やはり俺のスターウォーズはまちがっている。   作:伊勢村誠三

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遠い昔、遥か彼方の銀河系で……

『やはり俺のスターウォーズはまちがっている。』

第六話 やはり僕が選ばれし者なのはまちがっている。


ジオノーシスの戦いを皮切りについに始まった共和国と独立星系連合の果てしなき戦い、クローン戦争。

共和国議会最高議長シーヴ・パルパティーン支持の元、質は兎も角数で大きく敵に後れを取る共和国軍は何とか勢力を拮抗させることが出来ていた。

しかし、遂にコルサントまで攻め込んできた独立星系連合軍の首魁、ドゥークー伯爵に最高議長は囚われてしまった!

ジェダイ評議会はオビ=ワンとアナキンを向かわせた。
ヨーダから脈々と続く問題児だらけの系譜の遺恨が一区切りを迎えようとしていた……。


やはり僕が選ばれし者なのはまちがっている。

選ばれし者、フォースにバランスをもたらす者。

それが僕、アナキン・スカイウォーカーに張られてレッテルだった。

 

誤解しないでほしいのは僕を見出した師父、マスタークワイ=ガンを恨んでるわけじゃない。

彼は僕を奴隷の身分から解放してくれた恩人だ。

そしてジェダイになっていずれ母を開放する道も示してくれた。

 

だからどちらかと言えば失望したのは彼じゃなくて今のジェダイの在り方だった。

掟に縛られ、人として当たり前の愛も否定し、硬直し、シスの増長を許した。

もし何か間違えれば僕は母を、助けられなかったあたりでジェダイを、父の様に想っているマスターのオビ=ワンを憎んでいたかもしれない。

いや、実際憎んだ。荒んだ。クローン戦争が始まらなかったら間違いなくオビ=ワンやウィンドウあたりには間違いなく気付かれた。

そうならなかったのはひとえに親友を持てたからだろう。

 

ハチマン・ヒキガヤとユイ・ユイガハマ。

2人はジェダイにしては珍しい人間だった。

 

まずハチマン。彼ははっきり言えば捻くれ者だった。

過激派で知られるあのマスターサイフォ・ディアスのお気に入りの孫弟子だけあって、掟に従ってる風でありながら、誰かが巻き込まれて傷つくのを忌避するがゆえに孤独を好む変人。

ジェダイの提唱する無償の愛を『上辺だけの欺瞞』と断じ、真に互いを隅々まで理解し合える本物の友人を求める潔癖症。

どこまでも愛を神聖視し、愛に誠実。

それゆえにそれが崩れることを嫌って愛を憎んで愛を恐れ、そのくせ愛を求める。

まさに捻くれ者。

 

ジェダイの中でも数少ない親の愛を知っているはみ出し者(まあ僕の事だ)に好かれるのは半ば必然だった。

 

そんな捻くれ者、彼の言葉を借りるなら『高性能ぼっち』に理解者が居るかと言われれば、本人は否定するに決まっているが、僕は間違いなく2人は居ると断言しよう。

彼のマスターであるマスターアリス・アマリリスと彼と同期のユイ・ユイガハマ。

 

マスターアリスは彼のマスターだけあって変人だ。

手先が器用でジェダイが野蛮な武器とさげすむブラスターや手榴弾を躊躇なく使い、それを使って度々聖堂でいたずらと珍騒動を起こす問題児だった。

 

しかし今思えばあれが無ければハチマンは第8特別偵察小隊を率いて活躍できるだけの技量を手にすることはなかっただろう。

そして彼女の本当に稀に出る含蓄に富んだ発言は流石はマスターサイフォ・ディアスの弟子と唸らされるものばかりだった。

彼女は僕やユイにも親しく接してくれた、まるで姉の様な人だった。

 

そしてユイ。

数少ない僕を愛称の『アニー』で呼ぶ者の一人で僕の妻、パドメの親友だ。

正直天然で勉強は全くと言って良い程出来なくて空気は読めるが心は読めないのか的確に地雷を踏み抜き、結婚禁止のジェダイに対してもそれらしい臭いを嗅ぎつければコイバナを始める先に述べた二人とは別ベクトルで大問題なジェダイだ。

 

