戦闘シーンのない初クエスト回です。
当然のようにオリキャラも出ます。
前回まとめましたが、今後も少しずつ出てくるのでまとめページ作っていた方がいいですかね?
需要があれば作成します。
作者、絵は描けないタイプのオタクです。オリキャラのイメージが伝わりにくければご自身の想像で好きに妄想を広げて頂ければ!
それでは本編へどうぞ。
本日快晴也。
今日はいつもと違う日になるはずだ。なんてったって、私の旅立ちの日。
ジャイアントトード。
これが私の初クエストである。武器と防具を確認した。
クエストを受けに受付の方へ。ユーリさん、ルナさん、ティムさん方を始め、その場に居たギルド職員から軒並み心配され、受注するにも一苦労だった。
本当に大丈夫?と不安げに。
私、冒険者!活きの良い野菜やジャイアントトードを初めとした魔物たちを捌いて多少は経験値をもらえ、レベルも上がっている。
完全に「1」からのスタートする訳ではない。しかも周りには上級職が二人、お守りのような状態だ。
誰がこれでダメ出しするというんだ。
このクエストで、
ふんす、と決意新たに意気込む。
「(あわわわ・・・っ!)」
「(それ、出来ても初めてのお使いっぽい)」
「(あー、分かる)」
「(もう少し常識があれば安心できるのですが・・・)」
「(野菜が暴れる光景に目を白黒させてたんだぞ?)」
「(本当、イチカさんのことお願いしますね)」
―泰山解説祭は周知の事実です。(マスター含まない)
なんで心配そうな生温かい目でこっちを見ているんだろう?心なしか強まった気がする。
私の恰好はそんなに心配させてしまうだろうか?
ちゃんと武器も買って、此処ひと月の薪割りはこいつと一緒に頑張った。防具もそろえている。ううむ。
「じゃあ行きましょうか」
「はい」
「あくまで私の試運転です。手出しは無用です」
「まあ、私らだと瞬殺だし、危なかったらすぐに割り込むね」
虚しくなるが、事実である。一足先に彼女たちの固有スキルや戦法、私の魔力がこの世界で通じるのかどうか、初心者殺しと呼ばれるモンスターで試して瞬殺していた。
初心者向けの魔物であるジャイアントトードとなればさらに早い事だろう。
私、要らなくね?と思ったのは内緒だ。
その時は全員がそこで魔物を狩りつくさんと動いていたため、私がそろそろしんどいなーとぼやいて、規定数だけギルドへ持ち帰ったのだ。
しばらく初心者殺しは鳴りを潜めているのか討伐クエストが本日はなかった。
なるべくしてなった期待の大型新人(※私を除く)は色んなPTから一緒に冒険をしないか、と持ち掛けられていた。
羨ましくないが、PT参加の話を彼女らが断る度に私の下へ非難するようなキツイ視線が集まるのには堪えた。だからこそ私はおんぶにだっこではないと証明したい。
今日は戦えない自分の卒業式だ。
@
昼過ぎ。
ギルドに戻ってきた私はほくほくである。ちゃんと倒せたのだ。シチュエーションはイメージしていたし、魔物を斬る感覚も料理の際に慣れていた。
もはやひよっこ日本の人間じゃない。この世界を生きる人間だもの、えっへん。戦えたことで少しテンションがおかしくなってしまった。
先週の件もあり、魔物を殺す覚悟もちゃんと決まっていた。本当にそれが実行できるか不安はあったが慢心も捨てられた。
私、頑張った!
戦いはシンプルだ。手をもいで、のどに剣を突き刺した。カエルは脳が潰れてもしばらくは脊髄反射で動ける両生類。
それは大きさの違いが合っても、変化なかった。良く伸びる舌に気をつけて近づき、戦えばこちらの損失も少なく規定の五匹を撃破出来た。初心者向けの魔物だと言われていた理由も分かった。
カズマさんも苦戦しつつ確か倒してたよね。
スナーフさんによくやったと頭を撫でられた。
身長は割と大きい方なので、撫でてもらえるのは新鮮で嬉しいけどさ、私と二つしか変わらない(精神年齢ならばもっと)のにこれでいいんだろうか?
