【ダイダロス通り】
1番の目玉とも呼ぶべき
円形に形成されたオラリオの南南東第3区画に位置し、度重なる区画整理によって狂った広域住宅地
迷宮街の異名を持つほど複雑に入り組んだこの道は案内印はあれど、無視してしまうと冒険者でも迷うほどの複雑怪奇
主に貧民層の人達が住んでいる
そのほとんどが冒険者に含まれない人達である
数日前、ここは戦場と化していた
何者かによって地上で暴れたシルバーバックが暴れだし、この通りに迷い込む形で意図せずともここで1vs1の戦闘が起こってしまった
シルバーバックの出没階層は11階層から
レベル1でも到達できる階層域とはいえ、片や
野に放たれた
ただ、本能に従うままに猛進して行き、取り憑かれたように少年たちを追いかけていく
彼らはダイダロス通りの行き止まりまで追い込まれる
目の前に立ちはだかるは圧倒的格上のモンスター
退路は絶たれた
そして、彼は1人ナイフを獲物に立ち上がる
自分の背格好の3倍はあろう体格差と圧倒的な実力差
圧倒的強者に立ち向かう彼を誰かはきっと嘲るだろう
無謀だと鼻で笑い、見下すだろう
それでも、勝利の女神とは時に残酷で、時に気まぐれだ
誰かがこう言った『人は守るものがあるから強く立ち向かっていく
はたまた誰かはこうも言った『人は守るものがあるからこそ弱くなる』のだと
小さな女神のために彼は1人立ち向かっていく
さぁ、
武器を取れ、その
さぁ、刮目しろ
これは偉大なる英雄譚の1部に過ぎない
それでも、これは後にも語り継がれる1頁なのだ
さぁさお立ち会い、彼の勇姿を目に焼き付けろ
・・・・
シルバーバックは白い大猿の
攻撃時はその巨躯をいかんなく発揮してくる
その巨躯故に小回りは効かない
狭きダイダロス通りと言えど、レベル1の彼が躱す余裕派ある
標的目掛けて飛んでくる腕を足で躱しながら反撃の
二三度躱し、シルバーバックと正面に回って相対する
大振りに振りかぶったシルバーバックに狙いを定め、ナイフを構え大猿の懐に飛び込む
狙うは奴の急所
ダンジョン産のモンスターには共通して心臓部に核が存在する
その魔石を破壊すればどんなモンスターであろうと理論上では倒すことが出来る
そして、彼の刺したナイフは見事シルバーバックの胸へと突き刺さり
シルバーバックは霧散する
そう、彼は無事
その後、ダイダロス通りで一部始終を見ていた人達の中で時の人となっていた
・・・・
「ごめんね、リュー。お買い物に付き合わせちゃって。」
「いえ、今日は非番でしたので。それと
「あ、あれは冒険者さんが頑張ってくれたので・・」
「そうですね、後々彼らにも改めて謝礼をしなければなりませんね。」
建ち並ぶ住宅の影で朝でもほの暗い雰囲気の路地裏を買い物袋を持った2人の女性が歩いていた
「アリーゼ達も捜していますが、白い髪の男性だけでは取っ掛りも掴めないそうで・・・せめて所属ファミリアが分かれば良いのですが。」
「ごめんね、私も聞いてないの。特徴は、そうね・・・ベルさんにそっくりだったかな。」
「クラネルさんに。ですか?」
「白い髪で兎のような見た目。赤い瞳。ベルさんをそのままちぢめた感じで・・・」
「その方なら、昨夜見かけたかもしれません。」
「ホントに?」
「えぇ。昨夜同胞に襲われていたところを助けたのですが、その方かもしれません。」
そんな2人の合間を縫って1人のフードを被った
「待ちなさい。そこのパルゥム。」
すれ違いざま、リューが
「袖にしまったナイフ。それを見せて欲しい。」
「リュー?」
「知人の持ち物に似ていたので確認したい。」
歩みは止めるものの、互いに振り返ることは無い
「生憎ですが、これは私のものです。あなたの…勘違い、でしょう。」
「抜かしなさい、
リューによって放たれたコインは細路地を抜けようとした
それでも歩みをとめない彼女はナイフを落とすも拾う暇もなく開けた道へと逃げるように駆けていく
「リリ!?」
路地から出たところで左手から出てきた1人のヒューマンとぶつかって倒れ込んでしまう
「シルさん!それにあなたは確か昨日の・・・」
そこに遅れて2人が駆け寄る
「あ、そうだ!2人とも、上から下まで真っ黒なナイフを見かけませんでしたか!?」
慌てて立ち上がり、あたふたした声で探していたナイフの特徴を読み上げる
「これの事ですか?」
「ありがとうございます!」
リューが出したナイフを受け取って感謝を告げる
「拾っていただきありがとうございます。これ、どこで拾いましたか?」
「拾った、というより1人の
「
「・・・いえ。多分私の見間違いでしょう。」
「?」
「ところでなのですが、貴方の名前と所属ファミリアを伺ってもよろしいでしょうか?」
「い、いえそれは構わないですが。どうしてですか?」
「
「いえいえ!とんでもないです謝罪だなんてそんな!あの事件は貴方のせいじゃないですし!」
「分かりました。」
「あ、そういえば自己紹介がまだでしたね。」
少し興奮気味で折れていた背筋を伸ばし
「【ヘスティア・ファミリア】所属、アル・クラネルです!」
・・・・
「良かったのリュー?あのままで。」
結局、
「神の言葉に『疑わしきは罰せず』という言葉があります。例え限りなくグレーでも、グレーのうちは手を出してはならないと。そうでなくても私はいつもやりすぎてしまう。」
「ふふっ。」
「な、なんですかシル。突然笑って。」
「リューも結構変わったなぁって。」
「確かに自分でもそう感じることがあります。特に7年前の巨悪との日々に比べると色々考えさせられる場面は多かったからでしょうか。それより先程のアル・クラネルという少年。」
「クラネルって事はベルさんの弟さんかな?」
「そういったことは聞いた事は無いのですか?」
「確かにベルさんから家族について聞いたことないかも。」
「そうですか・・・」
ベルにヒロインは
-
いる
-
いらない