しかし自己主張は控えめだが、本当に勇気を持ち譲れないことは絶対に譲らない芯の強さも持ち合わせている。

例えば、ハチマンへの愛。

ジェダイ同士の恋愛なんてばれようものなら裁判ものだが、僕はユイを応援していた。

僕とパドメの結婚式に2人を呼んだのもそう言った理由だ。

どこの星だか忘れたが、結婚式で花嫁が投げる花束をキャッチできると次に結婚できるというジンクスがあるらしかったから、それをやってみようという話になって。

 

結果を言うと無理に拾おうとしたユイが派手に転んでハチマンがキャッチしてしまうという結果だったんだが…。

まあ、目的の半分は果たした。

ユイも『あとは女の魅力のしょーぶ!』と、意気込んでいたらしいし、大丈夫だろう。

 

ジェダイとしては僕はアソーカをパダワンに取り、ハチマンは任務の都合上危険すぎる場所に連れて行けないという理由でパダワンを取っていないが、彼女は親しみやすさからイニシエイトの子達からは大人気で、ナイトになってからも弟子はとらずにイニシエイトの子達に剣術指導をしている。

 

それゆえに全線で戦う僕らの力になれないことを悔いているようだった。

その証拠に日に日に痩せていくし、ずっと隠密任務が多いから仕方ないが、ハチマンから連絡が無い事に不安とストレスを感じていたようだった。

僕は心配だ。僕とパドメの場合、パドメが隠れれば結婚その物を隠し通すことは出来る。

けど彼らはジェダイ同士だ。

それが出来ない。それに僕らは今死と隣り合わせの戦争まっただ中。

その中でもハチマンは最も危険な偵察、情報収集、斥候を担当する部隊を率いている。

彼が居なくなるのではないか?彼は帰ってこないんじゃないか?

それがタダでさえ自分を抑える、ため込んでしまう癖のある彼女を暗黒面に寄せてしまっていたのだろう。

だがそれは彼女とハチマンの問題だ。

今の問題は

 

「剣を渡すがいい。最高議長の前で恥をかきたいかね?」

 

この白昼堂々コルサントまで乗り込み議長を誘拐してみせたシスの暗黒卿、ダース・ティラナス、ドゥークー伯爵だ。

 

「アナキン、今回こそ二人で行くぞ!」

 

「もちろんですマスター。今日こそ決着を付けましょう!」

 

「二人では勝てん!あやつはシスだ。」

 

拘束された議長はそう言うがオビワンは極めて穏やかな口調で

 

「ご心配なく。シスの相手は慣れています。」

 

そう言ってローブを脱ぐ。

僕とオビ=ワンはセーバーを起動させた。

ドゥークー伯爵もカーブドヒルトセーバーを起動する。

 

一閃、二閃。光の刃が鎬を削る。

敵のの数手先を、そして信頼する師匠の数手先を読み合い、互いのスキをカバーし、攻め立てる。

しかし流石はマスターヨーダの直弟子。

むしろ歯ごたえある敵と戦えることを喜ぶように笑みを浮かべる。

 

「この日を楽しみにしていた。」

 

「僕も。真のシスをこの手で倒せるなんてまたとない機会だ。」

 

「結構、やれるものならやってみるがいい!」

 

再び切り結ぶ。

途中オビ=ワンが吹っ飛ばされてしまったがすぐにアイコンタクトを取り、挟み撃ちにする作戦を伝えた。

意図を察してくれたオビ=ワンはバトルドロイドを蹴散らしながら反対の階段を上る。

僕はこの日のためにハチマンやユイの協力を得て開発したフォーム5シエン改、ドジェム=ソでドゥークーを後退させる。

 

(なんと奇妙な太刀筋!関節の力の入れ方に体運び!

どれをとっても素晴らしい!ここまで巧みにシエンをものにする戦士が居ようとは!)

 

「驚くのはまだ早いぞ!」

 

僕はシエンの本領の大パワーでドゥークーの防御を崩し、フォース・プッシュを叩き込んだ。

だがタダではやられない。

吹っ飛ばされながらドゥークーは来ていたオビ=ワンの太刀を受け、僕を後ろ蹴りで蹴り飛ばすと、オビ=ワンをフォースグリップで廊下の端まで投げ飛ばした。

打ち所が悪かったのか、オビ=ワンは動かない。

トドメとばかりにドゥークーは足場を崩してオビ=ワンを潰そうとするが、僕はユイから習ったアタロの初動でドゥークーの前まで行き斬りかかる。

 

階段を降り、今度は議長の方に戻りながら切り結び、つば競り合う。

 

「謝罪しよう若きスカイウォーカー、私は君を過小評価していたようだ。

師を攻撃されてなお冷静。そしてその闘志。親ばかと言われればそれまでだが、我が弟子クワイ=ガンの目に狂いはなかったようだ。」

 

「まだまだ、もっと魅せつけてやるよ、曾お爺ちゃん!