さすが長男。包容力が違う。
「これで必要なスキルポイントが貯まったから使っていこう」
「・・・E?」
誰かの言葉が漏れた。
「マスター!」
「は、はい!」
カオルコさんもぐわっと肩を掴まれた。え?え?何事?
「何のスキルも習得されていないのですか!?」
欲しいスキルがあったからそれを一気に取得するのに我慢してました。
「え、マーちゃん。自力で戦ったの?」
みんなもそうでしょ?剣の練習はしたし、身体作りも頑張った!
「その状態で私たちに手を出すなって言ってたの?」
私が戦えるか確認の日だよね?
「いや、何のスキルもとらずに戦場に立つのはお前くらいだ」
!?
「ちょっと冒険者カード失礼しますね」
これ?あ、盗られた!
懐から取り出すとスティールと見まごう速さでルナさんが私からカードを取り上げ、他の四人がそれを覗き込んだ。
「ほ、本当に何も取得してない・・・」
「これは監督不足だわ」
「俺の下の奴らのがまだ常識あるな」
「哀れみの目を向けないでくれます!?」
スナーフさんの視線にキレたら、ミコさんに頬をつままれ、自業自得ですぅとぐりぐりされた。この年になって、頬をぐりぐりされるとは思わなかった。手加減はしてくれているんだろうが、めちゃくちゃ痛い。流石、英霊。でもちゃんと出来たんだから褒めるだけでいいよ。怒らなくて良くない?
審議。
却下しますとオッキーが目で訴えてきた。ちくしょう。
「って、待て!料理スキルは!?」
「?」
そんなのあるの?
「まじかよ・・・まじかよ・・・」
―得体の無いものが存在することを知り、戦々恐々ではあるが、本能が箱入り娘を逃すなと告げていた。この常識知らずをどこで失うのは痛い。
へっ!?何、今の?
私が思考する前にがしっと肩を掴まれた。今度の相手はスナーフさんだ。どうしたどうした。カオルコさんは麗しいけど、普通の顔の青年だとセクハラ案件じゃね?
「お前、まじで、ここで、働け」
「なんで区切って言うの。怖いです」
「いいから。上には話を通す」
「私、冒険者です」
「んなもん止めちまえ」
「ひど!?」
料理スキルなしで料理が出来るだけで雇うなら家庭の味を作っている方々雇ってこい!
@
あの後もスナーフさんだけでなく、ティムさんも出てきたが、丁寧に断った。
今日はいくところもあったので、ギルドを後にし、みんなにも解散を告げた。
カオルコは本屋の物色に、オッキーは魔法道具の物色(タブレットやそれの代わりになりそうなものがないか)に、ミコは何もないというので私に付いてくることに。・・・ってことはつまり。
さーっと、外から音が聞こえてきた。雨だ。
「あー、降るよね」
「ホント、見事」
「ごめんね?」
「いえいえ、傘を差していきましょう」
ミコは雨女である。彼女が生前に行っていた雨乞いとは、出かける予定を作る事だったらしい。
(そんなだったけ?流石にイベント内容をすべて覚えているわけじゃない。弟君のおかげで信勝君が現界出来たのは覚えているよ!本当にありがとうございました!!)
前回、みんなの試運転も雨。この時期に雨なんて珍しいとギルド職員たちも呟いていた。だから、雨が降られたら困る今回のクエストは私の試運転。
あくまでミコはついてくるだけっていうことにしておいた。ちゃんと晴れたので気持ちぐらいのものだったけど効果はあったのかな?
