1
人は、いつだって人生を考え直す時が来る。
成功だったり失敗だったり、幸福だったり不幸だったり、原因は様々だが、必ず、人生を見つめ直す時が来る。
(私にはそれが遅すぎた……。)
白い服の上にジェダイローブを羽織った白い髭の男、アナキン・スカイウォーカーの師匠、オビ=ワン・ケノービは一人心の中で呟いた。
「全員しっかり捕まっててくれ!こっからは荒れるぞ!」
操縦席の方から無鉄砲なアウトローにして、今オビ=ワンたちの乗る輸送船ミレニアム・ファルコンの船長、ハン・ソロが叫ぶ。
すると彼の隣に座ってるであろう彼の相棒、ウーキーのチューバッカが抗議の声を上げた。
「ああ分かってるよファルコンは万年ご機嫌斜めだ!
チューイ!それとそっちのアストロメク!ご機嫌取りは任せた!」
無茶言ってくれる!とでも言いたげにアストロメク、R2-D2が甲高い電子音を上げる。
(ああ、片頭痛がする…)
オビ=ワンはジェダイ時代、アナキン(たまにアソーカやレックス)が思いついた無茶な作戦に全部賭けた時の事を思い出した。
どう考えたって整備不良のこの船で連続ジャンプなんて間違ってる。
「多少は安定させてよ!?そしたら全部撃ち落としてあげる!」
主砲の方からレイア、昔あった時は素直でいい子だと思ったのに数年見ないうちにすっかり濃厚に受け継いだ父親の血を覚醒させた問題児の勇ましい声が響く。
続いてレーザー砲の発射音と、スターファーターが撃墜される音がする。
(私は何でこんなところにいるんだっけ?)
オビ=ワンは椅子から転げ落ちない様にシートベルトを締めるとゆっくりと目を閉じた。
2
まず振り回され始めたのは変わり者のジェダイ・マスター、クワイ=ガン・ジンに見いだされて聖堂の農場から連れてこられてパダワンになったのが始まりだった。
マスタークワイ=ガンは、兎に角自由なジェダイだった。
時に掟を平然と無視し、時に評議会に食って掛かり、時に任務の為ならいかさまギャンブルやスリとか平気でやって見せたり…。
そんな彼が優秀だったのが始末に負えなかった。
人間種の50代後半、あのパルパティーンより年上でありながら最もアクロバットなフォーム4を高出力セーバーで使いこなし、生と死によるフォースのバランスの変化を研究し、初めて自らの意思でフォースと一体になってなお自我を保ち続ける事に、フォース・ゴーストになることに成功した偉大なるジェダイ・マスター。
対立したことは何度も有ったし、すれ違いも有ったし彼へ復讐心を持つ一つ上の兄弟子に復讐の一環で消されかけたことも有ったけど尊敬してたし、今でも絆が有ると思っている。
それは彼に託された弟子のアナキンにも言えるが、完全衣周りに合わせる必要は無かったがもう少し、本当にもう少し周りに気を使ってくれてよかったんじゃないか?
3
アナキンを弟子にとってしばらく経ったころ、やはりアナキンは浮いていた。
ジェダイで唯一母の記憶を持ち、さらに伝説に記されし選ばれし者とくれば、多くのジェダイは彼を遠巻きに見ているだけだった。
特に掟に厳しい連中なんかはアナキンに対して明らかな不信の目を向ける事も有った。
しかしそんな中
「アニー!やっはろー!」
彼に全く臆せず話しかける者がいた。
ユイ・ユイガハマ。アナキンとは同い年で、後にオビ=ワンの2つ上の兄弟子、フィーモアのパダワンとなる少女で、彼の親友となる少女だ。
彼女とアナキンが話してるのを初めて見た時、なんだ、仲いい子もいるじゃないかと安心したのを覚えている。
「やあユイ。あいかわらず変な挨拶だな。
マスターウィンドウあたりには止しとけよ?」
「へへ、アニーってヒッキーと同じ事を言うんだね。」
「ああ、今そのハチマンを探してるんだが、みなかったか?」
そのセリフを聞いた瞬間、オビ=ワンは自分の表情が凍りつくのを自覚した。
ハチマン・ヒキガヤ。
オビ=ワンから見れば大師父のドゥークー、愛弟子クワイ=ガンの死をきっかけに還俗して実家の資産を継いで良からぬ事を企てているあのドゥークーの親友、サイフォ=ディアスお気に入りの孫弟子。
はみ出し者の偏屈者でセイシ―・ティンやクワイ=ガンのパダワン時代からの親友、プロ・クーンからはやたら気に入られており、それが原因で掟に厳しい連中から疎まれ、それがもとでまた可愛がられ嫌われての負のスパイラルにはまってると評判のパダワンだ。
しかも彼のマスターは平然と公文書館や評議会に悪戯を仕掛けるマスターアマリリスと来た。
(……フォースの意思よ、なぜアナキンにまともな友人を与えないのです?)
