どこまでも真っ直ぐでお人好しな酒場の白兎   作:花見崎

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EP14 襲撃

「っつー訳で・・・・女は全員身体検査だッ!脱げェーーッ!」

 

 

「奴らは一体何をしているのだ・・・」

 

 

「ははは、多分犯人探し・・・だと思う。」

 

 

改めて下に潜るためにリヴィラを離れようとした所、入れ替わる形で【ロキ・ファミリア】が入ってきた

 

 

何より驚いたのはその錚々たるメンツで、このまま階層主でも倒しに行くのかと思うほどのパーティだった

【ロキ・ファミリア】の幹部がほとんどであり、その中には団長であるフィンさんまでいる始末

ここに至るまで蹂躙されてきたであろうモンスターに同情まで抱くかもしれない・・

 

 

事件のあった宿屋から出てきた一行はます、リヴィラに滞在していた冒険者を集め身体検査を呼びかけている状態で

 

 

ボールスさんの声に男性冒険者が歓喜し、女性冒険者達が怒りの声を挙げている

冒険者達が集ったが故に出来た混沌たる惨状(カオス)な現状に僕達は遠巻きで見ることしか出来ない

 

 

何より、彼女にそういった話はNGだということも知ってる

 

 

「あれも犯人探しか?」

 

 

「ソ、ソウナンジャナイカナ。」

 

 

なんか向こうで女性冒険者に吹き飛ばされてるけど僕は知らない

 

 

・・・・

 

 

「あれ?」

 

 

ステージの弾き飛ばされている冒険者たちの横に立っていた金髪のヒューマンの女性がステージから離れ、駆け出していた

そしてその後を追うようにエルフの女の子もステージを離れていく

 

 

「何かあったか?」

 

 

「わかんない。ここからじゃ丁度影になってて・・」

 

 

「追いかけるか?」

 

 

「【ロキ・ファミリア】だから大丈夫・・・だと思う。闇派閥(イヴィルス)の人じゃないはずだし。何より突然話しかけられて逆に勘違いされる方が大変だから。」

 

 

彼女たちが見つけたモノが何かはわかんないし、今回の件と無関係とは思えない

けど、今出ていくのは違う。そんな気がする

 

 

「あの人・・・」

 

 

人混みから外れた街の一角に捉えた人が少し気になっていた

 

 

・・・・

 

 

「なるほど、そういう事情があったんですね・・・・」

 

 

朝があるならば必ず日は暮れ、夜は訪れる

 

 

クリスタルに覆われた18階層にも夜は訪れる

 

 

クリスタルから届けられていた光も消え去り、闇に包まれる

犯人探しの最中に人だかりから抜け出した冒険者を追って飛び出したアイズとそれを追いかけるレフィーヤに事情を説明している犬人(シアンスロープ)だった

 

 

「安心してください!私が責任をもって預かります!」

 

 

ルルネ・ルーイと名乗った少女が本来渡す予定だったモノ

 

 

球体で、中には胎児のようなモンスターと液体が入っている

言うなれば、それは母胎だった

 

 

「ところでレフィーヤ達に聞きたいんだけどさ。ベル・クラネルって冒険者知らないか?」

 

 

「ベル・クラネルさん?きいたことありませんね・・アイズさんは何か知ってますか?」

 

 

「どこかで聞いた・・・かも。」

 

 

「この依頼を受けた時にヘルメス様から名前と特徴は聞いたんだ。困った時は頼るといいって。」

 

 

「ヘルメス様がそこまで仰られるならきっと 凄い方なんでしょうけど・・・

団長なら何か知ってますかね?」

 

 

「白い髪にうさぎのような見た目で目は赤いんだってさ。」

 

 

「(アイズさんが知っている人物でしょうか・・・?でもでも、そのような噂は聞いたことないし・・・それに名前を聞いた時も)」

 

 

アイズは1人の知己を思い浮かべていた

奇しくも合致した見た目をしている1人のヒューマンを

 

 

「アスフィに聞いてもあまりいい顔はしなくてさー。ただ一言『悪い人ではありません。必ず力になってくれるはずです。』の一点張り。ヘルメス様も詳しくは教えてくれないし。」

 

 

「確かにそれだと不安ですね・・・せめてどこのファミリアかさえ分かれば少しは安心なのですけど。」

 

 

「どこ所属かも教えてくれなくてさー。というより避けてる?みたいな。」

 