雨に降られるのは慣れて、さらに通うのにも慣れた道を行き、たどり着いたのはエリス教の教会だ。入信したわけじゃない。事あるごとに報告という名の祈りに来ていたら常連客みたいになった。今日はちゃんとモンスターを倒せたことについて。
報告だからと言って、エリス様から返事があるわけではない。私の一方通行で、それが聞こえているかも怪しい。
自己満足なので問題はない。
入信する気もない私。
でも祈りに来るってことで、ちょっと変人扱いされている。うん、それは遠慮したい。
前世の私を知っている人に(神様だけど)頑張ってるよって言いたかっただけなのだ。
本日出迎えて下さった信者はアリシャさんだ。前世も前々世も無宗教だったから作法に疎かった私にも丁寧に色々教えてくださった。挨拶をして早速祭壇へ向かった。
こんにちはエリス様。エリス様、貴女の信者は本日も良い方々です。本日の報告はちゃんとモンスターを倒せたことです。一人でもちゃんと出来ました。これからスキルも覚えてこの世界で楽しく暮らせるように頑張ります。また次は魔法戦士になってから来ますね。
祈りも終えて、お布施も終わった。戻るとミコは興奮気味に息巻いていた。何があった?
「イチカ!私、エリス教に入信するわっ!」
「え、あ、はい」
「あと、プリーストになる!てかなった!」
「早っ!?え、アークプリースト!?」
「えっと、強引に誘ったとかではないのよ?今日は珍しく雨っていう話から、エリス様が幸運の女神様である事をお話したらもう」
「なるほど、理解しました」
「ええ!?」
アリシャさんが戸惑っているが、彼女からの説明だけでちょっと想像がついた。
「私の幸運値もあがって、雨に降られるのも少なるかもしれない!みんなでピクニックにだって行けちゃうわよ!」
「それは楽しみですね。雨に降られるピクニックも面白そうですけど」
「えー、でもやっぱり晴れていた方が」
やはり。アリシャさんも入信者が増えることに問題はないだろう。(上級職、増えたな・・・。)
元々信託する側の女王様だ。エリス様が素晴らしい信者を獲得されたに過ぎない。
さて、必要そうなスキルを探して私も手に職を付けるとしよう。
いつまでも冒険者だと、ギルド職員の皆から問答無用で料理人にされかねない。イヤなわけではないが、私が入ると誰かが辞めさせられるとなる。手が足りている状況下で誰か新しい人材なんて無理。
アークプリーストとして色々覚えるため、ミコはアリシャさんの元に残った。
私は他のめぼしいスキルを各人にお願いして取得した後に、手土産を買って最後の目的であるウィズ魔法道具店へ向かった。
ちょうど一人になれたのは良かった。
@
「いらっしゃいま・・・せ」
「どうもです」
「あああああああの!!!」
「ウィズさん、甘いもの大丈夫ですか?」
「え?」
「紅茶に合うお菓子だって言われたので一緒にどうでしょう?」
あわあわとしているならば、その間に行動してしまえ。カオルコを見ていて思ったことだ。ウィズさんもその手の方。勝手に準備してしまったら彼女はそれを受け入れてくれるだろう。紅茶の場所を聞いて彼女も動かして、さあ、席に着いた。
混乱しながらも一緒に席についている彼女。このすばにおける癒し枠だわ。
「ええと、本日はどういったご用件で?」
「以前お話していたスキルのご教授をいただきたくて」
「あの、考え直されませんか?」
「リッチーのスキルの取得の為、冒険者になったんです。お断りだ」
「でも、モンスターのスキルを持っていると魔王軍との関連を疑われます」
「それくらいのリスクは目を瞑ります」
そもそも魔王軍の討伐の前線で戦う冒険者にはならない。彼女たちに望まれないかぎり。そして、おそらくだけど望まないだろう。
