やはり俺のスターウォーズはまちがっている。   作:伊勢村誠三

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遠い昔、遥か彼方の銀河系で……

『やはり俺のスターウォーズはまちがっている。』

第五話 やはり俺が祀り上げられるのはまちがっている。


ジオノーシスの戦いを皮切りについに始まった共和国と独立星系連合の果てしなき戦い、クローン戦争。

アナキンよりやや遅れて昇格試験に合格した八幡はステルスヒッキーとアリス仕込みのトラップ解除術で敵基地の情報を盗み出し共和国軍に勝利を与えた。

これを知った共和国議会最高議長シーヴ・パルパティーンは彼に最高の特殊小隊、第8特別偵察小隊を与えることを提案した。

501軍団麾下の特殊部隊として501大隊を支え、確実な勝利を重ねる共和国軍。
しかし全体の優劣を見れば戦況は拮抗。
共和国内に疲れが見え始めていた……。


やはり俺が祀り上げられるのはまちがっている。

『戦争とは嘘であり悪である。

戦争を起こすものは正義の名のもとに常に周りを欺く。

自らを取り巻く仲良しの欺瞞に満ちた利用関係にあるものに旨い汁を吸わせ戦争に肯定的にさせるのだ。

何か致命的な失敗をしても、それらの犠牲者全てを英霊として祭り上げ戦意高揚政策の一環として大々的に宣伝するのだ。

例を上げよう

 

「陽のスカイウォーカー将軍ある所に陰のヒキガヤ将軍あり。彼らのいるところに敗北の2文字無し。」

 

そんなプロパガンダが有る。

そんなことはない。俺たちは常に敗者だ。

敗北とはこんな戦争に付き合い続け、己が手とライトセーバーを血とバトルドロイドの機械油で染め上げ、ブリキの残骸と死んでいったクローンたちや助けられなかった特別裁くべきでないはずの人々の屍を踏みしめて進むことである。

しかしそんな地獄も彼らにかかれば人々にもっと速く戦争を終わらせよう=もっと戦争に協力させる気にさせようという巧みな罠に生まれ変わる。

そして死んだ人間は適当に二階級特進させてはいお終い。

やつらは座り心地の良い椅子にふんぞり返ってやる必要もない無為で無駄な議論を延々繰り返すだけである。

しかし彼らはそれが間違ってると周りに気付かせない。

全て彼らのご都合主義。きっとこの戦争も反対勢力「分離主義同盟」にまとまってくれて好都合ぐらいに思っているのだろう。

彼らは共和国の腐った膿であり何もかも糾弾されるべきである。

ということは、逆説的に戦争に非協力的な者ほど正しく真の正義である。

結論を言おう。元老院爆散しろ。』

 

 

 

「ナイトヒキガヤ。

お主はいつから分離主義者になった?」

 

評議員のお歴々から白い目で見られるのはジェダイ・ナイト、比企谷八幡。

今や501大隊麾下、第8特別情報偵察小隊の隊長としてシャドウトルーパーを率いる文字通りの『陰の実力者』。

彼が情報を調べ上げる。それをアナキン率いる501大隊が片づける。

501大隊がおいしい所をもって言ってる風に見えるかもしれないが、第8特別偵察小隊がピンチになれば501大隊が迎えに行き、501大隊が罠にはまれば第8特別偵察小隊がフォローする、といった事が多々あり、彼らは両将軍が仲いい事も有り信頼を築いていた。

 

閑話休題。

 

そしてなぜそんな八幡がこんな作文を書くことになったかというと、イニシエイト達に向けて演説をすることになったからだ。

 

「お前は自身はこの作文をどう思っている?」

 

「フォースと自分の意思に正直に書き上げた素晴らしい文章だと思います。」

 

マスターウィンドウが深い深い溜息をつく。

 

「さて、この元老院爆破予告、どうするべきか。」

 

「当然イニシエイト達には見せるべきではない。」

 

「だが戦争の悲惨さを訴えるという意味ではありだ。」

 

「大筋は崩さず、研削して使おう。」

 

話はまとまったようで精神的に参ってると判断された八幡は1日だけ休日が与えられた。

塔を降りると八幡はホロ再生装置を起動する。

 

『こちらジャッキー。将軍、いかがいたしました?』

 