 

「それだけ聞くと怪しいこと極まりないですね・・ヘルメス様が大丈夫だとおっしゃるとはいえどうも臭いです!事件の香りがプンプンします!」

 

 

「そ、そうかな?」

 

 

「そうです!きっとそうに違いありません!」

 

 

「うわぁああああああ」

 

 

「今の悲鳴は・・・・!?」

 

 

「街の方からです!」

 

 

夜の帳とともにもたらされた静寂を破って轟いた悲鳴によりリヴィラに再び喧騒が舞い戻る

 

 

「グォァオァアアアアア!」

 

 

共に余計な怪物(モンスター)を引連れて

 

 

・・・・

 

 

「クラネル!今の咆哮は!?」

 

 

「うん。確実に怪物祭(モンスターフィリア)の時に襲撃してきたモンスターで間違いない。」

 

 

恐らくは闇派閥(イヴィルス)が放った食人花(ヴィオラス)によって蹂躙されてる

リヴィラは伊達にダンジョン内に造られていない

 

 

伊達に同業者の街(リヴィラ)と銘打っている訳じゃない

彼らとて立派な冒険者

モンスターの襲撃に怯むような人達は居ないはず

 

 

だからって、この惨状を見逃す訳にもいかない

 

 

あの女性のことは気になるけど・・・

今はこっちが優先だよね

 

 

「フィルヴィスさん!手伝って貰えませんか!」

 

 

・・・・

 

 

「これで一段落って所か。」

 

 

「はい。恐らくですが目に付いた食人花(ヴィオラス)は倒したはずです。」

 

 

「それなら後向かうべきはあそこか。」

 

 

「はい。ですが、もうここから降りてしまった可能性が高いでしょうが・・」

 

 

最後に見かけてから数時間は経過してる

 

 

彼女の目的は分からないけど、もしこの襲撃が彼女が引き起こしたのなら長居することは避けるはず

とはいえ、彼女が完全に消えるまでは第2波が来る可能性も考えられる

 

 

なるべく犠牲者を出さないように動かなきゃダメだ

 

 

「こちらも片付いているようだね。」

 

 

「フィ、フィンさん!」

 

 

「君とこんな形で再会出来るとはね。」

 

 

「僕としては余り会いたくなかったかなぁ・・って。」

 

 

「それは手厳しいね。」

 

 

互いに乾いた笑いが零れていく

 

 

別にフィンさんが嫌いというわけじゃない

フィンさんのことは心から尊敬してる

彼がいてくれたから、僕もここにいられる

 

 

あの時、彼との間に一つだけ大きな契りを交わしてる

 

 

正直に言うとフィンさんがこれをどう思っているかは分からない

 

 

今でこそ【ベル・クラネル】という冒険者自体知ってる人の方が少ないくらいだけど

当時、あの暗黒期の中で彼はどう感じていたのだろうか

 

 

「色々と裏で活躍しているそうじゃないか。実際に見たわけじゃないけど僕の団員も何人かお世話になったそうだね。改めて僕からも礼を言わせてくれ。」

 

 

「い、いえ!そんな僕なんて何も。」

 

 

お礼を言われるのはまだ小っ恥ずかしいところがある

 

 

それに、どれだけの人を救っても取りこぼしてきた命は帰ってこない

 

 

「君はあの日から変わってなさそうで安心したよ。」

 

 

「僕も、どこかフィンさんと話せた事で少し吹っ切れた。そんな気がします。」

 

 

・・・・

 

 

闇派閥(イヴィルス)との抗争を想定する中で、いくつか最悪の盤面を想定していたけど。君の介入は想定してきた中で1番外れていて欲しかった。』

 

 

7年前、『大抗争』の最中流れがオラリオ側に傾いた事件が起きた

 

 

闇派閥(イヴィルス)の戦力は半分位上が削がれ、途絶えることのなかった血で血を洗うような衝突のなかった事件

 

 

全ては名も知らぬ1人の何者かによって引き起こされる

 

 

『どうか、これから先起こる全ての出来事を黙って見守り続けてくれませんか』

 

 

小さくも大きく動かされた彼らの会話を知るものは誰もいない

 

 

・・・・

 

 

・スキル

殺人兎(シリアルキラー)

 

・対峙する敵が人型の場合能力上昇

・対峙する敵の想いの丈により上昇値大幅増減

 

 

ベルにヒロインは

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