その時、オビ=ワンは初めてフォースを呪ったかもしれない。
4
そしてクローン戦争の幕開けとなったジオノーシスの戦い。
ドゥークーとの戦いに敗れたオビ=ワンとアナキン。
なんとかヨーダとパドメが率いてきたクローンたちのお陰でドゥークーを撤退させることが出来た。
「うぅ……パドメ。無事でよかった…」
「アナキン!まぁ…なんてひどい…腕が……」
「じゃが命は助かった。サイバネティック手術などで義手を付ければ今までと変わらん生活が出来る筈じゃ。」
「よかった…」
「マスター、僕の事はいいです。それより、この場にハチマンとユイがいるのでは?」
「確か、あなたの自慢の友人たちよね?」
「ああ、彼らを最初に率いて来たのはパダワン・ヒキガヤじゃ。」
「なんだって!マスターヨーダ!パドメを頼みました!君らも頼んだぞ!」
『『『サーイエッサー!』』』
アナキンはさっきまでのダメージなんかなかったように飛び起きると一目散にクローンを掻き分けて二人の元に向かってしまった。
(アナキン…私は無視か?)
オビ=ワンは少し泣きたくなった。
5
(そしてクローン戦争が始まってからは破天荒な孫弟子の無茶に輪をかけて勇猛果敢になったアナキン。
少しは2人のストッパーになるかと思ってハチマンを501大隊麾下の特殊部隊隊長に推薦してみればむしろ彼の活躍のお陰でアナキンたちは大暴れ。)
日に日に胃薬と頭痛薬の量は増えていき、睡眠時間はそれに反比例して減って行った。
それは結衣もで、たまに聖堂の食堂で会うと愚痴を言い合った。
「アナキンもハチマンも無茶をし過ぎなんだ!
アソーカもレックスもジャッキーも二人を信頼しすぎてる!
いや、たまに止めてくれるが時々2人でも思いつかないような爆弾を思いつく!
あのコーディーさえもそうだ!
少しは自分がやられるとか考えないのか!?」
「そうだよぉ!確かに私じゃ頼りないかもしれないけど少しぐらい連絡が有ったっていいじゃん!
ヒッキーの馬鹿!ボケナス!八幡!みんながそんなんだからアニーもヒッキーもどんどん遠くに行っちゃうんだぁ!」
因みに彼女が想いを爆発させた時変に八幡をなじったりしなかったのは、少しながらこういったガス抜きが出来ていたからでもある。
地味にファインプレーだ。
(その後にオーダー66の動乱…アナキンとパドメが結婚したりハチマンとユイが結婚したり色々あったが…)
まさかその子供にまで振り回されるなんて思っても居なかった。
6
『たすけてオビ=ワン・ケノービ、あなただけが頼り。』
そんな通信が来たのが1年前。
ジェダイオーダー解体後、タトゥイーンで隠居していたオビ=ワンはアナキンの娘、レイアからのSOSを受けた。
レイア・スカイウォーカー。
アナキン譲りのパイロットセンスを開花させ、共和国アカデミーへの進学を希望した息子、ルークに代わって時期ナブー王と期待された才女。
そんな彼女が居なくなったと知らせだけは聞いていたオビ=ワンはライトセーバー片手にスピーダーを飛ばして指定された座量に向かう。
そこでは
『事件発生事件発生!ジャパ・ザ・ハットの勢力と青いライトセーバーを持った少女が戦っている!
女は白い服に茶色がかった黒髪を2つ団子を作っていて、青いR2型のアストロメクを連れている!繰り返す…』
通り過ぎていくストームトルーパーの一団のリーダー格の声を聴いてオビ=ワンは真後ろに倒れかけたが何とか踏みとどまった。
(ジャパ・ザ・ハット?あの、犯罪組織の首魁の?)