八幡の副官、シャドウ・トルーパーのジャッキーが通信に応える。

 

「ブラック上司からようやく有給がいただけた。

俺は1日だけ休む。隊を任せた。」

 

『了解しました。ユイガハマ将軍でしたら今日も聖堂にいる筈ですよ?』

 

「?……ああ。そうか。」

 

『……将軍、一つ忠告しておきます。』

 

「何をだ?」

 

『どこかの星では将軍のような男は四足獣に蹴られて死ぬそうです。

お気をつけて。』

 

そう言ってジャッキーは通信を切った。

ジャッキーの言った意味をなんとなく理解しながらも肩をすくめる八幡。

由比ヶ浜が自分の事を?まさか。

あれは幼い孤独を埋めてくれたことを勘違いした依存に過ぎない。

本物の愛情とは

 

「やあ、ハチマン。呼び出しとは災難だったね。いつにも増して酷い目だ。」

 

「おうスカイウォーカー。いつにも増してさわやかなイケメンだな。

2人に良い事でもあったのか?」

 

このアナキン・スカイウォーカーとパドメ・アミダラとの間にあるものを言うのだろう。

意見の相違で衝突する事こそあるが、2人は愛し合い、信頼し合っている。

 

そして何故か彼はパドメに向けるのとは別ベクトルだが、大きさだけならそう変わらない愛を、友情を八幡と結衣に向けているのだ。

それはジオノーシスでクローンを引き連れて救援に向かった後、パドメの無事を確認すると片手を斬られたのにもかかわらず真っ先に二人の無事を確認しに行ったことからも分かるだろう。

そしてそのままパドメとの秘密の結婚式に呼んだことからも。

結衣も今ではアナキンの弟子のアソーカ・タノと共にパドメの良き友人だ。

八幡は正直あまり関わっていないがそれでも会うたびに

 

『アナキンを頼みます』

 

と言われている。

アナキンの機嫌がいい時は大抵パドメと何かあった時だ。

 

「実は、僕らに子供が出来たんだ…。」

 

「はー、、そりゃめでた……は?ちょっと待て今なんて言った?」

 

流石にマズいと思ったのか八幡はアナキンを自室に連れ込む。

 

「……待て、待てちょっと待て?その話由比ヶ浜には?」

 

「まだだよ。君が初めてさ。」

 

「よかった。由比ヶ浜には言うな。絶対なんかの拍子に漏らす。

それが評議会の耳に入ったらどうなる?」

 

「きっと除名されるだろうね。けど構わないさ。

愛のためにと言うなら僕は喜んで501大隊をアソーカに譲ってオーダーを去る。

あのお調子者にレックスを渡すのは少し癪だがそれも悪くない。

アイツは卒業だ。

そして戻ってくる頃には晴れてマスタージェダイの評議員。

そしたら掟も変えれるだろ?

しばらく君達と別れるのはつらいがそうなったら君は黙って見送ってくれるし、ユイは無事を祈ってくれると信じてる。」

 

「………お前、本当に変わったな。

昔だったらもっとこう…荒れてたぞ?」

 

「君が身をもって示してくれたんだ。

掟に従うだけがジェダイじゃないとね。

諦めず、クローンたちを気遣い、誰かより傷付こうとして自分に向けられるいい視線も悪い視線も全部背負う。

まるでマスタークワイ=ガンを見てるようだったよ。」

 

「……止せよ。」

 

「照れてる?」

 

「照れてない!男のデレとか誰得だ…。」

 

「少なくとも君のはユイには得だね。」

 

「ジャッキーやルディー達にも言われたるけど俺と由比ヶ浜はそんなんじゃない!

はぁ……いい時間だし飯でも行くか。」

 

「聖堂の不味い飯も久しぶりだね。」

 

2人は聖堂の食堂に向かった。

相変わらずの不味い飯が出される。

 

「ヒッキー!アニー!やっはろー!」

 

久しぶりに聞いた謎フレーズと共に後ろからジェダイローブを羽織った彼女がやって来た。

 

「由比ヶ浜、スープこぼれるだろ抱き着くな。」

 

「やあユイ。少しやせたかい?」

 

「むー、ヒッキーだけ冷たい。」

 

2人に抱き着いたまま頬を膨らませる結衣。

見ると確かにアナキンが言うように不健康、では無いが明らかに痩せてるように見えた。

 

「お前、ちゃんと飯食ってるか?

