やはり俺のスターウォーズはまちがっている。   作:伊勢村誠三

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遠い昔、遥か彼方の銀河系で……

『やはり俺のスターウォーズはまちがっている。』

第一話 やはり俺がジェダイなのはまちがっている。


壮絶な小、中学校生活を送ってきたせいで死んだ目とねじ曲がった孤高体質になってしまったオタクな青少年、比企谷八幡は、高校入学式に向かう途中、道に飛び出したミニチュアダックスを助けて車に轢かれてしまう。

そして目を覚ますと彼の体は赤ん坊に戻り、地球から遥か遠く離れた惑星ロザル飛ばされていた。

だが運良くジェダイマスターに拾われた彼は聖堂に預けられ、ジェダイ・イニシエイトとなる。

そして月日は流れ、約10年。
八幡はついに試験に合格。自らの手とフォースの意思でライトセーバーを組み上げて晴れてパダワンとなった。
しかしそのセーバーの色はシスの不吉な赤を思わせるマゼンタだった……。


やはり俺がジェダイなのはまちがっている。

「やめろ!」

 

振り下ろされる緑色にライトセーバーがマゼンタのライトセーバーに受け止められる。

 

(厄日だ。間違いなく二回目の人生で1番の。)

 

余計なことをした自分にやや呆れながら少年、比企谷八幡は後ろに何故かやたら絡んで来る同郷のジェダイ・パダワン、由比ヶ浜結衣を庇いながら次々繰り出される青、緑のセーバーを弾いていく。

 

「ハチマン!ダークサイドを庇うのか!?掟に反するぞ!」

 

リーダー格の1人が言う。

しかし八幡は持ち前の腐った目で睨みながら言った。

 

「は!掟、掟、掟ってそれしか言えねえのか?

掟が何より大事で絶対?お前ら執着を禁止してるくせに掟に執着するのはいいんだな?」

 

八幡がそう言うと一瞬たじろぐ他のパダワン達。

しかしそれ以上に

 

「ほう、それは興味深い意見だ。」

 

いつの間にか背後にいた男の声に黙った。

全員が目の前に立つジェダイ・マスター、サイフォ・ディアスの次の言葉を待つ。

後ろに隠れる結衣が裾を掴む力が強くなる。

八幡もライトセーバーを握る手に力が篭った。

 

「見所のある少年だ。君はまだイニシエイトかい?」

 

「……いえ、つい先週パダワンになりました。」

 

緊張にダラダラと汗が伝う。

しかし告げられた次の言葉は

 

「私の弟子もこの前独立してね。

是非君のような自由なパダワンを持たせたいと思っていたのだ。

どうかね?私の孫弟子になってはくれないか?」

 

 

 

(なるほど、その自立したばかりの弟子に俺のような捻くれ者を鍛えさせることで株を上げさせてやろうってわけか。)

 

そんな捻くれた考えがすぐさま頭に浮かんだが自分が捻くれ者として晒されてしまえば結衣にヘイトは向かないと考え彼は承諾した。

とは言え決めるのは評議会だし、すぐにとはいかないと思っていたのだが

 

「すまない。ここにパダワン・ヒキガヤはいるかな?」

 

その日の夜、なんとあのグランド・マスターヨーダの直弟子のマスタードゥークーが訪ねてきたのだ。

 

「僕が、そうです…」

 

「ほう……フォース感度はせいぜい並より良い程度だが、彼が気にいる筈だ。

なかなかどうして、良い目をしてる。」

 

「ディスりに来たんですか?」

 

この死んだ魚のような目を見てこの偉大で聡明なはずのマスターは何を言っているのだろう?と本気で彼は疑問に思った。

 

「いや、そうではない。褒めているのだよ。

君には凡百のジェダイには持てない視点がある。

ヨーダやウィンドウは認めないだろうが、私は君のような者を大いに評価する。

きっと彼女の元でなら大成するだらう。

評議会には私から言っておく。」

 

邪魔したな、頑張りたまえ。

と言って八幡の頭を撫でるとドゥークーは去って行った。

そしてその背中を見送った八幡はボソリと

 

「本心で言ってるからタチ悪いや。」

 

と呟いて寝床に向かった。

またどうせ怖い夢を見たと言って結衣から夜泣きのような通信が入るだろうけど。

 

 

 

3

「君だね、マスターに気に入られたラッキーボーイは。

私はアリス・アマリリス。厳しくやるから覚悟してね?」

 

紹介されたのはビス族、毛のないドーム状の頭が特徴的な種族の女性だった。

腰にはやや長いヒルトのクロスガード・セーバーを下げている。

 

「よろしくお願いします。」

 

さて、どんな訓練が始まるだろう?

箔付のためにやるわけだから当然自分を嬲るような訓練かと思われたが

 

「まずは評議会の椅子にブーブークッションを仕掛けるでしょ?

それから公文書館のホロクロンを一個激辛エキスの噴き出る手榴弾にすり替えて…」

 

「あんた相手がジェダイなら報復されないし何しても良いと思ってません?」

 

とんでもない事をやらせようとして来た。

ちなみに後から彼女の同期から聞いた話によると彼女はパダワン時代のセーバートーナメントで袖に仕込んだ激辛スプレーで目潰しして勝ってオーダーを追放されかけた事が有ったらしい。

サイフォ・ディアスが庇わなかったら露頭に迷っていたとか。

なんで評議会はそんな問題児にパダワンを取る事を許したのだろう?

