国王だろうが容赦なし、江戸の魔境歌舞伎町で生きてきた万事屋メンバーは現在向かうところ敵なし(メンタル面で)。
これ、仲間が増える度に精神やられてくんじゃね?
ナルシェ(正確には初心者の館)を出発し、地図上では南西に位置するフィガロ城を目指して歩を進めるノア一行。
道中出てきたウサギのようなモンスターをしばき倒しつつ、フィガロ城があるという砂漠へと到達した。
「よし、ここまで来ればフィガロ城は目と鼻の先だ」
「よしじゃねーよ股間ダガー!テメー戦闘中『ぬすむ』しかやってねーだろーが!ほとんど俺とノア様と神楽がぶっ倒してたぞ!しかも戦利品がその毒々しい色したポーションって何の冗談だァ!?」
「そうアル!百歩譲って酢昆布味だったらまだしも、明らかにそれは溜まってた毒素を放り出して新しい毒素を溜め直しそうなポーションネ!」
「酢昆布味だったらいいのかよ」
ドヤ顔のロックに対して抗議の声を上げる銀時と神楽。新八はジト目でツッコんでいた。ウサギって酢昆布好きなのか?
「妙薬口に苦し、きっとコイツは見た目よりも強力なポーションに違いなゴボォッ!?」
「「だったらテメーが試してみろやァァァ!!」」
青筋を浮かべながらロックが手にしていたポーションを奪い取り、神楽がロックの口を開けさせ銀時がそこにポーションを容赦なくぶち込む。何この鬼畜コンビ。
「大変……!ロックの顔の色がおかしいわ!」
「え?そう?」
「問題ないな。ハルクもあんな色だった」
「ハルクって誰!?」
肌の色が緑色になっていくロック。明らかにキモ……おかしい。普通の人間がしていい色ではない。
「お?マジで超人とかになっちゃう系のポーションだったのか?」
「銀ちゃん、でもきっと股間のダガーはそのままアル。身体全体が大きくなっても結局そこはお粗末ヨ」
「んな事言ってる場合かァァァ!!」
「ここで倒れられては不法投棄になるな。この毒消しを使うぞ」
ノアが取り出したのは毒消しの薬。ではなく草。
「えええええ!?草そのものなんですけど!?」
「わ……私、ポイゾナっていう解毒魔法使えるから!」
「ここで簡単な方に流れてしまえば奴のトレジャー(小)はトレジャー(小)のままだ。PLUS ULTRA、乗り越えていけ!そして食え!」
「ガボァッ!?」
部下が部下なら上司も上司だった。マジ容赦ねえ。
毒消しの草をノアに思いっきり口に突っ込まれたロックは泡を吹きながらも元の顔色に戻る。しかし意識は失ったままだ。
「何よ〜ホント情けないわね。とっとと起きなさい!ゴッドブロー!!」
ゴスゥッ!!
「パウゥゥゥ!?」
アクアの鉄拳を腹にめり込ませながらも意識を覚醒させたロック。初登場時から踏んだり蹴ったりならぬ蹴られたり突っ込まれたりである。
「ちょっ……ちょっとタンマ……!」
「む?アレではないか?」
「おーさすがノア様。砂漠入って早々見つけたぜ」
「ホントアル!ようやく休めるネ!」
「そんな都合よくいくかな……」
「あのねえ新八、そんなネガティブな感情はこの砂漠にでも捨てておきなさいよ。何かあるたびにそんなんじゃ何も出来ないわ」
「……アクアはなんで私の後ろに隠れてるの?」
ロックを放ったらかしにしてフィガロ城へ向かって歩き始めるノア一行。仕方がないのでロックは途中でノアが戻ってきて襟首を掴みながら連行した。
「ちょ……人を猫みたいに……」
「猫は可愛い。お前と一緒にするな」
強引に毒ポーション飲まされたというのに理不尽である。ロックが盗んだものだけど。
とりあえず城門前まで行き、そこの番兵にロックを見せた。
「ん?お前は……よし入れ」
「……おう……」
「任務御苦労。では行くぞ皆の者」
何だアレと思いつつ、しっかり返事しているし大丈夫だろうと思った番兵はノアたちを城内へ招き入れる。
とりあえずこういう時は玉座を目指そうという事になりひたすら直進。
「マジでファンタジーアルな。絶対『よく来た勇者よ』とか言って魔王と戦わせようとする王様がいるヨ!」
「あ〜そうそう!だったらあんたがまず戦いなさいよって奴がふんぞり返ってきらびやかな衣装で座ってんの!最近だとさ、勇者が魔王倒しても功績を横取りしたりして勇者の反感買って逆襲された結果滅んだり落ちぶれたりするのよね!」
「そ、そうなの……?」
「そうネ!だからティナも甘い言葉を言ってくる奴は要注意アル」
「炎の魔法使えるみたいだし、いざとなったら股間燃やして逃げちゃいなさい!」
なんかこのパーティ股間に執着しすぎな気がする。しかも思いっきり物騒な事を口にしてる。
「ノア様、銀さん……このパーティって女性強いですよね」
「何言ってんだ新八ィ。アレはティナ以外女じゃなくてゴリバキィッ!!」
