どこまでも真っ直ぐでお人好しな酒場の白兎   作:花見崎

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EP11 英雄の形

『英雄』とは一体なんだろうか

 

 

 

 

万物を救う1か、誰かのために立ち上がれる100か

 

 

 

 

誰かが誰かを『英雄』であると言えば彼は誰かにとっての『悪』である

 

 

 

 

(ベル・クラネル)もまた、英雄足りうる存在だった

 

 

 

 

誰かのために立ち上がり、100を救った『英雄』

 

 

 

 

ただ、彼が英雄と呼ばれることは無い

 

 

 

 

()()()()()ではあっても、万人のための『英雄』にはなれない

 

 

 

 

そう、()()()()になることは決して

 

 

 

・・・・

 

 

 

 

「へぇ、ザルドの技を誰かが、ね。」

 

 

 

 

 

「そうや。あの技はあの(大抗争)を知っとる子らでも知る人は少ないねん。それを使えるとなると最悪の場合・・・」

 

 

 

 

「・・・それ以上は辞めておこうロキ。()()()()()()()僕ら(人 生きとし生きるもの)にとっての悲願でもあるが、名の通りあってはならないものだ。例え、全員がそれを望んだとしてもね。」

 

 

 

 

【暴食】(ザルド)【静寂】(アルフィア)は死んだ

 

 

 

 

7年前、【暴食】と【静寂】達によって引き起こされた『大抗争』

 

 

 

 

 

当時を知るもの、知らないもの。全ての認識はここに収まる

 

 

 

 

魔法とは唯一無二の武器であり、レフィーヤ(例外)はあれど、言ってしまえば1種の存在証明と言っても過言ではない

 

 

 

 

それも、1度死んだはずの【暴食】の魔法を誰かが使ったのだ、衝撃は計り知れない

 

 

 

 

常識なんてものは存在しえない迷宮(ダンジョン)ですらまず理解は追いつかない

 

 

 

 

『輪廻転生』はあれど、死者が蘇るなど、あってはならない

 

 

 

 

「せやけどなぁ、あの時の事もある。このまま見過ごすっちゅうんか?」

 

 

 

 

「リヴェリア達には伝えるつもりさ。ただし、あまり広げすぎると混乱を招く恐れもある。ロキもその辺りは頼むよ。」

 

 

 

 

「結果ウチらの恩人に変わりないしなぁ。」

 

 

 

 

「一応ギルドには僕から上手く伝えておくよ。彼が敵か味方かを判断するには早いが、彼が魔法を使ったことは事実だしね。」

 

 

 

 

・・・・

 

 

 

 

「いらっしゃいませ!あ、リュー!久しぶり!」

 

 

 

 

「えぇ、久しぶりですシル。」

 

 

 

 

『豊穣の女主人』裏口、通りに面しているとはいえ表口が広い通りに面してることもあり、普段から人通りは少ない

 

 

 

 

シルの日課になりつつあるお弁当を済ませ、店に戻ろうとしたシルは後ろからリューに呼び止められる

 

 

 

 

「ふふ、来てくれるのは嬉しいけどベルさんなら居ないよ?」

 

 

 

 

「ど、どうしてそこでクラネルさんが出てくるのですか!」

 

 

 

 

「だって、リューってば最近ベルさんと楽しそうによく話してるじゃない。」

 

 

 

 

「あ、あれはいわゆる世間話というものであって別段深い意味はありません!」

 

 

 

 

「ふふっ、そういう事にしとくね。それで、今日はどうしたんです?」

 

 

 

 

「いえ、クラネルさんが出る前に少しお話をと思ったのですが遅かったですね。」

 

 

 

 

「ベルさん、いつも早いから・・・朝くらいゆっくりしていけば良いのに。」

 

 

 

 

少しふくれっ面でバベルを見上げるシル

 

 

 

 

「いえ、今回の訪問は突然でしたので致し方ありません。言伝と言っても、大したことではありませんので。仕事の邪魔をする訳にもいきませんのでここで。」

 

 

 

 

「良いの?ベルさんへの伝言なら帰ってきた時に伝えておくよ?」

 

 

 

 

「いえ、もう言伝は必要が無くなってしまったので。そうですね…では一言だけ。無茶しないようにとだけ伝えてください。」

 

 

 

 

シルに1つお辞儀をしてその場を立ち去ろうとする

 

 

 

 

「本当に()()だけでいいの?」

 

 

 

 

「・・・・」

 

 

 

 

シルの言葉に立ち止まり、少し思念したあと

 

 

 

 

「大事なことは直接伝えることにしました。」

 

 

 

 

それ以上、言葉は紡がれなかった

 

 

 

 

 

・・・・

 

 

 

 

灰を被ったような濁った空から降る雨が地面にシミを作り水溜まりを作っていく

 

 

 

 

 

昼間の喧騒は薄れ、雨粒の水たまりを打つ音だけが周りに響いていく

 

 

 

 

 

「だ、大丈夫ですか…?」

 

 

 

 

地面にはおびただしいほど流れ出た血が水溜まりと混ざり、止まることを知らない

 

 

 

 

「すみません…お見苦しいところを見せてしまい。しばらくしたらここから立ち去るんで…」

 

 

 

 

「でも大怪我してますよね!?とにかく私の職場まで案内するので行きませんか?」

 

 

 

 

ウェイトレスの格好に身を包んだ女性に肩を持たれながら、白髪の男性は路地の奥へと消えていった

ベルにヒロインは

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