチカ、そのクエストから降りるってのが条件」

「・・・」

「イチカが幹部相手に何かできる訳でもないし、ね?」

 

渋ったギルマスだったが、私の顔を見てこの条件を飲んだ。(なんだってんだ!)三日後には王都から派遣されるPTも到着するので、オッキーは今出来る限りと一心不乱に執筆し、私はギルド。今日と明日は私ひとりだ。

 

 

「私の存在意義を奪わないでよぉ!」「・・・アクア様の泣き声はよく響く」

 

 

今日も今日とてカズマさんがアクア様をいじめているようだ。

 

 

 

『緊急、緊急!全冒険者の皆さんはただちに武装し、戦闘態勢で街の正門に集まってください!』

 

「おい、イチカ!」

「リーフさん!なんですこれ?」

「魔王軍幹部だ!」

「は!?」

「デュラハンのベルディアだよ!正門まで来てる!」

「ベルディアって、前線で戦ってるバリバリの賞金首がなんで!?」

「んなもん知るか!行ってこい!」

「え、でもまだ誰も来てないし」

「・・・おまえが行っても意味ないか」

「事実だけど!言わないで、ちくしょう!」

 

 

 

全冒険者に通達が来ているのだからティムさんが代わりに来てくれるだろう。少し遅れることになるが、いきなり戦闘するとも思えない。だって、それなら正門集合じゃなくてその場で戦闘開始になるだろうし。

 

・・・まだ死にたくはないな。

 

 

 

 

 

 

汝に死の宣告を。お前は一週間後に死ぬだろう

 

 

 

そう聞こえた。あれが、ベルディア!!

 

 

 

「仲間同士の結束が固い貴様ら冒険者にはむしろこちらの方が堪えそうだな。紅魔族の娘よ。そのクルセイダーは一週間後に死ぬ。クク、お前の大切な仲間はそれまで死の恐怖に脅え苦しむことになるのだ。そう、貴様のせいで「縮地」なっ!?」

 

 

 

縮地でベルディアと私の距離を一気に詰め、両手に片手剣のスキルを使って思い切り振った。剣には魔法付与で光属性の魔法をつけている。

 

一撃目は当てれた!

ガキンと、二撃三撃と続けるも一撃目ほどの手ごたえはない。・・・私じゃ届かないか。ベルディアの振るった剣に吹き飛ばされ転がされた。痛みはそこまでない。明らかに手加減されている。

 

 

 

「驚きはしたが、まあいい。友の為に立ち上がる勇気は認めよう」

「なら解け」

「死の宣告か?それは出来んな。紅魔族の娘、仲間の苦しむ姿を見て自らの行いを悔いるがいい。ククク、ハハハ!素直にオレのいうことを聞いておけばよかったのだ!」

 

 

 

めぐみんの顔が青ざめている。よく分からないが、めぐみんが彼を挑発した?いくらなんでも現実味がない。めぐみんは天才だ。馬鹿じゃない。いや、ある意味は馬鹿だけど。それは爆裂魔法馬鹿だ。

それまで膝をついていたダクネスが立ち上がる。

 

 

 

「な、なんて事だ。つまり貴様は、この私に死の呪いを掛け、呪いを解いて欲しくばオレの言う事を聞けと!つまりはそういう事なのか!」

「ふぁ!?」

「ダクネスさん?あれ?私、死の宣告って聞いて怒って飛び出したの間違い?個人的には結構な覚悟を以って行ったんだけど?」

「オレもこいつが何を言ってるのか理解したくない・・・」

 

 

 

ベルディアさんも帰ろうとしていたのにこちらを振り返った。頭が兜で隠れているので表情が分からないが声からして素で返したのだろう。

 

私たちの後ろに控えていた冒険者たちが一歩引いた気がした。

なんだろう、私もそれに混じりたい。カオルコかミコかいないかな。

 

 

 

「呪いぐらいでこの私は屈しはしない!屈しはしないが・・・ど、どうしようカズマ、イチカ!

「はい、カズマです」

「見るがいい、あのデュラハンの兜の厭らしい目を!」

「ごめん、見えない。ってか、目いいね」

「あれは私をこのまま城へと連れて帰り、呪いを解いて欲しくば黙って言う事を聞けと、凄まじいハードコアプレイを要求する変質者の目だっ!」

 

 

 

息が荒々しく、声も興奮から高い。ああ、茅野愛衣さんだ。やばい、この声はカオルコに変換できてしまう。

ああ、それもいいな。いや!!よくない!駄目、絶対!!