「「女じゃなくて何だコノヤロー!!」」
「そういうところが女じゃねーんだよ!普通の女が背後から息の合ったドロップキックしてくるわけねーだろ!」
「やーねー自分の価値観押し付けるなんて」
「全くネ。だから銀ちゃんは彼女いない歴=年齢を更新し続けてるアルよ」
「うるせェェェェェ!!」
最後の最後で涙目になった銀時。確かに一般的な女性なら二人がかりで背後からドロップキックはない……と思う。たぶん。
グダグダしながら玉座に辿り着くとそこにはまだ20代から30代くらいと思われる男性が一人だけ座っていた。
「あの者がフィガロ王とやらか?」
「ああ」
キリッとしたロックだが初登場から今までの道中を振り返るとロクな活躍をしていない。ロックだけに。
今更キメられても……相変わらず尻の部分に穴開いてるし。
男性が玉座から立ち上がり、ロックと何やら話し込んでティナを見る。
「この娘が?」
「貴方は……?」
「おっとこれは失礼。私はエドガー。このフィガロの国王だ」
「ビックリしたろ?俺が王様と知り合いなんて」
「「「「「いや全然」」」」」
「……え?」
ティナは応えなかったがノア達はしらっと言い放った。あまりの即答にロックはもちろん、エドガーさえも間抜けな顔になってしまう。
「今時国王と知り合い程度で威張れるような世の中でもあるまいに」←最高位の光神
「やっぱりお粗末トレジャーだけあるわね」←一応水の女神
「こちとら将軍とだって知り合いなんだけどよォ。恩恵なんて録すっぽねーし」←ノア直属の護衛
「結局虎の威を借る狐アルな」←ノア直属の護衛
「というわけなんでドヤ顔されても困るんですけど……」←ノア直属の護衛
相手が悪かった。
銀時らからすればロックやエドガーがノアとこうして普通に会話してる事の方がすごい事だと言えるのだが、そこは言わないでおく。
「……ロック、彼らは?」
「よく分からんけどあの水色の根性叩き直しの旅の最中とか……」
「誰が水色よ毒ポーションしか盗めない三流お粗末トレジャー」
「なんか増えたァァァ!!」
むしろアクアではなく共に旅をする連中のメンタルを鍛えに来てるんじゃないのかと。
「しばらくこの城でゆっくりするといい。この国は帝国と同盟を結んでいる。いきなり攻め込んできたりはしないはずだ」
「どうして私に優しくしてくれるの?敵かもしれない私に」
そして、エドガーの次の台詞を言った事が彼の精神に絶大なダメージを与えるハメになるなど予想もつかなかっただろう。
「レディに優しくするのは当然のことさ。第二に君の好きなタイプが気にかかる……」
「「君『の』?」」
「へ?」
この言葉に反応したのが神楽とアクアである。
「アクア、私たちは数に入ってないみたいアルな。女好き気取ってる割に選り好みなんて女好きの風上にもおけないアル」
「そうよね。それでもって後から『違う』とか『そんなつもりじゃなかった』とか言い訳した挙げ句『こっちにも選ぶ権利がある』って逆ギレしたりするのよね〜」
「そもそもあの程度のイケメンなら星の数ほどいるアル。あれに執着する必要性なんて感じないネ」
「国王っていうのも逆にヘイト集めやすいところがあってプラスとは言い切れないわよね。式典かなんかで大衆の面前に出てる時に狙撃であぼーんとかありそうだし」
「「結論から言うとアウト」」
ドシャァッ……と力無く倒れ、涙を流しながら笑うエドガー。とことんボロクソに言われて自信喪失したようだ。
「エドガァァァァァ!?」
「江戸が?」
「エドが?」
「お前らちょっと黙ってろ毒舌コンビ!!」
同じような経験があるロックは同朋の身を案じたが、エドガーは大丈夫大丈夫と言い、焦点の合っていない目から涙を流しつつフラフラと退出する。
マジでヤバくねーかアレ。
「おーいオメーら、俺とノア様はもうダベるから探検でも昼寝でも好きにやれや。ただし城からは出るんじゃねーぞ、迷子になって探しに行くなんざゴメンだからな」
「よし銀時、この城に売店らしきものがあるようだし……ロックの盗んだゲテモノではないポーションでも買って晩酌といくか」
「よっしゃ売ってろよ、いちご牛乳味!!」
そんなエドガーを心配する事もなくノアと銀時は休む気満々である。
「ちょっ……!ノア様も銀さんもあの人の事心配じゃないんですか!?」
「あ?勝手にナンパしくじって逆襲されただけだろ。こっちから手ェ出したならまだしも、テメーからやってああなったならただの自業自得だ。いい歳した大人のケツなんざ拭いてやる気はねーよ」
「不特定多数の女性に声をかける以上、こういった事態は想定しておくものだ。世の中の者はハーレムや一夫多妻を良い物と考えているかもしれんが、実際はそんな簡単に成立したり維持出来るものではない」