筋肉とか落ちてないからあれだけど、またしばらく見ない間に痩せたな。」

 

「……ヒッキーのせいだよ。ヒッキーがずっと危ない所にいるから…アニーはすぐパドメさんに会いに行くから無事が分かるけどヒッキーはずっと連絡くれないじゃん。」

 

「俺の任務は基本隠密任務だ。仕方ないだろ?」

 

「そう言う事じゃないよ!」

 

結衣の大声が食堂に響いた。

一泊の静寂の後に結衣はその場を走り去る。

 

「ハチマン、今の君は最低だ。」

 

「いきなりなんだよ…。」

 

「行ってこい。昼食ならこれでユイと食べて来るといい。」

 

そう言ってアナキンは八幡にクレジットを握らせる。

八幡は一回だけ手元のクレジットとアナキンを見比べるとすぐに結衣を追いかけた。

 

「ジェダイあるまじき姿ね。」

 

それを見ていた雪ノ下雪乃が呟いた。

 

「仲間を案じることがジェダイあるまじき姿とは問題発言だな、冷徹の女将。」

 

アナキンが皮肉気に言い返した。

冷徹の女将、敵を倒すことも仲間を切り捨てることも全く躊躇わないことから雪乃に付けられた二つ名だった。

 

「独り言にいちいち反応しないでくれないから?」

 

「構って欲しくて言ってるのかと思ったよ。」

 

バチバチと二人の視線が交差する。

雪乃は恐れ知らずのアナキン将軍に嫉妬していた。

そのどこまでもおのが道を突き進む姿に姉を重ねていた。

 

アナキンも雪乃が嫌いだった。

愛情、友情、その他、愛に満ちた青年であるアナキンはともに戦うクローンにも友情を向ける。

例えば八幡と副官のレックス、どちらも絶体絶命のピンチだとしたら暗黒面を使ってでも両方拾い上げると答えるぐらいだ。

故に切り捨ての決断があまりにも早く、その後に何でもない風にふるまう彼女を好きになれなかった。

 

「……あのような執着するジェダイがオーダーを滅ぼす。」

 

「ハチマンの様な愛に嘘をつかない者こそオーダーを導く。」

 

「彼女のような暗黒面に恐怖で屈したものこそオーダーのガン!」

 

「ユイの様な本物の暗黒面の恐怖を知る物こそ真に立ち向かう勇気を持つ!」

 

「あなたの様な物にも人にも執着する者こそ次なるシスになる。」

 

「僕は選ばれし者だ。フォースにバランスをもたらす。

お前の様な目先の勝利の為に平然と仲間を切り捨てる敗北主義者とは違う。」

 

今にもライトセーバーを引き抜きそうな剣幕で会ったが先に視線を逸らしたのは雪乃だった。

そのまま食堂を後にする。

アナキンはその背中を見送ると冷めてしまったスープを飲んだ。

やっぱりまずい。

しかしその不味い味にパダワン時代のにぎやかな日常を思い出し、微笑むのだった。




オリキャラ解説

ジャッキー

人間種の男性クローン・シャドウ・トルーパー。
認識番号CT-4242。
八幡率いる第8特別偵察小隊の副隊長で、八幡の副官。
フォースに頼らずステルスヒッキー並みの隠密行動と、不意打ち、闇討ちを得意とするがベスカー製のロングナイフでの真っ向からの近接戦も出来る。


真面目一徹な人物で当初あまりに無機質で他のクローンからも気味悪がられていた。
仲間も終始認識番号で呼び、クローンに名前など不要と考えていた。
しかし八幡の指揮下になってからはクローン一人一人の死を悼む彼に感化され、八幡から付けられた名前のジャッキーを名乗るようになった。

趣味は武器類に関する事全部。
ライトセーバーにも興味を示しており、他の武器と合わせて独自に長所と短所を研究している。
その結果この戦争において最もクローンに必要な近接武器として選んだのが先述のベスカー製のロングナイフ。

シャドウ・トルーパーの特性上、単独行動を好むが、八幡の指揮下の元、的確な同時作戦を行うようになってからは仲間を気遣う場面も見られた。
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