今の!僕は!この前の!倍のパワーを出せる!」

 

一気呵成に余談なく剣を振るう。

もしかしたらこの時暗黒面を使っていたかも知れないが、今となってはどうでも良い事だ。

問題は結果。僕はドゥークーの両手を切りおととし、彼のセーバーを拾い上げる。

そして交差させて構え、奴の首に突き付けた。

 

「いいぞアナキン!見事だ!素晴らしい!………殺せ。」

 

議長は満面の笑みで言って見せた。

ドゥークーが驚愕の表情を浮かべる。

僕は今、どんな顔をしているだろう?

 

「……こいつのせいで人々が苦しんだ。

やらなくても良かった戦争死ななくても良かった人達壊されなくてよかったものたくさんある!」

 

思い返すのは泣きながら食堂を後にするユイ。

口論することの多くなってしまったパドメ。

死んでいったクローン、僕の大事な友達たち。

 

「そうだ。生かしておいては余りに危険だ!」

 

「罰を受けるべきだ。仮に共和国やジェダイがこいつらの様に腐っていても無関係な人々を危険にさらして言いわけがない!」

 

こいつに殺されたジェダイ、斬られた僕の腕。

そして壊される街、沈んでいくスターデストロイヤー。

 

「その通りだアナキン!やれ!」

 

「………だからこそできません議長。

こいつが分離主義者の敗北を宣言すれば戦争は終わる!」

 

「残ったガンレンやグリーヴァスが素直に出頭すると思うか!?

あり得ん。その男が頭を下げた所で幾らか士気が下がるだけだ!」

 

「それでもドゥークー伯爵の求心力は絶大だ!

こいつが口をきけば分離主義同盟を裏切る星だってきっとある!

こいつが口を割れば共和国に巣くう分離主義者の手先を炙り出せる!

それに……」

 

アナキンは納刀し、議長の方を向く。

 

「僕はジェダイです。かつてこの男がそうだったように。」

 

「…アナキン、残念だ。」

 

そう言うと議長は、拘束なんか最初からなかったように立ち上がり

 

「はぁあああああーーーーーーー!!!!!!」

 

両手からフォースライトニングを放った。

 

「うがぁああああああ!!!!!」

 

しかしそれを一身に受けたのは立ち上がり、身体ごと盾になったドゥークーだった。

 

「伯爵!?」

 

「オビ=ワンを連れて行け!最高議長がシスマスターだ!」

 

両手を失ってなお、全身に暗黒面を纏って対抗するドゥークー。

 

「ッ………マスタードゥークー!あなたに変らぬ敬意を!」

 

アナキンはフォースで気絶したオビ=ワンを引き寄せて無線を入れた。

 

「R2!先に逃げてみんなに伝えろ!最高議長がシスだった!

僕たちは脱出ポットで逃げる!」

 

アナキンたちが脱出する。

同じころ、押し負けたドゥークーが焼き尽くされ崩れ落ちる。

 

「まさかこの土壇場で裏切るとはなドゥークー。

まあ裏切りはシスの道という事か。」

 

そう言うと議長、否、シスマスターダース・シディアスはホロ通信を入れる。

 

「全クローン兵に通達。オーダー66を実行せよ。」

 

『はい閣下。直ちに。』

 

 

 

惨劇が始まった。

あるもの背後から。あるものはスターファイターごと。

あるものはスピーダーごと。あるものは全方位から。

見方だったはずのクローンに次々と撃たれ、殺されていった。

 

「え………?」

 

付近にクローンは居ないはずの八幡も異常を感じていた。

まるで胸にぽっかりと穴が開いたようにじわじわと、吹き抜けていく感覚が伝わって来る。

 

「マスター……?」

 

それはサイフ・ディアスの死を確信した時と同じ感覚だった。

今、間違いなく、銀河のどこかで、マスターが死んだ。

 

「嘘だろ…。」

 

八幡はそんな事をしても意味がないと分かっていながら副官のジャッキーに通信を入れた。

 

「ジャッキー?聞きたいことが…」

 

『将軍!ご無事ですか!?』

 

「……?まさか、死んだのはマスターだけじゃないのか!?」

 

『!?……アマリリス将軍は、手遅れでしたか…。』

 

「やっぱり一斉にジェダイがやられてるのか?