 

 

 

「止めよう、カズマさん?」

「デュラハンの為にか?」

「違う」

「この私の身体は好きに出来ても、心までは自由に出来ると思うなよ!城に囚われ、魔王の手先に理不尽な要求をされる女騎士とかっ!ああ、どうしよう、どうしようカズマっ!

「はいはいカズマです」

予想外に燃えるシチュエーションだぁ!

「燃えないで??」

「イチカ、行きたくは無い、行きたくは無いが仕方がない!ギリギリまで抵抗してみるから邪魔はしないでくれ!では、いってくりゅ!!

「ほんとに行かないでよ!?」

「と、止めるなイチカ!」

 

 

 

本当に駆けだしてしまったダクネスを止めるが、止まらないので後袈裟固*1を披露。

結構前に出会った柔道をしていた日本人の方。魔物相手に役に立たないと笑っていたけど、人間相手になら役に立ちましたよ。こんなところで披露したくなかったけども!!

 

 

 

「いたた、あ!これいいな!イチカもっとやってくれ!

「え、そういう趣味か?」

「私ストレート!!」

「止めろ行くな!デュラハンの人が困ってるだろ!」

「は、離せぇ!い、いやイチカは離さないでくれ!もっときつく締めてくれてもいい!

 

 

 

明らかにベルディアが戸惑っている。そりゃあね!誰だって目の前でSMプレイみたいなことが始まったら驚くよ。

・・・SMプレイじゃないよ!!女の子が好きだけどSMは好きじゃないです!!

 

そういう趣味は時と場合を選ぶならあってもいいとは思うけど自分がやるのは嫌だよ!!痛いの嫌いやもん!!でもダクネスが力を込めて思い切り暴れるから技を緩めることもできない。鎧の上からとかきっついんだよ!!くそが!!

 

 

 

「と、とにかく!これに懲りたらオレの城に爆裂魔法を放つのは止めろ!」

「ん?爆裂魔法?」

「そして紅魔族の娘よ、そこのクルセイダーの呪いを解いて欲しくばオレの城に来るがいい」

「・・・」

「オレのところまで来ることが出来たならその呪いを解いてやる。だが、お前達に果たして辿り着くことは出来るかな?フフフ、ハッハッハッ!」

 

 

 

ベルディアが帰って行ったので、私も手を離した。

ダクネスはもっとやってくれていいのだと人の首を揺らしてくるがもうそんな体力はない。ほんと筋力すごいね・・・。私に縋ってももうやって貰えないと分かったからか、いじけてのの字を書きだした。

 

 

 

「イチカ!」

「あ、カオルコ」

「ご無事ですか!?」

「ダメージはほとんどないから」

 

 

 

今回の事は私の責任だというめぐみんの横で上から下まで異常が無いか確認される私。わー、愛されてる~。

彼女の手はいつだって優しく触れてくれるのでとても好きだ。さっきまでの疲れは飛んでいったかな。

 

でも横でシリアスやってるからちょっと空気読んだ方がいいかもしれない。え、そんな必要ない?なんで?そんな怖い顔して。

 

 

 

「アクア様、よろしいですか?」

「何ー?」

「少しお願いが」

 

 

 

めぐみんと一緒にカズマさんも行くと告げ、ダクネスも少し空気を読んだところでアクア様が杖を構えた。

・・・そっか、神様だもんね。アンデッドの王ですら消せちゃえるすっごい女神様なんだからデュラハンの呪いもいけちゃうのか。そっか。

 

 

 

セイクリッド・ブレイブスペル!はい、これでいい?」

「もちろんでございます」

「「え?」」

「お、え?ああ?」

「この私に掛かればデュラハンの呪い解除なんて楽勝よ!」

「流石はアクア様。素晴らしいお力です」

「どうどう?私だってたまにはプリーストっぽいでしょ?」

 

 

 

まあ、廃城に押し掛けるよりもずっと安全策だわ。

カオルコもアクア様の使い方がうまくなってるし、もうこの神煽てるだけで魔王倒せるんじゃ?と思った私であった。

 

*1
柔道の抑込技の一つ




今回はベルディアさん一回目の襲来でした。


次回、他の日本人との出会いです。
書き始めていますが、執筆時間がなかなか確保できず遅筆になっています。
お待たせしてしまいますが、お付き合いくださいませ。
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