カオルコは図書館のようなこと―本を取り扱い多くの人に読んでもらえる環境を作りたい―を、オッキーは同人誌を作ること―一次が無いからそもそも普通の小説となるかもだけど―を、ミコは女王ではなく、普通の生活を。
なら私は一緒に生きてくれる彼女たちの支援と普通の異世界生活を満喫するだけだ。
私の言葉に今更ブレるとは思えなかったようで、ウィズさんは説明をしてくれた。
どんなスキルでも取得するためには実演が必要となる。なので、ドレインタッチも不死王の手も私にかける必要がある。
不死王の手の効果は触れた相手に毒、麻痺、昏睡、魔法封じ、弱体化付与。毒や弱体化付与だった場合、私と彼女のレベル差では死んでもおかしくない。でも、幸運依存ならば私の幸運もあるからそれに当たらない気もするんだよね
スキルポイントが30p要するだけあって、そのスキルの利便性はとても高い。
「どうされますか?」
「お願いします」
「・・・変わらないんですね」
「もちろん」
「しかし、どこでそのスキルを知ったんですか?私もリッチーになってから知ったスキルだったんですが」
「・・・まあ、色々ありまして。ウィズさんもそこそこのご年齢ですし、そういうこともあ「私は20歳です」そうですね!!そうでしたね!お肌ぴちぴち羨ましい!」
年齢には触れないで行こう。さっさとスキルを掛けてもらう。まずはドレインタッチ。本当に少しだけだったのに、息が上がった。全力疾走した後みたい。
あ、取得出来る。ぽちっとな。あ、取得出来た。呼吸を整えてから次に行く。はい、どうぞ!
・・・・はっ!?
「良かった、目覚められました?」
「え?」
「不死王の手を使いました。おそらく昏睡状態になったんだと思います」
「ああ、ありがとうございました。お店の中で転がしてもらってよかったのに」
「そんなことできませんよ!」
「あ、不死王の手も取れる。・・よし!これで冒険者で取りたいスキル達成!」
「ちなみに他には何を?」
スティール、狙撃(投擲)、千里眼、敵感知、潜伏、鍛冶スキル、バインド、罠解除、罠発見、後は魔法戦士になってから初級魔法系と物理耐性・異常耐性系を取得して、テレポートのためにスキルポイントを貯めようかと。
他に良いスキルとか魔法とかご存知ですか?
「イチカさんは魔法戦士になられるんですよね?でしたら、
「魔法付与?」
「武器に魔法を付与するスキルです。初級魔法を取得する必要がありますが、取得予定なら問題ないでしょう」
「武器に付与・・・纏わせて戦う感じか。確かに相手の弱点もつくことがし易くなりそうです」
さすが歴戦の冒険者!え、何?私は二十歳?でも、もうリッチーになってからどれくらい経って、
・・・????
「あ、おはようございます!お疲れだったんでしょうか?」
ニコニコと笑いながらこちらを見て起こしてくれた。私、寝てたのか?
ドキドキしながら冒険者カードをチラッと確認したが、恐らく私はスリープを使用されたのだろう。このすばというギャグの世界線だから彼女の魔法を受けても生き残れたんだろうか。
普通に考えて手加減されただけか。
うん、ウィズさんには冗談でも年齢の話は持ち出さない事にしよう。
あ、スリープ取得しておこう。
という訳で、オタクのスキル取得完了。
カズマさんリスペクトで似たようなスキルは取得させています。が、エクスプロージョンはなし。次回以降は魔法戦士になっています。
そして、卑弥呼様はアークプリーストになりました。
予想されていた方もいらっしゃるかもしれませんね。殴ルーラーには、エリス教へ。
むしろ祈られていた方ですが、異世界生活では祈る方です。
次回、あの人たちと出会います。
次の次が原作入ります。時間軸は一気に飛びます。
もっと英霊たちと絡ませるのは拠点を入手させてからなんです。
言い訳をすると、夜は霊体化。昼はそれぞれお仕事。絡む隙がない。
また何かございましたらコメントよろしくお願いします。