何が起こってるんだ!?」

 

『オーダー66が、発令されました。』

 

「なん、だと…」

 

ネタでもなんでもなく素で言ってしまった。

オーダー66。ジェダイが共和国にあだ名す存在になった場合、クローンたちに下されるジェダイ抹殺命令。

 

「……お前ら、もう俺に通信するな。

もしこの会話を聞かれればお前たちは軍法会議を免れない。」

 

『何を言われます将軍!今すぐそっちに助けに向かいます!

カーター!船を用意しろ!すぐに座標を…』

 

八幡は一方的に通信を切ってライトセーバーでホロ再生装置とコムリングを破壊した。

ライトセーバーも捨てるべきだったが、もし見つかった場合、丸腰でクローンたちにかなうとは思えない。

 

ジェダイローブだけ脱ぎ棄ててフォースで近くのデイパックを万引きして、そこに二本のセーバーを隠し、引き続き結衣を探した。

コルサントに常駐してるクローンを避けながら歩いていくと、公園のベンチに座って泣いている結衣がいた。

 

「よう。」

 

「……ヒッキー…。」

 

「隣、いいか?」

 

「うん。」

 

隣に腰を下ろし、八幡はすごく迷ったが、結衣に全てを告げた。

オーダー66のこと、アリスが死んだこと、そして今も多くのジェダイが殺されている事。

 

「待ってそれじゃあ聖堂は…」

 

「多分、もう……ジャッキーたちは命令違反しても俺たちを助けてくれるって言ってたけど、アイツらに迷惑はかけらんねぇ。

ナブーの大使館に駆け込むのも論外だ。パドメやアナキンを巻き込んじまう。」

 

「……ねえヒッキー。だったら2人で逃げようよ。

2人だったらきっと大丈夫だよ。」

 

「それは駄目だ!人数多ければ見つかる確率は上がるし、

多くのジェダイにこのことを伝えないといけない!」

 

「じゃあジェダイなんかやめる!」

 

そう言って結衣はジェダイローブをかなぐり捨てると八幡に飛び掛かった。

 

「な!?お、おい由比ヶ浜!」

 

「結衣!結衣って呼んでよぉ……。」

 

覆いかぶさる結衣の目涙があふれる。

 

「あんでヒッキーはいっつも一人で全部どうにかしようとするの!

頼ってよ!わたしたちを頼ってよ!分かってるくせに見ないふりしないでよ!」

 

「……由比ヶ浜お前の想いは…」

 

「欺瞞なんかじゃない!!!!!」

 

遂に涙がこぼれ始める。その表情は苦しそうで悔しそうで、そしてひどくすがるようなものだ。

 

「お願い…八幡くん。わたしの想いを確かめて。

信じられないなら触れてみて。

本当に、絶対あり得ないけど本当に分からないならせめて分かろうとして。

わたしを分かって八幡くん…。」

 

八幡は初めて、己の身がひどく小さいように感じた。

目の前にいる少女が真剣であると分かっていた。

それなのに自分は一方的に受ける愛を求め続けて『本物』だの『欺瞞』などと区別してなんと傲慢だったんだろう。

 

『本物が欲しい。』

 

それと同時に『本物になりたい』と願っていなかった自分は何て一方通行。

かつての生で嫌ったリア充どもと何が違ったんだ?

しかし、未だに心の奥底から自分の黒い声がする。

 

『また騙されてるだけだぞ?』

 

『友達なんてお前に出来る訳が合ないだろ?