弟子を取れば少しはマシになるとか思ったのだろうか?

 

閑話休題。

 

ノリが悪いとかブー垂れるマスターアリスを説き伏せてなんとか激辛エキスの方はやめてもらった。

その代わりブーブークッションは止めてもらえなかった。

 

偶然仕掛けられたメイス・ウィンドウは終始青筋を浮かべていた。

それを見たセイシー・ティンやキット・フィストーは思わず笑っていた。

キ=アンディまで肩を震わせていたのは驚いた。

もちろんマスターはパダワンになんて事させると評議会の真面目なお歴々にドチャクソ怒られた。

 

「なぜ私がパダワンにやらせたと決めつけるんですか?」

 

「部屋で微かに感じたフォースがお主のではなくパダワンの物だったからじゃ。」

 

そして八幡は転生してから始めてステルスヒッキーを破られた。

フォースまで隠せるように鍛えたぼっちスキルは流石にグランドマスターには効かなかったようである。

逆に言えばウィンドウ以降のメンバーは完全に騙されていたことになるが。

 

この件は瞬く間に広まり彼の狙い通り結衣から敵意をずらす事が出来た。

 

『ハチマン・ヒキガヤはジェダイらしからぬ捻くれ者。

サイフォ・ディアスの様な過激派に可愛がられる同じ穴のムジナ。』、と。

 

 

 

4

そして時は流れ一年後、マスターの無茶な訓練と評したイタズラを諌めつつ日々セーバー技術やステルスヒッキーに磨きをかけるどっちがマスターか分からないと揶揄われる日々に変化が起きる。

 

マスターサイファ・ディアスがオーダーを抜けると言い出したのだ。

 

「由比ヶ浜、熱あるか?今日の訓練休んだ方が良くないか?」

 

「冗談じゃないよ!さっきディアス先生が自分で言ってた!」

 

流石に確認だけはしようと思って手を引かれるまま向かうとアリスに足止めされてるサイフォがいた。

 

「おお、ハチマン。君にも話があるんだった。」

 

そう言ってサイフォは腰に下げていたライトセーバーを取る。

それは彼がいつも使っているセーバーと同じ形をしたセーバーだった。

違う部分はグリップの模様ぐらいで刃の色も青。

 

「これを君に贈る。」

 

ジェダイはライトセーバーを神聖視する。

故にジェダイがライトセーバーを贈るという事は大きな意味を持つのだ。

 

「本当に行くんですね。」

 

「ああ。最後の弟子は少しイタズラが過ぎるが心配はない。

となると次に私は最後の孫弟子である君が心配になった。

ただでさえ君は疎まれやすい上に。パダワン・ユイガハマ以外に友と呼べる者もおらず、セーバーの色は赤に近いマゼンタ。

頭の硬い連中に疎まれない筈がない。」

 

事実だが言いたい放題言ってくれる師匠だ。

まあ、これぐらい失礼な方が自分の系譜のマスターだと思えるかもだが。

なんて思っていると八幡は背後からすこし少し抗議するような、それでいて見守るような視線を感じた。

 

「これからはこのセーバーを使え。

10年は早いだろうが、ナイト昇格の前祝いだ。

パダワン・ユイガハマ。私の孫弟子をどうか支えてやってくれ。」

 

そう言ってサイフォは八幡と結衣の頭を撫でた。

 

「……ありがとうございますマスター・ディアス。

どうかお元気で。」

 

「ディアス先生…わたし、ヒッキーを助けられるジェダイになります!」

 

そのやりとりを見てアリスも覚悟を決めたようだ。

 

「マスター、あなたの旅路がフォースと共にあらんことを。」

 

「もし、危機に瀕しどうしても必要になったら私のセーバーが導いてくれる。

君達も、フォースの加護があらんことを。」

 

そう言ってサイフォ・ディアスはジェダイ・オーダーを去った。

アナキン・スカイウォーカーが八幡達と出会う数年前、クローン戦争勃発の十数年前の出来事である。




オリキャラ解説

アリス・アマリリス

ビス族の女性ジェダイナイト。
マスターサイフォ・ディアスの弟子。
ライトセーバー以外の武器を野蛮と見下すジェダイの中では珍しく罠や銃器に精通している。
フォースは並のジェダイが仕える技は一通り使える。

イタズラ好きでドゥークー曰く『若い頃のクワイ=ガンそっくり』
使うセーバーのタイプはクロスガード、色は緑で、型はシエン。
強引にパワーで押し切って横の刃を押し当てるエグい戦法を好む。

趣味は楽器演奏。
その腕前は退屈に飢えてるイニシエイトの子達に好評で定期的に演奏会を開いている。
ビス族とあってサックスが大得意。
八幡にも試練と称して教え込んでいる。

家族に関する記憶はなく、八幡の親友のアナキンの悩みに真に寄り添えないことをオビ=ワン共々気にしている。
そしてそんな彼に臆せず関わっていく八幡、結衣に信頼と期待を寄せている。
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