トルーパーたちの後をついて行くと本当に様々な種族のならず者を相手にガトリングブラスターを乱射するレイアと、叫び声を上げながらアームを器用に使ってブラスターピストルを撃つR2-D2の姿が有った。
(ああ、あの打ち方はハードケースが教えたんだな…)
今度会ったら絶対にフォース。プッシュを叩き込んでやると思いながらオビ=ワンはライトセーバーを起動させる。
「あれは…」
『ケノービ将軍!?』
トルーパーのリーダーが敬礼をするとそれにならって他のトルーパーも敬礼をした。
どうやら212突撃大隊出身のクローンだったらしい。
『隊長、指示を!』
『将軍とあのパダワンを援護!犯罪者どもに共和国の正義を見せてやれ!』
『『『サーイエッサー!』』』
トルーパーたちに殿を任せてオビ=ワン達はその場を後にした。
7
「その後は大変だった…。整備不良のガラクタ貨物船で任務でお前たちに同行した時でもなかったようなドックファイトをさせられ捕まってカーボン冷凍されたり、挙句ラスターの餌にされかけたり…」
遠い目をしたオビ=ワンはようやく語り終えると、黙って聞いていたアナキン、八幡、結衣、ユキノを順番に見る。
「「「「うちの娘(姉)がご迷惑をおかけしました…」」」」
3人は深く深く頭を下げる。
部屋の外ではレイアがパドメとアソーカに今までにないぐらいに怒られていた。
『はっはっは!レイア嬢もシャイニー卒業ですか。
ルーク坊ちゃんに続いてこれは将来が楽しみだ。』
「レックス、笑い事じゃないぞ…」
「下手したら分離主義者より厄介なのと戦ってたんだから!」
「そうだよ危なかったんだから!」
「まあ、あの砂の塊からでかい害獣が一匹減ったんなら少しはラーズ達にとって住みよくなったことに関しては手放し人褒めてやっていいが。」
「「「アナキン(パパ)(アニー)!」」」
ああ、やっぱりレイアはこの男の娘か、とオビ=ワンが再び片頭痛を覚えていると、しょげた顔したレイアが入って来た。
「レイア。」
アナキンが名前を呼びながら立ち上がる。
ビクッ!と身構える彼女だったが、アナキンは彼女の頭を撫でると
「これからしばらく門限は10時までだ。
それからあのチンピラ坊主と付き合ってもいいが何か仕事を受けてる時に行くのは禁止。いいな?」
「アナキン!?」
「お父様!?……はい!今度こそ約束は破りません!」
そう言って頭を下げるとレイアは出て行ってしまった。
「あ、アニー!?本気で言ってるの!?」
「おいおいおいおいおい!相手は密輸やってる悪ガキだぞ!?」
「いや、禁断恋愛がどうとか僕らが言えることかい?」
「いやそうだけど…」
『ご心配なく。あのガキとウーキーは鍛え直します。
エコーとカーターを付けましょう。』
「お手柔らかにな。」
クローン戦争中と全く変わってないやり取りにオビ=ワンは深い深い溜息をついた。
(ルーク、君だけはどうかまともであってくれよ…)
そう願うオビ=ワンだったが同じころ、共和国軍のヘラ・シンドゥ―ラ教官率いる訓練生試験がある宙域で行われていた。
7機のYウイングが編隊を組んで飛行してると
『こちら管制室!スペクター1、応答願う!』
「こちらスペクター1、管制室どうぞ。」
『現在そちらに向かって分離主義同盟の残党と思われるドロイドファイターが接近中!あと少しでハイパースペースを出る!』
「わかったわ。こちらスペクター1から全機へ。
総員撤退!訓練はまた今度よ。」
そう言ってヘラは自らが駆るYウイングを反転させるが
『意見具申!こちらファントム4!
我々の装備は実弾レーザーです!奴らを市街地近くに招くより、ここで迎撃すべきかと!』
ファントム4…ルークが血気盛んに意見する。
「馬鹿言ってんじゃないわよ訓練兵。
Yウイングでドックファイトなんて私でもやりたくない。
さっさとお家に帰るわよ。後はプロの…」
『教官!敵さんがお出ましです!!』
「え?もう!?」
『撃って来た撃って来たぞ!』
『総員散開!今こそ訓練の成果を見せる時だ!』
ルークの号令にほぼ全員が同調してドロイドファイターから逃げ始める。
「勝手に命令しない!そして交戦しない!あーもー!
管制室!こちらスペクター1!援軍を寄こして!それまで持ちこたえる!」
『こちら管制室。了解だ。愛しのケイレブ将軍を向かわせるよ。』
『よっしゃ!軟弱なシールド付きファイターに乗ってるお子様共に俺達TIE戦闘機部隊の力を見せてやるぞ!』
『『『オー!』』』
『xウイング隊!目玉野郎どもに後れを取るな!
真に優れたスナブファイターとは何か!ガキどもに魅せつけるぞ!』
『『『オー!』』』
触発された現役軍人たちも次々とファイターに乗り込んでいく。
銀河の彼方でオビ=ワンの望みは脆くも断たれていた。
冷静に考えて見ると
ヨーダ
・ジェダイを増やし過ぎてフォースのバランスを崩した戦犯。
齢900歳で最も疲れる型のアタロを使いこなすアグレッシブお爺ちゃん。
↓
ドゥークー
・とんでもない過激派演説ぶち上げてクローン戦争の火種に特大の薪と空気を送り込んだ挙句独立星系連合のトップまで務めたアグレッシブお爺ちゃん。
↓
クワイ=ガン
・わかりやすく破天荒な変わり者。
この人も師匠や大師父に似て型の任務もアグレッシブなお爺ちゃん。
↓
オビ=ワン
・珍しく大人しい方だが、過激な交渉も辞さない一面も。
↓
アナキン
・一歩間違えれば無敵のシスになっていた結婚、スターファイターの無断魔改造、ドロイドの所有と掟破りまくってた問題児。
正史においては全盛期過ぎてる上にフォースの絶対量減っていたにもかかわらず皇帝の8割ぐらいの実力を誇った怪物。
その才能と問題や息子、果ては孫にまでしっかりと受け継がれている。
↓
アソーカ
・エンドアの戦い後も生き残った元パダワン。
独断専行、待機命令無視など彼女もアナキンに負けず劣らずアグレッシブな問題児。
総評
・火を見るより明らかな脈々と受け継がれているぶっ飛んだ才能とどう見ても問題児問題とスターウォーズのおじいちゃんたち元気すぎ問題。