恋人なんてなおさらだ。』

 

煩い黙れ。

いい加減振り切りたいんだ。

少しでいいから声を小さくしろ。

確かに人の悪性の方が色々と納得できることが多い。

経験に裏打ちされたそれは間違いなくそうだろう。

だけど…

 

「お前も、俺を分かってくれ。結衣。」

 

結衣は貪るように八幡の口に舌を入れた。

八幡もそれに応えるように舌を絡めた。

 

『ちっ!バカップルかよ…』

 

『昼間っからお熱いこった。』

 

『早く行くぞ、今はジェダイ探しが優先だ。』

 

幸か不幸かコルサントガード達は気付かずに素通りしていった。

恋愛をしている以上ジェダイでないと判断されたからだ。

そして彼らが去って行った後

 

『(ピコピコとやや呆れたようなトーンの電子音)』

 

入れ替わる様に様子を窺っていた二人にとってすごく見覚えのあるアストロメクドロイドが出て来た。

 

「ぶっは!R3!?お前何時から!?」

 

ピコピコと再び呆れたように電子音を鳴らすR3。

 

「ディープで熱いのかます前からだと!?それって全部じゃねぇか!」

 

そーゆーのは寝室かホテルでやれし。とR3は溜息を吐くように電子音を鳴らす。

 

「ていうかお前は何でことに?………船が有る!?ちゃんと二人乗りだろうな?」

 

勿論抜かりないと言う様な自身に満ちた電子音を鳴らす。

それを頼もしく思い笑う八幡。

 

「早速先に行って準備を頼む。俺は…」

 

ドロイドとは言え旧知の仲の者にガッツリ見られてしまった結衣は完全に硬直していた。

彼女を見ながら八幡は苦笑いして

 

「早速このお姫様のエスコートをしないといけない。」

 

 

 

刃を振るう。白い装甲が崩れ落ちる。

刃を振るう。またどこかでジェダイが死ぬ。

刃を振るう。まるで状況がつかめない。

 

もう何人のクローンを切ったか分からない。

雪乃は返り血まみれになり、憔悴しながらも自身の紫色のライトセーバーを振るうのをやめなかった。

やめれば殺される。

クローンたちに殺される。

もう既に聖堂に残っているジェダイはかなりの数が殺されたのだろう。

いい気味だ。雪乃はクローンに対する感情なんてかったし、戦果は大して変わらないはずなのに自分よりもアナキンや八幡を評価する周囲には不満しかなかったからだ。

 

こいつらさえ殺せば自分は助かる。

こいつらさえ殺しきれば周りは自分を評価する。

こいつらさえこいつらさえこいつらさえこいつらさえ!!!!!

 

『撃て!』

 

銃声。雪乃のセーバーが弾かれ、続いて両足、両手にレーザーが当たる。

 

『いい姿ですね、将軍。』

 

撃ったのは雪乃の副官のクローンとその部下たちだった。

 

「このぉおおおお!!!殺してやる!殺してやるぅううう!」

 

『冥途の土産にいことを教えてあげますよ。

クローンの頭にはオーダー66を強制するためのバイオチップが入っているんです。

けど俺たちはアンタの無茶な作戦でよく怪我してたんでね、ある時それに気付いて外してたんですよ。

時間とタイミングが有ったやつは全員。』

 

「じゃあなんで私を撃った!?」

 

『アンタが憎いからだよ。助けられた兄弟を見捨てさせ、払わなくていい犠牲を払って自分の名声の為だけに俺達を道具扱いしたお前を!』

 

そう言ってコマンダーはブラスターピストルを突き付ける。

 

『安心しな。俺たちは兵士だ。銃殺隊じゃない。

犯して殺すなんて野蛮な事はしない。ただこの一撃で地獄に送る!

あの世で兄弟たちに詫びろ!』

 

コマンダーは引き金を引いた。

雪乃は動かない。徐々に徐々に真っ赤な血だまりが広がっていく。

 

『…さて、兄弟たち。俺はこのままオーダー66に従う。

だが、もしジェダイを助けたいと思うものはここを離れてくれて構わない。』

 

誰一人、動く者はいなかった。

 

 

 

コルサントを脱出したアナキン、オビ=ワン、八幡に結衣たち残りのジェダイは数少ないジェダイたちは味方したクローンたち、主に後方送りになってからチップに気付いて自分で除去していた者たちや、ファイヴスの訴えに耳を傾け、チップを抜いた者、中には本当に一握りだが理性で抗い、仲間に合流してからチップを抜いた者らと共に惑星オルデランに集まっていた。

 

「凄い…13大隊、501大隊、104大隊、212突撃大隊、ARCトルーパーにクローン・コマンドー、シャドウ・トルーパーまで!」

 

生き残ったパダワンの一人が歓声を上げる。

きっちりとクローンアーマーを着こんでる者から急いできたのか傭兵同然の格好の者まで様々だが、クローンたちへ命令ではなく自分の意思で戦友の為に集まってくれた。

 