あとは自分たちで考えろ、とノアと銀時も退出してしまう。新八とロックも釈然としないまま出ていき、残された女性陣はというと……
「銀パはともかく、ノア様ってこういうのを結構深く考えてるのね」
「伊達に神使をたくさん抱えてないアル。ガチのハーレム構築者は言う事もまさにモテ男の格言ネ」
ティナとしてはノアがそこまでの人気者とは知らなかった。ノリがよくて強い人物だとは思っていたが。
同時に女性の隠れファンが多いのが銀時だ。
「さ!一休みする前に城内物しょ……探索に行きましょ!」
「今物色って言いそうにならなかった?」
「ティナ、細けーこたぁ気にしないアル!」
そして城内を三人が探索した結果。
「あのスケベキング、幼女までナンパしてたアル」
「てことは何?私たちは幼女以下?また腹立ってきたわ」
「それから……彼に弟さんがいたって教えてくれたばあやさんも口説いたって……」
「「マジで去勢すんぞあのヤロォォォ!!」」
変なところでエドガーの武勇伝(?)を聞かされる事になった。老若関わらず手当たり次第、少なくとも城内の女性には声をかけまくっていたらしい。
まさかの事実に神楽とアクアは尚更自分たちが眼中になかった事を腹立てている。
「にしてもアイツ兄ちゃんだったアルな」
「意外よね。弟は城を飛び出して行方知れずみたいだけど」
「マッシュさん……だったわよね。相手が女性じゃなくても優しかったって」
「兄貴とはエラい違いアル」
「もしくは兄貴がアレだからまともになったとか」
エドガーの弟・マッシュ。
病に倒れた父である先代フィガロ王を心配していたが、周りの者が父ではなく国……フィガロの方を心配していた事に憤りを感じ、先代が亡くなってすぐに国を出たそうだ。
「神威とは逆アル。あれはあっちが飛び出して行ったアルからな」
「そういえば彼そんな事を言ってたわね」
「神威……?」
「私の兄貴アル。しばらく前までは喧嘩してたネ」
「あれそういうレベルだった?」
「パピーとは本気で殺し合いレベルだったヨ」
アクアはそうでもないがティナは絶句している。簡単に言ってはいるが彼女は相当ハードな家庭で育ったようだが……
「今は平気ネ。マミーもパピーも兄ちゃんもいるアル。パピーの毛根だけは帰って来ないけどな」
「ぶふっ!」
「ぷっ……」
彼女の最後の一言で重い部分が吹き飛んだ。今日も彼の頭はスースーしている事だろう。
そんな感じで女子同士交流を深めつつ休もうとしたら……
「なんでここにいるアルかお粗末」
「いや、俺の事詳しく教えてなかったなって……」
「別にいいわよ。モーグリに股間蹴られて尻刺された男の事知ってどうすんの?」
「エドガーさんから聞きました。ドロボウさんなんでしょ?」
「トレジャーハンターさ」
「見栄張ってんじゃねーよ負け組が」
「定職着きなさいよ無職」
神楽が標準語になるくらい冷たく突き放された。同作品では最も主人公らしいと言われた彼は既に無く、もはやネタ枠が確定しつつある。
「実はティナにあってほしい人がいるんだ」
真面目に言う彼だが、涙目でプルプルしながらひくついた表情で言われても真剣味が薄い。そこまでやったのは神楽とアクアだけど。
この後、ある魔導士がフィガロへと来訪する。
その者とはこの先長く関わっていく事になるのだが、ハッキリ言ってご愁傷さまとしか思えない。
そして……
「マジでいちご牛乳味あったぜキャッホォォウ!!」
「ポーションというから炭酸入りぐらいあるかと予想していたが予想通りあったぞイェア!!」
……主人公格二名は宣言通りポーションがぶ飲みしていた。何やってんだお前ら。
着々と近づいてくるさらなる犠牲者。
味付きポーションを飲みまくるノアと銀時。
更にこき降ろされたロック。
そして今回ラストで触れられなかった新八とエドガー。
何より舌戦無双しまくる神楽とアクア(+ティナ)。
次回、『ピエロは道化で人を楽しませるのであって楽しませなきゃただのメイク野郎でしかない』
魔導アーマーがあれば勝てると思うなコノヤロー。
もし本作で、無理のない範囲でキャラ追加するなら?
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定春(マスコット枠)
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桂&エリザベス(ボケ加速)
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高杉(シリアス枠)
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お妙(ある意味女性キャラ最強)