どこまでも真っ直ぐでお人好しな酒場の白兎   作:花見崎

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EP12 壊れだした歯車

「・・・フィルヴィスさん?」

 

 

「どうした?・・・ってとぼけても無駄だな。」

 

 

たまたま出逢えたフィルヴィスさんと一時的なコンビを組む事になり、時間を考えると明日から動くのが妥当と考えて僕達は共に夕食を摂ることになった

 

 

まではいいんだけど、どうもフィルヴィスさんの視線が気になって仕方がない

初対面の時に向けられた敵意とは違う

好奇心から来るのかそれとも不安を孕んでいるのか、余りにも無視しづらい目線を送ってくる

 

 

「初めて対峙した時から疑問だったのだ。何故お前が()()()()()場所にいたのか。」

 

 

「・・・・」

 

 

僕と彼女の出会いはダンジョンだった

ダンジョン内で闇派閥(イヴィルス)を追ってた僕達と彼女を含んだ討伐隊が

かち合ってしまった

怪物進呈(パスパレード)によって死に物狂いで戦っていた冒険者達によって全員が巻き込まれ、四つ巴の凄惨たる光景になった

 

 

つまりフィルヴィスさんは僕が何故ダンジョンの奥から出てきたのか。ということだろう

 

 

「・・・そうだね、これからコンビを組もうとしてる人との間の亀裂は崩壊に繋がってくるもんね。せっかくの機会だし、話すよ。」

 

 

「頼む。」

 

 

・・・・

 

 

何時からだっただろうか

順調に回り始めていた筈の歯車に石が投げ込まれたのは

小さな亀裂から大きな崩落へと続くように、投げ込まれた石は歯車自体を崩落させていく

最初に投げ込まれた石は【ヘラ・ゼウスファミリア】の壊滅

三大クエストの1つである『黒龍討伐』の失敗から彼の人生は崩落の一途へと足を運ぶこととなる

 

 

「未来の礎となる為、悪に身を落とさないか?」

 

 

オラリオから追放された後、ゼウスとたった1人の()と共に遠く離れた僻地で暮らし始めて数年、とある1人の神がやってきた

 

 

「ごめんなさい。」

 

 

その言葉に僕は頷けなかった

エレボス様の言ってる事は理解出来る

それでも、僕は神の言う所の『絶対悪』に身を賭すことは出来なかった

 

 

「いや、いいさ。あの子たちから君の事は聞いていた。ダメで元々って奴さ。じゃあ、俺は帰る。またなゼウス。」

 

 

これで、良かったのかもしれない

オラリオに火の海が広がる事は目に見えていたが、自分の無力さを考えれば手を下すのもそれを防ぐことも出来なかった

何より僕には()()()()()が居る

 

 

・・・・

 

 

「ベル。お前には言わなきゃいかん事がひとつある。」

 

 

エレボス様がこの場を立ち去ってから数ヶ月がたった頃、ゼウス様から話を切り出された

 

 

「あ前の母親の姉のアルフィアがザルドと共にエレボスの策に乗ったそうじゃ。」

 

 

「!」

 

 

お義母さんとザルドさんが?どうして?

あの時エレボス様は『ダメで元々』と言っていた。つまりあの時には既に2人に声をかける算段だったはず

あの時、僕が案に乗っていればお義母さんを止めれたのかな

なんて、たらればが通じる訳もなく

 

 

「ベルよ、お前はどうしたい。」

 

 

「僕は・・・」

 

 

「お前がやりたいように動け。これはお前だけの物語だ。」

 

 

「ゼウス様、最後の更新お願いします。」

 

 

「本当にいいのだな?」

 

 

「はい。」

 

 

もう、迷うことは無い

お義母さん達の真意を知るため

僕はもう一度オラリオに戻る

 

 

「新スキル、発動しとるな。」

 

 

「・・ありがとうございました。」

 

 

深く礼をして後にする

 

 

さぁ、紡いでいこう僕だけの英雄譚を

 

 

・・・・

 

 

これは誰からも語り継がれない英雄譚

 

 

『英雄』として語られることの無い

 

 

ただ1人、裏で動いた『英雄』に憧れることの出来なかった1人の男の物語

 

 

そんな彼のスキルは【殺人兎(シリアルキラー)

 

 

 

ベルにヒロインは

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