「ジャッキー、カーター、ルディー、レイモンド、アイザック、キット、ブラッド、マイロ、タイロン…お前ら本当に良かったのか?」

 

『もちろんです将軍。俺らを道具としか思ってないパルパティーンなんかより、俺らを本物の仲間と言ってくれるあなたについて行きます。』

 

『それにまだユイ将軍との式に呼んでくれてませんからね。』

 

「る、ルディー!お前な!」

 

「まだキスしかして………あっ……」

 

やっちまった、と二人が真っ赤になってうつむく。

クローンたちはヘルメットの下で生暖かい笑みを浮かべながら拍手を送った。

 

「……消えたい。」

 

そんな一幕があったが、ARCSの一人が通信を傍受して暗号を解読すると様子は一変した。

 

「パルパティーンはムスタファ―に向かう様です。

そこに分離主義者の主なメンバーやモールにグリーヴァスも居るものと思われます。」

 

「なら指針は決まった。各員偽装した船でムスタファ―に向かう!

恐らくパルパティーンはこのままジェダイを粛清していくのと並行して分離主義者を一掃し、共和国の権限を独占するつもりだろう。

つまりこの戦いはジェダイの滅亡、クローンの尊厳、そして銀河の今後1000年をかけた戦いになる!

皆、僕たちについて来てほしい!」

 

『『『『『サー・イエッサー!』』』』』

 

現状唯一のジェダイ評議員のアナキン指揮の元、留守を預かるパダワン達と一部クローンを除き全員が戦闘態勢になる。

 

「八幡!」

 

「結衣…行ってくる。帰って来る。」

 

「うん。いってらっしゃい。」

 

「ルディー、結衣たちを頼んだ。」

 

『お任せを。花嫁には指一本触れさせません。』

 

「よし、R3ついて来い!予備のスターファイター借りていくぞ!」

 

次々と戦闘機に乗り込んでいくジェダイとクローンたち。

 

『レッドリーダー、準備完了。』

 

『イエローリーダー、いつでも行けます。』

 

全ての機体の準備が完了し、いつでも飛び立てる用意が整う。

 

「R2、準備は良いな?」

 

機嫌のよさそうな電子音が返ってきた。

万ぞくっげに微笑むとアナキンは操縦かんを握る。

 

『こちらエイザー・エンジェルⅡ。準備完了だ。

これよりムスタファ―に強襲を仕掛ける!

この戦いをジェダイとシス、そしてクローン戦争の最後の戦いとする!

フォースと共に、あらんことを!』

 

 

 

ムスタファ―は煌々と燃え盛るマグマの星だった。

そこの基地に一人、クローンを従え立つパルパティーン、ダース・シディアス。

 

「遅かったなアナキン。」

 

「急いだほうだよ、シディアス。」

 

そう言ってアナキンは自身のセーバーとドゥークーのセーバーを。

横に立つ八幡も自分のとサイフォから贈られたセーバーを構える。

 

「では始めるとしようか、選ばれし者よ。

そっちの無名のジェダイもろとも切り刻んで溶岩に沈めてくれよう。」

 

 

 

勝ち目のない戦いだった。

 

敵は数でも質でも勝るドロイドとクローンの混成軍。

率いるはジェダイ・キラーのグリーヴァス将軍。

 

大してジェダイたちは僅かなクローンと運よく生き延びた数人のジェダイのみ。

戦局は絶望的と言ってよかった。

 

だが誰もが諦めていなかった。

クローンも、ジェダイも、陸で戦うものも、宇宙で戦う者も、空で戦う者も。

そしてオルデランで帰りを待つ者たちも。

 

「撃て!撃てぇええ!!!」

 

「ブリキ野郎どもやシスの奴らにクローンの魂を見せてやれ!」

 

「宇宙の藻屑にしてやる!」

 

「絶対に生き残る!」

 

「負けてたまるかぁああああ!!」

 

最後の希望を捨てぬ限り、勝負の行方は分からない。

 

 

 

セーバーなどただの道具。

シスがそう断ずる理由を八幡とアナキンは体感していた。

巧みなフォース操作に、強力な攻撃技。

シスにとってセーバーとはあくまでジェダイに対抗する手段でしかなかったことを痛感する。

 

「はははははは!選ばれし者とはその程度かアナキン!

そんな有様でシスを滅ぼすなど、方腹痛いぞぉおおーーーーー!!!」

 

2人は交差したセーバーでフォースライトニングを受ける。

そのあまりの威力に二人は吹っ飛ばされた。

セーバーも八幡の二本とドゥークーの物はマグマに落ち、残ったのはアナキンの物のみ。

 

「最後だ!無限のパワーをぉ!くらえぇえええ!!!」

 

そう言ってシディアスが大きく振りかぶる。

そこに

 

『将軍!そのまま伏せていてください!』

 

一機の制御を失ったARC-170スターファイターが突っ込んでくる。

 

「おい…まさか!」

 

『お仕え出来て光栄でした。

どうか我らに勝利を!さらばです!』

 

六発のレーザー砲がパルパティーンを襲う。

当たることはなかったが、それが造り出した勝機はスーパースターデストロイヤー10機の撃墜に比肩するものだった。

 

「ハチマン!」

 

「アナキン!セーバーを!」

 

フォースでパスされセーバーを握り、八幡は残った全ての力をフォースに回して身体強化を行う。

アナキンも残る全てのパワーをもって八幡をアシスト。

一人のフォース・センシティブの全力に選ばれし者の全力を重ね掛けした八幡はほんの一瞬だったが間違いなく銀河最強の力を発揮していた。

ジェット機より早くパルパティーンの懐に潜り込み

 

「はぁああああ!!」

 

脇から反対の肩に向けて思い切り振りぬいた。

崩れ落ちるパルパティーン。

八幡は膝を付き、胸に手を当て、ため息をつく。

 

「ハチマン!大丈夫か!?」

 

「どうにかな。それより…俺がやったのか?」

 

「ああ。どうやら僕が選ばれし者なのは間違いだったらしい。」

 

「何言ってんだ。皆をここまで引っ張って来たのは誰だ?

奴の正体を暴いたのは?ここまで迅速に動けたのは?お前がいたからだろ?」

 

「……そういう事にしておくよ。

こちらスカイウォーカー。全員に次ぐ。

シスは落ちた。繰り返す。シスは落ちた。

直ちに撤退。戦争は終わった。」

 

 

 

翌日、コルサントにてアミダラ議員主導の元、パルパティーン一派と分離主義者たちは第一級戦争犯罪者として逮捕され、法の裁きを受けることとなった。

同時にバトルドロイドたちには停止命令が下り、クローンたちにはこのまま兵役を続けるか、退役するかが問われ、共和国軍は警察機能こそ残したが規模を縮小。

ジェダイ・オーダーも銀河をジェダイとシスの戦いに巻き込んだとして解体が言い渡された。

 

生き残ったジェダイたちは調停者としての伝を使って外交官になったり、セイシ―・ティンの様に宇宙船設計士として新たな余生を過ごす者やメイス・ウィンドウの様にジェダイ寺院の一つを拠点とし、後任育成を続けるものもいた。

 

そんなアナキンたちは

 

『失礼します。国王陛下。』

 

「レックス!国王陛下は辞めてくれ。ガラじゃない。」

 

『そう言われましても今のわたしはナブー王室の近衛兵長で、あなたは女王の夫です。』

 

正式にパドメの夫となり、ナブーで暮らしていた。

タトゥイーンで隠居しているオビ=ワンとも連絡を取り合いつつ周辺の星同士の諍いの調停をしながら過ごしていた。

 

「ハチマンとユイは?」

 

『新兵共の訓練は今日は午前中しかないので、今頃、夜もまだなのにアッツアツなんじゃないですか?』

 

「それはないな。何なら夜でもない。」

 

『……まさかあなたに続いて彼らも?』

 

「今朝ユイのうれし泣きが止まらなくて大変だったと愚痴っていたよ。」

 

『幸せな悩みですな。』

 

「君にもいつかわかるさ。今度パドメの近侍からいい人を紹介しようか?」

 

『それは是非。』

 

2人は木漏れ日の差し込む王宮の廊下を進んだ。

反対からはお腹の大きくなってきたパドメがアソーカと共に歩いてくる。

ようやくつかんだ戦争の無い時間。

だけどまだ本当の平和じゃない。銀河にまだ、悪の芽は残っている。

 

「戦うさ。この本物の幸福を守る為に。」

 

『どこまでもお供します、将軍。』

 

四人は決意をした眼差しになる。

また次の戦いだ。全ては銀河の秩序と平和の時代の夜明けの為に。




お読みくださった全ての読者様がフォースと共にあらんことを。
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